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12/21 中国環境NGO研修受入 2日目

12月21日(研修2日目)の午前中は、大阪市環境局(ATC)の「環境情報システム」を見学しました。

2016年冬に入ると、中国の数多くの地域では大気汚染がひどく、PM2.5値が1000以上も超えている地域もありました。

見学中、大阪市においては、PM2.5の数値を監視して以来、最も高いのは80くらいだったことを知り、中国訪問団の皆さん感嘆しながら、「ここ何日か、日本に来て肺を洗っているようだ」と冗談を言いました。

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写真:近日の大阪市におけるPM2.5の数値を見ている様子

 

 

「日本では、現在、学校が休校になるほどの大気汚染はありますか?」について環境局のスタッフに中国訪問団の1人が質問しました。
「現状では、それは考えにくい」というスタッフからの答えに対して、最初に不思議だと思う方もいましたが、「大気汚染の監視を続ける中で、少しずつ大気状況はよくなっている。もちろん、将来に、もし大気状況が再び悪化にすれば、対策も変わってくるでしょうが、悪化にならないように皆なで頑張っています」と言うふうに説明すると、納得しました。

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写真:見学後の記念写真

 

 

 

午後は、サイクリングで西淀川地域のフィールドワークに出かけました。

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写真:サイクルリングでフィールドワーク出発!

 

 

 

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写真:淀川堤防上で説明を受ける参加者

 

 

 

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写真:国道43号の説明中

 

 

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写真:大野せせらぎの里で鯉にエサをあげる (地元の方に分けていただきました)

 

 

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写真:最後に研修の振り返りをしました。

 
記・張茜樺(大阪大学 国際公共政策研究 M1・未来共生イノベーター博士課程プログラム4期生)

本事業は平成28年度大気汚染経験等情報発信事業の一環です。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2017年1月25日8:25 PM

12/20 中国環境NGO研修受入 1日目

あおぞら財団では、中国の環境NGOメンバーを日本に招き、研修プログラムを実施しています。
今年度は12月20日(火)~21日(水)の2日間に、中国から5人が西淀川区をおとずれました。
今回の「日中公害・環境問題に関する研修プログラム」では、西淀川地域をフィールドとして、日本での大気汚染公害の経験を中国の環境NGOメンバーに知ってもらい、環境問題の解決に役立ててもらうことを目的としています。

 

訪問メンバー:

1.李 力(Li Li)氏(北京市朝阳区環友科学技術研究センター・主任)
2.趙亮 Zhao Liang氏(好空気保衛侠)
3.徐華 Xu Hua氏(昆山市鹿城環保ボランティアサービス社・事務所長)
4.宋克明 Song Keming氏(長垣県緑色未来環境保護協会・会長)
5.楊暁玲 Yang Xiaoling氏(楚源高新科技集団株式公司・法務部弁護士)

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プログラムの様子:

20日の午前は、あおぞら財団の林が「西淀川公害の概要について」をテーマに、中国訪問団の皆さんに西淀川公害の歴史などについて講義を行いました。

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続いて、患者会の池永さんから昔の西淀川と公害の様子、病気の苦しみ、公害反対運動及び今の健康状態や暮らしなどをお聞きしました。

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「西淀川公害患者と家族の会」会長である森脇さんからの公害訴訟に関する話に、訪問団の皆さんが熱心に耳を傾けていました。

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午後には、各分野の学者や専門家の協力についてたくさん質問が出て、深い交流を行いました。

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患者会の上田事務局長からは、日本の医師の取り組みについてもお話しいただきました。

やはり中国においては、医療システムが異なるところもあるし、ある意味で今までと比べ、良くなっていることもありますが、難航している面もあります。

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村松理事長が「大気汚染公害訴訟が環境政策に果たした役割」について講義後、撮った記念写真です。

村松理事長が持っているピンクの物は中国訪問団からいただいた廃油で作った石鹸です。

 

記・張茜樺(大阪大学 国際公共政策研究 M1・未来共生イノベーター博士課程プログラム4期生)

本事業は平成28年度大気汚染経験等情報発信事業の一環です。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入 — aozorafoundation 公開日 7:58 PM

実践から学ぶコミュニティ・オーガナイジング!2月11日(土)12日(日)

