あおぞら財団 財団ブログ
公害の歴史Q&A あおぞらイコバ
公害を伝えるための資料整理寄附募集
屋上広告募集
りべら広告募集
Don't go back to the 石炭

    キーワード検索

    アーカイブ

    カテゴリー

    最近の投稿

    最近のコメント

ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

7/19 みんなで公害を学びあおう 福島原発の被災者と西淀川大気汚染の被害者から

日時:2015年7月19日(日) 13:00-16:00

場所:あおぞらビル3階グリーンルーム
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1
JR御幣島駅11番出口すぐ
定員 40人 要申込(7/17まで)託児あり
https://aozora.or.jp/accesscontact
主催:あおぞら財団
協力:大阪市立大学除本理史ゼミ
地球環境基金助成事業

オプション:2015年7月19日(日) 16:00-17:00
西淀川フィールドワーク
解散場所 阪神なんば線出来島駅
みんなで公害を学びあおう チラシ_ページ_1
みんなで公害を学びあおう チラシ

大阪西淀川は、工場と自動車の排ガスによる大気汚染公害に悩まされた地域です。公害患者が裁判に立ちあがり、21年の長きにわたって国と企業と戦い、裁判に勝利しました。裁判の和解金は地域再生に活用され、まだ自動車による大気汚染の問題を残しつつも、患者・住民・行政・企業の協力した取り組みで街は改善され、子育て世代を中心に人口が増えています。
現在の大きな公害問題は、福島の原発問題です。福島の原発関係の訴訟は21にも上り、原告数は1万人を超えました。大阪にも福島原発の被害を逃れて避難してきた人たちが多く、その方々も裁判を提訴しています。
公害の問題はどこにあるのか、共通点があるのか。関西在住の福島の被災者と西淀川公害の裁判の原告のみなさんからお話を伺うことで、公害について考える時間を持ちたいと思います。

<オプション> 西淀川フィールドワーク
移動:徒歩 歩きやすい靴でご参加ください
あおぞら財団→大野川緑陰道路→関西スーパー→あおぞら苑→千北診療所→43号線→出来島小学校(大気汚染の測定所)→出来島駅

<連絡先>
公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団) 担当:林
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階
TEL06-6475-8885 FAX06-6478-5885
webmaster@aozora.or.jp

Filed under: イベント案内,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2015年6月23日7:39 PM

大阪大学未来共生博士課程フィールドワーク(5/29)

5月29日(金)に大阪大学未来共生博士課程の学生さんのフィールドワーク受け入れを行いました。
総勢15名の学生さんと加島駅前から、西淀川区内をバスで見て回りました。

竹島の工場地帯や佃の町の中をバスで見て回り、バスから窓を開けて車の排気ガスの臭いがするか確認している学生さんもいました。
また、バスの中では住宅外の中にある工場や、工場地帯を見て話し合う声がバスの中で聞こえました。

IMG_4856

 

国道43号線を淀川方面へと走ると、一度出来島小学校で下車をして道路対策についての説明を受けます。
実際に43号線沿いで話をするので、声を張り上げなければ聞こえません。
「どのような対策がとられたのか探してみてください。」と言われると何人かで集まって相談をしていましたが、なかなか難しかったようです。

IMG_4862 IMG_4869 IMG_4872

 

再びバスに乗ると、関西スーパーまで移動しました。
ここから大阪大学の学生さんは3人1組になり、西淀川の人にヒアリングをしました。
淀川通り沿いか、大野川緑陰道路を使ってあおぞら財団へ帰る途中で話を聞かせてもらうという形になります。

各班が全員あおぞら財団へと帰ってくると、聞いたお話と感想についての共有をしました。

IMG_4880

グループ1

・60~70代ぐらいの男性。
この方は「西淀川の好きなところはどこですか?」と聞くと、大野川緑陰道路や公園が好きだと話をしていました。また、阪神高速神戸線の高架下にある休憩できる場所を気に入っているそうです。大野川緑陰道路がまだ川だった頃はとても汚かったという話も聞かせてもらえました。

