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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

11/22 大阪公立大学「都市基盤計画特論1回目」ロールプレイ

11/22から数ヶ月にわたって、大阪公立大大学院生が「都市基盤計画特論」(吉田 長裕先生)の授業の一環として、西淀川をフィールドにして学びます。西淀川でワークショップやフィールドワーク、調査等を行った後に、最終的に西淀川に対するまちづくりの提案をする予定です。参加者は9名です。

キックオフとして、ロールプレイなどのワークショップと西淀川公害とあおぞら財団についてお話しました。

最初にフォトランゲージ「西淀川大気汚染公害」を行い、写真を見てタイトルをつけるというグループワークに取り組みました。写真の細部までよくみて、創造力を膨らませて言語化するというものです。工夫をこらした興味深いタイトルをつけてくれ、みんなで共有しました。

ロールプレイ「あなたのまちで公害が起きたら」のワークショップでは、さまざまな状況が明らかにならない中で大気汚染被害が出ていて、それにどう対処するのかという非常に難しい問題に対して考えてもらいました。学生たちは今のコロナ禍や気候変動にもつながる内容として、真摯に取り組んでいました。

教材のページはこちら:ロールプレイ「あなたのまちで公害が起きたら」(この教材の資料はあおぞら財団までお問合せください 電子メール:webmaster[at]aozora.or.jp([at]を@に変えてください))

都市基盤特論1

お芝居で模擬的に公害解決に向けた話し合いを体験します

事務局長から、西淀川大気汚染とあおぞら財団についてのお話をした後に、受講生がまちづくりに関して何に対して興味を持っているのかを共有しました。多様なモビリティ、自転車、道路、防災、緑化などに関心のある学生が多いようです。

都市基盤特論2

事務局長から西淀川大気汚染、あおぞら財団についてお話

次回(11/29)は、ワークショップの後に、公害患者さんのお話を聴く予定です。

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「都市基盤計画特論」が西淀川をフィールドに授業を行うになってから3年目です。

2022年度 大阪公立大学 授業「都市基盤計画特論」における西淀川区でのプログラムは下記のようなスケジュールで行う予定です。

日時 主な内容
11月22日 ロールプレイ、小講義「西淀川地域の現状と課題/あおぞら財団の地域づくり」
11月29日 市民参加に関するワークショップ、ヒアリング 西淀川公害患者と家族の会
12月6日 西淀川地域の現状視察(タンデム自転車を活用)、ヒアリング 西淀川区役所職員
12月20日 中間報告&意見交換
1月~2月 各グループで最終の提案づくりに向けた活動
2月 報告会
3月 西淀川への提案を発表

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あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちらをご覧ください。

研修受け入れ(あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館 エコミューズのページに飛びます)

 (谷内)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2022年12月5日10:06 AM

西淀川公害=資料の紹介(4)1970年代初頭 行政が対処する問題として西淀川の公害にメスを入れる

※機関誌りべらで連載をしている所蔵資料紹介コーナーの転載記事です。
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大阪市西淀川区がいかにひどい公害地域となっていたか、1950年代後半から多くの人が知るところとなっていた。悩みに堪えかね、ひどい汚染をまき散らす大阪製鋼・田中電機・永大産業など個別企業を厳しく追及したことも少なくない。調査すれば、さらにいろいろ出てくると思う。しかし、それを国や府の政策の問題として取り上げ、住民の声、公害患者の声をまとめ上げ、適切な処置を求める動きは1970年代初頭以降のことであった。

田中千代恵氏資料No.26-2_page-0001

田中千代恵氏資料No.26


写真は、当時千北病院公害被害者検査センター検査技師だった田中千代恵氏が書き上げていた研究メモである。ここには「公害問題」と題を掲げ、その下に「公害病患者の実態の系統的追究」として、『当院における公害病認定患者の治療数』『大気汚染の状況』『患者の実態の変化』『治療日数』などについて、主として40歳以上と12歳以下集団に分けて追究したので報告する」といった文章と統計数字がたくさん記されている。また、大阪府や市の公式報告書からも必要な情報を抜き出している。まさに、西淀川に即した事実の解明がどう行なわれたかを記録する資料群と言っていい。文字は達筆で、かつ丁寧、正規の報告書に掲載する前の原稿といった趣である。

