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龍谷大学政策学部清水ゼミ×あおぞら財団 活動報告会(7/23)

2023年7月23日、龍谷大学政策学部清水ゼミの活動報告会があおぞらビル会議室にて行われました。昨年8月から1年間西淀川の地域活動に携わってきた現3年生たちが、ゼミ活動でお世話になった方々に向けた活動報告を行いました。これからゼミが始まる2年生たちも参加しました。

タイトルロゴ

“あおぞら”をイメージしたかわいいタイトル

初めに3年生から、この1年間のゼミ活動の報告が行われました。
ゼミ生たちはアート班・防災班・映像班の3つのチームに分かれ、西淀川でのフィールドワークみてアート2022の運営補助公害患者さんへのインタビュー映像の作成クラフト防災パークでの体験ブース出展などに取り組んできました。

報告の様子

活動報告をする3年生たち

ゼミ生たちはこれらの活動を通じて、「みてアートに参加することによって、地域の今と昔を知ることができた」「クラフト防災パークで何を出展するかを考える過程で、防災班全員の防災に関する知識が増え、興味が高まった」「公害患者さんの生の声を聞くことで、公害は“昔”のことではなく“今も続いている”ことだと考えるようになった」といった学びを得たようです。
今後は西淀川区内で継続してきたごみ拾いの継続と、それを活かした環境アート作品を次回のみてアート2023で展示することを目指しています。

ごみ拾いマップ

ごみ拾いマップを作製して活動中

活動報告の後、映像班が岸本景子さん(西淀川区在住の映画監督)たちと共に作成したインタビュー映像のお披露目も行われました。インタビュー映像には、「西淀川公害患者と家族の会」の事務局長を務めている上田敏幸さんと、公害患者である岡崎久女さんが出演してくださりました。お2人がインタビューで伝えようとされたメッセージが、心の奥にまで響いてくるような映像に仕上がっていました。

上映中の様子

上映中には思わず顔に手を当てる方も

休憩を挟んだ後、参加者全員で6班に分かれてグループディスカッションを行いました。①報告の感想、②動画の感想、③1年の変化、④西淀川区の“推し”、の4項目について話し合い、最後に全体で意見を共有しました。時に笑顔で、時に真剣な眼差しで、各班とも時間が足りないほどに活発な議論が行われていました。
「公害患者さんの生の声を聞くことで、公害の本当の辛さを知ることができた」(学生)、「苦しみを理解してくれることが嬉しい」(患者会)、「西淀川に通い続けて“推し”のごはん屋さんの店主と仲良しになった。次は2年生を連れて行きたい」 (学生)、「西淀川の“推し”は、いまの青空」(患者会)などの意見があげられました。

ディスカッション風景

各班とも盛り上がりを見せます

意見共有風景

学生さんが意見をまとめて全体に共有

最後に、インタビュー映像に出演していただいた上田さんと岡崎さんから挨拶をいただきました。上田さんは、「自分のインタビュー映像を見たことで、改めて自分が次の世代に伝えていきたい思いの強さを再認識できた」とおっしゃられていました。岡崎さんは、「みんなの笑顔を見て(インタビューなどの活動を)頑張ろうと思えた。誰かのためにこんなに頑張れるだなんて」とおっしゃられていました。

集合写真

参加者全員で記念撮影

この1年間ゼミ活動を行ってきた学生さんたちは、生活者一人ひとりの目線での公害の実態、および地域再生の過程を、フィールドワークを通して五感で学ぶことができました。岡崎さん、上田さんをはじめとした患者会の方々が伝えたかった思いが共有され、次の世代に継承されていく瞬間を目の当たりにしました。

※清水ゼミで作成した西淀川公害患者と家族の会の方々へのインタビュー動画は、公開方法を検討しています。公開方法を決定しましたら、こちらで公開いたします。動画は2022・2023年度地球環境基金の助成で作成しました。

(あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

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研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年7月27日2:45 PM

イタイイタイ病を伝える「清流会館」から 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)に来館(7/5)

7月5日、富山のイタイイタイ病対策協議会メンバー4名が、あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)に来られました。目的は、清流会館で保管しているイタイイタイ病に関する資料の保存や整理の方法について、エコミューズの事例を見る、ということです。こちら、エコミューズには、実際にどのような資料があり、それぞれに応じてどのような整理をしているのか、課題も含めて、説明しました。

清流会館は、イタイイタイ病公害被害者がイタイイタイ病の救済、再発防止の拠点として1976年に建設し、資料館の役割を果たしてきました。2012年には富山県立のイタイイタイ病資料館がつくられており、同資料館へ移管された資料と清流会館で保管している資料に分かれているそうです。裁判関係、企業への立入調査、患者救済、土壌復元に関する資料などが清流会館で保管されており、電子化も含めて整理していくことを考えておられます。