・60代ぐらいの女性。
この女性からは西淀川の気取らない、下町の雰囲気が好きだと話をしてくれたみたいです。マンションが増えつつある西淀川でも人づきあいが多いところも、西淀川の好きな場所としてあげてくれました。そして以前はどれぐらい空気が汚かったかと、昔の西淀川のことについても話を聞けました。

・感想
ちょうどヒアリングをした時間帯が午後3時ぐらいだったため、話を聞ける方が年配の方が多かったので若い方がどんな風に西淀川という地域を思っているのか気になりました。
ヒアリングをする時に「西淀川に住んでいて困ったところはありませんか?」と聞いたところ、「困ったことはないなぁ。」と返事がありました。それはまちづくりが西淀川で行われてきたためなのかと思いました。また、大気汚染公害があったけれど西淀川に住んでいるのも、まちづくりの成果なのかと思いました。

 

グループ2

・40代手前ぐらいの女性。
この女性は仕事の関係で西淀川へと引っ越してきた方でした。西淀川は以前よりも空気がきれいになり、トラックなどの大型車の交通量が減っていると話をしてくれました。交通の便が良い分、騒音に悩まされやすいけれど対策がきちんと取られているところを良い点にあげてもらえました。唯一早朝に走る貨物列車にだけ困っているそうです。
困っている点とは違うけれど、西淀川地域は地盤沈下の影響もあって海抜ゼロメートル地帯なので南海トラフ地震が起こるかもしれないと思うと怖いと言っていました。

・感想
西淀川という地域は大気汚染公害地域と知っていたけれど、想像をしていたよりもまちの人は優しく、空気もきれいでした。授業で西淀川へ来る前よりもイメージはとても良くなりました。町の中で将棋をしている人たちを見ていると、ほのぼのとした町だと思いました。
しかし、いまだに自動車から出る排気ガスの問題を抱えているのも、実際にまちの中を歩いて体感しました。また、関西スーパーを利用する外国人の多さを見ていると、外国人の人たちは地震や津波が起きた時の避難所などを知っているかどうか危機感を覚えました。彼らにもきちんと情報を伝えなければいけないと思います。

 

グループ3

・30代ぐらいの2人組。
この2人も西淀川へ引っ越してきたのだと話してくれました。西淀川に引っ越してくる前には周りの人に「西淀川は空気が悪いよ。」と聞かされていましたが、引っ越してきてみるといいまちだと思ったと話されました。
西淀川で困っているところには、敢えてあげるなら自転車のマナー違反をしている人が多いのが目立つと言っていました。

・感想
まちの中をバスで回っていると一戸建ての家が多く目立ち、キレイな家が多いなぁと思いました。悪いイメージが先だっていましたが、良い意味で西淀川は普通のまちだと思います。なのに、ヒアリングでもあったように他の地域では悪いイメージがどうしても抜けていないのはなぜなのか不思議に思いました。来てみると良いまちだと分かるので、悪いイメージが改善されていてもおかしくはないと思います。

 

グループ4

・関西スーパーの近くにあるガレージセールの店員。
この方は京都に住んでいて、週に1回西淀川にあるお店にまで仕事で来ているそうです。好きなところを聞いた時に、まず大野川緑陰道路をあげていました。他にも住んでいる人たちの人柄の良さや、人間関係の良さが西淀川の良さとしてあげられました。

・70~80代ぐらいの夫婦。
好きなところを聞くとご夫婦も大野川緑陰道路を最初にあげていました。緑がとてもキレイで四季を感じられるということが緑陰道路の良いところだそうです。そのためにはボランティアの人が定期的に掃除をしており、きちんと気を使っているのだなと話してくれました。ただ、もう少し緑陰道路にイスがあると便利だなぁとも言っていました。
困っている点としては、バスの便数が減らされて不便になったところと、バス停が汚いところをあげてくれました。

