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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

立命館大学産業社会学部 平井ゼミ フィールドワーク(8/25)

8月25日(月)に、立命館大学産業社会学部の平井秀幸先生とゼミ生9人が西淀川区でフィールドワークを行いました。

平井ゼミは社会学・犯罪学を専門で、今年度、平井ゼミでは「社会問題の被害・被害からの立ち直りに対する支援の試み」をテーマに、西淀川公害を取り上げているそうです。あおぞら財団のwebページのレビューや、『西淀川公害の40年』を輪読・通読して理解を深め、「実際に現地を訪れて学びたい」という声が上がり、今回のフィールドワークにつながりました。

まちを歩き、公害の歴史をたどるフィールドワーク

出来島駅に集合し、まち歩きを行いました。
国道43号線沿線、出来島小学校、千北診療所、あおぞら苑、大阪マスジド(イスラム教徒の礼拝所)、大野川緑陰道路などに巡って、歩きながら、公害問題・公害対策を肌で感じてもらいました。

国道43号線は、かつて”公害道路”と呼ばれていました。。公害と抗するため、道路高架化、ロードプライシング(大型車を湾岸線に誘導)、車線減少、遮音壁や大気浄化装置の整備などの対策が行われました。

国道43号線沿線で、公害対策を解説しました

西淀川区が「公害のデパート」と呼ばれたのは、環境基本法で定められた典型7公害のすべてがこの地域で発生したからです。

出来島小学校のとなりの公園で、西淀川区で発生した公害をおさらいしました

あおぞら苑の前には、公害研究の第一人者・宮本憲一先生と訴訟原告団団長・森脇氏が思いを刻んだ石碑があります。学生たちはこの石碑を通して、公害の深刻さと環境再生への願いに触れました。

あおぞら苑の前で、石碑を解説しました

また西淀川区は、高度経済成長期に各地からの集団就職者が移り住み、近年は東南アジアからの移住者も増え、多文化が共生する地域へと変化してきました。大阪マスジドはその象徴の一つであり、周辺にはハラールレストランも数多くあります。

礼拝所であるマスジドの周りに、ハラールのレストランもたくさんあります

大野川緑陰道路は、幾多の曲折を経ました。魚釣りや水遊びができるきれいな川から、生活排水や産業排水によって汚染され、一時は“ドブ川”のようになってしまいました。大阪市が高速道路の建設を進めようとした際には、公害に苦しんできた住民が強く反発し、その結果として現在の緑豊かな道路が生まれました。

大野川緑陰道路の歴史を解説しました

ワークショップ・フォトランゲージ

大気汚染がひどかった当時の西淀川の写真を使ったワーク「フォトランゲージ」を実施しました。

写真から読み取れる情報をもとに、グループで意見交換を行い、写真にタイトルを付けて発表。視覚的な資料を通じて、当時の暮らしや社会の状況に想像を広げることができました。

各グループが、自分が付けた写真の名前を発表しました

当事者・経験者に耳を傾ける

公害患者である山下明さんが、当時の体験を語ってくれました。

九州から集団就職で大阪に来る山下さんが、大阪駅から出てはじめて見たのは、真っ暗な空でした。現在なら誰もが「害」と思う大気汚染は、当初の文脈では「町の繁栄の証」と見られたようです。また、徹夜で点滴治療した後であっても休めずに仕事に向かわざるを得ない経験、職場の工事現場で発症して意識を失い病院に運ばれた経験を、山下さんが語ってくれました。

今のぜん息の吸入薬を見せてくた山下さん(中)

その後、公害訴訟弁護団の一員である早川先生が、西淀川公害裁判の経緯、裁判の争点、和解までの歩みや裁判の役割と限界について語ってくれました。また、濃度の単位ppmや汚染者負担の原則といった公害の基本的なところから疫学が裁判にいかに役立ったのかといったこともお話してくださりました。「西淀川公害裁判は患者会は一流、弁護団は五流と言われた。若い弁護士が多く、くり返し喧々諤々の議論をし、現場から多くのことを学んだ」と早川先生の人生に与えた影響についてもお話されました。

