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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

第54回 IATSSフォーラム研修 3日目(10/21)

3日目はあおぞら財団でグループワークを行いました。

まず、3グループに分かれると、「経済活動と環境保全を両立させた持続可能な地域づくりはどのような取り組みを行うべきか」と言う質問に対して、意見交換や提案作りを行います。

参加者の皆さんは思う事も多かったようでどこの班も、盛んに意見交換が行われていました。A4用紙やポストイットに色々なことを書きこんでいる姿がうかがえました。班内での発表の時間になると班の中で質疑応答があったりと、どの班も熱心に話し合いをしていました。

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ペンの音だけしか聞こえません。

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A4用紙も次々と文字で埋まっていきます。

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いろいろ感じたり考えたことがたくさんあったんだと思います。

一度昼食を挟むと、次は班ごとで午後に行う発表会についての準備が行われます。

発表は
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策をおこなうべきか。
②西淀川で学んだこと。
この2点についておこなうため、それを想定した話し合いが行われました。

IATSSフォーラムではカンボジア・インドネシア・ラオス・マレーシア・ミャンマー・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナムの9カ国から、各国2名ずつが参加しています。
国の情勢や体制から全く異なる国々の方が参加をしているため、各班いろいろな意見の出し合いでした。ですが、どの班からも自分の国や今回西淀川で思ったことを踏まえた上で、話し合いをしているのがとても感じられました。

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発表の準備に取りかかりだします。

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文字に起こす人、話し合いを進める人、意見を出す人と役割が分担されています。

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最後の発表の準備が行われています。張る所がなくてガラスにも。

発表の時には、西淀川公害患者会の会長森脇君雄さんやあおぞら財団の職員がいる中でおこなわれました。

1班目
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策を行うべきか。
国名『エバーグリーン』
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持続可能なコミュニティ作りとして、環境・社会・経済の主な政策をあげた。
環境政策の主としたものでは都市計画がある。住宅と産業地域を分けておくことや、公園の配置について。また交通管理、公害を防ぐ対策も出てきた。
社会政策の中心としては健康保険の促進や社会保障の提供。参加者の国ではまだまだ健康保険などが進んでいない部分があるのが理由だと思われる。
経済政策には企業に対しての社会的責任、また免税だけではなく、どのような生き方や生活の仕方をしていくかと言っていた。
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②西淀川から学んだこと。
西淀川の住工混在地域を見た上で都市計画の必要性と、また過去に起こったことをきちんと伝えていく必要性がある。また、過去の経験を伝えて予防的な措置を取る必要が一番大切ではないか。事前の予防が一番大切だ。

2班目
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策をおこなうべきか。
国名『Green Empire』
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大気汚染対策をするにあたっての政策について発表が行われた。大気汚染政策を行うに当たって政府・NPO・NGO・市民・企業の立場の協力が必要になる。また、ステークホルダーの存在と協力が必要となってくる。
政府としては政策と規制を行い、法律のモニタリングなどを行い、インフラの整備などに資金を出すなどがある。NGOは政府の行うことを国民に知らせ、NPOが利害関係者をつないで協力させることが出来る。民間企業では情報の開示を行いながら、対話をして協力をしていく必要がある。市民は地域の支援を行い、環境に優しくする気持ちを家庭内から持つ。また情報や経験などをフィードバックするなどがある。
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②西淀川で学んだこと。
コミュニティや企業との関係を築いていく大切さ。また裁判で証拠をどのようにして証明するかがとても難しいことが分かった。また公害患者さんが多くのものを失ってきた事を知った。

3班目
①班を一つの国と想定した上で、その国でどのような政策をおこなうべきか。
国名『VERDE』
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この班は「②西淀川で学んだこと。」を学んだ上で、政策の発表をしてくれた。
②西淀川で学んだこととしては、地域と政府をつなげ、意識を高めていく心が必要。また公害裁判の時のように負けない心を持ち続けることが大切である。それは教育の場でも必要となってくる。
政策には各自が見なければいけないような状態ではなく、みんなが見れるように大気汚染の情報を報告する。また、何時悪いのかが分かった時には、フィードバックフォームを作成し、そこに記入してもらうようにする。またイベントごとにみんなで何かおこなって団結をするようにカレンダーを作成する。年配の方とコミュニケーションをとる日を作成し、その年配の方々と昔について考える日をつくる。これらのことをすることによって、意識は上がり、皆で協力するようになると思う。また一つ一つの事柄の必要性を考えることで深い考え方が出来る。

