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2/15 医療従事者向け ぜん息・COPD患者の呼吸ケア・リハビリテーション講習会を開催しました

2014年2月15日(土)、西淀病院リハビリ室にて、医療従事者向け ぜん息・COPD患者の呼吸ケア・リハビリテーション講習会を開催しました(主催(公財)公害地域再生センター(あおぞら財団))。
参加者は理学療法士、作業療法士、医師、看護師、保健師などスタッフも合わせて約30名でした。
(前々回(2013.2.17)の講習会の様子はコチラ、前回(2014.7.21)の講習会の様子はコチラをご覧ください。)

今回は、金尾顕郎さん(森ノ宮医療大学 理学療法学科長)を講師にお招きし、前半に講義、後半に実技の時間を持ちました。
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■[講座]放っておけない肺の病気COPD
・COPDの疫学
・COPDについて
・COPDの治療体系
・運動療法

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COPDは、タバコの煙を主とする有害物質を長期吸入することにより生じる肺の疾患です。喫煙後数十年を経て喫煙者の15~20%に現れるとされています。タバコによる肺の変化が顕著に分かる写真や、ヨーロッパでのタバコのパッケージに書かれてあるメッセージの紹介により、いかにタバコが身体に悪影響を及ぼすものであるかの説明がありました。また、COPDによる肺の変化の仕組みについても学びました。

治療に関しては、まず禁煙することが第一です。そして、呼吸リハビリテーション(患者教育・運動療法・栄養管理)の重要性もあらためて確認しました。具体的な写真や動画を交えながら、また、ユーモアたっぷりの例え話やお話ぶりに、「とてもわかりやすかった!」という声があちこちからあがっていました。

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■[実技]呼吸をらくにするこんな工夫 -呼吸介助法を中心に-
・姿勢と呼吸
・呼吸を楽にする皮膚刺激法
・呼吸介助法

「運動を支配しているのは姿勢」というほど姿勢は重要だというお話を聞いた後、頸部と体幹について実験しました。参加者全員で、それぞれ体を曲げて床に手がつくかどうかやってみました。手がつかない人も、顎の筋肉をほぐすと…さっきより手が届きやすくなりました。

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体幹について考えるとき、まずは舌・顎関節から、ということです。例として、プロバスケットボール選手が試合中に舌を出して動作している写真を見せていただき、なるほど!とみなさん納得。食事前に舌を動かし刺激することで食事を摂りやすくなることもあるということで、舌の重要性についてお話を聞きました。

呼吸介助をする前段階として、まず、何人かの方の呼吸パターンを見てみました。上部と下部の胸の上に丸めたティッシュを置いて、呼吸時の動きを目で確認し、どんなパターンがあるかをチェックしました。

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それから胸郭に手を軽く置き、どこが一番膨らんでいるか、膨らみ方を見て、胸郭を動かしていきます。皮膚を動かさずに、胸郭だけを動かすようにします。

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説明を聞いた後、実際にやってみました。いろいろなポイントを聞きながら、実際に目で見て、体で覚えようと、みなさん熱心に取り組んでいました。

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いよいよ呼吸介助の実践です。

<呼吸介助法の5つの原則>
1)触れるときは、動く方向に
2)触れるときは、手掌全体が同圧
3)動く方向に介助
4)動かすときは、同圧、同速
5)もどるときは、無圧で

このポイントを意識しながら、「あくまで呼吸のお手伝いをする。吸う邪魔はしない」というイメージでやってみました。
「介助する人は腰に力を入れて、お辞儀をする様な姿勢で近づいて行い、患者さんの体に力をかけないように」「手のひらはぺったり張り付ける」「三次元に動かす」など具体的なアドバイスもありました。

次に、体を横にした姿勢と座位での呼吸介助をおこないました。

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片側からの介助の方法
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胸と背中を挟むような形での介助の方法(両手を水平にすることがポイント)

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上から下へ押します。

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そして、痰(たん)の出し方についても聞きました。さまざまな方法がある中で、痰が溜まっている部位に手を当てて圧迫するスクイージングという方法をやってみました。

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実技の締めくくりとして、参加者全員で、呼吸介助をする側・される側を交替で、何回かローテーションでまわりました。介助をされた人は、介助した人に感想やアドバイスなどを伝えます。実際に患者さんの呼吸介助をする時のように、いろいろな人の胸郭を触って実践を重ねました。現場での取り組みに直結する、とても学びの多い時間になりました。

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最後の質疑応答では、
訪問看護師さんから、実際にかかわっている患者さんに、少しでも楽に呼吸をしてもらうにはどうしたらいいか、という質問がありました。

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長年病気と向き合っている患者さんだと特に、リハビリや運動に対して前向きな気持ちを持つのは難しくなりがちですが、「本人が努力しなくても呼吸が楽になる方法」を考えてみるといいでしょう、というお話が金尾先生からありました。例えば、「新しい介助法を学んだので試してみていいですか?」と言って、ベッドから違う場所まで動いてもらって呼吸介助を行ったり、折り紙を一緒に折って楽しみながら取り組んだり。声かけも工夫し、それをやるとどうなるのか、結果が見えやすいものを提案し、また、患者さんがやってみたい、楽しいと思えることに取り組むのもいいでしょう、ということでした。その患者さんが何を求めているのかを見つめ、考えながらやっていくことの大切さが語られました。

終了後のアンケートでは、
「COPDの病態を見直す良い機会となりました。」
「実技では実際に援助するだけでなく、患者側の体験もできたので分かりやすくいい経験になりました。」
「呼吸介助のタッチのやり方の難しさ、人によって胸郭の動きに違いがあり、しっかり評価することの大切さを再認識しました。」といった感想がありました。

今後、呼吸ケア・リハビリに関して、特に介助法などの実技を学ぶ講習会の開催を望む声もたくさん寄せられました。

以上

本事業は独立行政法人環境再生保全機構の公害健康被害予防事業の一環として実施しています。

ぜん息・COPD予防等情報発信事業に係る「COPD患者等のQOLの向上のための呼吸リハビリテーションの普及及び地域ネットワークの構築事業(大阪ブロック)」

吉田

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