あおぞら財団 財団ブログ
公害の歴史Q&A あおぞらイコバ
公害を伝えるための資料整理寄附募集
屋上広告募集
りべら広告募集
Don't go back to the 石炭

    キーワード検索

    アーカイブ

    カテゴリー

    最近の投稿

    最近のコメント

ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

鳥取県立八頭高校 研修受入れ(12/7)

2023年12月7日、鳥取県立八頭高等学校から約40名の学生さんたちが、研修旅行で西淀川を訪れました。
午前中に大阪公立大学の除本理史教授から「環境と経済」の講義を受けた後に、午後からあおぞら財団で1時間ほどの研修を受講しました。

 

前半30分は、①西淀川大気汚染公害の概要とあおぞら財団の設立に関する講義、②西淀川・公害と環境資料館「エコミューズ」 の見学の2つのプログラムを実施しました。20人ずつ2つのグループに分かれて、15分毎に入れ替わりを行いました。

西淀川大気汚染公害についての講義

西淀川大気汚染公害についての講義

エコミューズを見学

エコミューズでは裁判資料などの所蔵品を見学

後半30分は、修学旅行用の大型バスにあおぞら財団スタッフも乗せてもらい、西淀川のまちや工業地帯を見て回りました。
国道43号を経由して尼崎と中島の工業地帯を見て回りながら、車内のマイクを使ってまちの歴史や現状の公害対策についての解説を行いました。

国道43号には「環境対策」の文字が多く見られます

公害道路とよばれた国道43号には、現在、様々な「環境対策」がなされています

中島新橋から工業地帯や大阪のまちを望む

中島新橋から工業地帯や大阪のまちを望む

中島川河口部に見える阪神高速5号湾岸線

中島川河口部に見える阪神高速5号湾岸線

あおぞら財団での研修は1時間弱の間でしたが、西淀川公害の概要や現在の様子について広く知っていただけたかと思います。実りの多い修学旅行となっていれば幸いです。

公害患者たちは、「手渡したいのは青い空」を合言葉に数十年間闘って来られました。そして今日お越しいただいた高校生たちは、清々しい晴れ空のもと修学旅行で学ぶことができました。今を生きる私たちに、青い空を手渡していただけたのかな…と、ふと思いました。

鳥取からはるばるありがとうございました

遠路はるばるありがとうございました

 

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

今回のような修学旅行生の受入れも大歓迎です!

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年12月25日4:11 PM

大阪公立大学「都市基盤計画特論」第2回(12/19)

大阪公立大学大学院の講義「都市基盤計画特論」(吉田長裕先生)の一環で、受講生5名が西淀川をフィールドに学びます。授業では4回にわたって西淀川に来る予定ですが、12月19日にその第2回が開催されました。

 

まずは前回に続いて、フィールドである西淀川のことを知るために、タンデム自転車に乗って大野川緑陰道路を走りました。途中、大野川緑陰道路沿いにあるインフラについて諸所で解説が行われました。
朝はやはり寒かったですが、自転車を漕いでいると次第に体が温まってきました。

(参考:タンデム自転車を使った西淀川フィールドワーク|あおぞら財団の研修・教育のページ

タンデム自転車の乗り方と大野川緑陰道路の歴史についてレクチャー

タンデム自転車の乗り方と大野川緑陰道路の歴史についてレクチャー

大野川緑陰道路の下には洪水を防ぐための排水トンネルがあります(写真右が縦穴)

大野川緑陰道路の下には洪水を防ぐための排水トンネルがあります(写真右が縦穴)

ごみ焼却施設と、その熱を利用した温水プール

ごみ焼却施設と、その熱を利用した温水プール

 

この自転車でのフィールドワークには、中国の環境NGOで活動されている4名も一緒に参加しました。この方々は、「日中環境問題サロン2023(12月17日開催、あおぞら財団主催)」での講演を含め、日本の環境や防災に関する視察・研修をするために日本に来ています。

水防碑の前で水害の歴史について解説した後、淀川河口部へ行って工業地帯や西淀川のまちなみを概観しました。

水防碑の前で合流し、交流しました

留学生の大学院生が通訳をしてくれました

水防碑の裏面には西淀川の水害に関する説明があります

水防碑の裏面には西淀川の水害に関する説明があります

この淀川堤防も都市開発の一部ですね

付け替えられた淀川やこの堤防も治水対策の一環です

 

あおぞらビルに戻ったあと、今後の提案に向けたワークショップが行われました。まずは西淀川区の概要についての講義が行われました。

人口、産業、土地利用などの視点から西淀川を見てみます

人口、産業、土地利用などの視点から西淀川を見てみます

 