・感想
元気な人が多いまちだなと西淀川を見て回り思いました。緑陰道路が好きだと話してくれる区民の人を見ていると、風景を変えることによって住みやすいまちになったのかと思います。また、風景を変えるということでまちが作られてきたのだと歴史を感じられました。ですが、緑陰道路を見ていると人が歩く場所と自転車の走る場所が分かれていても、横断歩道などでぶつかりそうで心配でした。ご夫婦が言うとおり、緑陰道路にイスが少ないのも気にかかりました。

 

グループ5

・60~70代ぐらいの将棋をしていた男性。
この方に話を聞くと、大気汚染がひどかった当時に比べればマシだと言うお話をしてくれたそうです。

・将棋をしているのを見ていた男性。
昭和30年代に四国から引っ越してきた男性も、将棋をしていた男性と同じく空気が吸えるだけ今はいいという話をされたそうです。大阪に引っ越してきた当時は空気がひどく汚いことにとても驚いたそうです。また、今西淀川に住むことが出来るのが良いことだとも話してくれました。

・感想
今の西淀川はいろいろなことが起こり、それを解決してきた頑張りの蓄積なのだと思いました。しかし、地盤沈下やゼロメートル地帯の話を聞くと今後の震災対策を出来るだけ早くとる必要があると思いました。また、西淀川のように空気が段々とキレイになっていく地域もあれば、空気が悪く問題になっている所があるのが日本の現状なのだと思いました。

 

西淀川に来てもらい、話をしてみて良い印象を受けてもらえたのは本当に良かったと思います。
西淀川区以外に住んでいる人から、どのように見えるのか聞けたのは新鮮な機会でした。
次は大阪大学にて公害患者さんの話を直接聞くことになります。
また、西淀川の違う面を見てもらいたいと思います。

IMG_4887

(松ヶ平)

 

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2015年6月1日3:24 PM

JICA国別研修「中国大気汚染防止法」受け入れ(5/14)

5月13日(水)にあおぞら財団にて、JICA国別研修「中国大気汚染防止法」の受け入れを行いました。今回の受け入れでは、通訳の方2名を合わせ14名の方があおぞら財団へと来て下さいました。

まず西淀川の大気汚染がどのぐらい悪い状態だったのか、SCPブロックを使って体感をしてもらいました。3つの班に分かれ、ブロックを組み立てていきました。SCPブロックとは、時代の違う地図の上に、大気汚染物質(窒素酸化物)の排出量を積み上げていく体験型学習教材です。完成後、ブロックが工場や自動車からのNOxの排出量だったのだと解説を受け、違う班のブロックと見比べて驚いていました。西淀川の場合は、工場の排出から車への排出へと汚染が変化します。その様子を体感してもらいました。

P1100066

見比べながらブロックを積み上げていきます。

P1100084

協力してSCPブロックを完成させています。

ここの班はとても高くなりました。

ここの班はブロックがとても高くなりました。

このSCPブロックについてはあおぞら財団のホームページの「交通環境学習」で説明やSCPブロックが作られた経緯、SPCブロックについて詳しく書かれている冊子があります。こちらからお気軽にあおぞら財団の方へ連絡をしてください。

 

西淀川の大気汚染の状況や公害患者の病気の状態というのは、現在中国でも起こりつつあることでもあります。研修で来た方々は真剣な様子で説明に聞き入っていました。
西淀川公害裁判の説明に入ると、研修を受けている方から「日本には無過失責任が法律で認められているのに、なぜ裁判が起きているのか分からない。」と言った質問が出ました。そこから、研修を受けている方々の間で解釈をめぐって議論が始まってしまいました。JICA研修であるため、研修中に政府や地方自治体の視点からの日本の法制度や、公害に対する法律を聞いてきた人たちにとって、万能な法律の力で日本の環境は保たれていると聞いてきたのでしょう。しかし、実際には公害患者が運動を行い、裁判や訴訟を起こして法律の整備が追々にされてきました。社会の矛盾点などを知るために必要な研修だったのでしょう。

