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環境省研修 2日目(2018年10月12日)

あおぞら財団では、環境省職員を対象とする西淀川・尼崎地域における環境問題史にかかる現地研修の受け入れを行っています。今年度は10月11日から12日にかけて実施し、環境省職員の方15名、環境再生保全機構の方2名、中間貯蔵・環境安全事業株式会社の方3名が参加されました。

研修2日目は、バスで西淀川および尼崎工業地域のフィールドワークを行いました。

歌島橋交差点を出発すると、交通量の多さが実感されます。
西淀川公害裁判和解に伴い、歌島橋交差点をはじめとする4か所に
国土交通省が常時大気測定局を設置していることなどが説明されました。

フィールドワークの途中で、国土交通省大阪事務所の方から、
ロードプライシングをはじめとする環境対策(大気汚染対策・騒音対策)の取り組みについてお話を伺いました。

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大気浄化のために設置された高活性炭素繊維(ACF)の見学

質疑応答では、交通の転換を促している阪神高速5号湾岸線周辺への環境影響や、エコカーに対する割引は行わないのかといった質問が出ました。

その後、尼崎の工業地帯、中島工業団地を巡りました。
尼崎へ向かう高速道路では、大阪事務所の方から聞いた騒音対策としての防音壁が施されていること、設置された年代や西淀川地区と尼崎地区で装置に違いがあることなどを実際に確認することができました。

西淀川地区、尼崎地区、そして中島工業団地を通って西淀川地区へ戻ってくると、工業地域と住宅地域が近接していること、複雑に入り組んでいることがよく分かります。

昼食後はデイサービスセンターあおぞら苑を訪問しました。

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施設長の辰巳さんのお話を伺う様子

ここからは、3人1組となって『西淀川公害を考える 西淀川公害から考える 西淀川フィールドワークマップ』を手に、あおぞら財団をめざします。
実際に西淀川のまちを歩いて、町並みや公害対策としての緑陰道路を歩いて体感してもらいます。
また、西淀川の好きな所・おすすめの場所、困ったところ・改善したいところについて地域の方にインタビューを行うことも目的の1つです。

あおぞら財団に到着後、各グループのインタビュー結果を共有しました。
地域の方からは、好きなところとして大野川緑陰道路と桜、団地(地域)での行事の多さが挙げられたほか、改善してほしい点として防水対策、バスの本数の少なさが挙がったようです。

こうしたインタビュー報告をまじえながら、藤江事務局長が「西淀川の現状と地域再生のまちづくりについて」講義を行いました。

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藤江事務局長の講義

藤江事務局長の講義に対しては、まちづくりの担い手をどう繋げるか、新しい住民が活躍するにはどうしたらよいかという質問が出されました。

あおぞら財団理事である山岸公夫さんからもお話を伺いました。

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あおぞら財団理事 山岸公夫さん

「西淀川大気汚染公害訴訟を会社サイドからみる」として、西淀川公害訴訟に携わったご経験、訴訟担当者としての思い、現在の思いをお聞きすることができました。

最後に、2日間の学びをふりかえるワークショップを行いました。
各グループで学びを整理・共有し、プレゼンを作成、「西淀川で得た学び」として発表します。

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それぞれのグループで活発な意見交換が行われていました。

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1枚の模造紙に整理しプレゼンを作成しています。

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「西淀川で得た学び」発表

参加者からは、学びとして、
立場の異なる人びとが、意見交換の積み重ねによって信頼関係を築いていったこと、
「青空を手渡したい」という共通の目標が見つかったことが和解に繋がったこと、

また、今後の課題として、
地元住民の公害に対する意識に温度差があること、問題の風化、
今後起こりえる環境問題に教訓をどう生かすか、
また行政や地域団体それぞれの立場で何を行っていくべきか、
などが挙げられました。

参加者の発表に対し、
藤江事務局長からは「これから仕事で生じた問題に向き合う際にこの研修が生かされてほしい」、
山岸公夫さんからは「ルールがない中で問題が起こり、対立する。参加者はそういう時に活躍すると思うが、対立が激化する前に解決のための手順やルールをつくってほしい」、
上田事務局長からは「大切にしてきたのは対話。対話には相手への尊厳と自分への疑念が必要という。相手をリスペクトする気持ちを持ち、相手と話をすることで“自分が変わらないといけない”と思わないと対話にならない。ぜひ対話を」
といった趣旨のコメントがありました。

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西淀川公害患者と家族の会 上田事務局長

環境問題だけでなく、まちづくりを考えていく上で、それぞれの思いを持った立場の異なる人間が対話を重ね、信頼関係を築いていくことの重要性が再認識された研修でした。(北嶋)

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