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2/21 東京学芸大学の研修を受け入れました(2日目)

東京学芸大学研修西淀川公害フィールドワークの2日目が2月21日(金)に行われました。

2日目は大野川緑陰道路を歩きました。学生たちは、以前どのような風景だったのか写真で見ると同じ所で撮られた写真だとは信じられない表情を浮かべ驚いていました。周りの音に耳をすましたところ、緑陰道路沿いには工場が多くあることが見えてきました。車の音や飛行機の音、ファンの音が聞こえてきました。

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大和田小学校の側を通る時に書かれていた海面から-1.8mの表示に学生はとても驚いた表情を浮かべて、その文字を見つめている姿が目立ちました。西淀川では、工業化の影響で地盤沈下が進んでおり、いざという時に逃げなければならない状況にあります。

千北診療所では公害病認定2級でもある酒井美代子さんにお話を伺いました。酒井さんは診察をする前に話をする時間を頂き、酒井さんに病気になった当時、どのような生活環境だったかなどの話を伺いました。酒井さんは昭和41年に認定されており、現在も吸入や点滴をしに毎日病院へと来ているそうです。夫婦でぜん息などの症状が出ており、他にも薬の副作用もあり、今も息苦しくて階段がしんどいなど具体的な話をして下さいました。学生さんは時折メモを取りながらも真剣な表情で酒井さんを見て話を聞いていました。「体調が悪かった人がいましたか?」という質問には自分よりも年上の方に多く、酒井さんは若い方だったという話をされていました。他にも「車や工場に対して現在どう思っているのか?」という質問に「住みよい町にして欲しい。でも、もう元には戻らないだろう。」という話をされ質問した学生さんも難しい表情を浮かべていました。ですが、最後に住んでて良かったと言う言葉に笑顔を浮かべていました。

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デイサービスあおぞら苑では、入所している方を話をしながら昼食を取りました。輪になっている所に入れて頂き、色々な方と話をしていきました。公害の患者さんでもある方や、戦争を体験した方、一人暮らしの方など色々な立場色々な思いを抱えた方との話に学生さんはわきあいあいとした様子で昼食を取っていました。学生さんと色々な話が出来たことで、とても表情が和らいでる方がとても目立ちました。学生の方も笑顔が溢れていました。

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昼食後、出来島小学校測定局でクイズ形式で国交省の対策について何をしたのかと言う話をすると、率先して考えている横で咳をしたり「くさいなぁ」と声を漏らす学生さんもいました。初めて私も43号線に立ちましたが、強烈な匂いが漂い近くに小学校があるというのは衝撃的でした。昔に比べ良くなったとしても慣れるべきにおいではないという感想を抱いてしまいました。

地盤沈下の状況をバスの中から眺め、あおぞら財団に戻って患者会の会長をしている森脇君雄さんから話をして頂きました。一日目から森脇さんの話が出ていたので、学生さんは食い入るように話を聞いていました。いかに患者会を割れずに一つにまとめあげて行くか、自分たち被害者団体が主体となり公害反対運動を自分たちで進めて行く大切さを語ってくださりました。患者会に入りやすいのは、他の地域とは全く異なり、それが西淀川の公害反対運動が1つにまとまり上手くいった部分でもあるのでしょう。

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その後、思ったことを共有することになると1日目の話になると学生さんからは複雑な思いを抱え、それが昇華出来ていない様子が伺えました。「自分はどうなのか」と書いた学生さんは山岸さんは働いている人としての話ではありましたが、個人としてどう思っているのか自分がどう思っているのかまで踏み込めないので「どう思うか」と話していました。「すみません、give upです。」と書かれた学生さんは自分の至らない点について限界を感じていたようです。相手の立場から現在の考え方価値観になるまでのプロセスが理解できず、また受け入れられない自分に対して苛立ちを感じているようでもありました。「国」と捉えた学生さんは日本の国のあり方であったり、国策を感じたという言葉が印象的でした。

今日の感想になると一転して「あたたかい」や「笑顔」「スッキリ」などのポジティブな印象が見受けられました。そこには今日話をした方々の印象であったり、色んな方が話してくれる内容や表情が大きく左右されていたようです。ですが、中には素直に「くさい」と書かれた学生さんもいたりととても直感で感じてる方が多かったです。