最後に「何故教育に関心を持ったのか」と聞いている人から質問が出ました。その問いに対し、
「若い世代が環境に対してどう思っているのか知りたかった部分があるし、興味を持っていた。私たちの国々の場合は環境に対する意識が低い。それをあげるには教育が必要だと思う。」と答えていました。

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一緒に発表を聞いていた森脇さんからは質問がありました。

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最後に参加者の方から感謝の言葉を頂きました!

最後には森脇さんを中心にみんなで記念撮影を行いました。

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みんなで記念撮影。とても勉強になった3日間でした。

とてもハードなスケジュールとなった3日間ですが、みなさんはとても真剣な様子で、またたくさんの質疑応答がありました。この3日間で考えたこと、見たことが少しでも心に残ってくれたら嬉しいなと思いました。また、こうした海外からの研修の方を受け入れる度にアジアの国の現状や、いろんな文化を持つ人と交流が出来、とても充実した3日間となりました。国外の問題にも目を向ける大切さを再確認しました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。
(松ヶ平)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2016年3月29日5:52 PM

第54回 IATSSフォーラム研修 2日目(10/20)

IATSSフォーラム2日目は朝からフィールドワークを中心に行いました。

43号線から尼崎の方へ抜け、尼崎の工場地帯や湾岸線を見てもらいました。また、中島や西淀川にある、尼崎とは少し違う工場も見て回りました。この日も43号線は混雑しており、大気汚染の原因にもなるとあおぞら財団の林さんから説明がありました。参加者の方々は食い入るように外を眺め、他の参加者と話し合う姿も見られます。

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出来島小学校前で説明を聞いてる参加者の皆さん。

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真剣な様子で記録を取っている姿がうかがえます。

43号線の出来島小学校の近くへおろしてもらうと、国土交通省地方整備局大阪国道事務所の方から、国の行った対策について説明が行われました。参加者の皆さんは必死にメモを取って、質問をしている姿が目立ちました。また、43号線で行われている対策を説明されると写真に収めている人が多かったようです。

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大阪国道事務所の方から説明を受けています。

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質疑応答にも多くの質問が出ていました。

お昼には大和田にあるハラールレストランで昼食でした。ムスリムの方もいたので、とても喜んでいました。

午後からはあおぞら苑の見学を行いました。
あおぞら苑で説明を受けていると、利用者の方から「他の国では介護はどういう状態なのか教えて欲しい!知りたい!」と質問が出ました。参加者のみなさんも積極的な様子に驚きが隠せていませんでした。

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あおぞら苑の方はみなさんに興味津津でした!

バスの中ではあおぞら苑の辰巳致さんと質疑応答の時間をとりました。

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あおぞら苑の辰巳致さん。

Q:何故、あおぞら苑を作ったのか。
A:月に3回、公害患者さんが看取られずに亡くなっていたことがきっかけ。現在は、利用者が全員で100名おり、公害患者は5%ぐらい。また公害患者さんは若い人が多いから少ないが、これから増えるだろうと思う。

Q:辰巳さんは西淀川生まれか。
A:西淀川生まれ。住めば都だと思っているし、西淀川のことが大好き。お金のある人は空気が悪い時に引っ越している。

Q:あおぞら苑を今後、どのような方向へと持っていきたいのか。
A:新しい施設を作りたいと思っている。保育所をやっている所と連携をし、子どもとお年寄りが一緒に過ごせるような施設を作りたい。