実践から学ぶコミュニティ・オーガナイジング!
〜西淀川の人々は、どのように公害問題を解決したか?〜

2017年2月11日(土)12日(日)開催します
ちらし

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NPOや地域団体で活動していて
「もっと地域全体を巻き込むにはどうしたらいいんだろう?」と
感じられている方にオススメ!
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コミュニティオーガナイジング講座_ページ_1

コミュニティオーガナイジング講座_ページ_2

「西淀川の空はなぜ青いのか?」と聞かれると、
「えっ?どういうこと??」と思われるかもしれません。

日本が「公害列島」と言われた頃、阪神地域でも大気汚染公害が発生し、
「手を渡したいのは青い空」といった言葉が出されるほどに、空は汚れていたのです。
この公害の中で公害患者の人々は専門家と連携し、様々なアプローチをとりながら、
原因企業や地域の人々との対話をすすめて、問題解決へと進んでいきました。

現在の同地域のまちづくりにもつながっている、
この地域を大きく動かしたムーブメントは、
力をもったエキスパートではなく、
「普通の市民」によって起こされたものでした。

本講座では、地域の問題解決に向けて人々を組織化していく「コミュニティオーガナイジング」の
実践的なポイントを、西淀川の事例に関わった人々の語りを直接聞きながら学びます。

日 時:2017年2月11日(土)10:30〜18:30 懇親会19:00〜21:00
2017年2月12日(日)9:30〜17:30
場 所:あおぞら財団 〒555−0013 大阪市西淀川区千舟1−1−1あおぞらビル
JR東西線「御幣島」駅 11番出口すぐ
参加費:15,000円(学生8,000円) 2日間の弁当、1日目の懇親会費込み
定 員:15人(先着順)
コーディネーター 川中大輔氏(シチズンシップ共育企画代表)
・宿泊はあおぞら財団の経営するゲストハウス(2017年4月オープン予定 3,000円)の紹介が可能です
・フィールドワークに自転車を使います。苦手な方はタンデム自転車で対応します。

<スケジュール>
2月11日(土)
10:30−12:30 アイスブレーク
12:30−13:30 昼食休憩
13:30−16:00 フィールドワーク
(国道43号、千北診療所、あおぞら苑、公害医療センター、大野川緑陰道路など)
16:00−16:30 休憩
16:30−18:30 ヒアリング(予定:患者会リーダー、企業担当者)
19:00−21:00 交流会

2月12日(日)
9:30−12:30 ヒアリング3名 (予定:弁護士、公害患者、地域の方)
12:30−13:30 昼食休憩
13:30−15:30 整理
15:30−15:45 休憩
15:45−16:45 アクションプランづくり
16:45−17:30 分かち合い、クロージング

2016年度地球環境基金助成事業

<申し込み> webmaster@aozora.or.jp
名前・所属・住所・電話番号・FAX・メールアドレスをお知らせください。

<事務局>
公益財団公害地域公害地域再生センター(あおぞら財団)
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階
TEL:06-6475-8885 FAX:06-6478-5885
URL https://aozora.or.jp/

Filed under: イベント案内,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2017年1月17日6:53 PM

環境省職員 現地研修受入 2日目(10/7)

2016年度の環境省職員現地研修二日目は、朝から西淀川のフィールドワークを中心に行いました。
(一日目のブログはコチラから見れます)

2日目の研修は、バスで西淀川の工業地帯の見学から始まりました。

国道43号につくと、国土交通省近畿地方整備局大阪国道事務所の方から大気汚染対策について説明を受けました。
国道43号には遮音壁やガードレール等に光触媒を塗布しています。この光触媒に触れた窒素酸化物(NOx)は酸素と反応して硝酸イオンなどに分解され、雨によって洗い流されます。また、高活性炭素繊維(ACF)による大気浄化についても説明を受けました。ACFは空気中の窒素酸化物を酸化し、硝酸として繊維内部に吸着させ蓄積します。

参加者からは「これらの技術の費用対効果は?」という質問が出ました。大阪国道事務所の方は少し困った顔をされて「いずれも新技術の活用ということで社会実験として国道43号に整備されています。費用対効果はあまりよくなく、光触媒は15000平方メートル塗って1日当たり60台分の大型車の排気ガス分の効果しかありません。もっと広く活用されるようになれば値段も安くなるが、今はまだまだ高い」と回答されていました。

