10月9日、10日、デンマーク式自転車教室と国際セミナーを行いました。教室とセミナーを開催するにあたり、デンマークからロッテ・ベックさん(建築家兼都市計画家。現在、アーバンサイクルプランニング コンサルタント所属)をお招きしました。あおぞら財団は準備や自転車教室の運営を協力しました。
デンマーク式自転車教室、国際セミナーの概要
- デンマーク式自転車教室 :10月9日(日)9:00~11:00、兵庫県尼崎市立尼崎北小学校グラウンドにて/10月10日(月・祝)13:00~15:00、京都市中京区竹間公園にて
- 講演「こどもの自転車教育・デンマークの実践方法」:10月9日(日)15:30~17:00、あおぞら財団3階会議室にて/10月10日(月・祝)、15:30~17:00、京都市こどもみらい館にて
- 主催:国際交通安全学会・こどもの交通安全教育プロジェクト
- 協賛:Novo Nordisk Japan(ノボ ノルディスク ジャパン)
デンマーク式自転車教室
自転車教室に参加したのは3歳から9歳までの子ども達です。尼崎・京都とも20人程度の参加がありました。年齢や自転車の乗る技術に合わせて3つのグループに分かれて自転車ゲームを行いました。
一番小さい3,4歳のグループでは、ストライダーというペダルのない自転車を使いました。シャボン玉キャッチゲーム、リング受け取りゲーム、リング場所取りゲーム、ジグザグ走行といったゲームをしました。自転車に乗るのが初めてという子もいる中で、最初は緊張した面持ちでおずおずと進んでいた子どもたちもゲームに夢中になると、上手にバランスをとって自転車に操っていました。
5,6歳のグループでは、大砲で沈没 ゲーム、リング場所取りゲーム、ジグザグ走行、洗濯物干し競争ゲーム、障害物コースをしました。3,4歳のグループよりもゲーム性が高く、なおかつ一度に複数の動きが必要になるため、より高度な自転車の操作が必要になります。例えば、大砲で沈没 ゲームは、ボールを大砲に見立ててチームリーダが自転車に乗る子どもたちにボールをぶつけるのですが、子どもたちは自転車にこぎながら地面のボールをよけてなおかつ投げられてくるボールもよけなければいけなくてはらなりません。
7~9歳のグループでは、ジグザグ走行、洗濯物干し競争ゲーム、キングスフォロワーゲーム、障害物コースをしました。このグループは他のグループよりより高度に自転車の操作が必要で、さらにお互いに協力し合いながら行うゲームも行いました。洗濯物干しゲームでは、2つに分かれて自転車でハンカチや洗濯バサミを取りに行き、物干しにハンカチを干し、どれだけたくさん干せるかを競いました。また、障害物コースでは、長細いマットの上をまっすぐわたりシーソーになっている板の上を渡ったりします。これにより、バランスよくまっすぐ自転車で走る技術を身に付けることができます。
子どもたちは楽しみながら自転車を自由自在に動かすことができるようになりました。中には今日の教室で自転車に乗れるようになった子もいます。3歳の子のお母さんは「本人は自転車に乗りたいという気持ちがあるけれど、なかなか根気が続かず乗れるようにならない。今日みたいに楽しみながらならば、自転車に慣れることができていい」と仰っていました。最後に、講師のベックさんからは「小さいころから自転車を楽しんで、自転車を好きになってほしい」とお話がありました。
講演「こどもの自転車教育・デンマークの実践方法」
講演では、ベックさんからデンマークの子ども自転車教育についてお話していただきました。
デンマークは自転車ユーザーが多く、首都のコペンハーゲン市への通勤及び通学に自転車を使っている人は45%も占めています。自転車の便益は大きく、コペンハーゲンでは自転車の使用で1年あたり9万トンの二酸化炭素の削減に寄与、さらに毎日自転車通勤する大人の死亡率は30%低下という健康面で効果もあります。
デンマークでは自転車を文化として捉え、国を挙げて子どもたちに自転車教育を行っています。ベックさんは「自転車教育は、体力、社会性、言語、自然、文化など子ども全面的な発達を助ける」とおっしゃられてました。デンマークでは幼稚園や小学校で交通安全教育がおこなわれており、12歳までに子どもたちは実際の安全状況下一人で運転できることを目的として、8,9歳と11,12歳で安全運転の自転車テストが実施されているそうです。このテストは1942年から行われています。
日本では、自転車道などのインフラ整備もまだまだ足りていませんが、子どもの頃から自転車を楽しんで乗るという自転車文化も根付いていません。交通ルールを教えるだけの従来型の自転車教室だけでなく、自転車を楽しく安全に乗れるような教育が日本でも必要だと思います。
参考
※金沢レンタサイクル「まちのり」さんのホームページ