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1/21 中国環境NPO研修1日目@あおぞら財団

2014年1月21日、中国の環境NPOの方々の研修を受け入れました。

初日の今日は、あおぞら財団で公害患者さんのお話と西淀川公害訴訟と公害反対運動のお話を聞きました。参加者は6名と通訳2名でした。

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和田美頭子さんは、香川県高松市にお生まれになり、その後大阪へ出て来られました。第二次世界大戦のときに一度故郷へ帰られましたが、1948年に結婚のため再び大阪へ出て来られました。

戦後間もない大阪・西淀川は、空も川の水もきれいだったそうです。それが、復興が進み、産業発展を始めた60年代からは、空は黒く、外を歩けば顔がススで汚れ、干していた洗濯物も真っ黒になり、「公害病」「公害患者」という言葉が広まったそうです。

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和田さんご自身は、75年頃からせきが出始め、公害病の検査を勧められましたが、「公害病」と呼ばれることへの抵抗から当初は拒否されていました。その後、77年2月に公害病3級に認定され、患者会へ入会、78年からの訴訟に加わられました。

訴訟に加わるとき、真っ先に金銭面での不安がよぎったそうです。しかし、役員さんたちの「裁判に負けた時は命を投げ出したらいい」という鬼気迫る熱意に心を打たれ、参加を決心されたそうです。

住民の力で環境を良くする運動が大事だという点を和田さんは繰り返し強調されました。

また、和田さんは最近、来日した方応君さんの活動を撮影した中国の水質汚濁に関するドキュメンタリーをご覧になったそうで、「どこの国の人にも、特に子どもたちに苦しみを味わってほしくない!」「なぜ中国政府は日本の公害の経験に学んで対策をとってくれなかったのか!」と涙ながらに感想をおっしゃっている姿が強く印象に残りました。

続いて、患者会の森脇君雄会長と上田敏幸事務局長から、西淀川公害訴訟と公害反対運動の展開についてお話していだきました。

上田さんからは、公害は健康・生活・社会的関係などあらゆるものを破壊するということ、裁判を闘う上で汚染源を特定し、国や企業の責任を証明することが一番苦労したというお話がありました。

この点について、森脇さんから西淀川公害訴訟での疫学調査に関する苦労をお話しいただきました。

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この公害の実態調査という点は、中国の方々が大変興味を持たれました。中国でも工場周辺の住民らの手で公害の実態調査が行われる事例があるそうですが、それがメディアで報道されず、地方行政機関が情報を隠したりすることが多いとのことです。

公害の防止、公害反対運動を行う上で、情報公開が持つ大切さを改めて感じました。森脇さん、上田さんからは、情報が公開されなかったり、隠されたりするのは日本でも同様に起こり得ることであり、市民の健康・命を大切にするルールづくりを行政に求めていくことがとても大切だとのお話がありました。

また、国や地方自治体とNPOとの関係、NPOにできることに関しても質問が出ました。ここでは、国や地方自治体と良好な関係が築けるまで粘り強く話し合いを続け、住民の声をすくい上げるルール作りを求めていくことが大切であること、NPOとしての自主的活動の中で課題を見つけ、それを国や地方自治体に提言していくことが大切であることとの意見が出ました。

国や地方自治体と「緊張感ある良好な関係」を保ちつつ、環境保全・公害防止のために共同で取り組んでいくことが大切であり、そのための日中間での草の根レベルでの経験交流が今まさに求められていると改めて考えさせられました。

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その後、緑陰道路や歌島橋交差点に出て、西淀川の環境再生への取り組み、現在の自動車排ガスの問題について説明をしました。参加者の皆さんは、大型トラックが行き交う様子を興味深く写真におさめておられました。

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また、エコミューズで資料の収集・整理・保存・公開に関する説明をしました。裁判資料をはじめ、公害や公害反対運動に関する資料を保全し、後世に伝えるという点も、日本から学ぶ点が多いという意見が寄せられました。

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深刻な公害とそれを克服するための取り組みを経験した日本には、今まさに公害問題が深刻化している中国をはじめとする国や地域にその経験を伝えるという役割があります。

