こんにちは。
昨日2月27日は、終日、うららかな陽射し。
財団軒下に咲く、鉢植え菜の花に対し、のどけき春よ、
と思わずつぶやきたいような、
にげる2月最後の日曜日でした。
さて、そんな行楽日和、あおぞら財団主催、
【日中の公害・環境問題を考える学生セミナー】が行われました。
今回のセミナーは、
日本と中国、各々の国籍を有する学生が対象。
『西淀川に於ける大気汚染公害』を素材として、
フィールドワークや、グループワークを、みんなで一緒に行いながら、
・日本の公害経験を学びつつ、
・日中両国における公害・環境問題の知識をシェアし、
・公害・環境問題に対する関心を深めていこう、との狙いでの開催。
財団研修中の筆者も、お手伝い参加させていただきました。
以下、セミナー概要を、レポートいたします。
(一日がかり、メニュー盛りだくさん<セミナー>ゆえ、少し、長文です。ご容赦を。)
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『おはようございます!!』
いつも元気一杯、財団研究員・林美帆さんの挨拶で、セミナースタート。
10時から、15時30分の予定。
中国からの留学生6名、と、日本人学生5名、西淀川に縁のある日本人の方1名、の
計12名が参加してくださいました。
●さっそく、「プログラム概要」説明の後、「自己紹介」。
学生、ということで、
自分の研究テーマなどを話しつつ、
興味がある環境問題、などを話していくうちに、
場が和やかに・・・
バックグラウンドは、
・学部3年生から、博士課程の院生まで、
・農学、法学、社会心理学、倫理学、等々、さまざま。
切り口は多様ながら、
大気・水・有害化学物質・廃棄物問題、等々、
<環境問題>に関する研究・専攻の方が多い様子。
●「自己紹介」に続き、「グループ分け」。
日本・中国バランスよく、4名づつ3グループになり、
一つの机を囲みます。
●さてさて、午前中は、財団での座学中心メニュー。
まずは、①林研究員から、DVDも利用しつつ、プレゼン。
・過去の大気汚染状況や、それによる<被害>状況、
大気汚染訴訟の概要を中心とした『西淀川公害のあらまし』、
そして、
・『あおぞら財団の活動概要』、などについて、説明。
次に、②『西淀川公害患者と家族の会』事務局長の永野千代子さんによる、経験談。
・永野さんの目をとおした
『大気汚染による<被害>と住民運動』が語られます。
そして最後に、③あおぞらビル6階屋上から、西淀川を(スズメの目で)鳥瞰。
・西淀川の大まかな地理、幹線道路の配置、等々について、
林研究員から、駆け足での説明。
●一息つけるかつけないか、
慌しく、30分のお昼休み休憩をはさみ、
動いて、話す、午後の部へ。
まずは、①西淀川地区のフィールドワーク(現場見学)。
・マイクロバスに乗って、林研究員の説明を受けつつ、
中島地域の工場群や、国道43号線、
高い防塵壁に囲まれた出来島小学校、緑陰道路、等々を、見学。
国道43号線では、
バスを降りて、とことこ、歩きます。
自動車交通による、沿道被害の低減のための、諸施策も見てまわります。
PM2.5の測定器、
光触媒を用いた大気浄化装置等のフィールド実験装置、等々、見物。
防音壁は、<あるとこ、ないとこ>を両方歩き、自分の耳で、効果を実感。
そして、②財団にもどり、再び、座学。
あおぞら財団理事長・村松昭夫弁護士から、講話。
・西淀川公害訴訟はじめ、公害問題等に取り組んできた村松弁護士の視点で捉えた、
中国の環境訴訟の現状等について、聴講。
「文化・制度の違いはあれど、
少し早く、経済的成長を経験した日本人として、
自分が重要だと思うこと、を発信していく」
そういう場としての交流が重要、とのこと。
気付けば、最終プログラム、③グループワークです。
・各グループごとに、
セミナーメニューを振り返り、グループでの討議を経て、プレゼンを行います。
与えられたお題は、
1)本日の感想、わかったこと
2)環境問題を解決するために大切なこと(日中両国)
3)環境という分野で、日中が、今後、協力できること、の3つ。
・どのグループにおいても、
まず、
<各個人において、知識・理解を深めることが必要>、であり
そのためには、
①<個人レベルの意識変容>、と
②<人的交流という行動>が必要、との点では、共通してい�
�ように、感じました。
①から②へは、
『<意識から行動へ>ジャンプするためには、何が必要か』、
という<行動変容>の問題が・・・
この点については、
・一人ひとりが、それぞれの立場・職能グループにおいて、交流を進めるための
<交流の制度化>という提案をするグループも。
(国同士、との大上段に構えて、ではなく、
個人レベル、のコミュニケーション、に、個々人が各々、取り組むべき、
との主張と、筆者は理解。
もう少し時間があれば、
<制度化>について、主体・財源・目的・方法等々、
アイディアを掘り下げてみたいところでした!)
