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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

関西環境教育学会 研修受入れ(6/1)

2024年6月1日、関西環境教育学会の会員8名が研修に来られました。

あおぞら財団が作成したハンドブック「気候変動×防災×公害ハンドブックー未来に手渡したい環境と社会を考える」の解説とアクティビティの体験、後半はエコミューズの見学が行われました。

 

 

まずはじめにあおぞら財団の概要や、このハンドブックの制作経緯や知識編の解説を行いました。その後、ハンドブックに掲載されているアクティビティを体験していただきました。

あおぞら財団の概要について説明

あおぞら財団の概要について説明

今回体験していただいたのは、アクティビティ①「気候変動・防災に向けて何してる?」です。

ワークシートに記載されている9つの気候変動対策を、「やっている項目」「できそうな項目」「やってみたい項目」「難しいと思った項目」の4つに分類します。

それぞれの分類結果を4人ずつのグループで共有してもらい、最後に全体で共有しました。

各々が行っている気候変動対策を書き出します

各々が行っている気候変動対策を書き出します

他の人が取り組んでいる項目について情報交換をしたり、今まで意識できていなかった対策が見えたり、色々な発見が生まれました。

結果を共有し、意見交換を行います

結果を共有し、意見交換を行います

 

次に、アクティビティ⑤「気候変動と公害―『現在』をつくった公害運動、『未来』をつくる気候変動運動」を行いました。PM2.5の測定や環境基準の設定は、公害被害者からの声を受けて実施されるようになったことを受け、気候変動対策の提案を考えるというアクティビティです。

ハンドブックに記載されている項目を参考に、今後特に必要となると思われる対策を付箋に書き出してもらい、グループごとにベスト3を決めていただきました。交通・エネルギー・消費行動など、あらゆる分野から気候変動対策を考えることができます。

とても盛り上がりました

議論はとても盛り上がりました

多くの意見が交わされ、議論はとても盛り上がりました。アクティビティを通して、「個人で考えているときは難しかったですが、周りからアイデアが出始めるとどんどん楽しくなっていきました」「意見共有時、人それぞれに生活環境が違い、意見も変わってくることが印象的でした」といった感想をいただきました。

 

研修後半は、エコミューズの展示資料を見学していただきました。

エコミューズには、公害患者さんの手記や西淀川大気汚染公害裁判の記録など、当時の資料がたくさん保管されています。

裁判で使われた、当時の空の写真

裁判で使われた、当時の空の写真

壁に掲示されている公害裁判の流れを説明したパネルを用いた解説も行われました。

西淀川区以外にも大阪府全体にたくさんの公害患者さんがおられたことや、被告(企業や道路管理者)との「和解」から地域再生の取組みに広がっていったことなど、質疑応答も盛り上がりました。

パネルを用いた解説も行われました

パネルを用いた解説の様子

「西淀川公害のことは本で知っていたが、現場で学ぶことによってよりリアルに伝わってきました」「10年以上ぶりにエコミューズに来たが、非常にわかりやすいパネル展示だった」などの感想をいただきました。

 

研修の最後には、今後のハンドブックの活用方法について意見交換をしました。

このたびは研修にお越しいただきありがとうございました。

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


「気候変動×防災×公害ハンドブックー未来に手渡したい環境と社会を考える」の概要については、こちらをご覧ください。公害・環境教育、防災教育にご活用していただけます。無料でダウンロードできますので、是非ご活用ください。

https://aozora.or.jp/kougai_lecture/tool/climatechagehandbook/

ダウンロードはこちらから

https://aozora.or.jp/kougai_lecture/form/

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2024年6月7日2:31 PM

大阪から公害をなくす会フィールドワーク(5/11)

5/11に大阪から公害をなくす会の第33回環境学校「西淀川公害を知る 西淀川公害から学ぶ 〜大阪の大気汚染の歴史 フィールドワークと講演〜」の受入れをしました。
大阪から公害をなくす会は、50年以上にわたり、公害による健康被害、生活被害をなくすために活動している団体です。
今回は、学童保育の子どもたち約20人もフィールドワークのみ参加してくれました。
フィールドワークでは、公害道路と呼ばれた国道43号、西淀川大気汚染訴訟の和解金の一部を用いて創設されたあおぞら苑、西日本最大級のモスクである大阪マスジド、公害で汚染された川を埋め立てて作られた大野川緑陰道路をまわりました。
フィールドワークの最後に、学童保育の子どもたちに「西淀川のことがよくわかった?」「今日は楽しかった?」と聞いたら、みんな手を挙げてくれました。

