自転車文化タウンづくりの会(事務局:あおぞら財団)が
『自転車まちづくり交流イベント2011「これからの自転車まちづくり」』
を開催しました。
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日 時:2011年1月23日(日) 13:30〜16:40
場 所:大阪府社会福祉会館503
参加者:63名
正直に白状すると、地味なイベントに人が集まるのかとちょっと心配していました。
そんな心配に反して、受付開始前から会場に参加される方が集まり、
逆に座席が足りるのかと心配になるほどの盛況となりました。
新聞に掲載された情報で参加された方もおられました。
【開会】
自転車文化タウンづくりの会 代表 新田保次先生(大阪大学大学院教授)の挨拶
2008年に発足した時の、自転車文化タウンづくりの会の3つの目標
・大阪市内に1万メートルの自転車道(とくに御堂筋の両側に自転車道を設置する)
・コミュニティ・サイクルを1万台
・1万人で御堂筋を走る
をあらためて発言されたことが印象的でした。
【第一部】
講演会「成功する自転車まちづくり〜自転車まちづくりの今・これから〜」
講師:古倉宗治先生 (株)住信基礎研究所研究理事、京都大学大学院客員教授
緻密な資料で解りやすく丁寧に、日本と世界の自転車政策の違いや今後のあるべき姿を
説明していただきました。
1時間という限られた時間で、こんなことも、あんなことも、もっともっと言うべきことはある、
と言われているような古倉先生のお気持ちが伝わる講演会でした。
あと1時間でも2時間でもお話をお聞かせいただきたいように感じます。
そういうわけにもいかないので、古倉先生の著書「成功する自転車まちづくり」を
読み返すこととしましょう。
【第二部】
まちなか自転車空間コンクール表彰式
第1回審査委員長:井上守氏(自転車文化タウンづくりの会幹事、井上守建築事務所代表)
コンクール主催の趣旨説明のあと、2010年受賞作品の紹介とその応募者への
表彰と作品へのコメントが井上氏から行われました。
会場の後方に受賞作品の写真が掲示されました。
以下は受賞作の一覧とコメントの一部です。
【受賞作品の詳しい内容はこちらでご覧ください】
受賞
駐輪部門
大賞「都市景観と共生する歩道上のまちかど駐輪場」
場所:京都市御池通・烏丸御池縲怏ヘ原町御池
応募者:竹本 暁代さん
コメント:街のデザインとしても優れている。
健闘賞「小さな駐輪場でのささやかな工夫」
場所:大阪市中央区内平野町2丁目」
応募者:石倉 喜代司さん
コメント:マンション内の小さな駐輪場であるが、優れた物である。
奨励賞「駐輪ラックを備えたお店は未来の形」
場所:セブンイレブン大阪鶴見3丁目店 大阪市鶴見区3丁目8竏窒P1
応募者:川内 義行さん
コメント:コンビニエンスに設置された駐輪場は皆無であり、よく見つけられました。
努力賞「大型オフィスビルの路地型駐輪スペース」
場所:大阪市北区中之島セントラルタワー
応募者:寺川 政司さん
コメント:道路から道路への路地空間におしゃれに作られた駐輪場。
走行空間部門
大賞 「大阪都心部自転車道の一つのプロトタイプ」
場所:大阪市新なにわ筋・大阪市立中央図書周辺
応募者:小山 勝己さん
コメント:独立した立派な自転車道。対面通行であることが残念ですが、
大阪市にはこれを上回るものができていません。
大賞 「「あたりまえ」の道路のあるこの奇跡」
場所:香里ヶ丘団地(大阪府枚方市香里ヶ丘) けやき通り
応募者:川内 義行さん
コメント:横断歩道の前にきっちりと自転車停止ラインが示された、
原点のような自転車レーン。
ココだけ大賞「善人なをもて往生を遂ぐ、いわんや銀輪人をや」
場所:東本願寺前自転車専用通行帯 京都市下京区烏丸通七条上ル西側