また、「公害健康被害補償法とは一体どういうものか?」という質問も訪問団の方から出されました。公害憲被害補償法は公害患者さんの救済のための法律であり、企業は汚染負荷量に対してお金を環境再生保全機構に支払います。それを患者への医療費などに使われています。この法律は、汚染物質を減らす役割を持っていましたが、企業にとっては汚染量を減らしたのは、汚染負荷量に対する支払いをしたくないためであり、反省をしていないのではないのか?といった感情が患者の中に募りました。そのために起こしたのが、西淀川公害裁判などの各地で起こされた公害裁判なのだと説明をしました。
次に訪問団からは「なぜ西淀川公害裁判は結果が出るまでに21年もかかったのか?」との質問が出ました。これには西淀川の大気汚染と、工場から排出される汚染物質の量や自動車の排気ガスとの因果関係を証明するのが難しいのだと説明をしていました。今回の研修で受け入れた訪問団の方々は、中国の全人代の方々でした。現在、大気汚染に中国は悩まされているため余計に日本の大気汚染裁判がどういうものであったかに関心があったようです。

 

公害患者の岡崎久女さんと西淀川公害患者と家族の会の上田敏幸さんから、お話をしていただきました。岡崎さんからはご自身や息子さんの病気の症状や、その中での子育てや生活の大変さを話していただきました。上田さんからは法律を作ることの大変さや、法律を作る中でどのように公害患者や患者会が関わってきたのかというお話をしていただいた上で、質問に答えていただきました。

自身の経験を語ってくれる岡崎さん。

自身の経験を語ってくれる岡崎さん。

Q:来月行われる、全国公害被害者総行動に岡崎さんや上田さんが参加する時の費用はどこが負担をするのですか?
A:参加するために使う交通費などは、みんなで費用を出し合って参加をします。西淀川の公害患者からは今年は13人が参加をします。昔は120人ぐらいの人が大阪から全国公害被害者総行動に参加をしていました。
Q:公害被害者総行動という運動は、患者会が患者たちを集めてアポイントメントを財界・被告企業・省庁と取り交渉をするのですか?
A:そうです。交渉をする時には大気汚染であれば、全国の大気汚染公害患者さんたちが集まります。そして省庁たちを相手に交渉するようになっています。
Q:公害被害者総行動は毎年行われているというお話でしたが、毎年いつ頃行われていますか?
A:毎年6月に行っています。6月は政府から環境月間に指定されているので、6月に行います。
Q:西淀川の公害裁判が21年間続いていましたが、岡崎さんはその間に企業から圧力をかけられることなどはありませんでしたか?
A:裁判を起こす上で科学的な汚染物質の数値や情報がなければ、裁判では闘えません。ですが、そういった情報が企業や国側から開示されない状態でした。そのような嫌がらせはありました。情報の公開と、それに市民がアクセスを出来るかどうかが大切ですが、大企業になると隠したがる会社は多くありました。ですが近年は大企業でも大分情報開示をするようになってきました。他にも、公害患者として裁判に立つことで離縁をされたり、子どもの結婚や進学に影響が出ると思い裁判に立たなかった人もいます。また、影響を出るのを恐れて認定を取り消して欲しいと申請した方もいました。ですが、何より一番圧力を感じたものは経団連が公害健康被害補償法などの公害の法律などを変えさせるために国へ圧力をかけていたのが、患者からすると一番の圧力でした。

当時の裁判の話や法律の話を上田さんはしてくださいました。

当時の裁判の話や法律の話を上田さんはしてくださいました。

 

また、今回の研修メンバーの中で、前回のJICA研修に参加した人が3人もおり、その時に高齢者と小さな子どもが並んで吸入器を使っている写真をあおぞら財団で見て衝撃を受け、中国に帰ってから全人代で説明したそうです。その際に作った法律が環境保護法ですが、そのことを書き記した本を今回の研修でご寄贈していただきました。本当にありがとうございます!