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東京から来た学生さんと2日目だけですが、フィールドワークのスタッフをしていて多少疲れている様子もありましたが、多くのものを見て興味関心がとても感じられました。その中で西淀川を歩き、大きな道路沿いや高速の下を通りながら音やにおいがとても気になるなと思いました。騒音や大気汚染、地盤沈下などの問題を抱えながらどのように向き合えばいいのかと思うと、やはり今回のように多くの人に知ってもらうのが一番なのだろうと思いました。その想いをこれからどう時分の中で形にしていくかというのは私の課題でもあるなと、初心に帰る思いをしました。

(松ヶ平)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年2月24日1:54 PM

2/20 東京学芸大学の研修を受け入れました(1日目)

2014年2月20~21日、東京学芸大学・原子栄一郎ゼミ(環境教育)の研修を受け入れました。

初日の20日は、西淀川公害訴訟の被告企業の1つであった神戸製鋼所の方からのお話を聞き、工場の見学を行いました。

午前は、神戸製鋼所で長らく公害訴訟に関わられた山岸公夫さんからお話を伺いました。

山岸さんは、1969年に神戸製鋼所に入社され、事務職を経た後、長らく法務・法規関係の仕事に携われました。1983年には公害訴訟の会社側責任者となり、87年には法規室長に就任されました。その後、監査の業務に移られ、神戸製鋼所退職後、現在は石光商事の監査役を務めておられます。なお、山岸さんは昨年よりあおぞら財団の監事も務めてくださっています。

お話は、ゼミの学生さんたちが事前に用意した質問に答える形で進められました。

訴訟になった当時の会社側の加害に対する認識として、山岸さんは、大気汚染があるということ、その被害者がいるということはわかっていた。しかし、裁判でも主張したように、工場から排出される煙と健康被害との因果関係が証明されない限り、会社側の責任を問うことはできないという認識だったとおっしゃられました。

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この点は、西淀川のような大気汚染訴訟の難しさに関わります。

原因企業と原因物質が比較的明確な「四大公害病」とは違い、大気汚染は広範囲からの煙によるもので、原因企業も特定されにくいという特徴を持っていました。各企業が独自に操業する中で排出される煙に対して、どのように責任を追及するかが、訴訟の大きなポイントとなりました。

また、山岸さんは、会社側には、正当な行為、つまり様々な生産活動の延長として結果的に煙が排出されているという意識もあったとおっしゃられました。

1950年代後半~70年代前半の日本の高度経済成長は、鉄鋼業部門に代表される重化学工業の著しい発展によってもたらされ、それによって国民の生活水準は急速に向上しました。

神戸製鋼所をはじめ、西淀川公害訴訟の被告企業も戦後の日本経済のけん引役となっていました。

山岸さんのお話は、日本の高度経済成長がもたらした「光」と「影」の部分を、会社側の立場から指摘してくださったものだと思います。

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この点と関わって大事だと思ったのは、山岸さんが「時間軸」の中で問題を考えることの大切さを強調されたことです。

公害防止に関する法整備や社会全体の意識が高まっている現代の感覚や価値観で、過去の行為を間違っていると糾弾するのは違和感を覚える。そのような法制度も社会認識も乏しかったという時代背景をふまえて、公害の問題を考えなければならないと山岸さんはおっしゃられました。

公害とそれに関わる訴訟は、被害者個人や家族、患者団体、原告団、弁護団、原因企業、国・行政など、様々な主体が関わる複雑な問題であり、また長期間にわたるまさしく「歴史」の問題です。

こうした複雑な過去の問題について考え、評価するには、それぞれの立場を理解し、また当時の社会状況に想像力を働かせ、その時代に生きた人たちの立場で問題考え、評価する必要があります。

環境の大切さや公害の防止について学んできた学生さんにとって、山岸さんの話は「会社側の論理」によるもので、自分たちの考え方とは異なるものだったのではないかと思います。

しかし、この問題を様々な立場から、そして長い「時間軸」の中で考える必要があるということを学ぶことで、より深い次元で環境・公害問題について考えるきっかけとなったのではないでしょうか。

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また、山岸さんは、様々な課題や困難を乗り越え、組織を維持し、長期間にわたる裁判で和解解決を勝ち取った西淀川の患者会、原告団のみなさんに敬意を表されていました。企業側との誠実で粘り強い信頼関係の構築、話し合いの継続の先に、和解解決があるのだと改めて感じました。