ただし、日本も決して公害を完全に克服したわけではなく、まだまだ克服すべき課題は多くあります。最も大切なのは、公害や環境に関する現状認識をしっかりと持ち、環境悪化を食い止める取り組みや運動を続けていくことだろうと思います。

中国の方々との交流を通じてそのことを強く感じました。

(藤井)

本事業は環境省委託平成25年度大気汚染経験等情報発信事業の一環です。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年1月23日3:03 PM

2/2 あおぞらイコバ大和田でみせを開催します

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おかげさまで定員になりました。
ありがとうございます!
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2/2日曜日に、西淀川区でイスラム文化を目と耳と口で体験できるイベントを開催します。

イスラム教、イスラム文化は普段なかなか馴染みがないのですが、2010年に大和田に大阪マスジド(モスク)が出来て以来、界隈はイスラム教の方々が集う場所になっています。

マスジドの方やレストランの方のお話を聞きながら、ハラールレストランのランチバイキングを楽しみながら異文化交流してみませんか。

食事のあとにはマスジド(モスク)の見学も予定しています。

お子様連れでの参加も歓迎いたします。
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日 時:2014年2月2日(日) 12:00~14:00

場 所:sitara halal restaurant(シタラハラールレストラン)

大阪市西淀川区大和田4-12-31

定 員:20名 要予約

参加費:1,500円(食事代込・当日徴収)

申 込:あおぞら財団までご連絡下さい

〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階

TEL:06-6475-8885  FAX:06-6478-5885

webmaster@aozora.or.jp

Filed under: イベント案内,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年1月9日5:24 PM

12/27 香港の大学生研修 西淀川公害フィールドワーク

本日は香港中文大学の学生、総勢20名が
西淀川公害フィールドワークにお越しになりました。

賑やかでとても活気のある若者たちです。

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まずは西淀川公害裁判についてのビデオ鑑賞。
英語と中国語の字幕つき。
資料を交えながら解説を。
うなずきながら熱心に聞き入る学生さんたち。

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そして、公害患者さん、平田さんと上田さんのお話。
実際持ち歩いてる吸入器や、気管支の模型も見てもらいました。

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その後、実際に西淀川のまちを歩いていろいろ体感してもらおう、
とのことでしたが
とても寒く今にも雪が降り出しそうな曇天・・・。

なので急遽予定を変更して
歌島橋交差点近辺と大野川緑陰道路で写真やクイズを交え、解説を。

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そしてあおぞら財団にもどり、西淀川・公害と環境資料館エコミューズを見学。
資料館が満員になりました。
日本語の資料ばかりなので、当時の西淀川の写真を見てもらいました。

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最後は
グループに分かれ、
「今日西淀川の公害について学んだことを香港に帰ってからどのように活かせるか」のディスカッションをしてまとめてもらいました。

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発表してもらった意見をご紹介します。

・なぜ香港では署名などの市民活動が実を結ばないのか考えたとき、中国政府の影響や、日々の生活が大変なのでそこまで手が回らない現状がある。

・大学生などが政府と積極的に交渉していくべきだ。

・香港では“環境保全”という授業が大学であるが、多くはない。小学生などもっと早い時期からの教育が必要ではないか。

・香港には工場が少ないので煤煙の問題はないが、隣の広州にはたくさん工場がある。

・自動車の排気ガス問題は深刻なので、個人の自動車を電気自動車に変えていけたらいい。キャンペーンやアピールをして、電気自動車のコスプレをしてパレードをしたい。

・香港でも自然がとても少なくなってきたので、自然を守る努力をする。

質疑応答もとても活発で
みなさん積極的に参加してくれたのが印象的でした。
日本語、英語、中国語が飛び交うフィールドワークでした。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2013年12月27日6:25 PM

龍谷大学政策学部研修受け入れ

2013年11月15日(金)と12月13日(金)と二回にわたって、龍谷大学の清水万由子ゼミの皆さんがエコミューズに来てくれました。
1回目は、患者会の40周年誌を見て、疑問に思った事に答えるというもの。
2回目は、そこから調べてみたい疑問を深めるために、資料室の資料を読むというもの。
「資料を読んでも、ストレートな答えはないかもしれない。それをつなぎ合わせて考えるのよ。」と指導する清水先生。
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真剣に資料を探しています。
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真剣に資料を読み込んでいます。
最後は、資料を読んでわかった事を共有しました。
「企業が悪いだけではない事も見えてきて、誰が悪者かわからなくなった」
なんてコメントも飛び出してきました。
事実は、混沌としていて、簡単にまとめた書籍のようなものではないことが理解してもらえたようでうれしかったです。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2013年12月19日6:42 PM

