あけましておめでとうございます。
「手渡したいのは青い空」の願いのもとに、持続可能な未来をめざして、新たな一年、取り組んでいきます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2022年 正月
インターン生の岩本です。
あおぞら財団では、地球環境基金の助成を受けて「誰ひとり取り残さない! 気候変動を構造的にとらえ未来につなげる教育プログラムづくり」に取り組んでいます。
現在、その一環として、公害患者さんや公害裁判にかかわった人々についてお話の聞き取りを行っています。
今回は私が関わらせていただいた、公害裁判の意見書を書いた医師、金谷先生のお話を紹介させていただきます。直接はお会いできなかったものの、音声記録からでも学びの多いお話でした。
まず、先生が一つ一つの話題について、丁寧にお話されていた様子が印象的でした。
海外支援に関心があって医師になり、呼吸器について詳しく学ばれたのち、西淀へやってこられた先生。しかし、はじめから、正義感に燃えてこちらに来られた訳ではないそうです。「この人なんも考えないで西淀川へ来たの、みたいな」感じで来られたと、ご自身についてお話されるものの、裁判には大きく関わり、他2名の医師と共に、医学的見地から意見書を執筆されました。
普段の医師としてのお仕事もあるため、裁判の作業はボランティアで、仕事が終わってからや休日に、時に泊まり込みを伴うような、私から見れば、大変な作業だったようです。
ですが、先生から気負った様子はあまり見られませんでした。熱意というよりも、目の前の患者さんに対してできることをしたい、という誠意が、先生の語りからは感じられました。先生にとってはごく自然なこととして、目の前の人のために裁判に関わられたのだろうと思います。大きな理念や理想に燃えていなくても、目の前の人の助けになろうという気持ちから、大きなことはできるんだと思いました。先生は現在も、医療と社会問題について活動をしておられ、在留資格がない外国人の診療を行っています。保険の対象ではないため、医療費は10割負担となるそうですが、これくらいの負担じゃ倒産しないからね、と公害裁判の時と変わらず自然に活動しておられるようです。
世代によるものなのかもしれないですが、私は何かの運動というと、ものすごく熱い、突進していくような気持ちがないと参加できないんじゃないか、実を結ばないんじゃないか、というイメージがあったりもします。しかし、自分にできる範囲で、目の前の人を支え、運動を支えていく、そういう形があって、こうして実を結んでいるのだと分かりました。
とりあえず私としては、大学でのインターン報告会にて、あおぞら財団で学んだことと西淀川の公害について、自分なりに話をしてこれたら、と思います。
(記・あおぞら財団インターン生 岩本)



11月30日(火)に大阪市立大学「都市基盤計画特論」(吉田長裕准教授)の2回目の授業があおぞら財団で行われました。参加者は10人です。今回はタンデム自転車を活用してのフィールドワークと公害患者さんのお話を聞きました。
今回、タンデム自転車に初めて乗る学生ばかりでしたので、最初に練習してから走行し始めました。大野川緑陰道路を走り、福町駅前広場、淀川、西島の工業地域、国道43号等に行きました。工場の建屋集塵装置、国道43号の道路沿道対策(環境ロードプライシング、光触媒や 高活性炭素繊維による大気浄化等)などの公害対策を確認しました。
西淀川地域内の施設として、高齢者介護施設のあおぞら苑や姫里ゲストハウスいこね&くじらカフェの見学もしました。あおぞら苑の屋上では、「西淀川あおぞら発電プロジェクト」として太陽光パネルで発電を行っています。
フィールドワークから戻ってきた後は、西淀川公害患者の家族の会の岡崎さんと事務局長の上田さんからお話を聞きました。自然豊かな高知から大阪に引っ越してきて毎日空が曇っていることに驚いたこと、洗濯物を干しても粉塵で黒く汚れてしまったこと、空気を吸っているだけで病気になってしまうとは思ってもいなかったことなどをお話ししてくださいました。また、患者会の運動、西淀川公害訴訟に参加するのは大変であったが、子どもにとってのふるさとである西淀川の環境を取り戻すためにと活動してきたと、公害運動に対する思いを語られました。
学生からは「西淀川をどういう街にしたいと思いますか?」という質問が出ました。岡崎さんからは「トラックが街中を走らないようになってほしい。空気のことを気にせずに暮らせるようになってほしい」との回答でした。また、事務局長の上田さんから「コロナ禍ということもあり、コミュニケーションを維持する大切さを痛感している。患者が作ったあおぞら財団は、西淀川区民が交流できる場づくりをしている。患者会もコミュニケーションの場を大事に思っている」とのお話がありました。
最後に今日の感想を共有しました。
大野川緑陰道路が自然豊かでコミュニティの場になっていること通行のしやすさを実感したといった緑陰道路に対する感想、国道43号の公害対策をみたが町全体として公害の跡がないということが印象に残ったという感想、老人ホーム、ゲストハウスなど多様な人が楽しめる街になっているという印象、患者さんの公害の体験を聞いてそんなに公害がひどかったのかと感じたという感想などが出ました。
次回は12月7日に、市民参加に関するワークショップ、西淀川区役所職員さんのヒアリング等を行う予定です。
