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ブログカテゴリー » もりもとまきのアーキビストの目

もりもとまきのアーキビストの目 No.21

あおぞら願って、花を一輪
-「被告企業との和解による解決確認式」・「ひまわり行動(全面解決)」ブローチ-

今回は、ちいさなお花のブローチを2点、紹介します。
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上の写真は、「被告企業との和解による解決確認式」のブローチです(和田美頭子氏資料No.11)。

西淀川公害裁判は、’95(平成7)年3月2日に被告企業との和解を実現しました。
その日、「被告企業との和解による解決確認式」が行われ、参加した原告団・弁護団・支援者ら130名に、参加証としてこのブローチが配られました。
和解内容は、企業は解決金39億9千万円を支払い、そのうち15億円を患者の生活環境や地域再生に活用すること、また公害防止対策を努力することなど、画期的なものでした。

そしてその3年後、’98(平成10)年7月29日、裁判は国・阪神高速道路公団との和解をもって、全面解決を果たしました。国・公団は自動車排ガスによる健康影響を認め、西淀川区における沿道環境を改善すること、また、環境施策を実施するために「西淀川道路連絡会」を設置し、被害者(原告団)と継続的に協議することに合意しました。

下の写真は、その日行われた「ひまわり行動」で参加者が胸につけたブローチです(眞鍋正一弁護士資料No.1563)。
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ブローチをつけ、デモ行進 ブローチをつけ、デモ行進 

ひまわり行動では、淀屋橋での全面解決街頭報告、原告団・弁護団・支援者ら400人が参加しての和解法廷前集会を経て、代表120人が法廷での和解式に臨みました。その後、記者会見をはさんで、道路政策提言発表会、和解報告集会と続き、多くの人たちが喜びを分かち合い、あおぞらを取り戻すためのこれからの運動への決意を誓い合い、全国へ、世界へ発信しました。

これらのブローチは、患者会や原告団の女性たちがひとつずつ手作りしたものです。
一輪一輪に込められた、あおぞらへの大きな願いを伝える資料です。
 
(お知らせ)これからは、『資料館だより』掲載分とは別に、blog にのみ掲載のblog版「もりもとまきのアーキビストの目」を不定期に掲載します。よろしくお願いします。
 
(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)
Filed under: もりもとまきのアーキビストの目,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2011年10月21日2:39 PM

もりもとまきのアーキビストの目 No.20

弁護団、一丸となるために
-西淀川公害訴訟弁護団事務局ニュース-
(資料館だより37号、2011/07)
紹介資料:『西淀川公害訴訟弁護団事務局ニュース 第1号』(1985/09/20、眞鍋正一弁護士資料No.1361)

今回は、『西淀川公害訴訟弁護団事務局ニュース 第1号』(1985/09/20、眞鍋正一弁護士資料No.1361)を紹介します。
西淀川公害訴訟は、6つの争点(気象・疫学・関連共同性・被害・道路・歴史)について議論が進められました。弁護団は争点別に6つの班を組織して、20年間の裁判に取り組みました。6つの班が一丸となるためには、各班相互の連絡体制が欠かせません。その中心的な役割を担ったのが弁護団事務局でした。

欠かせない意思疎通、情報共有 欠かせない意思疎通、情報共有 

第1号では、各班の状況をすべての弁護団員が把握できるよう、三役(団長・副団長・事務局長)と事務局が持ち回りで各班の会議にオブザーバーとして参加すること、各班に事務局との連絡係を置くこと、各班からの連絡事項や進行状況を伝えるため事務局ニュースを発行することなどが記載されています。
ニュースは時に連日発行され、現在までに約260点の現物が確認されています(1985~2001、眞鍋正一弁護士資料内)。事務局はまた、会計、裁判所との交渉、書類の管理、他団体との連絡など、多くの事務的実務も担い、その状況も伝えられています。弁護団がどんな体制で長い裁判に挑んだのかを伝える資料です。

☆資料館だより37号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

Filed under: もりもとまきのアーキビストの目,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2:37 PM

もりもとまきのアーキビストの目 No.19

弁護士も立ち上がる-西淀川大気問題研究会-
(資料館だより36号、2011/05)
紹介資料:西淀川大気問題研究会議事録(1977年)

西淀川公害訴訟弁護団の母体となったのは「西淀川大気問題研究会」です。エコミューズでは会議録など、同研究会の多くの資料を所蔵しています。

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若き弁護士たちの奮闘を伝える 若き弁護士たちの奮闘を伝える 