その後、これまで得てきた西淀川区の情報をもとに、都市基盤に関する提案を行うためのアイデア出しが行われました。
まずは各自で付箋にアイデアを書いて、全体に発表しました。出てきたアイデアに近いものを書いた人は、同時に発表してもらいました。いくつかのアイデアが出ましたが、特に「人と人が交流できる場や空間」「安全・防災」といったテーマにみなさんの関心が高くなっていました。

意見をすり合わせ、現状の課題や対策案をまとめていきます

意見をすり合わせ、現状の課題や対策案をまとめていきます

 

次回の講義では、市民参加に関するワークショップと、西淀川区役所へのヒアリング調査が予定されています。
様々な視点から地域の課題を捉え、よりよいまちを作るための提案を行う、みなさんの挑戦はまだまだ続きます。

 

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,タンデム自転車,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年12月21日4:43 PM

大阪公立大学「都市基盤計画特論」第1回(12/5)

大阪公立大学大学院の講義「都市基盤計画特論」(吉田長裕先生)の一環で、受講生5名が西淀川をフィールドに学びます。授業では4回にわたって西淀川に来る予定ですが、12月5日にその第1回が開催されました。

今回と次回はフィールドである西淀川のことを知り、体験することが主な目的です。

海外出張中の吉田先生からオンラインで挨拶をいただきました

海外出張中の吉田先生からオンラインで挨拶をしていただきました

 

まずはじめに、フォトランゲージ「西淀川大気汚染公害」を行いました。配られた写真から読み取れる情報について話し合い、その写真にタイトルをつけるというグループワークです。

(参考:フォトランゲージ「西淀川公害」|あおぞら財団の研修・教育のページ

すべての写真にタイトルを付け終えたら、1枚ずつタイトルを発表してもらい、同時に読み取れたことを共有してもらいます。講師からは、その写真は実際にはいつどこで何が撮られたのかの解説を行います。これは正解を目指すものではなく、想像力を膨らませることが目的です。

写真から読み取れることを話し合います

写真から読み取れることを話し合います

写真の背景と当時の状況を解説します

写真の背景と当時の状況を解説します

 

次に、ロールプレイ「あなたのまちで公害が起きたら」に挑戦しました。行政、市民、企業などの役割になりきって、公害問題対策についての合意形成を図ります。

(参考:ロールプレイ「あなたのまちで公害が起きたら」|あおぞら財団の研修・教育のページ

役になりきってロールプレイを行った後、改めて他の立場からの主張に耳を傾けると、いろいろな発見や葛藤が生まれます。
「どうしても少数側に負担を強いるような対策(結論)に至ってしまうことに、もどかしさを感じた」「誰にどう支援してほしいかわからないほどに被害者が追い詰められる」といった感想があがりました。

配役ごとの思いと自分自身の思いが混ざり合います

配役ごとの思いと自分自身の思いが混ざり合います

 

小休憩をはさんだ後、西淀川大気汚染公害の概要についての講義が行われました。被害の発生から裁判の過程、和解から現在の対策までの概要を学びました。

講義風景

講義風景

 

その後は西淀川公害患者と家族の会から、須恵さんと上田さんにお話をしていただきました。須恵さんからは主に当時のまちの様子や慢性気管支炎の苦しみについて、上田さんからは和解や補償および現状の対策などを中心にお話してくださりました。

右から上田さんと須恵さん

右から上田さんと須恵さん

 

実は本来、この日は山下明さんにお話をいただく予定でしたが、心臓の具合が悪くなり入院されることになったため、急遽須恵さんにお話をいただきました。以前は治療法も限られていたために大量のステロイドの投与がなされ、現在、その副作用により心不全が引き起こされています。

今日は奥様である山下晴美さんが駆けつけてくださり、お話をしていただきました。公害被害の実情、および最も近くで一緒に闘ってきた家族の思いについて、強く深く語りかけてくださりました。

山下さんは「私は公害が憎い」と強く語りかけてくださりました。

山下さんは「私は公害が憎い」と強く語りかけてくださりました

 

最後に、今日一日の振り返りを行いました。

印象に残ったこととして、「ロールプレイでは工場側の気持ちもわかりつつ、しかし公害患者さんの実際のお話を聞いて、やはり気持ちが大きく揺れ動いた」「公害は今も続いているということを実感した」といったことがあげられました。

また今度の都市基盤計画を考えるうえで、「今までの環境基準で本当に大丈夫か、という視点を持つ」「例えば交通弱者など、弱い立場の人をいかに作らないかが大切」といった思いがあげられました。

振り返り風景

振り返りの様子

 

次回はタンデム自転車に乗ってフィールドワークを行う予定です。

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年12月13日3:35 PM

環境再生保全機構 研修受入れ(11/16,11/17)

2023年11月16日と17日の2日間、独立行政法人環境保全再生機構の職員等18名が西淀川を研修のために訪れました。

(1日目)