田中千代恵氏が千北病院を基盤にこうした調査を丁寧にやり始めたきっかけは、1969年12月公布の「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法」の実施において認定患者数が日本一の記録を常に更新し続け、SO2の排出量減少にもかかわらず、ぜんそくなどで苦しむ患者が減っていかないという西淀川区あるいは大阪市の現実に危機感を抱いたからにほかならない。田中千代恵氏の資料には、こうした調査を基礎としてこの時期以降展開する住民組織「西淀川から公害をなくす市民の会」と患者さんたちの組織「西淀川公害患者と家族の会」に関わる記録がたくさん存在している。

エコミューズ館長 小田康徳

 

 

 

りべらVol.160(2022年10月発行)より抜粋

関西大学社会学部 大門ゼミ 雨の中のフィールドワークと語り部のお話から公害を学ぶ(10/17)

10月17日(月)に関西大学社会学部大門信也先生のゼミが、 あおぞら財団に西淀川公害の研修に来られました。大門ゼミのみなさんは、ゼミ内で当財団の教材のフォトランゲージやロールプレイ「あなたのまちで公害が起きたら」を用いて、西淀川公害について事前学習した上で参加してくれました。

当初、タンデム自転車でフィールドワークをする予定でしたが、雨天となったため急遽、徒歩でのフィールドワークになりました。

国道2号から大野川緑陰道路を通り、公害道路と呼ばれた国道43号まで行きました。

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川を埋め立てて自動車専用道路が計画されたが、市民の反対により緑道となった大野川緑陰道路

国道43号では、西淀川公害訴訟、尼崎公害訴訟に基づいて、様々な道路環境対策がなされています。例えば、街中を通る大型車の交通量を減らすために、環境ロードプライシングという施策が実施されています。この施策は阪神高速5号湾岸線の大型車通行料金を3割引きとすることで、街中の国道43号や阪神高速3号神戸線から湾岸線に転換させようとするものです。国道43号にも環境ロードプライシングに関する看板があります。

他の交通施策については、大阪国道事務所兵庫国道事務所のホームページをご覧ください。

国道43号では様々な道路環境対策が行われており、大型車の交通量は減少傾向にありますが、現在でも大型車交通量は1日あたり2万台弱です。ゼミ生のみなさんは声が聞き取りづらいほどの車の騒音や、排ガスによる大気の汚染の度合いを感じていました。

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国道43号で道路環境対策を確認

次に、西淀川公害患者と家族の会の支援を受けて設立されたデイサービスセンターあおぞら苑の前には、「公害と闘い環境再生の夢を」と宮本憲一先生が書かれた石碑を見学。

あおぞら苑の前の公害の石碑をみるゼミ生たち

あおぞら苑の前の公害の石碑

また、西淀川は昭和初期の工業化の進展で、地下水のく上げによって地盤沈下が進みました。歩きながら海抜がマイナスとなっている表示を確認し、水害や津波に弱い地域であることをお話しました。

近年の西淀川は、環境が改善しつつあり、マンションが林立し多数の新住民が増えていますが、外国にルーツを持つ方も増えつつあります。大和田がには、イスラム教徒の礼拝所「大阪マスジド」があり、多くのイスラム教徒の方が訪れています。

大阪マスジドの前で

イスラム教徒の礼拝所「大阪マスジド」。1階はハラール食品のお店です。

フィールドワークの後は、西淀川公害について簡単に講義をした後に、公害患者さんのお話を聞いてもらいました。

今回は、公害被害者の岩本さん、西淀川公害患者と家族の会事務局長の上田さんのお話です。

岩本さんは、公健法の改正によって公害患者の新規認定が打ち切られる直前の1988年に、認定の手続きをしたことで無事に認定を受けることが出来たそうです。認定を貰えなかったことで苦労している人がいるということ、長い間病気と闘ってこられて苦労したことなど貴重な経験や感じていることを話して下さいました。

