西成高校
では「チャレンジ人権総合学習」という授業プログラムが行われています。人権問題についてテーマ毎に分かれて学習をする授業です。西成高校の依頼を受けて、環境問題をテーマとする授業のお手伝いをしました。
環境問題というと、温暖化問題など地球規模の問題を思い浮かべる人が多いと思います。地球規模になると範囲が広く自分たちの生活と被害の実態が見えにくくなりがちですが、公害被害は自分たちの生活に関わる身近な問題です。
公害という「生きる権利の侵害」を学び、自分たちの住むまちの環境について考え、自分たちがやれることは何かを考えることをねらいとしました。
授業には20名の生徒が参加をしました。
まず1日目、9月11日は「大気汚染公害の「過去」と「いま」を知る」をテーマに、大気汚染公害について学んだ後、西淀川公害患者の家族の会事務局長の永野千代子さんと、西成区に隣接する大正区の公害患者の松本邦枝さんから公害病による被害を具体的に聞きました。
2日目(9/17)は、まち・交通たんけんと題したフィールドワークで、国道43号線、26号線、大正区の地域調査を行いました。
3日目(9/25)は、受講生が自宅にとりつけたの二酸化窒素濃度(NO2)測定を実施。2日目のフィールドワーク調査の結果を地図にまとめ、まちの環境の問題点や良いまちにするために自分たちができることは何かを考えました。
2日目、3日目の授業はあおぞら財団のインターン生がレポートしています。
(以上 小平記)
2009年9月18日(金)
【授業2日目】
あおぞら財団インターンシップ生 奈良女子大学3回 川淵絵里子
あおぞら財団インターンシップ生 奈良女子大学3回 川淵絵里子
西成高校で行われている人権総合学習の一環で、あおぞら財団では9月11・18・25日の5・6時間目を使って3回の授業を受け持っています。
私は2回目の18日のお手伝いをしました。
11日は教室で授業を行いましたが、18日は学外に出て自分たちの街を探検してもらいました。
実際に身のまわりをじっくり観察することで地域の環境問題や街の良さを発見し、考えてもらうことがねらいです。
今回は渡船を使って西成区から大正区へ渡り、工場と住宅が混合している様子を見学するチーム2つと、地域を走る主要な道路(国道43号線と国道26号線)の交通量をカウントするチーム2つの4チームに分かれ、それぞれのチームにあおぞら財団のスタッフが1人ずつ付きました。(上田さん、小平さん、川淵、岡田くん(桃山学院大学インターン生))
私は上田さんと一緒に自転車で大正区を見学するチームに付きました。
開始早々、一方のチームが先に出発してしまい、はぐれてしまうというハプニング!
急いで追いかけてもらい、2人合流できましたが、残り3人が見つからず、仕方ないので連絡を取りつつ後で合流しようということになりました。
事前に下見をしていなかったことが原因の失敗です!反省すべき内容です。
生徒を捜している間に他のメンバーを落合下渡船にて乗船させ、木津川を渡りました。
大正区に入るとさっそく工場群が出迎えてくれました。
自転車で走っていると目にゴミがたくさん入って痛かったです。
大正区は沿岸部に工場地帯が広がり、その中に住宅が混合して建っているという地域です。そのため細かい塵や埃が比較的多いのだろうと感じました。
生徒たちも喉が痛い、工場のニオイがすると感想を漏らしていました。
大正区を見学しながら、工場や公園、民家の様子など気になったもの、面白いものを写真に撮ってもらいました。
誰もいない公園…
戸内に収まらないものがあふれ出してる
商店街
あっという間に時間は過ぎ、急いで落合下渡船へ。
はぐれた3人とはそこでも会えず、結局学校で再会することとなってしまいました。
本当に申し訳なかったです!
学校へ戻ると、交通量調査の結果が出ていました。
2つの道路で大きな差は見られませんでしたが、たくさんの車がこの道路を利用していることが改めてよく分かる結果となりました。
生徒たちもこの結果から何が分かるのかと考えてくれたようです。
各グループで撮ってきた写真を印刷し、次回の宿題である二酸化窒素測定について説明した後解散となりました。
こちら側のミスで、生徒や先生に大変な迷惑をかけてしまったことが非常に悔やまれますが、生徒たちの様子を見ていると、今回のフ
ィールドワークに興味を持ち、思い思いに感想を持ってくれたように感じたので良かったと思います。今回の反省点を生かし改善を加えていけば、次回にも繋げていけるのではないかと思いました。
生徒たちが少しでも自分の街に対して興味・関心、愛着を持ち、地域の問題点などを考えてくれるよう、こうした機会をたくさん設けることで今後も協力していけたらいいなと思いました。
43号線の様子
調査の様子
2009年9月25日(金)
【授業3日目】
あおぞら財団インターンシップ実習生 桃山学院大学 田中 淑恵
今日は午後からチャレンジ人権総合学習で西成高校に行ってきました。
参加してくれた学生は、20人で4班に分かれて作業をしました。
①二酸化窒素カプセル測定
試薬を入れてどれだけ汚れているかをエコアナライザーで測定!
環境が良いと透明に近くだんだんピンク色になります。そして環境が悪ければ悪いほど色が紫になります。
学生が積極的にエコアナライザーの手伝いをしてくれたのですが、残念ながら調子が悪くて正常な数値を割り出すことができませんでした。
②結果を地図にまとめる
地図に調べた結果のシールをはりました。
③二酸化窒素測定結果の地図と、FW結果の地図からわかったことを討議
1つめの「マップから見えること」をテーマに調べたことを共有しました。前回(9月18日)の人権総合学習で撮った身の周りの街の写真をもとに、みんな各々の班で意見をかわしていまいた。10分の休憩をはさみ、2つめのテーマ「住んでみたい「まち」住続けたい「まち」を考える」について話し合いました。
④グループ発表
今まで話し合った事をもとに、各班約3分で発表しました。
⑤まとめ
時間も限られていたことに加えて、エコアナライザーの調子も悪かったので作業が十分にできたわけではありませんでしたが、学生たちも思ったより作業に取り組んでくれました。私の実家(和歌山県)は周りが山に囲まれているすごい田舎なので同じに今回と同じ実習をしたとき今回の結果と比べてどのような結果がでるのか気になります。
環境が悪いという結果が出たときに、そこで終わってしまうのではなくて、これから私たちがどうしていけばいいのか考えていくべきだと感じています。
生徒たちがつくった地域調べの結果をまとめたマップ
生徒の感想≪一部抜粋≫
・分かったことは自分が思っている以上に公害が深刻で大変なことだということです。次に勉強になったことは、やはり公害が深刻ということと、そして、工場が住宅の周りにあるのが原因ということが分かり勉強になりました。そしておもしろかったことは、大変だったけど大正区で迷ったことです。なぜかというと、迷った時にこそ発見できるものや気づかなかったことに気がつけるからです。
・環境問題や地球温暖化などの問題があんなに前からあったなんて、知らなかったし、被害も大きかったからびっくりしました。
・公害では、実際に被害にあった方々が話してくれました。ゼンソクや公害病にかかった人の話を聞き、たいへんな思いをした人がおるんやなぁと思いました。