16日の午後から研修がスタートしました。まずはじめにあおぞら財団研究員の谷内より、西淀川大気汚染公害の概要やあおぞら財団の活動についての講義が行われました。

西淀川公害、あおぞら財団についての講義

西淀川公害、あおぞら財団についての講義

続いて、公害患者である岩本さんと須恵さんから、西淀川公害の実態や病気の苦しみなどについてお話していただきました。
お二人のお話に共通していたことは、公害は自身の身体的な被害だけでなく、人付き合いや生活面においての精神的な被害も引き起こすということでした。それでも「未来のこどもたちに綺麗なあおぞらを」との思いで裁判を闘ってこられ、現在は語り部をしてくださっています。特に、お話に登場された岩本さんのお母さんや須恵さんの旦那さんなど、公害患者さんが持つ家族に対する思いに心を打たれました。

お二人のお話の後、西淀川公害患者と家族の会事務局長の上田さんも交えての質疑応答が行われました。上田さんからは主に裁判の経緯について詳しくお話をしていただきました。

左から上田さん、須恵さん、岩本さん

左から上田さん、須恵さん、岩本さん

続いて、西淀川・公害と環境資料館「エコミューズ」 を見学しました。この日は小田康徳館長にも資料の解説をしていただきました。

エコミューズ見学の様子

エコミューズ見学の様子

そして、元神戸製鋼の訴訟担当であり、現在はあおぞら財団の理事を務めておられる山岸さんに、上田さんとの対談形式でお話をしていただきました。

裁判当時の被告企業側の視点や立場、山岸さんと上田さんの出会い、和解に至るまでの経緯など、裁判の最前線にいた2人ならではの貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。上田さんのお話にありましたが、被告企業側に山岸さんのような「なんとかしたい」と考えてくれる人がいたことが、和解につながる大きなポイントでした。

本当に貴重なお話でした

当時を振り返りつつ、真剣な眼差しでお話されていました

 

(2日目)

この日の午前中は、貸切バスでのフィールドワークを行いました。
西淀川公害裁判は「地域再生」で和解を遂げました。まちをめぐりながら、どのような地域再生事業が行われているのか、かつてはどのような状態だったのか、幹線道路や工業地帯と住宅地との距離感など、実際に足を運ぶことで体感できることがたくさんあります。

公害の碑、国道43号、尼崎の工業地帯、西淀川の中島工業団地などを見学した後、「姫里ゲストハウスいこね&くじらカフェ」にてランチを食べました。

公害の碑の解説

公害の碑の解説

国道43号の歴史と大気汚染対策について

国道43号の歴史と大気汚染対策について

車窓からも様々な対策事業を伺うことができます

車窓からも様々な対策事業を伺うことができます

ランチをいただいた後は大野川緑陰道路を歩き、大気常時観測局「歌島橋交差点局」を視察し、あおぞらビルへ戻りました。

昨日に続きエコミューズを訪れ、裁判の際に証拠として使われた資料を閲覧しました。またこの日は資料館別室にも訪れ、裁判に使用されたあらゆる資料を閲覧しました。

資料を守る箱がたくさん並んでいます

資料を保存する箱がたくさん並んでいます

その後3階会議室に戻り、フィールドワークの振り返りを行いました。
「四日市などのコンビナートと比べ、民家のすぐ近くに小さな工場がたくさん建っていた」「昨日患者さんのお話を聞いたうえで、今日は現在進行形で続けられている大気汚染対策事業を実際に見て回ったことで、まだ公害は終わっていないということを再認識した」「和解後に道路連絡会が設置され、国道43号で様々な対策がなされるなど、多様なセクターが多様な対策を行っていることがわかった」といった感想があげられました。

振り返りの後、あおぞら財団理事長である村松弁護士に講演していただきました。
村松弁護士は裁判において原告側の弁護団の一員として活動されてきました。裁判開始当初は企業の共同不法行為責任を問うことが難しいだろうと分析しつつも、「大気汚染の現状をなんとか訴えたい」という患者さんたちの熱意に押され、弁護団として闘いました。患者さんたちと共に歩んできた活動を軸に、裁判の経緯を詳しくお話ししていただきました。

裁判の要点をわかりやすく解説してくださりました

裁判の要点をわかりやすく解説してくださりました

最後に2日間の振り返りを行い、上田さんからまとめの挨拶をいただきました。山岸さんとの対談や村松さんのお話を経て、上田さんも当時の記憶がより鮮明になってきたそうです。研修に来てもらうことで聞き手に記憶を継承でき、またに話し手にとっても大きな学びが得られると話されていました。

非常に密度の濃い2日間でした

研修によって相互に学びが深まります

参加者の皆様からは、「認定患者さんの経験談と被告企業側の立場、双方の意見を聞くことによって公害問題への理解がより一層深まった」「語り部さんのお話を直接聞くこと中に、文字だけでは伝わらないものがあった」といった感想があがりました。
また、「被害者の思いを忘れずに業務に当たりたい」「被告企業側にも被害者に寄り添ってくれる人がいたことで和解につながり、現在は多様なセクターにより環境改善が行われているように、私も多角的な視点や寄り添う心を持ち続けたい」といった展望もあげられました。