介護についてはまだまだ政策が整っていないからこそ、参加者の皆さんは真剣な表情で質問をしていました。

2日目の最後は、大阪ガスのHU+Gミュージアムの見学と説明を行われました。
大阪ガスは西淀川公害裁判の時の被告企業の一つでもあり、大阪ガスが現在どのような対策を行っているかといった説明を受けました。

まずは、HU+Gミュージアムの中を案内してもらいました。キッチンやリビングなど体験コーナーが多く、皆さん楽しそうに実際に体験を行っていました。特に、今までのリビングと、大阪ガスのリフォームしたリビングではどう体感温度が違うか実体験できるコーナーはとても人気がありました。

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大阪ガスのガスミュージアムの展示を見学中。

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説明に対し、みなさんすごく関心があるようです。

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展示の一部にあるこたつに大喜びでピースしてくれました。

案内が終わると、大阪ガスのCSR・環境部の宮里潤さんから説明が行われました。大阪ガスのガス事業の開始から近年の都市ガスにいたるまでの歴史や、現在大阪で行われているESDやCSRについて話してもらいました。また、バイオガスや風力発電といった取り組みも行っており、みなさんからは多くの質問が出て、とても盛り上がった時間となりました。

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大阪ガスにて説明をしてくださった宮里潤さん。

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大阪ガスミュージアムの一室にて説明を受ける参加者の皆さん。

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最後にみんなで記念撮影をしました。

朝の早い時間帯からフィールドワークでしたが、皆さん最後まですごく真剣な様子でメモを取ったり、写真を撮ったりしていました。疲れたかな、と思いきや、また夜に大阪城を見に行きたいと言っている姿を見て、本当にすごく元気でとても驚きました。

いろいろ思ったり感じたことを、最終日である21日に聞けたらなと思いました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。

(松ヶ平)

第54回 IATSSフォーラム研修 1日目(10/19)

IATSSフォーラムの研修で、ASEAN9ヶ国から18名の研修生を受け入れました。

1日目のプログラムの最初は「西淀川公害・地域再生の概要」であおぞら財団の林さんが講義を担当しました。
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あおぞら財団が設立された経過の紹介と現在取り組んでいる活動が報告されました。
住民と行政との関係性を大切にしながら、
1.環境の観点から自転車に着目した街づくりを推進しタンデム自転車の活動推進の事業
2.大気汚染公害の事実を伝える資料館の事業
3.学校教育との連携の事業
4.フィールドワークの積極的な推進で韓国や中国のNPOとの協力関係の紹介
5.患者さんの呼吸リハビリ促進の事業などに力を注いでいることが話されました。

次の講義は村松昭夫弁護士(あおぞら財団理事長)による「日本の公害訴訟―大気汚染公害訴訟を中心に」の講義で、
1.日本の公害・環境破壊の発生とその歴史
2.公害被害者が裁判を起こした理由
3.公害環境訴訟と賠償理論の前進
4.21世紀に向けた解決すべき公害・環境の課題等が話されました。

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講義の冒頭で、直近のNHKが放送したアンコールワットとミャンマーのバカン地域の発掘の活動を通じ、多様な文化や宗教の違いを乗り越えて発展させた東南アジアの歴史的な偉業は現代のEUの活動に匹敵する大きな活動であるとの感想が印象的でした。
今日の研修生の母国である方もいる放送の話だからです。

講義のあと「訴訟の最中に身の危険はありませんでしたか」や「裁判の後、大阪の経済はどのような変化がありましたか」などの質問がありましたが、「日本の法律と環境の中では身の危険はありません」「投資が他の地域に流れるようなことはありませんでした。むしろ、きちんと公害対策を行い、新しい技術を開発したところは日本の自動車産業が示しているように世界でも抜きん出た企業として発展しています」との回答がありました。