国交省から説明

国道43号で国交省の職員から説明を受けました

 

光触媒の塗布

国道43号の遮音壁には大気汚染対策として光触媒が塗られています

 

再度バスに乗りこみ、尼崎や西淀川中島の工業地帯を見学しました。
尼崎は西淀川に比べて大規模な工場が多く、むき出しの配管や水蒸気など工場が稼働している様子がバスの中からもうかがえます。
中島は、住宅地内にあった騒音が大きい工場が移転して形成された工業団地で、その形成過程を林さんから説明がありました。
外島や外島保養院跡の碑、淀川堤防などの見学を行いました。

昼食は大阪ハラールレストランで食べました。ハラールとははイスラム法上で食べることが許されている食材のことです。ビリヤニやカレーなど本格的なパキスタン料理に舌鼓を打ったあと、レストランの向かいにある大阪マスジドの1Fにあるハラールショップに行きました。マスジドとはイスラム教徒の礼拝所のことで、この大阪マスジドは国内最大級のマスジドで、多くのイスラム教徒の方々が集う場所になっています。

ハラールレストラン

本格的なハラール料理を食べました

 

昼食後にはあおぞら苑の見学を行いました。代表の辰巳到さんから、あおぞら苑の設立理由や特色について語っていただきました。辰巳さんは、公害患者さんをはじめ西淀川区の人たちが地域で住み続けるサポートをしていきたいとの思いからあおぞら苑を運営されています。あおぞら苑では他の介護事業所では受け入れられないような介護度の重い方も受け入れており、あおぞら苑でしかできない介護を目指しているとのことでした。

あおぞら苑の見学

辰巳さんからあおぞら苑の運営に対する熱い思いをお聞きしました

 

次に、あおぞら苑とあおぞら苑Ⅱに分かれて、昔と今の西淀川についてあおぞら苑の利用者の方々にヒアリングしてもらいました。参加者はヒアリングに戸惑っていましたが、徐々に利用者さんたちと打ち解け、話が盛り上がり楽しそうでした。

あおぞら苑インタビュー

あおぞら苑でのインタビュー調査。お話が盛り上がって楽しそうでした

あおぞら苑まではバスで移動していましたが、この後は徒歩であおぞら財団まで移動しました。この移動はただの移動ではなく、途中で西淀川区民にヒアリング調査を行うという課題が課されました。参加者のみなさんは、ショッピングセンターのメラードや大野川緑陰道路で、話しかけやすい人を探してお話を伺っていました。西淀川区は気さく方が多く、ほとんどの人が快くお話を聞かせてくださったようです。

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区民のみなさんは快く調査に答えてくれました

 

あおぞら財団に戻ると、西淀川区副区長の橋本広志さんから西淀川区の取り組みについてお話を聞きました。お話のあと、交通やコミュニティに対する取り組み、隣接する他都市との違いについて質問が出ました。

副区長からのお話

西淀川区副区長から西淀川区の取組について聞きました。

 

最後は、5班に分かれてワークショップを行いました。

ワークショップでは、1日目に各班で決めたテーマに基づいて提案を行うことを目標としています。まず、2日間の研修の中で把握した情報や患者さんや区民からうかがったお話を踏まえて話し合いました。そこで足りなかった情報やさらに聞きたい情報については、患者会の森脇さんや上田さん、財団職員から話をきき、提案に繋げていきます。どの班もそれぞれのメンバーの意見をすり合わせて提案につなげていくことに苦心していましたが、最終的には形にまとめ、西淀川の未来に向けた提案や環境省の職員として何ができるかについて発表しました。

ワークショップの様子

熱心に話し合っています

研修の最後は財団の事務局長と患者会から研修の講評がありました。藤江さんからは「地域再生に終わりはない。環境省が中心的な役割を担ってほしい」、上田さんからは「想像力をもってほしい。ある施策が実施されると住民にどんな影響があるのかよく考えてくれたら」との意見が出ました。患者会会長の森脇さんからは「最初にこの研修で1つでもつかんで帰ってほしいと話をしたが、最後の発表をきいてたくさんのものをつかんでくれたというのが実感できた。環境省でなければ被害者の立場に立った政策はできない」という講評をもらいました。

(感想)