西淀川公害裁判を語ってくれた早川先生

エコミューズ(西淀川公害と環境資料館)見学

最後に、西淀川公害や公害訴訟に関する資料を収蔵する「エコミューズ(西淀川公害と環境資料館)」を見学しました。学生スタッフの関谷さんが当時の資料を紹介し、学生たちは公害の歴史をより身近に感じることができました。

学生スタッフ関谷が昔の資料を紹介してくれました

 

  • 参加者の所感

今回の研修により、学生の皆さんに対して、公害問題を遥か遠くの存在から、身近なものとして感じられるようになったのようでした。

「生の声を聞いて、自分もそれを伝えたくなった」、「団結が大事だ」、「地域の紛争は、地域への財産」などの感想がありました。

立命館大学の産業社会学の平井ゼミの皆さんは、環境問題を含む社会問題にかなり興味があり、積極的にそれを解決したいという意欲が見られました。今回の西淀川での公害に関する研修が、今後のゼミ活動に大きくいかされることを願っています。

(記・あおぞら財団アルバイト 王子常)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2025年9月22日2:37 PM

エコミューズ館長日記No.34

7月・8月はからだにこたえる暑さの日々がつづいた。今日は9月4日である。その過酷さは今もつづいている。この間、あおぞら財団に行ったのは、7月23日、8月7日、8月18日と本日の4回。暑さにバテて・・・・・・というわけではないが、日記が途絶えてしまった。書けることだけを書いておきたい。この間、主なテーマは、出版において出版社との協力関係をいかに構築するかの問題であった。なかなかむずかしい問題があり、簡単にはいかないことを思い知らされている。当方としては書籍を全国的に広めたいし、可能なかぎり安い値段でこれからの研究者の方々にわたるようにしたい。この思いが強まったことは事実である。それをどう実現するかがむずかしいのである。8月30日、清水万由子さん著『「公害地域再生」とは何か』(藤原書店)のお披露目会、兼あおぞら財団関係者の同窓会が開かれた。この会は1995年の裁判和解にともなって財団が創設されてから30年近くになるのを記念し、清水先生の出版をお祝いするという趣旨で開かれたものであった。和気藹々とした会合で、みなさん楽しく時間を過ごされた。この場でわれわれの資料集についておおいに宣伝し、購入を求めた。村松昭夫財団理事長は、清水先生の本とわれわれの資料集とは、今年の財団の二大事業となっている。財団も全力をあげて、その出版が実現するよう支援したいとのお言葉を賜った。ありがたいひとときであった。

9月4日は、第22回資料集編集委員会が開かれた。この会合では、資料集の校訂作業をふまえて、この資料集の価値が高いことを、お二人の編集委員も認めてくださった。ここまで書いてきて、若干、話が脇道にそれて、文章とユーモア論らしいテーマに陥っていったので、ここらで終わるとしておきたい。字数をかぞえたら、700文字くらいのとのこと。たくさん書き残していても、書けることは多くならないことを実感した。ではまた。

8/30発刊記念 お披露目会・同窓会の集合写真

 

2025.09.04 小田康徳

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

【ご寄附のお願い】「西淀川公害がわかる資料集」のための寄附を募集しています。どうぞみなさまの寄附でこの活動を支えていただきますようお願いいたします。
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エコミューズ館長日記No.33

参議院選挙の余韻いまだ収まらぬうちにあおぞら財団へ行く。先日来、整理を終えた序言をはじめとする本文の前付け、および後付けに付属する文章を手入れしたデータをコウタくんに渡し、共有した。ほぼ終了したと見てもよいのだが、略年表のみ途中までのものにとどまっている。それから資料本文の校訂作業についてコウタくんに尋ねた。ほぼ準備ができていると判断できたので、最終的な手入れをやってもらうことに決めた。資料本文のなかに出てくる数字表記や、NOx、SO₂とかいった表記をどうするか、基本原則を定めて、それで上手くいくかどうか現物で確認した。そんなに難しい問題はなかったように思うので、翻刻文の校訂作業はコウタくんとミナコさんの二人に一任することにして、どうにも判断がつかないところだけ、相談することにした。コウタくんは漢字の使い方など一家言を持っていることがわかって、その方面の話をいろいろとやった。久しぶりに楽しい時間だった。

