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ブログカテゴリー » イベント報告・ホームページ更新

1/17(金)楽らく呼吸会(姫島診療所)でCOPD(慢性閉塞性肺疾患)について勉強しました!

続けて更新します。

2014年1月17日(金)、姫島診療所で楽らく呼吸会を行いました。今回は西淀病院の理学療法士の榎田さんと田中さんを講師に迎え、COPDについての勉強と呼吸リハビリを行いました。参加者は16人(内、患者さん11名(家族の方を含む)、理学療法士2名、看護師1名、スタッフ2名)でした。

 いつもの部屋いっぱいに人が集い、寒い時期ですが、にぎやかで熱気に満ちた呼吸会となりました!

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今日のテーマは、呼吸器の病気であるCOPDについてです。Chronic(慢性) Obstructive(閉塞性) Pulmonary(肺) Disease(疾患)の略で、呼吸機能が低下し、息がしにくくなっていく病気です。
→詳しくは、前回のブログをご覧ください。

COPDの原因の8~9割はタバコが原因。
「だからって、今さら禁煙しても何か変わるの?」と思う人もいるかもしれません。けれど、下のグラフからわかるように、高齢になってからタバコをやめても、肺機能の低下を防ぎ症状をゆるやかにすることはできるのです。

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COPD-jp.com 肺の病気COPD(慢性閉塞性肺疾患)総合情報サイトより引用

 それを聞いて、たしかに禁煙して症状がよくなった、と自分の体験を話してくださる参加者もいました。
受動喫煙の側面もあるため、周囲の家族の理解も必要、というお話もありました。

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また、COPDを重症化させない方法としては、運動も大切です。運動を続けることで、体力が上がり、持久力もつき、食欲がアップする…というように、良い循環がつくられます。ただし、落とし穴として、運動をがんばりすぎると、肉離れやぎっくり腰などのケガにつながったり、転倒する可能性もあるので注意が必要です。3日運動して、1日休む…というふうに、無理のない自分のペールを見つけて運動を続けていくようにしましょう!

お話を聞いた後は、呼吸リハビリを行いました。
「口すぼめ呼吸」も定着してきた様子で、腹式呼吸もみなさん上手にされていました。次に、肩と首まわりの筋肉をほぐします。

肩を上げたり下げたり…

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首を倒したり…

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腕を前に回すときは肩甲骨あたりの背中の筋肉を、後ろに回すときは、胸の前の筋肉を意識して伸ばします。それぞれ5回ずつセットでやってみました。体がぬくもってきたら、ほぐれている証拠です!

そして、「バンザイ」のポーズもいいそうです。手を上げるのがしんどい人は、頭の後ろで手を組んで広げます。これだったら、寝たままの姿勢で、夜寝る前のちょっとした時間にすることができますね。

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おなじみの「シェー」のポーズもやりました。腹斜筋といって、咳をするときに使うろっ骨の間の筋肉がほぐれます。「シェー」と口に出すと、息を吐きながらできるので、さらにいいということです。

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運動やストレッチの後は、クールダウンの時間も大切です。最後に、深呼吸をして終えました。 

そして、今後この呼吸会でやってみたいこと、について意見を出し合いました。あたたかくなったらみんなで外に出かけたいなあ、と話される方が多かったです。普段はひとりでなかなかできないことも、呼吸会に来たらみんなで一緒にできる、というのが大事でまたなにより楽しいことなのだと思います。春が待ち遠しいですね!

開催後のアンケートでは、11人中10人が今回の講習は【分かりやすかった】と答えています。また、11人中3人が呼吸リハビリなどの運動を【毎日している】、2人が【2・3日に一度ぐらい】と答えています。「体がかるく成った様に思います」という感想や、「近場を歩きたい 皆でなら歩きたい」「暖かくなったら、外での呼吸会楽しみにしています」といった声もありました。

少しでも興味がある方は是非、各診療所に足を運んで楽らく呼吸会にご参加ください!

