2022年12月17日(土)、追手門学院大学社会学部の2年生のみなさんが西淀川を訪れました(引率:藤吉先生を含む3人、学生9人が参加)。藤吉先生は5月にも3年生のゼミ生が研修に来ていただいています。
阪神「出来島」駅に集合し、国道43号の道路沿道の環境対策を見学しました。国道43号は公害道路とも呼ばれるほど大気汚染や騒音、振動などの公害を引き起こしていましたが、大気汚染訴訟の和解条項に基づき、遮音壁の設置、光触媒の塗料の塗布、高活性炭素繊維(ACF)パネルの設置、環境ロードプライシング、PM2.5の測定といった様々な環境対策がなされています。
デイサービス施設「あおぞら苑」、千北診療所(公害病患者の治療の拠点)、大阪マスジドなどを経て、大野川緑陰道路を散策してあおぞら財団まで歩きました。雨降りの中ですが、フィールドワークは約90分におよびました。
あおぞら財団に到着後は、西淀川公害やまちづくり活動の説明をおこない、資料館(エコミューズ)を見学後、「ワークショップ フォトランゲージ」を行いました。
次に、西淀川公害患者と家族の会の上田さんと公害認定患者の岩本さんから、公害病になってからのご自分の人生について語っていただきました。岩本さんは24歳でぜん息発作が起こり、それ以降、長い間病気と闘っておられます。続発症である中耳炎による聴覚障害、病気のために仕事が思うようにできず普通で当たり前の生活を失われてしまったとのお話などに学生のみなさんは真剣に耳を傾けていました。岩本さんは、公健法の改正によって公害患者の新規認定が打ち切られる直前の1988年に無事に認定を受けることが出来ましたが、認定を貰えなかったことで苦労している人がいるとのお話もされました。
最後に感想を共有して、この日の研修は終了しました。学生のみなさんからいただいた感想を一部紹介します。
・公害を知らなかったら、ぜん息の症状が公害のせいだということを知ることができなかったと思うと、怖いことだと思いました。
・岩本さんが自分と同じくらいの年で症状を発症し、さまざまな苦労があったことをきき、他人ごとではないと思いました。公害患者になっても自分なら症状を受入れられないと思うので、人のために活動していることが本当に尊敬できると感じました。
・この公害をここで終わらさず、小さい子にも伝え続けるべきだと思います。患者さんは少なくなったとはいえ、まだたくさんいるので、少しでも多くの方が早く良くなってほしいです。
今日の研修で学んだことを、今後の研究活動等に活かしていただけたらと思います。
(記:谷内)