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公害道路と呼ばれた国道43号の公害対策の説明

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あおぞら苑の前には公害の石碑があります

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汚染された大野川を埋め立てた緑陰道路

多数の子どもたちにこの地域の公害・環境について現場をみながら一緒に学んでもらえ、とてもよい機会になりました。
子どもたちと別れた後、あおぞらビルにてスタッフからの解説と公害患者の岩本さんのお話。岩本さんは60代の患者さんで、喘息の続発症の中耳炎で難聴になり、重い症状のために家業の鋼材販売業に思うように従事することができなくなり、生活の中心が公害病になってしまいました。

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公害認定患者の岩本さんにお話をききました

公害資料館エコミューズにて、西淀川公害に関する資料も見学してもらいました。
最後に、みんなで感想を共有しました。
・道路の遮音壁など、環境対策が多数なされているのを知った。
・大気汚染の公害認定患者は65歳未満の方が半数以上で、若い患者さんが多いのに驚いた。健康被害は埋もれている人も多そう。
・大阪の公害対策は、黒田知事による革新府政による厳しい環境規制など、政治の力が大きい。個人の役割、企業・行政の責任の重さについて考えた。
・大気汚染が世界の課題となっている。子どもたちがどう生きていくのか。
・まだ終わっていない公害を子ども達にどう伝えていくかも大事。
公害について長く活動されているみなさんに今の西淀川から新たな気づきを得てもらえ、また、こちらとしても様々な参考になる意見をいただくことができました。


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2024年5月16日4:59 PM

薬害肝炎訴訟 大阪原告・弁護団 研修受入れ(4/13)

薬害肝炎訴訟の大阪原告・弁護団の研修受入れを2024年4月13日におこないました。薬害資料館づくりを目標にされており、その参考にするため、ということで、18名のメンバーがあおぞら財団及び、付属の西淀川・公害と環境資料館に来られました。中には、四国から来られた人もおられました。

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西淀川公害を概説したビデオ視聴、あおぞら財団の活動紹介のあと、あおぞらビルの周辺のフィールドワークを行いました。まずは、ビルの屋上から周辺を眺めたあと、大野川緑陰道路、淀川線通り、歌島橋交差点へと順に歩きました。かつての水路が、どぶ川になり、今の大野川緑陰道路があること、淀川通のトラック通行量の多さ、歌島橋交差点での大気汚染測定局などを見学しました。

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ビルに戻ってきてからは、西淀川公害患者と家族の会の須恵佐輿子さんからはご自身が受けてきた公害の被害やその時の生活、お話を聞きました。同会事務局長の上田敏幸さんからは公害運動をいかにみんなで進めてきたかの話がありました。須恵さんの年齢が、上田さんから明かされたときには、会場全体からどよめきがおこりました。(須恵さんの年齢は感想のところに記載あり)

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その後、西淀川・公害と環境資料館の見学をおこない、最後に感想や意見交換などおこないました。

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資料館づくりをめざされているとあって、資料館の運営の具体的な質問などがありました。

みなさんからの感想の一部を紹介します。

———————-

・公害被害が地域の成り立ちの中で起こり、解決される問題であることが実感できました。

・ビデオと比較して、全く違う街になっていたと思いました。こうなるまでの経緯には患者さん達の闘いが大きく影響しているのだろうと思いました。

・(患者さんのお話は)最高でした。前向きな姿勢こそ、困難な状況を切り開き、困難な裁判を勝ち抜いたエネルギーを感じました。勝ち取った成果を誇りにしておられることに感激しました。

