2016年11月17日(木)に千北診療所で、11月18日(金)には姫島診療所で楽らく呼吸会を開催しました。千北診療所では理学療法士の石本愛さん、姫島診療所では榎田八千代さんを講師に迎え(いずれの方も西淀病院に所属)、呼吸リハビリと体力測定を行いました。参加者は千北診療所で10人(内、患者さん7名、理学療法士1名、看護師1名、スタッフ2名)、姫島診療所で8人(内、患者さん5名、理学療法士1名、看護師1名、スタッフ1名)でした。
まずは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんの状態について説明がありました。呼吸する際には横隔膜を動かしますが、横隔膜を動かしているのも筋肉です。筋肉は使っていないとどんどんやせていってしまいます。筋肉には無意識で使っているものと頑張って使うものがありますが、呼吸などで無意識で使っている筋肉が衰えてしまうと腹筋などを使って頑張って呼吸しなければなりません。ですので、体操などをして筋肉を維持していくことはCOPDの患者さんにとって大事なことです。理学療法士さんは、比喩や豆知識などを盛り込んだわかりやすい説明をしてくださり、みんなで呼吸リハビリの重要性について確認しました。
お話を聞いた後は、体力測定です。体力測定を継続しておこなうことで、自分の体の具合を確認したり、日頃の運動について見つめなおす機会にもなります。
①握力測定(手の筋力を測る=体全体の筋力を見る)
呼吸リハビリでなぜ握力を測るのが大事なのかと不思議に思いましたが、握力測定は物を握る力だけではなく全身の概ねの筋力を測ることができるそうです。
握力の測定
「握るのは苦手」と仰られる方もいましたが、どの方も少しでもよい結果を出そうと気合をいれてがんばっておられました。
②30秒椅子立ち上がりテスト(手と足の体力を測る=歩くときに関わる体力を見る)
このテストでは、30秒間の間に椅子からの立ち座りを何回繰り返しできるのかを測定します。これによって、高価な機械を使わずとも簡単に歩くときに関わる筋力を測定することができます。筋力の低下は運動しない不活発な生活につながりやすく、息切れなどの症状の悪化に繋がってしまいます。
立ち上がりに不安がある方はこのテストを行いませんでしたが、テストを受けられた方は、自分のベストの結果を出そうと真剣に取り組んでおられました。
30秒間椅子立ち上がりテスト
③COPDアセスメントテスト(CAT)(息切れの度合いを見る)
CATとは、COPDの患者さんを簡便に評価する質問票です。「いつも咳が出ている」「坂や階段を上ると、非常に息切れがする」といった8項目を6段階で回答して、最後に点数化します。このCATで呼吸困難の程度を把握し、治療方針の決定に役立てることがことができます。
体力測定の後は、呼吸体操をみんなでおこないました。口すぼめ呼吸をしたり、胸を張って胸の筋肉をのばしたり、かかと上げや片膝を伸ばす運動をしたり。呼吸の動きと呼吸に関わる全身の筋肉の動きを整える事で、息切れを減らし体力をつける事ができます。
両腕をあげる体操を行いました
膝を伸ばす体操をしました。
呼吸体操は立ってでも座りながらでもできます。体調に合わせて実施できるので、毎日の生活に取り入れやすそうです。また、どうしても体調が悪い時は療養するのも大事ですが、2日以上連続して休むと筋力が衰えてしまうので、必要以上に休むのは厳禁だそうです。
最後に、作業療法士の石本愛さん考案の呼吸リハカレンダーの案を紹介しました。このカレンダーは、呼吸体操などCOPDに関連する情報をチェックできる上、一日の歩数や体操した日を書き込むことができるような工夫がされています。参加者の方からは「早く印刷して配ってね!」と期待の声が寄せられました。
次回のテーマは「禁煙」です。タバコを喫煙されている方、まわりでタバコを吸っている方がいたら、ぜひご一緒にご参加ください。また、タバコは自分に関係がないと思っておられる方でも、タバコの害を知っていただくことで、一緒に禁煙の動きを広げていただけたらと思います。
■次回予定 ~お問い合わせはあおぞら財団まで~
・のざと診療所…12月9日(金) 14:00~15:30(禁煙について)
・千北診療所……1月19日(木) 14:00~15:30(禁煙について)
・姫島診療所……1月20日(金)1月12日(木)に変更になりました 14:30~16:00(禁煙について)
■参考
(独)環境再生保全機構:「日常生活を考慮した運動療法」、ぜん息などの情報館
本事業は独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進事業(NPO法人等との協働事業)」の一環として実施しています。
谷内