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追手門学院大学社会学部2年生 研修受入れ(11/11)

2023年11月11日、追手門学院大学社会学部の2年生11名が、藤吉圭二先生の引率のもと西淀川を訪れました。
今後、自分のテーマを探していく前に、深刻な大気汚染問題があった現場を歩き、生の声を聴くことが目的です。

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出来島駅に集合し、行程を確認して出発しました

出来島駅に集合して行程を確認した後、まずは国道43号の出来島小学校前へ向かいました。
西淀川区を縦断する国道43号はかつて、排気ガスによる大気汚染と悪臭や、大型車による騒音と振動が深刻で、「公害道路」とも呼ばれるほどでした。西淀川公害裁判の和解後は西淀川道路連絡会が設置され、車線の削減や光触媒の塗布など様々な公害対策がとられてきました。

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光触媒が塗られた白い壁や遮音壁など、様々な対策が見られます

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出来島小学校の大気常時測定局(自動車排出ガス測定局)

 

その後はあおぞら苑の前にある石碑、神崎川の防潮鉄扉、千北診療所、大阪マスジドを訪問し、大野川緑陰道路を歩いてあおぞらビルへ向かいました。

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地盤沈下のため海抜0m地帯が多い西淀川を守る防潮鉄扉

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多くの公害患者を支えてきた千北診療所

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大野川緑陰道路の地下には放水路があります

あおぞらビルに到着したら、エコミューズにて「フォトランゲージ 西淀川公害」に挑戦しました。大気汚染がひどかった頃の写真から情報を読み取り、その写真にタイトルを付けるというワークショップです。
フォトランゲージを終えた後、エコミューズを見学しました。

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当時の状況について想像を膨らませます

次に3階の会議室へ移動し、西淀川公害患者と家族の会の山下明さんと上田さんにお話を聞かせていただきました。
山下さんは大分県臼杵市から集団就職で大阪に来られ、結婚を機に西淀川に住まわれるようになりました。1969年ごろからぜん息の発作がひどくなり、その後公害病の認定を受けました。「空気のきれいな田舎でわんぱくに育ってきたから、まさか大阪でぜん息になるとは思っていなかった」とおっしゃられていました。ぜん息の発作で眠れず朝まで点滴を打ちながら、子育てのために仕事は休めず、自分はどうなってしまうのかと不安でいっぱいだったそうです。
裁判のために仕事を休むと白い目で見られ、被告側の弁護士にひどいことを言われ、それでも「自分達は苦しくても、子どもたちにはなんとかきれいな空気を吸わせてやりたい」と強く願い、闘って来られました。

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山下さんの熱い思いが伝わってきました

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熱心に山下さんのお話に聞き入ります

お話を聞いた後、振り返りを行なって研修は終了となりました。その際、藤吉先生が学生さんたちに言われた言葉がとても印象的でした。

「社会学ではしばしば当たり前を疑おうと言いますが、これは実はなかなか難しいです。それでも明るい空のもと見学できた今日と、昼間でもライトをつけて車が走っていた50年前で当た
り前の違いを感じることができます。今の当たり前を考えるのに過去を知ることがとても参考になります。」

時代は変わりましたが、新たな環境問題も発生しつつあります。公害患者さんたちが闘って来られたように、私たちもよりよい環境や社会をつくるために動き続けなければいけない、と改めて感じることができました。

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年11月20日4:40 PM

エコミューズ企画展「昔の西淀川区の川と水辺の風景 ~大野川と中島大水道~」みてアート2023に参加(11/4-5)

11/4-5に開催された今年の「みてアート2023」に、あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)として参加しました。
「みてアート」は、アートをきっかけに地域で交流しようと始まったイベントで、あおぞら財団で事務局をつとめてきました。

エコミューズでは「昔の西淀川区の川と水辺の風景 ~大野川と中島大水道~」と題して、大野川や大野川と接続していた中島大水道、そしてそれらが埋め立てられたことでできた大野川緑陰道路沿いの風景を中心に、西淀川区一円の「水辺の風景」に関する資料を、写真資料を中心に展示しました。
複数の方々から財団にご提供・ご寄贈いただいた資料をもとに、今となっては想像しにくいような、水辺が今以上に身近だった頃の西淀川の風景と、それがどう変化していったのかをイメージする手助けとなるような展示をめざしました。

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2日間で約310人が来館し、西淀川区在住だった方からは、展示された写真が撮影された頃の様子をお教えいただいたこともありました。

西淀川地域のこと、公害のことを考え、今の地域や暮らしを見直すきっかけになれば幸いです。

みてアート
http://miteart.blogspot.com/

(記:是澤)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2023年11月17日6:40 PM

【タンデム】10/14「インクルーシブ・サイクリング体験会2023」が開催

※「大阪でタンデム自転車を楽しむ会」の記事の転載です。

10/14、京都市右京区の西京極総合運動公園にて、「インクルーシブ・サイクリング体験会2023」が開催されました。
当会から貸し出したタンデム自転車やハンドサイクルも大活躍でした!