研究会は’73年11月、青年法律家協会(青法協)大阪支部で発足しました。’54年に若手法律家たちが設立した青法協は、’69年に「全国公害研究集会」をスタートさせるなど、公害問題に高い関心を持っていました。当時西淀川公害患者と家族の会事務局長であった森脇君雄は、青法協に対して西淀川公害裁判提訴の必要性と協力を訴え、西淀川大気問題研究会の発足に至りました。翌’74年、患者会の被害救済要請を受けて大阪弁護士会公害対策委員会に設置された「西淀川問題小委員会」にも、同研究会のメンバーが参加しました。

提訴の前年、‘77年3月15日の会議録(眞鍋正一弁護士資料No.992,写真上)からは、被告の選定、研究者・医師らとの協力強化、訴訟のための資料収集、弁護団の体制などについて討議されていることが分かります。また同年7月の合宿議事録(同No.1016,同下)では、訴状案の検討過程などが分かります。

患者に寄り添い、公害に立ち向かい、西淀川に青い空をよみがえらせようと奮闘した弁護士たちの姿を伝える資料です。

☆資料館だより36号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

Filed under: もりもとまきのアーキビストの目,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2011年6月24日3:19 PM

もりもとまきのアーキビストの目 No.18

四日市公害の現在-記録人・澤井余志郎さん-
(資料館だより35号、2011/03)
紹介資料:ドキュメンタリー『記録人・澤井余志郎 四日市公害の半世紀』(2010年)

今回は、エコミューズ所蔵の映像資料のなかから、昨年11月に東海テレビで放送されたドキュメンタリー『記録人・澤井余志郎 四日市公害の半世紀』(DVD、カラー51分、四日市再生「公害市民塾」より寄贈、資料No.312)を紹介します。

青い空のために、記録しつづける 青い空のために、記録しつづける 

四日市大気汚染公害は1960年代、四日市コンビナートの排煙によって引き起こされ、多くの住民が呼吸器疾患に苦しみました。澤井さんは40年以上にわたって被害者の訴えに耳を傾け、記録集を発行し、市民やマスコミに公害の実態を知らせ続けてきました。番組では、そんな澤井さんの活動に一年間密着しながら、四日市の現在の姿―ぜん息発作と闘いながら語り部活動に取り組む公害患者や、「公害患者」として認定されず救済されない被害者の存在、工場排水による汚染で魚が住めなくなった海、環境を軽視する企業の不祥事などを映し出していきます(番組公式HPはこちら)。

きれいな空気や美しい海を取り戻し、本当の意味で公害を克服するためには、いったい誰が、何をすべきなのか。自分には、何が出来るのか―多くの問いを投げかけられるドキュメンタリーです。

☆資料館だより35号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

Filed under: もりもとまきのアーキビストの目,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2011年5月20日5:14 PM

もりもとまきのアーキビストの目 No.17

学び舎を覆う空気の汚れ-教育現場の健康被害-
(資料館だより34号、2011/01)
紹介資料:『西淀川全保育所のアンケート回答まとめ』(1970~71年)、大阪市立福小学校『公害白書』(1970年)

子どもたちが元気に駆け回るはずの学び舎にも、大気汚染による健康被害が広がっていたことを伝えるエコミューズ所蔵資料を紹介します。

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西淀川全保育所のアンケート回答まとめ』(’70~’71年、谷智恵子弁護士資料No.38、写真上)は、区内全保育所児童の健康状態に関する調査結果です。「3ヶ月もつづかないが、よくせきがでますか」との質問には約45%が症状を訴えており、全児童の約1割にあたる60名が公害病の認定を受けています。

子どもも大人も、公害のただなかに
また、福小学校が独自に作成した同校の『公害白書』(’70年、同No.96、同上)によると、6年生の約20~30%に喉の痛み、頭痛、咳、痰の症状があり、教員のほぼ全員が、咳、鼻づまり、喉の痛みなどを訴えています。教員からは、窓を開けられないので冷房を設置してほしい、喉が痛く声が出にくいので学級児童数を30人以下に減らしてほしいといった要望が出ています。公害の真っ只中にある教育現場の実情を、ありありと伝える資料です。

☆資料館だより34号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

Filed under: もりもとまきのアーキビストの目,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 5:13 PM
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