P1100138

最後に書籍をいただきました。

IMG_4831

こちらがいただいた書籍になります。

 

今回の研修で、中国での大気汚染も重要な課題であることが真剣な表情で聞き入っていた訪問団の方を見ていると分かりました。自分の国ではどうするべきなのかと悩んでいる姿が伺えました。
あおぞら財団の研修が、中国に帰った時に少しでも役に立ってもらえるといいなぁと思っています。

(松ヶ平)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2015年5月18日10:29 AM

大阪産業大学 西淀川大気汚染公害についての研修受け入れをしました!(5/14)

5月14日に大阪産業大学の3回生15名の研修受け入れをしました。

 

西淀川・公害と環境資料館の見学では、学生さんを2グループに分けて5階の資料館と6階の資料庫の見学を行いました。

6階の資料庫の中ではどのような資料を保存しているのか、どのぐらい前からの資料があるかなどの説明を行っていました。
本来はあおぞらビルの屋上から西淀川の地形や道路について説明をする予定でしたが、残念ながら雨ということで今回はなしということになりました。
5階の資料館では、資料館にかけられているパネルを利用して西淀川公害の概要について説明を行いました。

6階の資料庫で説明を受けています。

6階の資料庫で説明を受けています。

5階ではパネルで西淀川公害について説明を受けています。

5階ではパネルで西淀川公害について説明を受けています。

 

 

2グループが交代をして資料館と資料庫の説明を受けると、次は歌島橋交差点にて大気汚染対策などについての話をしました。
国土交通省が歌島橋交差点の対策として行った話にあたりを見渡し、確認をしながら聞き入っているようでした。

 

歌島橋交差点にて大気汚染対策などの解説を行っています。

歌島橋交差点にて大気汚染対策などの解説を行っています。

 

 

淀川通りを歩いて、エルモ西淀川へ公害患者さんのお話を聞きに行きました。
淀川通りを歩くことで西淀川に中小工場が多く、住工混在の状態であると実感してもらえたと思います。

エルモ西淀川では公害患者の永野千代子さんから、ご自身が体験をされた公害病での体験や公害反対運動の大変さ、裁判や運動でずっと闘ってきたお話などをしていただきました。

今回お話をしていただいた永野千代子さん(画像手前側の方です)

今回お話をしていただいた永野千代子さん(画像手前側の方です)

話を伺った上で3人1グループを組み、お互いに感想や質問を共有しました。

Q:人生の半分以上の時間を、国と闘っているのはすごいことだと思います。永野さんが西淀川に引っ越してきた当時、西淀川の大気の環境が悪いことは知っていましたか?

A:国と長い時間闘ってきたのは、仲間がいたから出来たことだと思います。
もしも一人だった場合は闘えなかったと思います。
西淀川に引っ越してきた当時は空気が悪いことは知りませんでした。
此花区に引っ越す前に住んでいましたが、その時は家の裏に工場がありました。
ですから、空気が汚れているのも家の裏にある工場のせいだと思っていました。
ですが、実家の鹿児島に帰省する時に飛行機に乗ったら大阪の空気の汚さに気付き、大変驚きました。
けれど実際に住んでいる人は空気の汚さには気付かないのだと思います。

Q:汚かった西淀川の空気が「きれいになったな」と思ったことはありますか?

A:その引っ越してきたばかりの当時を思うと、今は空も見えるからきれいになったなと思います。
PM2.5は中国のせいだと言われていますが、実際には日本の排出量は昔と比べても減っていません。
また、二酸化炭素は減ってきてはいますが、未だに環境基準値はクリアしていません。
まだまだ空気をきれいにしてもらわなければならないと思っています。

Q:43号線にはいろいろな対策がされていますが、実際に変化を感じますか?また、43号線の車は減ったと思いますか?

