去る8月7日~23日、徳島県立人権教育啓発推進センター(あいぽーと徳島)で、特別展示「環境汚染がもたらす健康被害、人権侵害 ~人権の視点からの地域再生~」が開催されました。
あいぽーと徳島では、数年前に「水俣病の歴史的経緯と環境の再生に向けた取り組み」を通して「環境問題と人権」を学ぶ特別展示を開催されていて、「他の環境問題についても人権の視点で考えたい」ということで、今回、あおぞら財団にパネル展の依頼をいただきました。
あいぽーと徳島の「展示・交流スペース」で、あおぞら財団のパネル「公害 みんなで力をあわせて」を中心に、「大気汚染問題Q&A」や「大気汚染公害患者の証言」のパネルを追加し、あわせて公害資料館ネットワークの活動を紹介しました。
また、夏休み期間で子どもの利用も多いことから、小学五年生向けにあおぞら財団が作成した視聴覚教材「手渡したいのは青い空 ~未来からのメッセージ~」を展示コーナーで上映しました。
期間中の8月20日、記念講演として「大気汚染公害と人権侵害 -大阪・西淀川公害と裁判―」と題し、あおぞら財団の林が講演しました。
大気汚染問題や公害について、はじめて聞く方にも関心をもってもらえるように、講演の間には「公害クイズ」を交えました。
第1問「環境基本法に規程されている典型7公害とは、大気汚染、水質汚染、土壌汚染、騒音、悪臭、地盤沈下とあとひとつはなんでしょう?」
三択で挙げられた選択肢は「1.放射性物質」「2.アスベスト」「3.振動」です。みなさん、わかりますか?(答えは文末でご紹介します!)
講演では、西淀川公害の概要の解説と、人権の観点から公害患者さんの受けた被害が健康被害に留まらず生活全般に及んだ点についてお伝えしました。
現在の大気汚染問題として知られているPM2.5について、日本での環境基準設定は意外と最近で、2007年の東京大気汚染公害裁判の和解によって約束されたものであると説明。徳島県の発表している大気環境の状況をみると、徳島でもPM2.5が環境基準を上回ることが年に数日あることなどをご紹介すると、「徳島はきれいだと思っていた」と、参加者の方は驚いておられました。
また、大阪府で行われている、排出基準を満たさないトラック・バス等の流入車規制については、多くの参加者がご存知で、大阪府を走れなくなった車が他の地域で走り、大気汚染を引き起こすという問題について話し合いました。
講演には、徳島の一般市民に加え、環境行政に携わる方や、大学で大気汚染公害について調べている学生さんが夏休みを利用して参加してくれました。
講演終了後、個別の質問に来られ、大気汚染問題についての関心の高さを感じました。
公害問題について、環境の観点からだけでなく、人権の観点から見直すことで、新たに関心を持つ人が広がる可能性を感じました。(栗本)
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公害クイズの答え:3.振動
*あおぞら財団では、今回ご紹介した「公害クイズ」をはじめ、公害の参加型教材づくりに取り組んでいます(地球環境基金助成事業)