■次回予定  ~お問い合わせはあおぞら財団まで~
薬剤師の方をお招きして、薬について勉強します。現在使っているお薬の種類や名前がわかるものをお持ちいただくと、よりわかりやすいです。
・のざと診療所…2月14日(金) 14:00~15:30(薬について)
・千北診療所……3月27日(木) 14:00~15:30(薬について)
・姫島診療所……3月28日(金) 14:30~16:00(薬について)

本事業は独立行政法人環境再生保全機構の公害健康被害予防事業の一環として実施しています。

ぜん息・COPD予防等情報発信事業に係る「COPD患者等のQOLの向上のための呼吸リハビリテーションの普及及び地域ネットワークの構築事業(大阪ブロック)」

吉田

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境保健 — aozorafoundation 公開日 2014年2月25日10:17 AM

1/16(木)楽らく呼吸会(千北診療所)でCOPD(慢性閉塞性肺疾患)について勉強しました!

こんにちは!

2014年1月16日(木)、千北診療所で楽らく呼吸会を行いました。今回は西淀病院の理学療法士の田中さんと笹本さんを講師に迎え、COPDについての勉強と呼吸リハビリを行いました。参加者は10人(内、患者さん6名、理学療法士2名、スタッフ2名)でした。

新年を迎えて初めての呼吸会。馴染みの方々同士、「今年もよろしく!」と挨拶を交わしながら、2カ月ぶりにまた元気に呼吸会で顔を合わせられたことを笑顔で確認しあっているようでした。

前半は、田中さんによる講義。COPD の基礎知識を学びました。

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COPDとは、慢性閉塞性肺疾患のこと。肺に慢性的な炎症が起こることで空気の通りが悪くなり、ちょっとした動作で息切れがしたり、頻繁にせきやたんがたくさん出たりして、呼吸困難を招きます。主な症状は、「息切れ」「せき」「たん」などですが、病気であると自覚されにくく、見過ごされてしまいがちなので注意が必要です。
(参考:日本医師会 COPDを知っていますか?) 

また、COPDは“タバコ病”とも言われ、喫煙が最大の原因です。「ご自身や、身近に喫煙している人はいますか?」との投げかけに、喫煙習慣のあるご家族のことを話される方も。症状に自覚がないので、病院に行くことをすすめても聞く耳を持たない、ということでとても心配されていました。さらに、喫煙は周りの人にも影響を及ぼしてしまうため、「家族の力を借りて禁煙に取り組むことも一つの方法」と田中さん。みなさん、うんうん、とうなずきながら、自分の経験と重ねあわせてお話を聞いている様子でした。

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そして、CDPDの症状を悪化させないためには、適度な運動を行うことが効果的です。「運動しよう!」と思うとどうしても肩に力が入って継続しにくくなってしまいますが、あえて運動をするのではなく、日常生活の動作の中で、意識して体を動かすのがいいということです。自転車をゆっくりこいでしばらく休む、という動作を繰り返したり、歩行器を利用して歩いたり…日常の中で、無理のない範囲での運動が大切ですね!

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後半は、笹本さんによる呼吸リハビリの時間。

まずは腹式呼吸をしました。お腹に手を当てて、口をすぼめながら息をすると、やりやすいです。

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息を吸う時間よりも、吐く時間を長くすることがポイントです。

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胸や肩、腰など、体全体が肺を動かすための大切な筋肉です。肩の上げ下げ、首を左右に倒す→まわす、肩をまわす、体を左右にねじる…などのストレッチも行いました。

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(座ったままでもOKです!)

肩甲骨の横のところの筋肉を意識してほぐしたり…

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深呼吸をして胸の前の筋肉もほぐしたり…

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自分のペースで、気がついたときにやる、「ゆっくり○○回する」など決めてやるといい、ということです。みなさん、お互いにがんばろうね、と声をかけあっておられました。

今回、なんとか時間に間に合いました!と、この呼吸会に参加するために予定を調整して、ご飯も食べずに来られた方もいらっしゃいました。この楽らく呼吸会が、参加している方たちにとって大切な日常の場になっているのだなと、あらためて感じました。

開催後のアンケートでは、6人中6人が今回の講習は【分かりやすかった】と答えています。また、6人中3人が呼吸リハビリなどの運動を【毎日している】、1人が【2・3日に一度ぐらい】と答えています。その他に「少しは楽になったかな」「今後も頻繁に行って欲しいです」「呼吸会はたのしんでます」といった感想がありました。

 少しでも興味がある方は是非、各診療所に足を運んで楽らく呼吸会にご参加ください!