応募者:辻野 隆雄さん
コメント:よい自転車通行帯ですが、自転車走行ネットワークとしては距離が
短いのが残念です。
特別賞「大阪西淀川・大野川緑陰道」
場所: 誰もが認める西淀川のシンボル
応募者:森井 隆二さん
コメント:公園の中の完璧な自転車道。
特別賞「蛤御門の変な自転車レーン」
場所:京都御苑内・蛤御門縲恊エ和院御門の道
応募者:辻野 隆雄さん
コメント:京都御苑の中に自然にできた自転車道。俗に言うけもの道の自転車道版。
大賞受賞者からの次のようなコメントがありました。
駐輪部門大賞
竹本さんのコメント
「便利で止めやすくかつ、デザイン的にも美しい駐輪場。」
走行空間大賞
小山さんのコメント
「自転車専用レーンが当たり前になることを願っている。」
川内さん
「他にも同様のコンテストがあるが、このコンテストは利点をあげる明るいコンテスト
である。推薦者のコメントがちゃっんと表現されているところが良い。」
最後に審査委員長・井上さんからコンテストの今後について。
「今後このコンテストを継続して、自転車空間の良いところを見つけ、
自転車版ミシュラン・ガイドのようなものになってくれたらと思う。」
受賞者全員で記念撮影をしました。
審査委員長の井上さんの親しみやすい話術で、会場もフレンドリーな雰囲気となり、
楽しい表彰式となりました。
また、会場後ろに受賞作品を並べて、来場された方に見ていただきました。
【第三部】
パネルトーク
毎年、関西のグループで交流会を行っており、各グループから活動の報告がありました。
参加団体
NPO法人環境市民 自転車チームちゃり民
輪の国びわ湖推進協議会
ハンドサイクルの「ちゃりラボ」
堺 自転車のまちづくり・市民の会
LLP自転車ライフプロジェクト
自転車文化タウンづくりの会
左から井上審査委員長、古倉先生、司会の藤江氏
左からハンドサイクルの「ちゃりラボ」・尾形氏、輪の国びわ湖推進協議会・近藤氏、自転車チームちゃり民・辻野氏
左から自転車文化タウンづくりの会・長洲氏、LLP自転車ライフプロジェクト・藤本氏、堺自転車のまちづくり・市民の会・中尾氏
イベント参加者に記入いただいた「意見カード」を基に、古倉先生と各グループの代表による意見交換。
意見交換の内容は「行政の自転車政策」「企業の自転車利用の促進」「自転車レーン」「自転車の走行方法」
「海外のタンデム自転車事情」など多岐に渡りました。
問題意識をもつ人たちの共通の関心事につついて活発に意見が交換され、
すぐに結論がでる問題ではありませんが、様々な視点の発言は参考となりました。
特に、車道の左折レーンに於ける自転車の通行方法については、ホワイトボードを
使った討議に熱が入りました。
司会の藤江さんの指摘もありましたが、自転車文化タウンづくりの会・「寺子屋」でも
検討されている問題も多く、今後も「寺子屋」で継続して考え、なんらかの形にして
いかなければならない問題であると感じます。
充実した、イベントの閉会後、有志での懇談会が行われ、20名以上の参加者がありました。
自転車について語らいあったこの時間も、楽しく有意義な時間でした。
今回のイベントで自転車について意識を持ち、活動されておられる方々と接することができ、
自転車の権利をアピールする勇気を新にすることができました。
世間では自転車ブームとはいっても、まだまだ自転車に無理解な世の中で、
自転車についてこんなに熱く積極的かつ、
冷静・組織的に活動される方々はこれからの自転車環境の希望です。
明日から、クルマから嫌がらせの幅寄せをされても、クラクションを鳴らされても、
罵声を浴びても、自転車で車道を走る気力が沸いてきます。
来年の交流イベントは滋賀県で開催とのことです。今から楽しみにしています。
(文責:上西秀樹[自転車文化タウンづくりの会])