懇談では、エコミューズ小田館長が公害資料の整理の在り方について意見を述べたほか、公害資料館ネットワークなどを通じて他の資料館などと連携を深められることをすすめました。西淀川でも、膨大な資料をどのように整理していくか、お互いに他の先行事例のノウハウを学びながら、連携していければと思います。

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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2023年7月24日10:43 AM

関西大学社会安全学部越山ゼミ 西淀川フィールドワーク(07/06)

2023年7月6日(木)に、関西大学社会安全学部越山ゼミの3年生のみなさんが西淀川を訪れました。今回の主な内容は、タンデム自転車で移動しながら西淀川の町を感じることと、水防団の防災士多田さんと西淀川区役所防災担当の小林さんの講義です。

午後1時に、ゼミ生9人があおぞらビル3階会議室に集合し、簡単なスケジュール説明を聞いてから、タンデム自転車5台で西淀川をまわり始めました。ルートはいつもの通り、あおぞらビルから大野川緑陰道路経由淀川堤防まで走り、そして西島工業地域に入り、多文化コミュニティを体験できる大和田のマスジドでいったん休憩してから、大野川緑陰道路に戻り、あおぞらビルに帰還しました。猛暑であったとしても、ゼミ生男子9人の元気さが溢れています。

大野川緑陰道路にある水防碑の前で説明を聞きます

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淀川の堤防で周辺の建物を確認

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出来島水門を見学

あおぞら財団に戻った後、防災士の多田さんからのお話しです。大阪府の地下には数多くの活断層があるので、地震が多発、津波被害地域であります。また、閉鎖的な大阪湾の一番奥部分の西淀川区は、余計に高潮の被害に受けやすくなります。さらに工業で地下水のくみ上げにより深刻な地盤沈下が発生し、西淀の災害史は、水害との戦いと多田さんが話しました。

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防災士の多田さんの講義

次に、西淀川区の防災担当の小林さんから西淀川区の防災の取組みについてお話をいただきました。小林さんから西淀川区がどんな仕事を担っているのかというお話を投げかけ、防災意識啓発や避難訓練、避難所の指定、備蓄品の管理、行政無線、防災無線、防災システムの構築、耐震診断の助成など、学生からは多様多種な仕事内容が出てきました。これらの業務を区役所職員4人でになっているという回答に驚きの声が上がりました。

また、大阪市の内水氾濫を防ぐ下水道についてもお話がありました。大阪市では家庭などからの排水と雨水をいっしょに一本の管で集める「合流式」の下水道が整備されており、以前は強い雨の時に雨水と汚水が混じったまま放流されてしまい、水質の汚濁が問題になっていました。現在は、太閤下水や雨水滞水池の整備等の合流改善対策が行われ、水質が改善されてきました。

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西淀川区防災担当の小林さんのお話

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西尾淀川の防災のとりくみ(グラレコby多田さん)

お話の後は防災かるたをしました。「にしよどぼうさいかるた」は西淀川区民の協力のもと作成された西淀川オリジナルのかるたです。かるた取りを楽しんでもらった後、防災かるたで小学校等の防災授業等や防災かるた大会で普及しているというお話をしました。

その後、災害エピソードを元に防災を考えるアクティビティ「気候変動と災害の影響は・・・・」を行いました。このアクティビティは現在地球環境基金の助成を受けて検討中の教材です。過去の台風で被害を受けた方のエピソードを元に、印象に残ったこと、自分が同じ境遇になったら、災害によって社会的に弱い立場の人々がどのような被害を受けるのか、自分ができること、社会ができることを考えました。災害弱者の避難の支援の困難さに思いを寄せ、社会的な支援の仕組みが必要であること、過去の災害経験を伝える等の啓発が重要といった意見が出ました。

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アクティビティ「災害のエピソードから防災を考える」の感想

最後に、今日の研修の振り返りと今後ゼミで取り組みたいことをまとめました。多様な視点から防災を考え、様々な防災対策が必要であるということを感じ取ってもらえたフィールドワークになりました。

最後に研修を振り返りました

(王・谷内)

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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年7月21日11:26 AM

大阪公立大学 地盤沈下フィールドワーク(6/23)

6月23日(金)に大阪公立大学の遠藤崇浩教授が大学院生とともに、授業の一環として「地盤沈下」をテーマとして、西淀川にフィールドワークに来られました。

最初に、西淀川の地盤沈下や災害について30分ほどお話させていただきました。

西淀川区は「新田開発」と「埋め立て工事」により、現在の地形となりました。西淀川区全域が工業地として発展し、地下水を工業用水として利用することにより、大規模な地盤沈下が起こりました。百島の計測値を見ますと、累積沈下量が240cmに達しています。そのため、ひとたび水害が起こると、浸水被害が甚大になります。昭和35年頃(1960年頃)には、地盤沈下により海中に工場が放棄されているということもあったそうです。