 
■次回予定  ~お問い合わせはあおぞら財団まで~
薬剤師の方をお招きして、薬について勉強します。現在使っているお薬の種類や名前がわかるものをお持ちいただくと、よりわかりやすいです。
・のざと診療所…2月14日(金) 14:00~15:30(薬について)
・千北診療所……3月27日(木) 14:00~15:30(薬について)
・姫島診療所……3月28日(金) 14:30~16:00(薬について)

 本事業は独立行政法人環境再生保全機構の公害健康被害予防事業の一環として実施しています。

ぜん息・COPD予防等情報発信事業に係る「COPD患者等のQOLの向上のための呼吸リハビリテーションの普及及び地域ネットワークの構築事業(大阪ブロック)」

吉田

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境保健 — aozorafoundation 公開日 10:14 AM

2/21 東京学芸大学の研修を受け入れました(2日目)

東京学芸大学研修西淀川公害フィールドワークの2日目が2月21日(金)に行われました。

2日目は大野川緑陰道路を歩きました。学生たちは、以前どのような風景だったのか写真で見ると同じ所で撮られた写真だとは信じられない表情を浮かべ驚いていました。周りの音に耳をすましたところ、緑陰道路沿いには工場が多くあることが見えてきました。車の音や飛行機の音、ファンの音が聞こえてきました。

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大和田小学校の側を通る時に書かれていた海面から-1.8mの表示に学生はとても驚いた表情を浮かべて、その文字を見つめている姿が目立ちました。西淀川では、工業化の影響で地盤沈下が進んでおり、いざという時に逃げなければならない状況にあります。

千北診療所では公害病認定2級でもある酒井美代子さんにお話を伺いました。酒井さんは診察をする前に話をする時間を頂き、酒井さんに病気になった当時、どのような生活環境だったかなどの話を伺いました。酒井さんは昭和41年に認定されており、現在も吸入や点滴をしに毎日病院へと来ているそうです。夫婦でぜん息などの症状が出ており、他にも薬の副作用もあり、今も息苦しくて階段がしんどいなど具体的な話をして下さいました。学生さんは時折メモを取りながらも真剣な表情で酒井さんを見て話を聞いていました。「体調が悪かった人がいましたか?」という質問には自分よりも年上の方に多く、酒井さんは若い方だったという話をされていました。他にも「車や工場に対して現在どう思っているのか?」という質問に「住みよい町にして欲しい。でも、もう元には戻らないだろう。」という話をされ質問した学生さんも難しい表情を浮かべていました。ですが、最後に住んでて良かったと言う言葉に笑顔を浮かべていました。

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デイサービスあおぞら苑では、入所している方を話をしながら昼食を取りました。輪になっている所に入れて頂き、色々な方と話をしていきました。公害の患者さんでもある方や、戦争を体験した方、一人暮らしの方など色々な立場色々な思いを抱えた方との話に学生さんはわきあいあいとした様子で昼食を取っていました。学生さんと色々な話が出来たことで、とても表情が和らいでる方がとても目立ちました。学生の方も笑顔が溢れていました。

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昼食後、出来島小学校測定局でクイズ形式で国交省の対策について何をしたのかと言う話をすると、率先して考えている横で咳をしたり「くさいなぁ」と声を漏らす学生さんもいました。初めて私も43号線に立ちましたが、強烈な匂いが漂い近くに小学校があるというのは衝撃的でした。昔に比べ良くなったとしても慣れるべきにおいではないという感想を抱いてしまいました。

地盤沈下の状況をバスの中から眺め、あおぞら財団に戻って患者会の会長をしている森脇君雄さんから話をして頂きました。一日目から森脇さんの話が出ていたので、学生さんは食い入るように話を聞いていました。いかに患者会を割れずに一つにまとめあげて行くか、自分たち被害者団体が主体となり公害反対運動を自分たちで進めて行く大切さを語ってくださりました。患者会に入りやすいのは、他の地域とは全く異なり、それが西淀川の公害反対運動が1つにまとまり上手くいった部分でもあるのでしょう。

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その後、思ったことを共有することになると1日目の話になると学生さんからは複雑な思いを抱え、それが昇華出来ていない様子が伺えました。「自分はどうなのか」と書いた学生さんは山岸さんは働いている人としての話ではありましたが、個人としてどう思っているのか自分がどう思っているのかまで踏み込めないので「どう思うか」と話していました。「すみません、give upです。」と書かれた学生さんは自分の至らない点について限界を感じていたようです。相手の立場から現在の考え方価値観になるまでのプロセスが理解できず、また受け入れられない自分に対して苛立ちを感じているようでもありました。「国」と捉えた学生さんは日本の国のあり方であったり、国策を感じたという言葉が印象的でした。