岩本さんは、夜中に起こるぜんそく発作、続発症である中耳炎による聴覚障害など、公害によって引き起こされた病と闘う人生を送ってこられました。病気のため、仕事が思うようにできず、普通で当たり前の生活を失われてしまったとのお話に、学生のみなさんは真剣に耳を傾けていました。

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公害被害者のお話を聞きました

最後に、グループで今日の研修の感想を話し合った後に、全体で共有しました。

フィールドワークでは「多様な文化が混在」「住宅地と道路の騒音の差が全然違う」「トラックが多くて説明の声が聞こえないほど音が大きい」といったことが印象に残ったようです。

公害患者さんのお話では「お年寄りや子ども、貧困層が公害被害を受けていた」、「1988年を境にあまりに格差が大きく、長期で病と闘う患者にとって理不尽すぎる」、「公害患者に向けられる周りの視線が厳しい。患者の立場が弱い」といったことが印象に残ったとの感想があった他、「公害は”歴史”ではなく”現在進行形”」、「苦しみの連鎖を止めよう」、「当者と地域で終わらせない」などの公害と今につなげた感想もありました。

大門先生からは2年以上前にゼミの研修をしたいとのお話をいただいていたのですが、その後コロナ禍が始まり、研修ができずやっとゼミの研修が実現できました。「公害問題は、被害に始まり被害に終わる」との言葉があるくらい、公害問題を考える上では、被害について学ぶことは重要です。フィールドワークならではの五感の刺激を通した学びや公害患者さんとの直接的な交流が公害・環境問題を自分に引き寄せて考えるのに役立ったのではないかと思います。

今日の研修で学んだことを踏まえて、社会学の観点から、公害を二度とおこなさない社会、人間と環境が共生する社会を研究していただけたらと期待しています。

(記:谷内)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2022年11月4日10:20 AM

谷智恵子弁護士にインタビュー(9/30)

9月30日に、西淀川大気汚染裁判に関わった谷 智恵子弁護士にインタビューをさせていただきました。このインタビューは、西淀川大気汚染公害について学びたい方、深く知りたい方向けの動画を作成するために撮影しました。
谷先生は、司法修習生の頃に西淀川大気汚染裁判に出会い、大気汚染公害の深刻な状況を知ります。共同不法行為の立証は難しいと感じながらも、これはどうしてもやらなくてはいけないと西淀川公害裁判の弁護団に加わったそうです。
「裁判を動かすのは真実」と信じ、公害患者の被害を伝えるのが弁護士の仕事との思いから、現場に足繁く通ったそうです。100の無駄の中から一つの思いもかけない真実が見つかることがあるとお話してくださり、現場を大事にされる姿勢に感動しました。
今回の撮影は、西淀川在住の映画監督 岸本景子さんに協力していただいています。15分ほどの動画に編集し、ネット上で公開する予定です。
できあがったら、是非多くの方にみていただきたいと思っています。
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※2022年度地球環境基金助成事業として実施しています。

谷 智恵子先生(大阪法律事務所のページ)

岸本景子監督 twitter

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2022年11月2日10:19 AM

エコミューズ資料勉強会(9/29)

さる9月29日(木)に、西淀川・公害と環境資料館では、定例会議と資料勉強会を行いました。定例会議と資料勉強会は月に一度の頻度で実施しています。

今回の資料勉強会では、西淀川公害裁判の節目となった3・18府民大集会(1988年)の資料について検証しました。当時、会場である中之島公会堂が満員となる程の大集会でした。資料からはその熱気が伝わってきます。

エコミューズ小田館長の指導のもと、資料の勉強会をしています

資料勉強会の様子

 

西淀川公害運動のターニングポイントの一つ「早期結審・完全勝利をめざす3・18府民大集会」

 

3.18府民大集会の資料。講演や報告だけでなく劇もされていました。

 

西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)HP
http://www.aozora.or.jp/ecomuse/

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