今回、研修に同行させていただき、私自身も大変勉強になりました。西淀川の今と昔の状況を現地で確認することで、より深く知ることができたと思います。今回の研修で今の環境が患者会をはじめとした区民や行政の努力により改善していることを実感することができました。また、あおぞら苑や街中のヒアリング調査を通して、西淀川区に住み続けている人たちは環境の改善を実感していること、子ども達にさらによりよい環境にしていきたいという思いも伝わってきました。

環境省の職員の方々の研修に対する真摯さも印象に残りました。どの方も熱心に見学やヒアリング調査、ワークショップに取り組んでおられました。今回の研修で得たものを仕事に持ち帰り、地域再生や環境改善に向けた仕事に役立てていただけるのではないかと思っています。

(谷内)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2016年10月24日11:51 AM

環境省職員 現地研修受入 1日目(10/6)

あおぞら財団ではここ数年、毎年、環境省職員環境問題史現地研修の受け入れを行っています。今回の研修は10月6日~7日にかけて行われ、環境省職員の方々が21名参加されました。公害患者の岡崎久女さん、森脇君雄さん、弁護団の村松昭夫先生のお話、西淀川のフィールドワークなど2日間に分けて研修が行われました。

まずは自己紹介から。

お名前、担当業務、今回の研修に期待することを紙に書いて発表します。

お名前、担当業務、今回の研修に期待することを紙に書いて発表します。

今回の研修に期待することとして、今回の研修で現場に行ってみたい、患者さんの声を聞いてみたいという意見が多いようでした。

あおぞら財団の林による講義は「日本の公害を市民運動から見る 西淀川を足場として」というテーマで、「戦前の公害といえば?」という問いかけからはじまりました。全国の公害と公害訴訟の話から、西淀川の歴史と公害や、あおぞら財団の理念について説明されました。西淀川の裁判では孫や子へ良い環境を手渡すことを目標とし、西淀川公害裁判は和解のスタンダードな道を作ったと述べました。

説明をする林さん

説明をする林さん

林さんの解説の次には公害患者の語り部・岡崎久女さんのお話がありました。

現在の「西淀川公害患者と家族の会」事務局長・上田敏幸さんも来てくださいました。

岡崎さんと上田さん

岡崎さんは高知県から嫁いで来られ、1976年に、公害病の患者認定を受けられた方です。当時の西淀川の環境、とつぜん始まった喘息の辛い症状や、病気から起こった様々な辛い体験、息子さんも公害患者となったこと、裁判の原告となって活動したこと等を語ってくださいました。

林が質問していく形で、お話をしてくださいました。いくつかピックアップしたいと思います。

林:公害被害者総行動等で環境省に行ったとき環境省の人々に対してお話をするが、思うことは?

岡崎:いまだに重い病気の患者が増えているということが気がかりだ。公害健康被害補償法(公健法)で未認定の彼らは高額な医療費がかかるため、薬だけでも無料にならないか、助けてあげて欲しい。

林:公健法に助けられていると岡崎さんが思う部分は?

岡崎:入院したり夫も仕事がなくなり、自分もパートで働いていたが給料も安く長時間働けなかった。補償費をもらっていたことで非常に助かった。

たすきをかけてお話をする岡崎さん。今ではたすきをかけると話しやすくなると仰っていました

【質疑応答】

Q:町が嫌になったり引越そうとは考えなかったか?

A:息子が進学する時に引越そうかとも考えた。しかし息子に「おかんには田舎があるけど、俺にはここがふるさとやぞ」と言われたことで、この西淀川を良いところにしなければと決心した。

(補足)
上田:西淀川の特徴として、患者が組織をつくるのに医師も協力していたため、自分たちの症状や日常の状況を知って適切に対応してくれる医療の体制が整っていたことが挙げられる。これらの理由から多くの患者が移住しなかった。子ども・老人という移動そのものが難しい人がまず公害の被害を受けた。