今日の感想になると一転して「あたたかい」や「笑顔」「スッキリ」などのポジティブな印象が見受けられました。そこには今日話をした方々の印象であったり、色んな方が話してくれる内容や表情が大きく左右されていたようです。ですが、中には素直に「くさい」と書かれた学生さんもいたりととても直感で感じてる方が多かったです。

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東京から来た学生さんと2日目だけですが、フィールドワークのスタッフをしていて多少疲れている様子もありましたが、多くのものを見て興味関心がとても感じられました。その中で西淀川を歩き、大きな道路沿いや高速の下を通りながら音やにおいがとても気になるなと思いました。騒音や大気汚染、地盤沈下などの問題を抱えながらどのように向き合えばいいのかと思うと、やはり今回のように多くの人に知ってもらうのが一番なのだろうと思いました。その想いをこれからどう時分の中で形にしていくかというのは私の課題でもあるなと、初心に帰る思いをしました。

(松ヶ平)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年2月24日1:54 PM

2/20 東京学芸大学の研修を受け入れました(1日目)

2014年2月20~21日、東京学芸大学・原子栄一郎ゼミ(環境教育)の研修を受け入れました。

初日の20日は、西淀川公害訴訟の被告企業の1つであった神戸製鋼所の方からのお話を聞き、工場の見学を行いました。

午前は、神戸製鋼所で長らく公害訴訟に関わられた山岸公夫さんからお話を伺いました。

山岸さんは、1969年に神戸製鋼所に入社され、事務職を経た後、長らく法務・法規関係の仕事に携われました。1983年には公害訴訟の会社側責任者となり、87年には法規室長に就任されました。その後、監査の業務に移られ、神戸製鋼所退職後、現在は石光商事の監査役を務めておられます。なお、山岸さんは昨年よりあおぞら財団の監事も務めてくださっています。

お話は、ゼミの学生さんたちが事前に用意した質問に答える形で進められました。

訴訟になった当時の会社側の加害に対する認識として、山岸さんは、大気汚染があるということ、その被害者がいるということはわかっていた。しかし、裁判でも主張したように、工場から排出される煙と健康被害との因果関係が証明されない限り、会社側の責任を問うことはできないという認識だったとおっしゃられました。

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この点は、西淀川のような大気汚染訴訟の難しさに関わります。

原因企業と原因物質が比較的明確な「四大公害病」とは違い、大気汚染は広範囲からの煙によるもので、原因企業も特定されにくいという特徴を持っていました。各企業が独自に操業する中で排出される煙に対して、どのように責任を追及するかが、訴訟の大きなポイントとなりました。

また、山岸さんは、会社側には、正当な行為、つまり様々な生産活動の延長として結果的に煙が排出されているという意識もあったとおっしゃられました。

1950年代後半~70年代前半の日本の高度経済成長は、鉄鋼業部門に代表される重化学工業の著しい発展によってもたらされ、それによって国民の生活水準は急速に向上しました。

神戸製鋼所をはじめ、西淀川公害訴訟の被告企業も戦後の日本経済のけん引役となっていました。

山岸さんのお話は、日本の高度経済成長がもたらした「光」と「影」の部分を、会社側の立場から指摘してくださったものだと思います。

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この点と関わって大事だと思ったのは、山岸さんが「時間軸」の中で問題を考えることの大切さを強調されたことです。

公害防止に関する法整備や社会全体の意識が高まっている現代の感覚や価値観で、過去の行為を間違っていると糾弾するのは違和感を覚える。そのような法制度も社会認識も乏しかったという時代背景をふまえて、公害の問題を考えなければならないと山岸さんはおっしゃられました。

公害とそれに関わる訴訟は、被害者個人や家族、患者団体、原告団、弁護団、原因企業、国・行政など、様々な主体が関わる複雑な問題であり、また長期間にわたるまさしく「歴史」の問題です。

こうした複雑な過去の問題について考え、評価するには、それぞれの立場を理解し、また当時の社会状況に想像力を働かせ、その時代に生きた人たちの立場で問題考え、評価する必要があります。

環境の大切さや公害の防止について学んできた学生さんにとって、山岸さんの話は「会社側の論理」によるもので、自分たちの考え方とは異なるものだったのではないかと思います。

しかし、この問題を様々な立場から、そして長い「時間軸」の中で考える必要があるということを学ぶことで、より深い次元で環境・公害問題について考えるきっかけとなったのではないでしょうか。