同じ被害を繰り返さないため、環境政策の発展のため、公害の経験を継承することが大切です。そして私たち一人ひとりが「公害はまだ終わっていない」という認識を持ち続け、より良い環境づくりに向けた多様なセクターによる協働事業の展開が求められるのではないでしょうか。

 

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年12月4日2:02 PM

関西大学社会学部大門ゼミ 研修受入れ(11/27)

2023年11月17日、関西大学社会学部大門ゼミの3年生等が15名が西淀川を訪れました。

まずはじめに、タンデム自転車に乗って西淀川のまちでフィールドワークを行いました。現在のまちを見て周り地域そのものを体験することは、地域の歴史や文化を学ぶ上で非常に重要です。語り部さんのお話を聞く際にも、当時と現在の対比が想像しやすくなりますね。

あおぞらビルのすぐ前から大野川緑陰道路に入り、タンデム自転車の乗り方を少し練習してからの出発しました。

はじめにタンデム自転車の乗り方について説明を受けます

初めにタンデム自転車の乗り方について説明を受けます

しっかりとメモをとる学生さんたち

しっかりとメモをとる学生さんたち

大野川緑陰道路の紅葉はちょうど見頃です

大野川緑陰道路の紅葉はちょうど見頃です

大野川緑陰道路を西に進み、終点までいくと目の前が淀川の堤防です。工業地帯、西淀川の住宅地、大阪市中心部のビル群、河口の埋立地などを四方に見渡すことができます。

そこから西島の工業地帯を超えて、国道43号沿いにある大気常時観測局「大和田西交差点局」に向かいました。ここで、かつての国道43号、大気汚染公害裁判、和解後の対策事業についての説明を行いました。

工業地域、住宅地、市街地、埋立地を見渡すことができます

堤防から工業地帯を望む

大気常時観測局の前で、現在の対策を解説

大気常時観測局の前で、現在の対策を解説

あおぞらビルに戻ったあと、まずは西淀川の公害とあおぞら財団の設立について講義が行われました。その後、西淀川公害患者と家族の会の矢根さんと上田さんにお話を聞かせていただきました。

概要の講義

西淀川公害の概要について講義

矢根さんと上田さん

矢根さんと上田さん

矢根さんは生野区の出身で、30代の頃に気管支ぜん息を発症されました。当時は大阪市全域で空が曇っており、多くの人々が大気汚染の被害を受けました。その中でも西淀川区は、認定患者さんが最も多い地域です。
発症当時は(世間一般で)大気汚染公害という認識がなく、「風邪の延長かな?」という程度に感じていたそうです。しかし次第に症状が悪化し、発作で倒れての緊急搬送を3度も経験し、その後は後遺症で手足の痺れが残りまともに働くことができない状況に陥ってしまいました。
通院を繰り返す中で患者さんどうしのつながりが生まれ、「手渡したいのは青い空」の思いに共感し裁判を闘ってこられ、今では語り部をしてくださっています。

上田さんからは汚染者負担の原則や共同不法行為、また大気汚染物質の環境基準についてのお話などをしていただきました。

質疑応答も盛り上がりを見せました

質疑応答も盛り上がりました

お話の後、あおぞら財団付属西淀川・公害と環境資料館「エコミューズ」を見学しました。実際に裁判で使われた資料、公害患者さんの手記、当時の小学生の文集などを閲覧しました。

裁判で使われた資料や公害患者さんの手記などを閲覧しました

裁判で使われた資料や公害患者さんの手記などを閲覧しました

最後に振り返りをおこなって、研修は終了となりました。

学生さんたちからは、「公害は健康被害だけでなく人生そのものに被害を与えるという深刻さが、語り部さんのお話からよくわかった」「上田さんたちが被告企業側と信頼関係を築いたことで和解に至ったというお話を聞いて、相手に寄り添うこと、多角的に見る視点の大切さを知った」といった感想が出ました。

小グループで感想を共有し合いました

小グループで感想を共有し合いました

タンデム自転車に乗って現在の地域を体感し、語り部さんのお話や資料館では歴史を知り、2通りの視点で多くのことを学ぶことができました。とても充実した研修となりました。

タンデム自転車を使ったフィールドワークは、必然的にパートナーとの信頼関係が生まれます。アイスブレークにも最適ですので、研修にお越しの際はぜひご利用ください。

IMG_9114

タンデム自転車を使った西淀川フィールドワーク(「あおぞら財団の研修・教育」のページ)

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,タンデム自転車,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年12月1日9:45 AM
« 次のページ前のページ »