午後からは、灘浜サイエンススクエアに移動し、神戸製鋼所の企業活動と、2002年から運転が開始された神鋼神戸発電所についての説明を受けました。

灘浜サイエンススクエアは、地域との交流を目的とし、科学技術の面白さを学べる体験型展示や映像展示がある施設です。

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神鋼神戸発電所は、IPP(独立系発電事業者)として、全国のIPP発電の約2割にあたる140万kWを発電しています。これは、神戸市の夏の電力需要がピークの時期の約7割をカバーするものだそうです。

お話の後、発電所内を見学しました。

ボイラ・タービン建屋の中では、発電のしくみや、防音壁の設置など周辺への環境対策について説明を受けました。建屋屋上からは、神戸の街と近接した「都市型発電所」を実感することができました。

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発電所見学後は、再び神戸製鋼所の方から環境経営に関する説明を受け、その後、質疑応答に移りました。

学生さんからは、中国にも進出している神戸製鋼所が、現地でどのような企業活動を行い、環境問題で貢献しているのか。公害訴訟で被告企業となった事実を今どのように考え、会社内外でどのように教育・広報しているのかといった質問が出されました。

神戸出身の学生さんからは、「神鋼は神戸に根付いた企業で、市民にとっての誇りであると思っているが、広報資料や今日の話でも『公害』の文字が一切出てこないのはとても残念だ」という意見も出されました。

神戸製鋼所の方からは、自社を含め、日本の企業には環境に配慮した高い技術力があり、それらを中国をはじめ各国に伝えることで貢献していきたい。現在も、企業内教育として、環境に関する研修やウェブテストを実施しており、それらを継続的に受けることで社員にも「環境を守らねば」という意識が生まれているとお答えいただきました。

おそらく、社員の立場として答えにくい質問が多かったと思いますが、とても誠実に答えてくださいました。

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神戸製鋼所は、西淀川公害訴訟の被告企業の中では唯一あおぞら財団の会員になってくださっています。「過去の反省」の上に立ち、公害の経験と高い技術力をアジア・世界に伝えていっていただければと思います。

山岸さん、神戸製鋼所のみなさん、当日はありがとうございました!

(藤井)

12/27 香港の大学生研修 西淀川公害フィールドワーク

本日は香港中文大学の学生、総勢20名が
西淀川公害フィールドワークにお越しになりました。

賑やかでとても活気のある若者たちです。

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まずは西淀川公害裁判についてのビデオ鑑賞。
英語と中国語の字幕つき。
資料を交えながら解説を。
うなずきながら熱心に聞き入る学生さんたち。

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そして、公害患者さん、平田さんと上田さんのお話。
実際持ち歩いてる吸入器や、気管支の模型も見てもらいました。

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その後、実際に西淀川のまちを歩いていろいろ体感してもらおう、
とのことでしたが
とても寒く今にも雪が降り出しそうな曇天・・・。

なので急遽予定を変更して
歌島橋交差点近辺と大野川緑陰道路で写真やクイズを交え、解説を。

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そしてあおぞら財団にもどり、西淀川・公害と環境資料館エコミューズを見学。
資料館が満員になりました。
日本語の資料ばかりなので、当時の西淀川の写真を見てもらいました。

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最後は
グループに分かれ、
「今日西淀川の公害について学んだことを香港に帰ってからどのように活かせるか」のディスカッションをしてまとめてもらいました。

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発表してもらった意見をご紹介します。

・なぜ香港では署名などの市民活動が実を結ばないのか考えたとき、中国政府の影響や、日々の生活が大変なのでそこまで手が回らない現状がある。

・大学生などが政府と積極的に交渉していくべきだ。

・香港では“環境保全”という授業が大学であるが、多くはない。小学生などもっと早い時期からの教育が必要ではないか。

・香港には工場が少ないので煤煙の問題はないが、隣の広州にはたくさん工場がある。

・自動車の排気ガス問題は深刻なので、個人の自動車を電気自動車に変えていけたらいい。キャンペーンやアピールをして、電気自動車のコスプレをしてパレードをしたい。

・香港でも自然がとても少なくなってきたので、自然を守る努力をする。

質疑応答もとても活発で
みなさん積極的に参加してくれたのが印象的でした。
日本語、英語、中国語が飛び交うフィールドワークでした。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2013年12月27日6:25 PM