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2021年度 大阪市立大学 授業「都市基盤計画特論」における西淀川区でのプログラムは下記のようなスケジュールで行います。
| 日時 | 内容 |
|---|---|
| 11月16日 | ロールプレイ、小講義「西淀川地域の現状と課題/あおぞら財団の地域づくり」 |
| 11月30日 | 西淀川地域の現状視察(タンデム自転車を活用)、ヒアリング 西淀川公害患者と家族の会 |
| 12月7日 | 市民参加に関するワークショップ、ヒアリング 西淀川区役所職員 |
| 12月21日 | 中間報告&意見交換 |
| 1月~2月 | 各グループで最終の提案づくりに向けた活動 |
| 3月 | 西淀川への提案を発表 |
(谷内)
インターン生の岩本です。
今回は11月24日のあおぞら市におじゃましました。あおぞらビル1Fのあおぞらイコバにて、第2・第4水曜日に開催中です。
今回の出店は4店で、韓茶カフェ「流れる千年」さんのおやつやキムチなど出張販売や、体にやさしいパンのお店「cura pane(クーラパンネ)」さん、「谷口ファーム」さんのオーガニック野菜販売、「楽成体(らくなりたい)」さんのワンコイン足もみでした。
寒い日も増えている中、今日は朝から日差しがぽかぽかと暖かく、ふらりと立ち寄る方も多くいらっしゃいました。オーガニック市の名の通り、オーガニック野菜や体に良いおやつやパンなど、魅力的な品物が沢山並んでいました。
今回はインターン生としてお話を伺うために来たはずが、物欲に負けて買い物タイムになることもしばしば…。でもそれだけ、出店者の方々の思いがあついということ。品物について大切にお話される様子を見て、つい、それも下さい、と買い物タイムを延長させてしまいました。(物欲の塊になっていたら、足もみに行きそびれてしましました、残念…)こんな感じでインターン生を名乗っても大丈夫か、若干不安になりつつも、やっぱり素敵!食べたい、おいしい!と、大変楽しませていただきました。
中でも私が印象的だったのは、皆さん持ってこられた品物をとても大切にされていることでした。ご自身がいいと思ったものを(作って)売る。誰かの気持ちがこもったものを買う。それはとても心地よいことなのではないかと思います。
そしてそれは結果的にフードロスの削減や、持続可能性の広がりに繋がっていくと考えられます。思いのこもった好きなもの、よいと思うものは捨てたくないし、ずっとあってほしい、広がってほしいと思うはずです。
実際に小さめの間引き大根(右)も販売中。左の大きくなったものより葉が柔らかくておいしいとのお話です。葉の色も鮮やかでみずみずしく、10年以上農薬を使っていない畑で大切に育てられているのにお安い…。他のお野菜と一緒に、わしわしと買いこみました。
このような場があることは、地域の交流が生まれ、ローカルで低エネルギーな、空気を汚しにくい消費が生まれ…と、公害地域の再生にも効果的だと考えられます。
環境問題が重視されて長いですが、マイナスなお話が多いなど、楽しく環境問題に取り組める間口は案外狭いように思います。ですがあおぞら市では、皆さんとってもポジティブに、自然体で自らの品物やその思いについてお話してくださいます。楽しく前向きに環境問題に関わるにはちょうどよい場所ではないでしょうか。
「クーラパンネ」さんのランチ。パンは国産酵母のとっても芳醇な香りがして、他のお料理も全部おいしい。(現在はテイクアウトのみです)一緒に「流れる千年」さんの薬膳ホットコーラもいただきました。チャイのような、じっくり抽出された香辛料の香りが豊かで飲みやすく、午後はお腹がぽかぽかでした。安くて健康に良くておいしいくて、環境にもよいとは、最高ですね。
持ち帰りにパンいろいろとキムチ(おうちの冷蔵庫でも発酵が進み、味の変化を楽しめる「生きているキムチ」とのこと!)も買いました。
帰りは戦利品の重みが手にくいこむほどでしたが、買った野菜とキムチで料理をしたり、朝ごはんにパンを食べたり、家でもおいしく楽しめて、とてもよかったです。自然な形で、自然とつながる、そのような心地よいエコを感じる場所でした。
次回開催は12月8日です。ぜひお越しください。
(記・あおぞら財団インターン生 岩本)
今後の予定
<2021年>12/8、12/22
※あおぞら市は毎月第2・第4水曜日に開催しています。
※開催は予告なく変更する場合がありますので、詳しくはお問い合わせください
★☆★出店者募集中★☆★
あおぞら市で一緒に素敵なお店を出しませんか?野菜や雑貨、その他応相談。1スペース500円
★地域交流スペース「あおぞらイコバ」貸出中 ~出会い、憩い、つながる場所に~
あおぞらビル1Fの地域交流スペース「あおぞらイコバ」は、会議、ギャラリー、コンサート、上映会などにご利用いただけます。https://aozora.or.jp/ikoba
午前:1,000円/午後:1,300円/夜間:1,300円/全日:3,000円
■お問い合わせ・ランチ予約
あおぞら財団(公益財団法人公害地域再生センター)
〒555-0013大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4F
TEL:06-6475-8885 FAX:06-6478-5885