3/12(金)に楽らく呼吸会を開催しました。今回は前半は「薬について」、後半は「ぜん息・COPDのための呼吸を楽にする呼吸筋ストレッチ教室(主催:環境再生保全機構)」への参加です。参加者は全部で9人です(スタッフ2人、講師1人を含む)。
○前半:薬について
前半は、あおぞら薬局の薬剤師の森脇さんが講師で、「薬について」みんなで学びました。今回も感染症対策として、あおぞら薬局とグリーンルームをオンラインでつないでの開催となりました。
今回のお話は、ぜん息やCOPDの治療の概要と吸入薬についてです。
ぜん息の治療薬は、長期管理薬と増悪時治療薬の2つに分けることができます。この治療薬の中には、吸入薬を霧状にし、直接気管支に届けるための吸入器を用いるものがあります。ぜん息患者さんは吸入は日常的に行なっているものだと思いますが、我流のやり方になると、薬が口の中に止まって気管に届かないと、薬が効果を発揮しません。
今回は下記の動画を見ながら、吸入の正しいやり方を学びました。コツは舌を下げたまま、頭の中で「ホー」の発音をするイメージです。
動画:「吸入時のベストな舌の位置「ホー吸入」 Ver.2」(日本喘息学会 吸入操作ビデオ)
また、新しいぜん息の治療薬として、抗体製剤(生物学的製剤)についても紹介してたいだきました。
抗体製剤は、気道炎症を引き起こす原因物質だけをターゲットにする注射剤 で、現在、日本で使用できるのはゾレア、ファセンラ、ヌーカラ、デュピクセントの4種類で、それぞれ標的とする相手が違います。中~高用量の吸入ステロイドに他のお薬を追加しても症状が落ち着かない重 症喘息の患者さんに使用を考慮するそうです。投与間隔が2〜8週間と長く、内服ステロイドの使用量を低減することができます。ただ、非常に高価な薬であることと、適応しない患者さんもいるので、事前に検査した上で患者さんと医師が相談して総合的に判断することになります。
時間がいつもより1時間と短かったため、質疑応答の時間は取れなかったのですが、吸入の仕方やぜん息の治療薬について改めて学ぶことができて充実した時間になりました。
○後半:ぜん息・COPDのための呼吸を楽にする呼吸筋ストレッチ教室(主催:環境再生保全機構)
後半は、「ぜん息・COPDのための呼吸を楽にする呼吸筋ストレッチ教室」にオンラインで参加しました。
最初に、複十字病院の千住秀明先生から講演「COPD等の病態と呼吸筋ストレッチ」を聴きました。肺の役割や動きを動画を交えながら説明していただいた後、ぜん息やCOPD等の疾患の特徴、そして呼吸筋ストレッチ体操の効果についてお話してもらいました。
千住先生のお話の中で印象に残っているのは、肺自体には筋肉がないので、自らふくらんだり、縮んだりすることはできないということです。筋肉がない肺でどうやって呼吸をしているのかというと肺の周りの筋肉や横隔膜の力を借りて吸ったり吐いたりしています。ですので、肺自体を鍛えることはできませんが、呼吸筋を鍛えることによって呼吸を楽にすることができ、生活の質も向上させることができます。
先生のお話の後、いくつかのグループに分かれて、理学療法士さんの指導を受けながら、呼吸筋ストレッチを行いました。椅子に座りながら、首や肩、胸、背中のストレッチを行いました。呼吸筋ストレッチのコツは、ゆっくり呼吸すること、メリハリを大切にすること、無理をしないことです。
また、最後に質疑応答の時間がありました。他の参加者から「息を吸うと吐くが、通常の動きの逆のように思える。難しいがどうしたらよいか」という質問がありました。「これは呼吸筋をストレッチするために、この呼吸方法が効果的ということで開発されています。動画をみながらやってみてください」というアドバイスがありました。
ストレッチ体操が終わった後は、会議室で参加した患者さんたちは、体が温まった、ポカポカすると喜んでおられました。呼吸筋ストレッチは、継続して行うことが大事です。今後も楽らく呼吸会では呼吸筋ストレッチ体操は繰り返しやりたいと思っています。
また、この日は司法修習生が西淀川の大気汚染公害について学ぶために、あおぞら財団に研修に来ていましたので、患者さんたちがストレッチ体操をする様子を見学してもらいました。大気汚染公害によるぜん息は治りにくく、継続したリハビリの大切さを感じてもらえたのではないかと思います。
※呼吸筋ストレッチ体操の体操や動画は環境再生保全機構のwebページからも見ることができます。
呼吸筋ストレッチ体操:https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/archives_30220.html
来年度も継続して楽らく呼吸会を行います。日程が決まりましたら、こちらのブログでもお伝えします。
過去の楽らく呼吸会の取り組みについてはこちらをご覧下さい。
お問い合わせはこちら→ TEL.06-6475-8885(あおぞら財団 谷内・鎗山)