●そうして、セミナーは、お開きになりました。
参加者及び関係者の皆さま、どうもありがとうございました。
※筆者のセミナー感想
最後の発表で、<交流>の重要性が出ていたのは、
<交流>が主たる本セミナーに、楽しい感情を覚えた、ということであろうか。
たまたま中国に生まれた人、と、
たまたま日本に生まれた人、として、コミュニケーションしていく、
面白いから続いていく、そういうことが好きな人たちが増えること、が、
日本という国の、「持続可能性」、につながるのだろう。
企業エンジニアは、ビジネスを進める中で、
研究者は、アカデミアの世界で、
株を趣味にする人は、株の世界で・・・
ふらっと訪れた北海道で、中国からの観光客に出くわして、
一緒にお鮨をつまんだり。
アイルランドで、一緒にギネスを飲みながら、
輸出や観光と、環境影響の問題について、語らうかもしれない。
アニメやマンガ、とともに、
観光旅行者も、留学生も、ソフトパワーの源泉だ。
<日本>やら<中国>やらを、主体として語ることから開放され、
<たまたま日本に生まれた○○氏>として発言でき、交流ができること、
国会議員やら外交官でないことの、【大いなる強み】、だと、
再確認する、セミナーでした。
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※過年度セミナーの様子などは、こちら↓
・2009年学生セミナーの様子
・2010年学生セミナーの様子
・あおぞら財団の国際交流の取り組み
※本セミナーは、平成22年度大気汚染経験情報発信事業の一環です。
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以下、おまけの?
私(財団研修員)の独り言です。
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公害地域のフィールドワークって何だ?、
もうそこに<過去の時間>はないのに、
わざわざ、時間をかけて、
<現場>とされる場所、を見にいくことの意味が、ずーっとよく分からなかった。
青い空がない過去、については、
本や写真、インターネットで、知識は得られる。
いま、青い空をみても、かつての煙はない。
(そこで、一応、『人間の想像力の貧困』を痛感することは、できる。
スチール写真で見た、灰色の空を重ねても、
自分として、それを現実として感じる力がない、と。
でも、そんなこと、日々の暮らしで、痛感している。
『他人の感情が、自分では当事者としては、決して感じられないこと』が、
日々、自分の中の、喜怒哀楽の種になっているのだし。)
今回、
セミナー締めくくりの際、藤江徹事務局長から、
『・本などで得た知識忘却の早さ、に比し、
・見学/議論をしながら得た知識は、長く忘れない、
そういうところに、体験型セミナーの意義がある』旨のコメントがあった。
<机上知識>より<体感知識>が、<持久力が強い>ってことね、
そういうこともあるのだろうなぁ、
『青年期以上では、<コンテンツ記憶>は衰退、<エピソード記憶>は増す』、って
本でも読んだけど・・・
フィールドワークの効用に、持久力かぁ。
と思いながら、
ふと、
そういえば、セミナー中、
歩いたり、移ろいつつある車窓の景色を眺めたり、
説明者/発言者の声を聞いたり、しつつ、
同時並行で、
・国家が、国民に対し提供すべき行政サービスの追求すべき価値、やら、
・環境問題とは何ぞや、やら、
・国の統治体制と、裁判プロセスの果たす意義、等々について、
ほにゃほにゃ、よしなし浮かんできて、
自分として、いつもと違う思考過程を、集中して楽しめたなぁ、と、思い至る。
フィールドワークって、五感にいろいろ刺激が加わるから、
自分のなかの持てる知識、をまとめる回路が、ちょっとバグを起こして、
目から知識を得て、<自発的に課題をもって考えよう>とする時とは、
違う形につながる、のかもしれない。
海外やらで、長距離バスや、電車で一人でぼーっとしている時、
ふわふわ、いろんなことを考えられる時間、
とっても好きだけれど、
フィールドワークもそれに近いものがあるのかな〜
本で既に読んだこと、映像で見知ったこと、であっても、
さまよえる思索の時間を求めて、フィールドワークに参加する、ってのも
いいのかもしれない。
一人旅行好きな人は、案外、学び系フィールドワークが好きになるかもですよ。
あおぞら財団研修中M
(了)