・お若く見えて、とても90才とは思えないマダムの体験談。大気汚染による公害認定も、日々の生活が「咳」に苦しまれて、苦労された体験談に頭が下がります。

・(資料館は)民間でここまでしっかり収集しているのはすばらしい。

・被害者を知り、歴史を理解し、常駐される職員さんがおられることはとても大事なことだと思いました。資料館や被害を伝えるということは人で成り立つものですね。

・患者の方が高齢化している中、これを引き継いでいくために財団をつくったり、資料館をつくることが、肝炎の場合でも必要だと感じました。

———————-
薬害肝炎全国原告団
https://www.yakugai-hcv.jp/

薬害肝炎全国弁護団
http://www.hcv.jp/

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2024年5月14日4:13 PM

西淀川公害=資料の紹介(7)西淀川公害患者と家族の会が裁判提訴を決断

※機関誌りべらで連載をしている所蔵資料紹介コーナーの転載記事です(りべら164号より転載)。

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西淀川公害患者と家族の会が裁判提訴を決断

掲載の資料は西淀川公害患者と家族の会(以下西淀川患者会と略す)が編集・発行していた『青空』No25の第1面である。発行日は1977年12月9日。78年4月20日の提訴まであと5ヶ月すこしという時期のことであった。紙面は、西淀川患者会が正式に定期総会(第6回)で裁判提訴を決めたことを報じ、また、残る紙面のほとんどもその関係記事で埋めている。大気汚染公害をめぐっていよいよ真剣勝負、重大な決断を下したという昂揚感と緊張感を感じさせながら、妙に落ち着いた感もうかがわれる。

ちなみに、裁判提訴については1977年夏から秋頃にかけて弁護士たちもその決意を強固にし、裁判になった場合の論点の整理、賠償額、医師会や弁護士仲間に対する弁護団への支援要請、学者・専門家への協力依頼などにも力を注ぎ始めていた。

振り返れば、西淀川患者会は、1972年10月29日、大気汚染による健康被害に苦しむ区内の公害患者自らが公害による大気汚染の解消、被害者に対する充分な補償の実現を求めて結成されたものである。この会が裁判を提訴するについては、結成されたこの年7月に判決が言い渡された四日市公害裁判に励まされたことを知っておかねばならない。四日市裁判の判決内容を検討する中、その内容が西淀川でも問題解決の水準となると考えられた。そこから西淀川でも裁判ができないかという意見と模索が始まったのである。相談を受けた弁護士たちも、青年法律家協会のメンバーを中心に西淀川大気汚染問題研究会を組織し、その意義と可能性また、克服すべき課題など種々の課題を検討し、被害の事実を知っていくこととなる。

この過程でこうした検討を行なっている人びとの正面に現れ、患者さんたちやその支援者の怒りをもたらした問題が政府と財界による窒素酸化物の環境基準緩和への動きであり、地域指定解除の動きであった。裁判はそうした公害問題の後退をめざす動きとの対決という課題も自ら背負いながら始められていくのである。1978年4月20日の提訴に至る道は、まさに、厳しい道への突入を決断する過程であったことを思う。

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(資料はエコミューズ所蔵『青空』)

エコミューズ館長 小田康徳

淀協の新人研修に講師として招かれました(4/3)

4/3に淀川勤労者厚生協会の新入職員研修に講師として招かれました。
今年の参加者は32人。例年、「西淀川の公害の歴史と住み続けられるまちづくり」をテーマにしてお話してほしいとのことで、呼ばれています。
前半にはフォトランゲージやロールプレイのグループワークで公害について参加型で学んでもらった後、講義、公害患者さんのお話を聞いてもらいました。
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「フォトランゲージ西淀川公害」写真から様々なことを読み取ります

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「ロールプレイあなたの街で公害が起きたら」合意形成の難しさを学びます

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公害患者の岡崎久女さんにご自身のこと、環境に対する思いを語ってもらいました

 

参加者の皆さんからは「西淀川の公害の街であったというのを具体的に知ることができた」、「今は当たり前だと思っている環境は当たり前ではなく、誰かが声をあげ行動してくれたおかげだと学んだ」、「公害の被害にあわれた方の声に耳を傾け、架け橋をつくれる存在になりたい」といった感想をもらいました。
今回の研修が医療従事者のみなさんの心に残り、よりよい地域医療に活かされていくことを願います。
(谷内)
Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2024年4月8日2:10 PM
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