公害患者からのお話では、西淀川公害患者会の永野千代子さんから、
ご自身のお子さんが重度の喘息を発症し、西淀川公害裁判の一次原告となったことや、交通事故で死亡してしまったこと。永野さん自信も公害患者と認定され、原告を引き継いで闘いを続けた報告がされました。現在も週に5日も病院通いが欠かせない話もありました。
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昼食をはさんで、緑陰道路の観察歩行とタンデム自転車の緑道走行とがありました。
観察歩行では、「緑陰道路サロン」の天野さんから
1.緑陰道路がどのように活用されているか
2.四百年以上前、農民が自分達で資金と労働を提供して開削した歴史が紹介され
3.公害の酷い時代に空港までの高速道路の計画を住民が立ち上がって変更させ緑道にしていった経過や
4.緑道の下には大放水路が完成し集中豪雨にも対応できる現状が紹介されました。
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タンデム自転車は、あおぞら財団の鎗山さんが先導し福漁港の近くまで走行を経験しました。

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参加者は晴天の下で自転車を大いに楽しみ、公害発生源の合同製鉄所の話や、淀川の水面よりかなり下になっている住宅を見ることができ、防災の重要さの説明を受けました。

財団へ帰ってから三つのグループに別れ、今日のまとめを行いました。今日の経験を踏まえ、参加者の各国での公害や環境問題の現状と市民の関わり方が発表されました。
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Aグループ
・環境の問題はきちんとしたプランと市民との合意が重要
・人々の意識を高めることが大切で、署名運動などは大切であり、市民が自ら立ち上がっての裁判は重要
・予算も支援も大切である
自国の問題として
・廃棄物の処理や天然資源の減少に直面している
・シンガポールではマレーシアなど外国からの大気汚染がある
・環境に対する法律や基準が必要である
・ベトナムでは「環境警察」のシステムがある
・教育カリキュラムが重要、職場でも環境問題の共有を図っていきたい

Bグループ
・環境とコミュニティと社会のバランスが大切
・子ども達の将来を考えるとき環境問題はとても重要
・市民は政府の対策を待つのではなく、時には自ら立ち上がることも重要だ
自国の問題として
・自国には土壌汚染としてカドミウムの汚染問題がある
・ミャンマーやタイでは騒音の公害がある
・不法な森林伐採がある
・モリタリング評価を第三者機関でやりたい

Cグループ
・今日は協力、弾力性、都市の開発と青空、環境の活動とESDの大切さを学んだ
自国の問題として
・騒音、廃棄物の汚染、紫外線の照射、大気の汚染などがある
・人間の健康だけでなく、農産物に関しても影響が出ている
・人々の意識を変え、規則を作る
・自然災害に対する対策が急がれる

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最後にあおぞら財団の藤江事務局長は「今日参加の皆さんが、各国の大統領になれば公害は無くなると思う。西淀川はいろんな人々との共同に苦労しました。この地域は公害のデパートだったが、被害者の声を大切にして困難と向き合い、これが財団の活動の原点だった。この3日間の経験で深めてください。」とまとめられました。

3日間の予定です。そこからリンクで他の日も見に行けますので、ぜひ見てみてくださいね。
・1日目 裁判のお話や患者さんのお話を聞き、タンデム自転車で散策。
・2日目 43号線で説明を受け、あおぞら苑や大阪ガスへ。
・3日目 グループワークを行い、意見交換や提案作りをした上で発表へ。

(天野)

公害資料館ネットワークの協働ビジョンを公開しました

2013年に結成して、毎年公害資料館連携フォーラムを開催してきましたが、ようやく公害資料館ネットワークのホームページを開設して、協働ビジョンを公開することとなりました。
http://kougai.info/

公害資料館ネットワークの協働ビジョンは下記になります。

各地で実践されてきた「公害を伝える」取り組みを公害資料館ネットワーク内で共有して、多様な主体と連携・協働しながら、ともに二度と公害を起こさない未来を築く知恵を全国、そして世界に発信する。

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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2016年3月14日6:54 PM

資料館だより55号(2016年2月号)を発行しました。

資料館だより55号を発行しました。

エコミューズやあおぞら財団に配架しています。

資料館だよりNo.55(2016年2月号)

No.55omoteNo.55ura

PDF版はこちらからどうぞ

資料館だより55号表

資料館だより55号裏

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2016年3月1日11:53 AM
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