西淀川区内のすべての測定局で、初めてPM2.5が環境基準値以下に!
8月3日に第23回西淀川地区道路沿道環境に関する連絡会が行われました。
西淀川道路連絡会は、大阪・西淀川公害裁判の和解条項に基づいて設置されたものです。公害被害者が,道路環境対策について道路政策決定者に直接意見を述べることができるという意味で,道路公害訴訟に集団で取り組んだ原告団と弁護団が勝ち取った特別な機会です。この連絡会の議論に基づいて、西淀川内にはPM2.5の測定局が全国に先駆けて設置されたり、大型車を国道43号から阪神高速湾岸線に誘導する「環境ロードプライシング」などの施策が実施されています。(詳しくはこちら→西淀川道路環境対策連絡会/道路検討会)
今回は新型コロナ感染症の感染防止に配慮して、道路管理者側と原告団が別々の会場に集まって、オンラインでつないで開催しました。
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第23回西淀川地区道路沿道環境に関する連絡会
日 時:2020年8月3日(月) 午前10時~午前12時
場 所:グリーンルーム(あおぞらビル3F)
出席者:国土交通省近畿地方整備局、大阪国道事務所、阪神高速道路(株)、原告団、弁護団、あおぞら財団
参加者数:31人(国土交通省・阪神高速:13人、原告側・弁護団:18人)
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1.被害の訴え
最初に、西淀川区在住の公害患者の家族の山下晴美さんから、被害の訴えがありました。山下さんの配偶者の明さんは、大気汚染による公害病の認定患者です。明さんは建設現場で杭打ちを行う職人として働いていましたが、ぜんそくの発作に常に常に悩まされていました。ある大きな現場で大発作を起こし、心肺停止のまま救急車で病院に運ばれ、何とか一命を取り留めたという経験もあるそうです。子どもや孫、ひ孫のないために公害のない住みよい街にしてほしいという訴えを切々とされました。
2.意見交換
1)大気の改善について
2019年度のPM2.5濃度が初めて環境基準値以下になりました。今までの様々な施策が効果を発揮したからともいえますが、コロナ禍の影響も大きそうです。
原告側からは、コロナ禍の中、環境に配慮したグリーンリカバリー施策を検討、実施してほしいと要望しました。
2)環境ロードプライシングについて
2001年から実施している環境ロードプライシングは、国道43号や3号神戸線から5号湾岸線に大型車の転換を促すことによって、地域内の大型車交通量を減らし道路環境の改善を図る交通施策です。ですが、事業者への認知度がまだまだ足りていないことから、もっと実施効果を高めるために、広報を拡充していくことを確認しました。
3)自転車道整備について
コロナ禍の中、自転車の利用が高まっています。原告団からは歌島橋交差点も含めて、西淀川区内で自転車を安全に道路上で走行できるようにとの提案を行いました。
4)大気測定局のサインについて
道路管理者側から、大気常時観測局の説明看板の提案がありました。原告側からは、もう少しデザインを考えてほしいとの意見もありましたが、公害患者は高齢化に伴ってどんどん亡くなっており残された時間が少ないことから早く設置してほしいとの意見が出ました。
西淀川道路連絡会には、下部組織として実務者ワーキング会議が設置されています。この連絡会で話し合われたことも踏まえて、道路環境改善の具体化に向けて、さらなる検討を行っていく予定です。