林:公害の喘息に対応できる医者が引越し先の地域にいるとは限らない。(他地域の病院では)喘息の薬が非常に強いことに驚く医者もいる。

次は「西淀川公害患者と家族の会」の初代事務局長、森脇君雄さんのお話です。現在は会長をされています。森脇さんご自身も公害患者として認定を受けておられます。

森脇さんはどのように患者会を運営してきたか、環境省との関係等についてお話してくださいました。

お話をされる森脇さん

森脇さんは、公害被害者総行動で全国の主張をまとめ、1回~40回までの大臣交渉を全て行ってきたそうです。

環境庁(当時)の橋本道夫さんが公害健康被害補償法を作るときに全国の患者さんを集め意見を聞いた、それが全国の患者会をつくるきっかけとなったと仰っていました。

西淀川の裁判(1978年提訴)を起こしたことによって環境省との関係が悪化したこと。西淀川公害裁判後、環境省は二酸化窒素(NO2)の環境基準を緩和します。この環境基準の緩和に関しては、患者側は運動や疫学調査により、環境基準緩和の間違いを指摘し、対抗したとのことでした。次に指定地域解除により公害健康被害補償法で新しい公害認定患者を認めないようにしようという主張がおこります。そして1988年、強引に大気汚染の指定地域が解除されました。これも環境省との一つの対決だったそうです。指定地域解除後もぜんそくの患者さんは増えており、この未認定患者の人達に対して何ができるかが今でも課題として残っています。環境省と公害患者側が対話できるようになったのは西淀川の裁判が解決したときだった、とのことでした。

【質疑応答】

Q:全国の患者さんを取りまとめてきたというお話があったが、各団体それぞれの被害や考えは違うと思う。それを取りまとめるのは大変だったのでは?

A:要求を大事にすること、出てきた問題に対する学習、会議をして皆の意見をまとめて実践をするということを中心にまとめる。

Q:森脇さんは環境省と患者さん達の団体の間のコーディネーターという感じか。

A:結果としてそうなった。調整役をずっとしている。双方がうまくいくように話している。話をするときは真意は絶対に曲げない、しかし話が広がった分も真意に含めるようにしている。

皆さん熱心に聞き入っています。

皆さん熱心に聞き入っています。

森脇さんのお話で紆余曲折を経ながら環境省と患者さん達が付き合ってきたこと、患者さんたちの運動への取り組みを理解することができました。

その後、あおぞら財団の現理事長である村松昭夫先生のお話がありました。

西淀川の公害大気汚染裁判及び環境省との関わりなどについて話してくださいました。

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会場を5階のエコミューズに移して行いました

 

お話をされる村松先生。

お話をされる村松先生。

西淀川の公害訴訟裁判は、法の専門家等から見ても勝つのが難しいといわれた裁判だったそうで、弁護士の方は皆手弁当で協力したそうです。

日本において大気汚染裁判の判決が行政の施策・政策に反映されたのは、患者さん達の「自分たちが味わった被害を子や孫に味あわせたくない」との想い・目的が積み重なり、行政もそれを真摯に受け止めたからではないかと村松先生は仰っていました。日本には環境公益訴訟がないため被害者が立ち上がり、公益的な役割を果たさざるをえなかった面もあった、環境公益訴訟がないのは日本の司法の遅れた部分であり課題であると述べられていました。

【質疑応答】

Q:西淀川裁判では様々な専門家が裁判に関係していたが、当時不利と思われていた裁判に彼らが協力した理由は何か。

A:戦後の再出発の時に、戦争に対する反省と、新しく憲法ができたことによって、学問や研究は何のためのものなのか考える研究者が育っていき、被害者や住民のためにという人が増えた。そのような思いを持った人々が理不尽な公害を見たとき、裁判に協力しようと思ったのではないか。

Q:日本に環境公益訴訟がないのはなぜか。

A:最大の要因は環境に対する意識の遅れではないか。日本は、環境よりも経済の側面が強いので環境公益訴訟があると、様々なことが裁判の場で訴えられるためそれに対する恐れがある。環境公益訴訟を求める運動も少ない。

最後に一日のまとめを行い、気づいたことを話し合って、2日目に向けて、問題意識の近い人達でグループごとに分かれました。

皆さん熱心に議論しています。

皆さん熱心に議論しています。

二日目は西淀川のフィールドワークが中心の研修となります。

 

私が研修補佐をするのは今回で二回目です。多岐にわたった非常に「濃い」内容の一日でした。環境基準の規制緩和や公害健康被害補償法の指定地域解除に対する反対運動など、現在私が資料整理で取り扱っている資料に関連するお話もあり、交渉相手の印象、人柄など資料だけではわからなかったことが聞けて、興味深かったです。

(村山)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2016年10月20日3:02 PM
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