1月15日(金)に四日市公害と環境未来館の解説員、語り部養成講座を行いました。
午前は、徒歩とバスを使ってのフィールドワーク(現地研修)、午後からは、あおぞら財団で、西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)の見学をしたあと、語り部の方のお話を聞き、受講したプログラムを振り返り、ワークショップを行いました。
右側後ろが43号線です。
空気を監視する装置はどこ?皆で探します。
43号線は交通量が多く、職員の林さんの話を聞く参加者の方達の後ろでは大型トラックが行き交い、騒音と排気ガスの中でのスタートになりました。
ここでは国土交通省が行う対策、出来島小学校の測定局、汚染軽減の為の白い光媒体塗装、沿道緑化、流入車規制についての話を聞きました。
その後バスに乗り、大阪市西淀川区と隣接する兵庫県尼崎の工場群やあおぞら苑、西淀川の0メートル地帯がわかる場所などを廻りました。
西淀川と尼崎の工場群を廻り比較しました。
遠くに煙が見えます。
環境レーンの大きな看板
バスの中では、43号線の交通量緩和の為に作られた湾岸線や、工場のすぐ側に住宅や学校
が建つ、住工混在の街の風景を熱心に見られていました。
6階の資料庫の見学
エコミューズの見学。パネルなど展示物の説明を受けています。
午後からはあおぞら財団の5階エコミューズと6階資料庫で、保存資料の説明と展示パネルを見学したあとに3階へ移動し、西淀川大気汚染公害について西淀川公害患者と家族の会の永野千代子さんと前田春彦さんを迎え、お話を伺いました。
語り部の永野千代子さん
語り部の前田春彦さん
公害による病気の辛く苦しい事やそれに伴う痛みを、咳込みながら震える声で話される姿にその場に居る全員、一言も聞き逃さないように耳を傾けていました。
その後、林さんから大阪西淀川公害概要講義がありました。
全国の公害地域マップ
公害指定地域がある都道府県はどこ?
質問が飛び交います。
皆さんメモを取りながら熱心に聞かれていました。
最後のワークショップの目的は、解説員として来館者に対応するとき、どのような心がけが必要かを考えるものです。
まずはじめに、午前中のフィールドワークや語り部の方の話、資料館見学など今日のプログラムを振り返りました。その中でお一人おひとりが「もっとも興味を持ったこと、または印象に残ったこと」「理解しにくかったこと、あまり印象に残らなかったこと」を各自書き出し、共有しました。
たとえば、「印象に残ったこと」としては「大気汚染により公害患者になったいきさつがよくわかり、伝えていきたい」「病気のつらさ」「バス見学(時間があれば下車したかった)」「資料を残す必要性(大変)」といったことが挙げられました。
「理解しにくかったこと、あまり印象に残らなかったこと」という質問の部分は、むしろ「もっと知りたいと思ったこと」を書かれた方が多かったです。たとえば「未確認患者がまだ増えている中、集合住宅が増えている→今後の対応」「大気汚染対策」「地盤沈下」「工場と住居の近接」といったことです。
参加者それぞれ注目したところが違います。来館される方の興味も人それぞれでしょうから、伝え方を工夫する必要があることを確認しました。
最後に4~5人のグループにわかれ、解説する際に心がけたいこと、大事にしたいことは何か、を話し合い発表しました。
4~5人にわかれて話し合います。
グループワーク発表です。たくさんの意見がでました。
【四日市研修グループワーク発表】
■解説員として心がけたいこと、工夫したいこと
・全て語ろうとしないほうがいい。情報量が多いと受け止めるのが大変。
・場を察して近づいていく。展示を見ている人にむやみに働きかけると引かれるかも。
・現場に行くことがわかりやすい。展示コーナーでどうやって語るか。
・現場を我々は体験していない。そこを理解しないといけない。
・見に来る人には公害の関係者がいるかもしれないことを想定しておく。
・資料を大切に。
・現場を知っておくことで、語りに説得力が増す。
・よく勉強しないといけない。
・見に来る人の興味に合わせて説明する。双方向で。
・来館者に合わせた解説。自分の得意な来館者は子供達なので難しい言葉を使わない工夫をしている。公害を想像できるように、臭いお魚のことを想像するとか。大人で詳しく知りたい人達には、知識の豊富な解説員さんに対応をお願いしたい。役割分担。チームワーク
・いろいろな人がいるので、映像を見てもらってからのほうがわかりやすいのでは?
私は今回初めて研修の補佐をしましたが、語り部の方のお話を直接生で聞く事ができました。スタッフとして参加していましたが、あまりにも辛い内容なので途中で「もうやめましょう」と止めてしまいそうになってしまいました。今まで、授業や資料で知っていたはずの事でしたが、経験されてきた方の生の言葉に圧倒され衝撃を受けました。本来なら思い出したくない出来事も全て受け止め、前を向き「生きている限りはこの活動を続ける」と語ってくださった言葉に、これから自分には何ができるのか、自分で守れる生活環境をもっと意識したいと思いました。(佐々木)