あおぞら財団 財団ブログ
公害の歴史Q&A あおぞらイコバ
公害を伝えるための資料整理寄附募集
屋上広告募集
りべら広告募集
Don't go back to the 石炭

    キーワード検索

    アーカイブ

    カテゴリー

    最近の投稿

    最近のコメント

ブログカテゴリー » 環境学習

大阪公立大学 地盤沈下フィールドワーク(6/23)

6月23日(金)に大阪公立大学の遠藤崇浩教授が大学院生とともに、授業の一環として「地盤沈下」をテーマとして、西淀川にフィールドワークに来られました。

最初に、西淀川の地盤沈下や災害について30分ほどお話させていただきました。

西淀川区は「新田開発」と「埋め立て工事」により、現在の地形となりました。西淀川区全域が工業地として発展し、地下水を工業用水として利用することにより、大規模な地盤沈下が起こりました。百島の計測値を見ますと、累積沈下量が240cmに達しています。そのため、ひとたび水害が起こると、浸水被害が甚大になります。昭和35年頃(1960年頃)には、地盤沈下により海中に工場が放棄されているということもあったそうです。

お話の後、西淀川区全域をタクシーでまわり現地踏査を行いました。

 

IMG_1581

佃防災船着場(大阪市佃ふれあい公園) 水上輸送ルートを利用して、災害時に必要物資の運 搬や救急・救命活動を行う。

 

IMG_1582

防潮鉄扉。台風や津波などの「いざというとき」に閉鎖することで「堤防の一部」となり、水害を防ぐ。

 

IMG_1586

外島保養院記念碑。1934年、室戸台風の直撃により、193人の尊い命が奪われました。毎年9月に犠牲者追悼行事が行われています。

 

IMG_1594

神崎川の水面よりも住宅地が低い様子が見て取れます。

 

IMG_1605

地盤沈下により、住宅地の一階は道路よりも下にあります。

 

3時間にわたるフィールドワークにより、地盤沈下の状況や災害の痕跡、災害対策などの状況やを現地で体感してもらうことができました。遠藤教授は、「標高図などで西淀川区の概況は見ていたのですが、堤防の高さ、地面の傾斜、道の狭さなどはやはり実際に現地を訪問しないと腑に落ちません」との感想を寄せてくださいました。

あおぞら財団では、大気汚染を中心とするフィールドワークの受入をしており、今回のように「地盤沈下」に特化したフィールドワークは初めてです。西淀川では水質汚染、地盤沈下、道路公害、騒音・振動など典型7公害のすべての被害が発生しました。今回の西淀川の「地盤沈下フィールドワーク」を通して、改めて西淀川の地盤沈下の状況について学ぶことができる貴重な機会となりました。


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年7月3日4:15 PM

【動画】谷智恵子弁護士インタビュー「裁判を動かすのは実際の真実の姿」

西淀川大気汚染公害について学びたい方、深く知りたい方向けに、西淀川公害に関わった方々のインタビュー動画を作成しています。

第1弾は西淀川公害訴訟弁護団の一員であった谷智恵子弁護士。

谷弁護士は「被害班」として、裁判所で西淀川公害の深刻で広範な被害の実態を明らかにしました。裁判を動かすためにどのような思いで被害を明らかにしていたのか、また公害裁判の意味について語ります。

〇リンク先、所要時間

youtubeでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=y0sY4hL-h7k

約9分

※動画はインタビューの一部分です。全容は下記のサイトから読むことができます。https://aozora.or.jp/kougai_lecture/tool/oral_history/

 

【西淀川公害裁判とは】 1960年代から日本全国で大気汚染公害によって、多くの人が健康被害を受けました。大阪の中心部に近い西淀川区の被害は甚大で、累計7000人を超える人が公害病になりました。西淀川区には尼崎と此花・堺の大工場の煙が西淀川に集まり、道路を通過する大型ディーゼル車の排気ガスとの複合大気汚染となりました。その責任を問う西淀川公害裁判(1978~1998)は、企業10社、国、阪神高速道路公団を被告に、公害患者726人が原告となった大規模裁判でした。

【谷智恵子弁護士 略歴】 1947(昭和22)年生まれ。大阪市出身。1978(昭和53)年4月に弁護士登録し、同年4月18日に提訴された西淀川公害裁判に関わる。その後、泉南アスベスト裁判、住友金属男女差別裁判等に関わる。