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また、山岸さんは、様々な課題や困難を乗り越え、組織を維持し、長期間にわたる裁判で和解解決を勝ち取った西淀川の患者会、原告団のみなさんに敬意を表されていました。企業側との誠実で粘り強い信頼関係の構築、話し合いの継続の先に、和解解決があるのだと改めて感じました。

午後からは、灘浜サイエンススクエアに移動し、神戸製鋼所の企業活動と、2002年から運転が開始された神鋼神戸発電所についての説明を受けました。

灘浜サイエンススクエアは、地域との交流を目的とし、科学技術の面白さを学べる体験型展示や映像展示がある施設です。

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神鋼神戸発電所は、IPP(独立系発電事業者)として、全国のIPP発電の約2割にあたる140万kWを発電しています。これは、神戸市の夏の電力需要がピークの時期の約7割をカバーするものだそうです。

お話の後、発電所内を見学しました。

ボイラ・タービン建屋の中では、発電のしくみや、防音壁の設置など周辺への環境対策について説明を受けました。建屋屋上からは、神戸の街と近接した「都市型発電所」を実感することができました。

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発電所見学後は、再び神戸製鋼所の方から環境経営に関する説明を受け、その後、質疑応答に移りました。

学生さんからは、中国にも進出している神戸製鋼所が、現地でどのような企業活動を行い、環境問題で貢献しているのか。公害訴訟で被告企業となった事実を今どのように考え、会社内外でどのように教育・広報しているのかといった質問が出されました。

神戸出身の学生さんからは、「神鋼は神戸に根付いた企業で、市民にとっての誇りであると思っているが、広報資料や今日の話でも『公害』の文字が一切出てこないのはとても残念だ」という意見も出されました。

神戸製鋼所の方からは、自社を含め、日本の企業には環境に配慮した高い技術力があり、それらを中国をはじめ各国に伝えることで貢献していきたい。現在も、企業内教育として、環境に関する研修やウェブテストを実施しており、それらを継続的に受けることで社員にも「環境を守らねば」という意識が生まれているとお答えいただきました。

おそらく、社員の立場として答えにくい質問が多かったと思いますが、とても誠実に答えてくださいました。

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神戸製鋼所は、西淀川公害訴訟の被告企業の中では唯一あおぞら財団の会員になってくださっています。「過去の反省」の上に立ち、公害の経験と高い技術力をアジア・世界に伝えていっていただければと思います。

山岸さん、神戸製鋼所のみなさん、当日はありがとうございました!

(藤井)

2/15 医療従事者向け ぜん息・COPD患者の呼吸ケア・リハビリテーション講習会を開催しました

2014年2月15日(土)、西淀病院リハビリ室にて、医療従事者向け ぜん息・COPD患者の呼吸ケア・リハビリテーション講習会を開催しました(主催(公財)公害地域再生センター(あおぞら財団))。
参加者は理学療法士、作業療法士、医師、看護師、保健師などスタッフも合わせて約30名でした。
(前々回(2013.2.17)の講習会の様子はコチラ、前回(2014.7.21)の講習会の様子はコチラをご覧ください。)

今回は、金尾顕郎さん(森ノ宮医療大学 理学療法学科長)を講師にお招きし、前半に講義、後半に実技の時間を持ちました。
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■[講座]放っておけない肺の病気COPD
・COPDの疫学
・COPDについて
・COPDの治療体系
・運動療法

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COPDは、タバコの煙を主とする有害物質を長期吸入することにより生じる肺の疾患です。喫煙後数十年を経て喫煙者の15~20%に現れるとされています。タバコによる肺の変化が顕著に分かる写真や、ヨーロッパでのタバコのパッケージに書かれてあるメッセージの紹介により、いかにタバコが身体に悪影響を及ぼすものであるかの説明がありました。また、COPDによる肺の変化の仕組みについても学びました。

治療に関しては、まず禁煙することが第一です。そして、呼吸リハビリテーション(患者教育・運動療法・栄養管理)の重要性もあらためて確認しました。具体的な写真や動画を交えながら、また、ユーモアたっぷりの例え話やお話ぶりに、「とてもわかりやすかった!」という声があちこちからあがっていました。

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■[実技]呼吸をらくにするこんな工夫 -呼吸介助法を中心に-
・姿勢と呼吸
・呼吸を楽にする皮膚刺激法
・呼吸介助法