A:43号線には光触媒ハンノウコートやピュア・プランターなどいろいろな対策が43号線では取られています。
国土交通省の方では効果があると言っていますが、実際に効果が本当に出ているかどうかはあまり分かりません。
ですが、交通量に関しては湾岸線が出来ました。
湾岸線はETCを付けることで利用している大型車が目立ち、車の量は減ったのではないかと思っています。

永野さんのお話を聞き入っている学生さんたち。

永野さんのお話を聞き入っている学生さんたち。

最後に学生さんから「最近は問題が起こると苦情を言うことはありますが、実際に行動を起こすことはしていません。公害病で苦しい生活の中で問題を解決するために自分たちで行動を起こしてきたという話を聞き、若い人たちは永野さんや公害患者さん達を見習う必要があるなと思いました。」と感想をいただきました。

永野さんは「今回は反対運動や裁判の話が中心となってしまい、公害患者さんの症状や苦しみの話を出来なかったので理解してもらえているのかがとても不安を感じています。ですが若い人たちが公害に関心をもってもらい、ありがたいと思っています。」とお言葉をいただきました。

 

公害や公害資料館について学んでくれる若い人たちがいることは、次世代にも残していくためにはとても大切なことだと私も思います。
あおぞら財団も関心を持つキッカケの一つになれたらいいなぁと思います。
 

(松ヶ平)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2015年5月15日4:42 PM

どう教えてる?「西淀川公害」授業実践報告会(05/10)

5月10日(日)にあおぞらビル3階にて、「西淀川区の公害」の授業を実践した、永井健太さんをお招きして報告会を開催しました。
今までの学校で行われていた公害授業とは違う、新しい視点からどういう公害の授業が出来るかを永井さんのお話から聞くことが出来ました。

IMG_4779

永井健太さんによる報告です。

永井さんは大阪市立磯路小学校に勤務されており、平成26年度社会科の授業で全5時間かけて西淀川の公害の授業を行ってくれました。
きっかけは5年生の社会科「国土と環境を守る」の授業で、琵琶湖の水質汚染より子どもたちにもっと身近なものを取り上げようと思い、西淀川公害を授業の中に取り込んでくれたそうです。
西淀川公害について調べる中で、あおぞら財団のHPにたどりつき、授業でもあおぞら財団にある資料を使っていただけました。

IMG_4782

授業の板書と共に説明をしてくれました。

IMG_4785

永井さんの説明に真剣に聞き入る参加者の方々。

永井さんは子どもたちに自分たちで調べ、自分たちで考える、学ぶ意欲を引き出す授業を目指しているそうです。
子どもたち自身が関心を持つ事がとても大切だと何度も言われました。
実際の授業でも、写真を最初に見せることで子どもたちの関心が向くとのことです。
写真を元に、感想や調べたことをノートに書いていくという手法で行われていました。
授業中に自分で調べるという時間があることで、家に帰ってからインターネットで西淀川公害について調べて、授業で使う資料として持ってきている子もいたそうです。
細かな工夫で授業中の子どもたちの様子が変わってくるというのは驚きでした

参加者からは「西淀川公害について”なぜ?””どうして?”と先生ご自身が思われ、調べていって授業を組み立てたことが良かったのだと思う」と言った感想や、「小学生から答えられない質問はあったのか?」と多くの意見や質問、感想が出てきました。
実際に教育現場にいる参加者からもたくさんの意見が出され、盛り上がった報告会となりました。

また、西淀川区内の姫里小学校などで長年教鞭を取られ、現在も西淀川区内の小学校で公害の授業を行っている天野憲一郎さんからもお話を聞くことが出来ました。
あおぞら財団が作成したパネルや視聴覚教材を利用して西淀川公害についての授業を行っています。
(教材についてはコチラをご覧ください。)
小学校5年生の社会科の授業の一環として行われており、その時の様子の話もしていただけました。

IMG_4803

天野さんによる公害授業の説明の様子。

IMG_4777

質疑応答や意見の共有もしました。

現在は小学校の授業で公害が取り上げられることが減り、四大公害の名前だけを覚えるような教育となりつつあります。
その中で永井先生や天野先生のように、公害の授業が行われていることはとても大事なことだと思います。
また、その中で子どもたちが自分から興味を持って調べるということが自然と出来るようになるのは、なかなか簡単なことではありません。
あおぞら財団(西淀川・公害と環境資料館)の資料が調べ学習のお役にたてたことがとてもうれしかったです。

市民活動団体への助成環境_バナー(150px-60px)

(松ヶ平)

« 次のページ前のページ »