お話の後、西淀川区全域をタクシーでまわり現地踏査を行いました。

 

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佃防災船着場(大阪市佃ふれあい公園) 水上輸送ルートを利用して、災害時に必要物資の運 搬や救急・救命活動を行う。

 

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防潮鉄扉。台風や津波などの「いざというとき」に閉鎖することで「堤防の一部」となり、水害を防ぐ。

 

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外島保養院記念碑。1934年、室戸台風の直撃により、193人の尊い命が奪われました。毎年9月に犠牲者追悼行事が行われています。

 

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神崎川の水面よりも住宅地が低い様子が見て取れます。

 

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地盤沈下により、住宅地の一階は道路よりも下にあります。

 

3時間にわたるフィールドワークにより、地盤沈下の状況や災害の痕跡、災害対策などの状況やを現地で体感してもらうことができました。遠藤教授は、「標高図などで西淀川区の概況は見ていたのですが、堤防の高さ、地面の傾斜、道の狭さなどはやはり実際に現地を訪問しないと腑に落ちません」との感想を寄せてくださいました。

あおぞら財団では、大気汚染を中心とするフィールドワークの受入をしており、今回のように「地盤沈下」に特化したフィールドワークは初めてです。西淀川では水質汚染、地盤沈下、道路公害、騒音・振動など典型7公害のすべての被害が発生しました。今回の西淀川の「地盤沈下フィールドワーク」を通して、改めて西淀川の地盤沈下の状況について学ぶことができる貴重な機会となりました。


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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年7月3日4:15 PM

追手門学院大学社会学部2年生 西淀川フィールドワーク(12/17)

2022年12月17日(土)、追手門学院大学社会学部の2年生のみなさんが西淀川を訪れました(引率:藤吉先生を含む3人、学生9人が参加)。藤吉先生は5月にも3年生のゼミ生が研修に来ていただいています。

阪神「出来島」駅に集合し、国道43号の道路沿道の環境対策を見学しました。国道43号は公害道路とも呼ばれるほど大気汚染や騒音、振動などの公害を引き起こしていましたが、大気汚染訴訟の和解条項に基づき、遮音壁の設置、光触媒の塗料の塗布、高活性炭素繊維(ACF)パネルの設置、環境ロードプライシング、PM2.5の測定といった様々な環境対策がなされています。

デイサービス施設「あおぞら苑」、千北診療所(公害病患者の治療の拠点)、大阪マスジドなどを経て、大野川緑陰道路を散策してあおぞら財団まで歩きました。雨降りの中ですが、フィールドワークは約90分におよびました。

あおぞら財団に到着後は、西淀川公害やまちづくり活動の説明をおこない、資料館(エコミューズ)を見学後、「ワークショップ フォトランゲージ」を行いました。

資料館にて、事務局長の藤江が「西淀川公害やあおぞら財団の活動」について学生に解説しています。

西淀川公害やあおぞら財団の活動についてのお話

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エコミューズの見学。パネルや裁判資料などをみてもらいました

次に、西淀川公害患者と家族の会の上田さんと公害認定患者の岩本さんから、公害病になってからのご自分の人生について語っていただきました。岩本さんは24歳でぜん息発作が起こり、それ以降、長い間病気と闘っておられます。続発症である中耳炎による聴覚障害、病気のために仕事が思うようにできず普通で当たり前の生活を失われてしまったとのお話などに学生のみなさんは真剣に耳を傾けていました。岩本さんは、公健法の改正によって公害患者の新規認定が打ち切られる直前の1988年に無事に認定を受けることが出来ましたが、認定を貰えなかったことで苦労している人がいるとのお話もされました。

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公害患者さんのお話

最後に感想を共有して、この日の研修は終了しました。学生のみなさんからいただいた感想を一部紹介します。

・公害を知らなかったら、ぜん息の症状が公害のせいだということを知ることができなかったと思うと、怖いことだと思いました。
・岩本さんが自分と同じくらいの年で症状を発症し、さまざまな苦労があったことをきき、他人ごとではないと思いました。公害患者になっても自分なら症状を受入れられないと思うので、人のために活動していることが本当に尊敬できると感じました。
・この公害をここで終わらさず、小さい子にも伝え続けるべきだと思います。患者さんは少なくなったとはいえ、まだたくさんいるので、少しでも多くの方が早く良くなってほしいです。

今日の研修で学んだことを、今後の研究活動等に活かしていただけたらと思います。

(記:谷内)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2022年12月19日12:06 PM
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