環境省職員の「環境問題史現地研修」2日目報告です。現地に足を運んで、自らのからだで西淀川を感じるフィールドワークです。
朝9時30分、貸切バスに乗り、西淀川フィールドワークが始まりました。最初は介護施設あおぞら苑に到着。大気汚染訴訟の和解金の一部から資金提供を受けてあおぞら苑を開設したというお話を、あおぞら苑代表辰巳さんから伺いました。
そして43号高架下に、国土交通省大阪事務所から43号線及びその大気浄化対策に関する説明を伺いました。大気汚染訴訟の和解を受けて、西淀川では様々な道路環境対策がなされています。国道43号には、光触媒の道路施設への塗布や高活性化炭素繊維ACFによる大気の浄化、大気汚染測定局の増設、PM2.5の早期の測定開始などの対策がなされています。
次に43号を通って尼崎に行き、尼崎工業地域や西淀川区の中島工業団地の実態が皆さんの目で確認されました。
最後に西淀川に戻り、現在町の状態に関して、あおぞら財団藤江は「ごみ焼却場など迷惑施設は、どんどん端っこに寄って来た」と説明しました。
お昼には古民家の姫里ゲストハウスいこねで昼食休憩をとり、徒歩で大野川緑陰道路経由あおぞら財団に戻りました。
次は資料館の見学です。あおぞらビルには西淀川公害や公害裁判に係る書類資料を所蔵しています。5階の西淀川公害と環境資料館(愛称:エコミューズ)には、公害や西淀川公害に関する書籍や文献のほか、西淀川公害の写真資料も保存されています。写真を通じて直に公害当時の状況を知ることができます。
6階に、西淀川公害訴訟に関する資料が保存されています。弁護士資料から個人の陳述も保存されており、デジタル化を行っていますが、紙媒体はそれならではないの力が持っていることから、スペースが不足しつつあります。しかし、廃棄は考えずに保管を工夫しているとあおぞら財団藤江が語りました。
次に元神戸製鋼訴訟担当、あおぞら財団理事山下公夫さんから、「西淀川大気汚染公害訴訟を企業サイドからみる」の講演がされました。訴訟の経歴者の話なので、皆さんも興味津々、証人探しの工夫、主張の「文明論」の内容など質問が相次ぎ出てきました。
最後に2日間の学びの振り返りに関するワークショップが行なわれました。公害経験の伝承オンライン資料館やSNSの活用といったアドバイス、補助制度は現代的な在り方にアップデートすべきといった行政の反省、環境省は市民と行政の間の組織であるので話を聞くスキルを磨かねばといった決心など、今回の研修で得られた今後の心構えや提案などが発表されました。
研修が短い2日間でしたが、日本そして世界未来の環境の舵の一端を握っている環境省の方々にいささかの助けになると願っています。
(記:あおぞら財団アルバイト王)