大阪経済大学フィールドワーク

2013年11月22日(金)

大阪経済大学の柏原誠先生の「経済学部基礎演習Ⅱ」の授業の一環として、1回生の学生さん5名が来られ、フィールドワークを行いました。テーマは、「西淀川の良いところと課題を見つける」。
西淀川のまちは学生さんたちの目にはどのように映るのでしょうか。

西淀川・公害と環境資料館に集合し、自己紹介をしてから今日の流れを確認。
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西淀川の公害と裁判の歴史を知るビデオ映像を観た後、公害患者さんのお話を聞きました。永野千代子さんと、事務局長の上田敏幸さんに来て頂きました。

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みなさん熱心にメモをとりながら、お話に聞き入っていました。実際に体験してこられた語り部さんのお話は、胸に迫ります。
「若い世代に語り継いでいくことが私の仕事」として活動されている語り部さんのお話しぶりに触れ、学生さんからも、西淀川の当時の様子や生活のこと、地域の産業についてなど、たくさん質問が出ていました。

その後、まちにフィールドワークへ。いいお天気の中、自転車に乗ってめぐりました。

まずは、デイサービスセンターあおぞら苑へ。
利用者さんにインタビューを行いました。生まれた場所や、西淀川にいつから住んでおられるか、西淀川の好きなところ・困ったところ/嫌いなところをそれぞれ聞き取り。
最初は、インタビューシートを見ながら緊張した面持ちで聞いていた学生さんたちも、だんだんお話に夢中になっていました。
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戦時中の体験や西淀川で仕事をしてこられたお話など、いきいきと語られる利用者さんたちと、ニコニコ耳を傾けている学生さんたちの表情が印象的でした。

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「もっと早く来たらよかったのに~!」と、利用者さんも名残惜しそうでしたが、お別れのご挨拶をして、次は公害医療の原点である千北診療所へ。

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それから、出来島小学校へ。大気汚染の原因となる物質の測定器が設置されている様子を見ました。

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小学校に面している国道43号線の様子も観察。「トラックが多い」「道路のすぐ傍に集合住宅がある」など、率直な感想がたくさん出てきました。
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空気の臭い、交通量の多さ、騒音…など、眼で耳で鼻で、体いっぱいに感じたようです。

西淀川高校前では、NO2(主な大気汚染の原因になっている物質)測定カプセルの説明も聞きました。
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その後、学生さんたちの「行きたい!」という声もあり、矢倉海岸へ行くことに。
夕日に向かって走る!絵になりますね~。
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水鳥がたくさんやってくる生物多様性豊かな海岸の様子に、故郷の干潟のことを思い出し、語り始める学生さんも。西淀川のまち歩きを通して、自分の育ったまちのことを思えるなんて、すてきですね。
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夕日をバックに、記念撮影。(お顔が見えないですが。。。)

美しい風景を味わった後、工場排水による汚染で埋め立てられ今は市民の憩いの場になっている大野川緑陰道路を通って、あおぞら財団へ戻りました。

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最後に、みんなで西淀川の良いところと課題を出し合い、感想をシェアしました。
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「川がきれいだった」「人が親切」「工業が発展している」
「トラックや車の交通量が多い」「呼吸がしにくい」
他にも、「走ってる車のナンバーは他府県のものが多かった」「公害の面だけでなく、自然豊かなところをアピールしていったらいいのでは」といった感想もありました。

みなさん1回生とは思えないほど、いろいろな気づきやアイデアも提示してくださり、とてもたのもしかったです。
大学に戻ってからは、今日のフィールドワークをふまえて、自分の住むまちのことをレポートにまとめるそうです。
これからのそれぞれのフィールドでの活躍が楽しみな学生さんたちでした。またぜひ西淀川に遊びにきてくださいね!

(吉田)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2013年12月17日5:45 PM
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