映像協力 岸本景子

制作・著作 公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)

※この動画は地球環境基金の助成を受けて作成しています。

 

Filed under: イベント案内,環境学習,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 1:57 PM

淀協の新人研修に講師として参加しました(4/4)

報告が遅くなりましたが、4月4日、淀川勤労者厚生協会の新人研修にあおぞら財団の谷内が講師として参加しました。
淀川勤労厚生協会とは、西淀病院や診療所の他、介護施設を運営する法人で、今回の研修は今年度から各施設で働く方々を対象としたものです。今年は32名の方が参加されました。

前半はグループに分かれてワークショップを行いました
最初に、西淀川公害の写真をみて、写された状況や撮影者の視点、考えを読みとる〈フォトランゲージ〉を行いました。その後、様々な立場から公害の解決を考える<ロールプレイ「あなたの町で公害が起きたら」>を実施し、自分の街に公害が起こった場合を体験し、立場が違う人同士で問題の解決を目指す難しさを感じてもらいました。

IMG_9443

写真から読み取ったものを言語化するフォトランゲージ

 

IMG_9447

お芝居で公害を体験する「あなたの町で公害が起きたら」

ワークショップの後は、『西淀川の公害の歴史と住み続けられるまちづくり』をテーマに、谷内から講義を行いました。過去にどのような甚大な大気汚染が起こったのか、そして公害患者がどのような公害反対運動を行い、公害で疲弊した地域を再生したいとの思いからあおぞら財団が設立されたというお話をしました。

最後には、公害患者の須恵佐與子さん、西淀川公害患者と家族の会事務局長の上田敏幸さんに公害の被害についてお話していただきました。須恵さんは、一晩で子どもが育てていたアサガオが一晩にして枯れたり(1969年永大石油事件)当時の大気汚染が甚大な被害をもたらしていたこと、大気汚染の被害を受けた後も旦那さんの仕事のために引っ越しができなかったこと、公害病がご自身の仕事にもたらした影響などをお話しました。聞いていた方々からは公害病の症状や当時の様子などに対して質問がありました。

IMG_9465

公害患者の須恵さんのお話

 

今回の研修に参加された方からは下記のような感想をもらいました。
・ロールプレイをすることで、あまり考えたことのない立場の人がどう考えるのか考える機会になってよかった。
・ロールプレイを通して、いろんな立場から合意をとることの難しさを知ることができた。
・大気汚染公害とたたかってきた人々の苦労、苦しみを学べる機会は少ないので、オリエンテーションの中で聞けるのはとても良いと思った。
・実際に被害者の話を聞いて、当時の怖さ、苦しさ、後遺症などを知ることができたので、一人一人に寄り添い思いをくみとっていくことが大事だと思った。

淀協は、西淀川を含めたこの地域の医療や介護を担う大切な機関です。西淀川公害について学んでいただいたことが、今後の医療や介護の現場で活かされ、公害患者を始めたとした地域の方々に寄り添う医療・介護につながることを期待しています。

 

—-

あおぞら財団ではESD(持続可能な開発のための教育)の視点から、未来を考えるために対話的な学びの場をコーディネートします。 研修に関しては下記のページをご覧ください。

https://aozora.or.jp/kougai_lecture/edu/

(記録:谷内)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2023年6月16日2:01 PM

あおぞら財団の研修・教育のページを新たに作りました

あおぞら財団では、「公害の経験から学び、未来を創る市民を育てる」研修・教育を実施しています。

あおぞら財団の研修・教育の概要がわかるページを新たに作成しました。

公害教育をはじめとして、気候変動や防災などに関する教材もまとめています。

ダウンロードできる教材も多数ありますので、教育や研修にご活用ください。

https://aozora.or.jp/kougai_lecture/

kensyu_top

「あおぞら財団の研修・教育のページ」のページは、2021・2022年度地球環境基金の助成で作成しました。

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習 — aozorafoundation 公開日 2023年6月5日5:30 PM

春の探鳥会の報告(4/16)

4月16日(日)に矢倉海岸・緑陰道路 探鳥会を開催しました。今回から野鳥の会大阪支部との共催ということで、参加者は全部で34人(野鳥の会会員22人、リーダー、スタッフ含)です。今回から日本野鳥の会大阪支部と共催となりましたので、野鳥の会の会員の方が多数参加しました(日本野鳥の会大阪支部のブログはこちら)。春は冬鳥が北の繁殖地へ渡り、夏鳥は南から渡っていくほか、シギやチドリ等の旅鳥も観察できる季節です。