 

それで、自分は略年表の作成途中であるのをそのまま引き続いて作成することにして、パソコンを使いはじめた。10件ほど作業が進捗したところで「何か変だな」と気が付いて、よくよく点検してみると、打ち込んだはずのデータが消えている。それを知らないで、新規に数件のデータを打ち込んでいることも判明した。どうも知らぬうちに楽園の時間を過ごしていたようだ。いくら探してもどこにも元のデータが見当たらないので、仕方なくもう一度いちから作り直すこととした。若い頃はこんなことはなかったんだが、歳をとることはいやなことだと思ってしまった。開票後、比較第一党の責任という人が出てきたようだが、自分といっしょの症状が出ているのかなと、、、思うか、思わなかったか……。それは秘密。

 

校訂原稿

2025.07.23 小田康徳

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エコミューズ館長日記No.32

関東地方は今日梅雨が明けたとのこと。大阪の梅雨明けは6月中だった記憶がある。それでもやっぱり梅雨明けは洪水と共に来るのか。何とも言えない、律儀と言えば律儀、調子が狂うと言えば調子が狂う・・・。変な気象かなぁ。これをちょっと575で言うてみたい。

梅雨明けは やはり豪雨と ともにあり

傘持たず 空の晴れ間が 気にかかる  (ちょっとしょうもない陳腐な歌になっちゃった・・・)

午後からエコミューズ定例会議。いろいろ議題はあったが、メインは出版社と結ぶ予定の出版協定案の検討。一冊の値段をいくらにするかが、重要となることを確認。第二に1ページの組み方が詰めすぎると、読む人が苦痛を感じるのではだめ。そうするとページ数が増える。そうするとハンディーではなくなる。そうすると最初の目標が実現しがたくなる。そうすると、どうすればいいのか。うーーん。苦しい判断が求められたなぁ。しかもページ数が増えると定価に影響する。適正な定価はいくらか・・・。悩ましい。ただ、出版協定書は出版業者さんとあおぞら財団とが協力して一冊の本を作成することを確認する面で、社会に対する多大な責任を確認しあうものであるから、どこに出しても恥ずかしくないものにしておきたい。いくらの定価で、なんぼの部数つくればいいのか。たくさん買ってほしい、安くつけたい、という気持ちは強いのだが、たくさんつくったら、たくさん売れ残ったというのでは洒落にはならない。安く作ったら、売れただけ損するということにもなりそうだ。あぁどうしよう。ちゃんとした資料集をちゃんとした本でちゃんと残すという気持ちに悩みはないけれど、現実は簡単ではない。今日は悩みの連絡になりました。

皆さん本が出来たら買ってね☆

定例会の後は、ミナコさんの資料紹介。「西淀川まちづくりプラン(解説)」と、それを地図上に落とした絵図。1991年第一次訴訟の第一審判決が下されるのとほとんど同時に作成された。いろいろ意見を交換するうち、このプランが西淀川区の範囲内でのプランであることに気づいた。そもそも西淀川公害とは、西淀川区内で完結していた公害問題ではなく、隣接する尼崎市や大阪市此花区などと一体となって展開していた問題である。そこを考えると、

この地域の再生プランを、もっと広く考えるべきではなかったか、という考えがむくむくと湧いてきた。ひょっとするとなにか大事なポイントを突いたかもしれない。それはまあ、もう少し楽しみを先にまわして、今日はここまでにしておきたい。

 

2025.7.18 小田康徳

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関大社会安全学部 越山ゼミ フィールドワーク(6/24)