「運動を支配しているのは姿勢」というほど姿勢は重要だというお話を聞いた後、頸部と体幹について実験しました。参加者全員で、それぞれ体を曲げて床に手がつくかどうかやってみました。手がつかない人も、顎の筋肉をほぐすと…さっきより手が届きやすくなりました。

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体幹について考えるとき、まずは舌・顎関節から、ということです。例として、プロバスケットボール選手が試合中に舌を出して動作している写真を見せていただき、なるほど!とみなさん納得。食事前に舌を動かし刺激することで食事を摂りやすくなることもあるということで、舌の重要性についてお話を聞きました。

呼吸介助をする前段階として、まず、何人かの方の呼吸パターンを見てみました。上部と下部の胸の上に丸めたティッシュを置いて、呼吸時の動きを目で確認し、どんなパターンがあるかをチェックしました。

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それから胸郭に手を軽く置き、どこが一番膨らんでいるか、膨らみ方を見て、胸郭を動かしていきます。皮膚を動かさずに、胸郭だけを動かすようにします。

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説明を聞いた後、実際にやってみました。いろいろなポイントを聞きながら、実際に目で見て、体で覚えようと、みなさん熱心に取り組んでいました。

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いよいよ呼吸介助の実践です。

<呼吸介助法の5つの原則>
1)触れるときは、動く方向に
2)触れるときは、手掌全体が同圧
3)動く方向に介助
4)動かすときは、同圧、同速
5)もどるときは、無圧で

このポイントを意識しながら、「あくまで呼吸のお手伝いをする。吸う邪魔はしない」というイメージでやってみました。
「介助する人は腰に力を入れて、お辞儀をする様な姿勢で近づいて行い、患者さんの体に力をかけないように」「手のひらはぺったり張り付ける」「三次元に動かす」など具体的なアドバイスもありました。

次に、体を横にした姿勢と座位での呼吸介助をおこないました。

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片側からの介助の方法
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胸と背中を挟むような形での介助の方法(両手を水平にすることがポイント)

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上から下へ押します。

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そして、痰(たん)の出し方についても聞きました。さまざまな方法がある中で、痰が溜まっている部位に手を当てて圧迫するスクイージングという方法をやってみました。

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実技の締めくくりとして、参加者全員で、呼吸介助をする側・される側を交替で、何回かローテーションでまわりました。介助をされた人は、介助した人に感想やアドバイスなどを伝えます。実際に患者さんの呼吸介助をする時のように、いろいろな人の胸郭を触って実践を重ねました。現場での取り組みに直結する、とても学びの多い時間になりました。

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最後の質疑応答では、
訪問看護師さんから、実際にかかわっている患者さんに、少しでも楽に呼吸をしてもらうにはどうしたらいいか、という質問がありました。

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長年病気と向き合っている患者さんだと特に、リハビリや運動に対して前向きな気持ちを持つのは難しくなりがちですが、「本人が努力しなくても呼吸が楽になる方法」を考えてみるといいでしょう、というお話が金尾先生からありました。例えば、「新しい介助法を学んだので試してみていいですか?」と言って、ベッドから違う場所まで動いてもらって呼吸介助を行ったり、折り紙を一緒に折って楽しみながら取り組んだり。声かけも工夫し、それをやるとどうなるのか、結果が見えやすいものを提案し、また、患者さんがやってみたい、楽しいと思えることに取り組むのもいいでしょう、ということでした。その患者さんが何を求めているのかを見つめ、考えながらやっていくことの大切さが語られました。

終了後のアンケートでは、
「COPDの病態を見直す良い機会となりました。」
「実技では実際に援助するだけでなく、患者側の体験もできたので分かりやすくいい経験になりました。」
「呼吸介助のタッチのやり方の難しさ、人によって胸郭の動きに違いがあり、しっかり評価することの大切さを再認識しました。」といった感想がありました。

今後、呼吸ケア・リハビリに関して、特に介助法などの実技を学ぶ講習会の開催を望む声もたくさん寄せられました。

以上

本事業は独立行政法人環境再生保全機構の公害健康被害予防事業の一環として実施しています。

ぜん息・COPD予防等情報発信事業に係る「COPD患者等のQOLの向上のための呼吸リハビリテーションの普及及び地域ネットワークの構築事業(大阪ブロック)」

吉田

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境保健 — aozorafoundation 公開日 11:43 AM
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