大野川緑陰道路では地面を移動する野鳥を観察できました。リーダーによると、鳥の歩き方には「ウォーキング」と「ホッピング」の2種類があるそうです。大型の鳥や水鳥の多くは、人間と同じように足を交互に動かして「ウォーキング」します。その一方で、スズメなどの小さな鳥や樹上性の鳥は両脚をそろえて跳ねるように「ホッピング」して移動します。ツグミ、カラスなどは「ウォーキング」と「ホッピング」の両方を使います。鳥の歩き方に着目して野鳥を観察してみるのも面白いですね。

大野川緑陰道路を歩く参加者

リーダーの解説を聞きながら、緑陰道路を通って矢倉緑地を目指します

ウォーキングするムクドリ(留鳥)

淀川で鳥を観察。風が強かった!

福の舟溜まりにはオカヨシガモ、ヒドリガモ、カルガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモといったカモを多数観察できました。

IMG_0836

福の舟溜まりのカモたち

また、この日はミサゴをよく観察できました。鉄塔にいる個体の他に、青空を大きくホバリングする姿も見れました。ホバリングとははばたきによって体を支え空中の1点にとまるような飛び方です。

鉄塔のミサゴ。白い頭が見えます。

空を飛翔するミサゴ

ホバリングするミサゴ。鉄塔とは別の個体

樹木にとまっているツグミ

樹木に止まっているツグミ(冬鳥)

矢倉緑地では干潟を観察。いつもならシギやチドリ等の旅鳥が観察できるところですが、残念ながら風が強いため波が打ち寄せていたためかシギやチドリは見れませんでした。代わりにカモやオオバンを観察することができました。

IMG_7532

神崎川を観察

最後はチェックシートで鳥合わせを行いました。リーダーから鳴き声を含めて観察できた鳥をチェックしていきます。この日は全部25種類。シギ・チドリなど期待していた野鳥は観察できませんでしたが、多くの鳥が観察できました。

野鳥は「自然保護のものさし」と言われるように環境による影響を強く受けます。公害が深刻な時代には野鳥もほとんど観察できませんでしたが、現在は恒常的に多数の種類の野鳥を観察できます。ですが、現在も気候変動や廃プラスチック汚染など野鳥の環境を脅かす要素はたくさんあります。野鳥の観察を継続して、環境の状況を見守り続けていきたいと思います。

是非、次の探鳥会には一緒に野鳥を観察しましょう!

観察種数 25種
オカヨシガモ、ヒドリガモ、カルガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、キジバト、カワウ、オオバン、ミサゴ、チョウゲンボウ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ツバメ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、コムクドリ、ツグミ、イソヒヨドリ、スズメ、ハクセキレイ、カワラヒワ、ドバト

(記:谷内)


次回 2023年8月26日(土)予定
集合時間9:30 阪神なんば線福駅
解散12:30
矢倉緑地公園愛鳥家の方も、鳥初心者の人も、親子のみなさんも、いろんな方が楽しめる探鳥会です。夏休み明け8月の探鳥会。是非子どもさんの参加もお待ちしています。

2023BirdWatching2

2023年度探鳥会チラシ(pdf)はこちら

■あおぞら財団のこれまでの探鳥会の紹介はコチラ
https://aozora.or.jp/katsudou/manabu/tanchoukai
■日本野鳥の会大阪支部の矢倉海岸探鳥会の記録はコチラ
https://wbsjosaka.com/008-teirei-report/02-yagura/2018-report/report/index-resp.html
============================
■主催(問合先)
公益財団法人 公害地域再生センター(あおぞら財団)
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1丁目1番1号あおぞらビル4階
(Tel) 06-6475-8885 (Fax) 06-6478-5885
電子メール:webmaster[at]aozora.or.jp([at]を@に変えてください)
https://aozora.or.jp/

■共催
日本野鳥の会 大阪支部
〒543-0011 大阪府大阪市天王寺区清水谷町6-16
https://wbsjosaka.com/

※2023年度 西淀川区と民間企業等との共創に関する提案事業として、西淀川区と連携しながら実施しています。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,矢倉海岸探鳥会 — aozorafoundation 公開日 2023年4月18日3:29 PM
« 次のページ前のページ »