龍谷大学政策学部研修受け入れ

2013年11月15日(金)と12月13日(金)と二回にわたって、龍谷大学の清水万由子ゼミの皆さんがエコミューズに来てくれました。
1回目は、患者会の40周年誌を見て、疑問に思った事に答えるというもの。
2回目は、そこから調べてみたい疑問を深めるために、資料室の資料を読むというもの。
「資料を読んでも、ストレートな答えはないかもしれない。それをつなぎ合わせて考えるのよ。」と指導する清水先生。
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真剣に資料を探しています。
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真剣に資料を読み込んでいます。
最後は、資料を読んでわかった事を共有しました。
「企業が悪いだけではない事も見えてきて、誰が悪者かわからなくなった」
なんてコメントも飛び出してきました。
事実は、混沌としていて、簡単にまとめた書籍のようなものではないことが理解してもらえたようでうれしかったです。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2013年12月19日6:42 PM

大阪経済大学フィールドワーク

2013年11月22日(金)

大阪経済大学の柏原誠先生の「経済学部基礎演習Ⅱ」の授業の一環として、1回生の学生さん5名が来られ、フィールドワークを行いました。テーマは、「西淀川の良いところと課題を見つける」。
西淀川のまちは学生さんたちの目にはどのように映るのでしょうか。

西淀川・公害と環境資料館に集合し、自己紹介をしてから今日の流れを確認。
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西淀川の公害と裁判の歴史を知るビデオ映像を観た後、公害患者さんのお話を聞きました。永野千代子さんと、事務局長の上田敏幸さんに来て頂きました。

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みなさん熱心にメモをとりながら、お話に聞き入っていました。実際に体験してこられた語り部さんのお話は、胸に迫ります。
「若い世代に語り継いでいくことが私の仕事」として活動されている語り部さんのお話しぶりに触れ、学生さんからも、西淀川の当時の様子や生活のこと、地域の産業についてなど、たくさん質問が出ていました。

その後、まちにフィールドワークへ。いいお天気の中、自転車に乗ってめぐりました。

まずは、デイサービスセンターあおぞら苑へ。
利用者さんにインタビューを行いました。生まれた場所や、西淀川にいつから住んでおられるか、西淀川の好きなところ・困ったところ/嫌いなところをそれぞれ聞き取り。
最初は、インタビューシートを見ながら緊張した面持ちで聞いていた学生さんたちも、だんだんお話に夢中になっていました。
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戦時中の体験や西淀川で仕事をしてこられたお話など、いきいきと語られる利用者さんたちと、ニコニコ耳を傾けている学生さんたちの表情が印象的でした。

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「もっと早く来たらよかったのに~!」と、利用者さんも名残惜しそうでしたが、お別れのご挨拶をして、次は公害医療の原点である千北診療所へ。

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それから、出来島小学校へ。大気汚染の原因となる物質の測定器が設置されている様子を見ました。

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小学校に面している国道43号線の様子も観察。「トラックが多い」「道路のすぐ傍に集合住宅がある」など、率直な感想がたくさん出てきました。
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空気の臭い、交通量の多さ、騒音…など、眼で耳で鼻で、体いっぱいに感じたようです。

西淀川高校前では、NO2(主な大気汚染の原因になっている物質)測定カプセルの説明も聞きました。
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その後、学生さんたちの「行きたい!」という声もあり、矢倉海岸へ行くことに。
夕日に向かって走る!絵になりますね~。
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水鳥がたくさんやってくる生物多様性豊かな海岸の様子に、故郷の干潟のことを思い出し、語り始める学生さんも。西淀川のまち歩きを通して、自分の育ったまちのことを思えるなんて、すてきですね。
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夕日をバックに、記念撮影。(お顔が見えないですが。。。)

美しい風景を味わった後、工場排水による汚染で埋め立てられ今は市民の憩いの場になっている大野川緑陰道路を通って、あおぞら財団へ戻りました。

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最後に、みんなで西淀川の良いところと課題を出し合い、感想をシェアしました。
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「川がきれいだった」「人が親切」「工業が発展している」
「トラックや車の交通量が多い」「呼吸がしにくい」
他にも、「走ってる車のナンバーは他府県のものが多かった」「公害の面だけでなく、自然豊かなところをアピールしていったらいいのでは」といった感想もありました。

みなさん1回生とは思えないほど、いろいろな気づきやアイデアも提示してくださり、とてもたのもしかったです。
大学に戻ってからは、今日のフィールドワークをふまえて、自分の住むまちのことをレポートにまとめるそうです。
これからのそれぞれのフィールドでの活躍が楽しみな学生さんたちでした。またぜひ西淀川に遊びにきてくださいね!

(吉田)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2013年12月17日5:45 PM
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