7月3日にあおぞら財団の3階にて、「公害教育」を行っている大阪府立西淀川高等学校の門谷充男さんをお招きして報告会を行いました。
今回は長年にわたり、環境や公害の授業を行っている西淀川高校の取り組みについて話をしていただきました。
西淀川高校は1978年に設立をされ、公害の街でもあった西淀川の再生の象徴として「緑」がスクールカラーとなっている学校です。
その西淀川高校には教員によって組まれた環境委員会が主体となって、現在も西淀川高校ではさまざまな環境や公害に関する取り組みを行っているそうです。
西淀川高校では「現代社会」の4単位の内、2単位が「環境授業」という形で必修となっていたそうです。現在でも学校設定教科という形で「環境」の授業が必修科目となっています。
そこでは「四大公害」、「水問題」、「西淀川公害」、また「原発や戦争の問題」などさまざまな問題について授業で扱っていると門谷さんは話してくれました。
自分たちから遠い問題から身近な問題まで、授業で習っていくそうです。
その中には農作業や近くにある保育所と一緒に野菜を植えたり、花を育てたりする中で生徒さんたちも柔らかい表情を浮かべたり変化が表れてきたそうです。
下水処理場の見学や、矢倉海岸でのフィールドワーク、あおぞら財団や患者会から公害患者さんの話を聞くなどして、積極的に公害問題・環境問題の授業実践を行っているそうです。
また、西淀川高校は「エコ・コミュニケーション部」通称エコ部という部活動が活動しています。エコ部では菜の花プロジェクトなどの活動を行っています。
菜の花プロジェクトでは西淀川高校にある菜の花畑の手入れをしたり、廃油キャンドルにしたりといった活動を行い、西淀川高校では人数の多い部活となっているそうです!
こういった取り組みを行う中で、西淀川公害のことを知らなかった子たちが多かったのだと門谷さんは話していました。
高校になると西淀川以外の区や市から来ている生徒さんも多いそうです。そうした場合、知らない生徒さんが多いのは仕方ありませんが、やはり西淀川で育っていても知らなかった生徒さんも多かったそうです。
門谷さんは「西淀川公害を含め、過去の問題ではないから知っておく必要があります。」と話していました。
そうして、身の回りのことから考えていくということが必要であり、西淀川高校に「環境」という授業があるのだと言っておられました。
ですが、現在は「環境」を担任する教員の育成、教員内での教科としての問題意識の共有をどうしていくかなどの課題も抱えているとのことでした。
前回小学校での授業実践報告会では小学校の授業をどう行ったのかをお話いただきましたが、高校でのまた違った切り口での取り組みを聞けて良かったです。
あおぞら財団と西淀川高校は交流が深いのですが、改めてこうして高校の先生から直接どのような授業をしているか聞けたのはとても新鮮なことでした。
西淀川高校で公害や環境の授業が行われていることは、西淀川という地域においてとても大切なことだなと改めて実感しました。
(松ヶ平)