主催:京都市
運営協力:CCSP(市民自転車学校プロジェクト)

※あおぞら財団は「大阪でタンデム自転車を楽しむ会」の事務局です。

タンデム自転車のレンタルをおこなっています。詳しくは下記連絡先まで。
大阪でタンデム自転車を楽しむ会
【HP】http://www.tandem-osaka.com/
【FB】http://www.facebook.com/osaka.tandem
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階(あおぞら財団内)
TEL:06-6475-8885 FAX:06-6478-5885
webmaster[at]aozora.or.jp([at]を@に変えてください)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,タンデム自転車 — aozorafoundation 公開日 2023年11月13日1:32 PM

佃中学生が職業体験に来ました(2023/11/9-10)

11月9日、10日の2日間にかけて、佃中学校2年生の3人が、あおぞら財団に職業体験に来ました。

中学校の職業体験は、コロナ禍の間は実施されていなかったので、4年ぶりの職業体験です。

1日目の午前中はりべらの発送作業を一緒にしてもらいました。3人で手際よく分担して手伝ってくれました。患者会の方がお二人ボランティアに来てくれていましたので、みんなでお話もしながら作業ができて、交流ができました。

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りべらの発送作業の手伝いの様子

その後、西淀川公害についてのビデオを観てもらい、タンデム自転車の試乗をしました。

秋晴れ日和の中、大野川緑陰道路を通って、矢倉緑地まで行きました。最初はタンデム自転車に慣れずにふらついていましたが、途中からは楽しく乗れていたようです。

矢倉緑地に初めて来た生徒さんもいて、景色の美しさに感動していました。(下記の写真のキャプションは中学生たちに考えてもらいました)

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秋の緑陰道路

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きれいな淀川

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空がきれい

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きれいな矢倉緑地

2日目は廃油回収の作業とブログ作成、午後からは楽らく呼吸会に参加しました。廃油回収は地域の方が持ってきてくれた食用廃油を一斗缶にまとめてもらいました。

楽らく呼吸会では患者さんの一緒に、作業療法士さんのお話をお聞きした後、呼吸リハビリ体操、体力測定を行いました。患者さんも中学生が一緒に参加したことで、いつもと少し違った雰囲気を楽しんでおられました。

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廃油をまとめる作業

 

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楽らく呼吸会で呼吸筋ストレッチ体操

 

最後に職場体験をした中学生の、活動レポートと感想を紹介します。

1日目はちらし入れをしました。忙しかったけど疲れました。多くて大変でした。終わったら博多通りもんをもらいました。美味しかったです。
次はタンデム自転車に乗りました。不安だったけど慣れました。海の近くまでいきました。海がきれいで、楽しかったです。夕日がきれいだったので素晴らしい冒険でした。
2日目は廃油作業にしました。難しかったけど疲れました。忙しい時もあったけど、やりとげました。(S)

 

タンデム自転車は、少し練習すれば問題なく走行できるので、とても気持ち良かったです。
坂も息を合わせば簡単に登れたのでとても楽でした。
廃油作業は大変だったけどこれで人々のためになっているので、とても頑張れました。(A)

 

2年生で職業体験学習に行きました。場所は、あおぞら財団です。最初は、面倒くさいと思っていたけど、実際に来たら、楽しくて面白いと思いました。1日目は、中国人の王さんに中国語を教えてもらいました。約350枚のパンフレット入れ作業をしました。30年前のビデオを見ました。休憩時間に、博多通りもんと温かいお茶を頂きました。とても美味しかったです。お昼休憩が1時間あり、お弁当を食べました。午後から、タンデム自転車に乗りました。1日目の感想は、疲れたけど楽しかったです。そして、虫が多かったです。タンデム自転車はみんなで乗ったら楽しかったです。2日目は、廃油作業をしました。あと、とても疲れました。(F)

 

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,職場体験実習(中学生) — aozorafoundation 公開日 2023年11月10日3:21 PM

西淀川公害=資料の紹介(6)はじめて西淀川区民の健康被害を本格報道

※機関誌りべらで連載をしている所蔵資料紹介コーナーの転載記事です(りべら163号より転載)。

– – – – –

ここに紹介する新聞記事は、『大阪新聞』1967年(昭和42)9月6日付。公害による西淀川区民の健康被害を報道したもっとも早い時期の記事と考えられる。この年4月に西淀中学校に赴任してきた荒木芳太郎校長は、学校の鉄板をボロボロに腐食させている大気汚染に驚き、各種の調査を行なった。そのなかに新聞などのスクラップ集があったが、この記事は、その中に綴じられていたものである。

319_148_〔大阪新聞切抜〕「よそごとでない大阪の空~~」_page-0001

西淀中学校資料NO.148
昭和42年9月6日付 大阪新聞

記事は「よそごとでない 大阪の空」と見出しが打たれている。それは、この年9月に四日市ゼンソクで知られる四日市公害の被害者が裁判に訴えたことを知った記者が西淀川区の状況を改めて取材した成果であった。

「うちの学校では生徒に深呼吸をさせられない。深呼吸すれば、ゴミとばい煙を吸わせるからだ」というのが秋元実保健主事の話を聞いた上での記事の書き出しであった。この話に続いては、幼児期にゼンソクで苦しみ、やせ細っていくばかりであった体験を持つ中学1年生の不安、胸部の精密検査を必要とする生徒が増える一方の状況、市内平均よりもうんと狭い平均胸囲、60パーセントがばい煙によるとみられる慢性結膜炎の広がり、昨年から自衛手段として虚弱児クラスを編成したことなど、そのすさまじさが次々と記されていく。

さらに汚染は、香簔地区における電気炉操業に伴う煙害、酉島地区の真っ黒いススの降下などが記され、大和田小学校付近における亜硫酸ガスの濃度0.83PPMを超える汚染の記録、それに車の排気ガスなどがあり、通行中に昏倒した市民が出たとか、吐き気で真っ青になった児童の例などが紹介されている。

スクラップされた新聞の中からは、このような記事が出始めるとともに、西淀川区内の学校関係者からは、先に挙げた荒木校長とか、秋元実保健主事など、自覚的な人物が出始めてくる。公害を仕方がないとあきらめるのでなく、立ち向かおうとする人物と世論が形成され始めたのである。西淀川公害も、ようやく市民が活動する時期に入っていく。

エコミューズ館長 小田康徳

 

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