6月24日(火)に、関西大学社会安全学部越山ゼミのみなさんが西淀川区でフィールドワークを行いました。

テーマは「防災」。越山ゼミのみなさんは、卒業研究や「にしよど防災エキスポ」への出展などを通じて、西淀川との関わりを深めてくれています。

西淀川のまちを歩き、防災について“見て・聞いて・考える”フィールドワーク。
越山ゼミの学生たちが、地域の現場でリアルな防災の課題に触れました。

●フィールドワーク

出来島駅に集合し、まち歩きがスタート。
国道43号沿いの交通環境や、地域福祉施設「あおぞら苑」の津波避難ビル指定、防潮鉄扉、大阪マスジド(イスラム教徒の礼拝所)など、西淀川の特性を肌で感じながら巡りました。

公害道路と呼ばれた国道43号で様々な環境対策を確認

西淀川区内の学校は災害時避難所に指定されています。 また、津波避難ビルは100か所以上指定されています

公害の石碑があるあおぞら苑(かつての大気汚染公害裁判を記念したもの)

神崎川の水位と市街地の標高差を比較。 西淀川区内の橋には防潮鉄扉があります

区民の声を反映して作られた大野川緑陰道路 地下には、豪雨時に水を流す「淀の大放水路」が通っています

緑豊かな大野川緑陰道路を通って、区役所5階会議室に到着。

●講義、区役所の防災安全課による備蓄倉庫の見学

 あおぞら財団による講義「西淀川区に迫る災害リスク」を行い、西淀川区役所 防災安全課からは、令和6年能登半島地震での避難所開設支援(輪島市派遣)の経験をもとに被災地や避難所などの状況についてお話していただきました。その後、地下にある備蓄倉庫に見学に行きました。

能登半島地震の被災地の状況についてお話

西淀川区の地下の備蓄倉庫の見学。大阪市内に全部で8か所

非常用トイレの備蓄

●グループワーク

次に、災害体験のエピソードをもとにしたグループワークを行いました。支援が必要な人々(高齢者・障害者・子連れなど)が災害時に経験した状況をもとにしたエピソードを読み、自分ならどう行動するか、社会にどんな備えが必要かを考えました。

災害時には高齢者や障がい者の死亡率が高く、東日本大震災では、亡くなった人の6割以上が60歳以上の高齢者でした。このワークでは災害時要援護者の立場になって防災を考えることを目的としています。

最後は、研修を通しての気づきや西淀川に対する提案をまとめたグループワークを行い、発表で締めくくりました。

学生たちからこんな意見が挙がりました。

気づき:

  • 西淀川は緑が多いが、全体的にもっと街の活気がほしい

  • 標識や避難ビル指定など、住民への防災意識を高める工夫がされている

  • 多文化共生のまちで、イスラム教徒など多様な人々が暮らしている

提案:

  • 災害について正しい知識を得ることが、まずは大切

  • 街の活気を高めることが、人のつながりや災害時の助け合いにもつながる

  • 若者や地域住民が挑戦できる“スタートアップ”の場づくりを

  • 地域の防災力を高める”行政と企業の連携”

  • 多言語対応の標識を増やすなど、多文化共生に配慮した防災施策を

  • 防災の担い手をもっと育てていくべき

最後に越山先生から「課題ごとに対策を考えるだけでなく、学んできた多様な視点を組み合わせることで、より豊かな地域づくりにつながる」というお話がありました。

今回の西淀川でのフィールドワークは、越山ゼミのみなさんの今後のゼミ活動のヒントの一つになっていくのではないかと思います。

是非、今回で得たことを活かして、防災の研究を深めていただけたらと思います。

今後も西淀川をフィールドに、若い世代の視点から新しい防災のアイデアが生まれることを楽しみにしています。

(谷内)

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あおぞら財団では、公害だけでなく、防災、まちづくり等様々なテーマに合わせた学びの場を提供しています。

ご希望に合わせた“オーダーメイド型”のフィールドワークや研修もご提案できます。ぜひお気軽にご相談ください。

西淀川フィールドワーク・団体研修

 

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