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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

エコミューズ館長日記  No.1

今日から原則として毎週あおぞら財団での調査が終わったら、調査内容について感想を述べていくこととなった。

題して「エコミューズ館長日記」!さあ始まるよ!

今日は、作成中の資料集第2章「公害と闘う意識の形成」第3に入れる「教師たちの取り組み」記録の中から、翻刻候補を3点に絞った。
①市教組西大阪支部福小分会編の「公害白書」、②福小学校飯田素明先生の「道徳指導において基本的人権を尊重するために、内容の重点的取り扱いをどうすればよいか。」(長い題だなぁ…)、③「昭和45年度 公害対策研究指定校研究発表紀要 (出来島小)」の3点に決めた。

他にも6件あったが、割愛した。しかも、最後の1件③は全文引用できず、そのうちの一部にとどめた。
せっかくの先生方の活動記録を全文載せられなくて申し訳ないが、お許しあれ。後日には電子版で紹介する予定。

この選択作業は実は大変。
掲載しない資料も、掲載資料の中から省略する資料も全部目を通して、重要性・代表性等を評価して選んでいるのです。

資料集第1章、第2章がこれで形が見えてきました。
読んでみれば西淀川公害の歴史を思い出す、またとない読み物になっているように思うのは私1人ではないでしょう。
これからまだまだこのような作業が続きます。
頑張らなくっちゃ。

翻刻作業は4月に大阪公立大学文学研究科に入学したはりきり女性・ミナコさんを中心に、何人かのアルバイト諸君に作ってもらうことになっています。ありがとうございます。お世話になります。
皆さんのプロフィールは今後追々紹介していくつもりです。

2024年8月5日   小田康徳

———————–
あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

【ご寄附のお願い】「西淀川公害がわかる資料集」のための寄附を募集しています。どうぞみなさまの寄附でこの活動を支えていただきますようお願いいたします。
■寄附の方法はこちら https://www.aozora.or.jp/ecomuse/contibution_doner

※資料集のウェブ版作成には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しています。

#おもろいわ西淀川
#にしよど
#魅力発信サポーター
#エコミューズ
#西淀川公害がわかる資料集

 

エコミューズ活動報告書 第9号を作成いたしました

エコミューズ活動報告書第9号が完成しました!PDFはこちら
活動報告書には2023年に行った活動や寄贈していただいた資料の一覧などを掲載しております。

 

【バックナンバー】
こちらのリンクから、第1号から第9号すべての活動報告書をご覧いただけます。お時間がある際にぜひご覧ください(o^―^o)ニコ

(スタッフ大島)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2024年7月29日5:43 PM

エコミューズ所蔵資料の勉強会(7/22)

7月22日(月)に、西淀川・公害と環境資料館エコミューズでは、対面・オンラインを活用して定例会議と資料勉強会を行いました。

今回の勉強会では、戦前・戦中から高度経済成長期までの期間に撮影された写真と、1980年に行われた公害の聞き取り調査に関する資料について、小田館長にお話しいただき勉強しました。当時の写真を見てみると、工業化が進む中で、地盤沈下の被害や黒々とした大量の煙を見ることができ、公害の被害をより具体的に感じることができました。また、聞き取り調査の資料では、当時の方の経験に基づいた語りを残す資料として貴重なものであり、読み進めるなかで公害が市民に与えた被害の重大さを感じました。(スタッフ大島)

 

 

【映像】元神戸製鋼 山岸さんのインタビュー映像の公開

西淀川公害訴訟の被告企業のひとつである神戸製鋼の元法務室室長で、訴訟の担当者だった山岸さん。
裁判当時の企業の取り組みや、訴訟担当者として、また今となって感じる想いを語ったインタビュー映像をyoutubeで公開しました。

【山岸 公夫さん】 1943年生まれ。西淀川公害訴訟の被告企業のひとつである神戸製鋼の元法務室室長で、訴訟の担当者だった。現在はあおぞら財団の理事を務める。

映像協力 岸本景子
解説出典:「記録で見る大気汚染と裁判」独立行政法人環境再生保全機構
制作・著作 公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)
※この動画は地球環境基金の助成を受けて作成しています。


●インタビューの全容(テキスト)は下記のサイトからダウンロードして読むことができます。

▼外部サイト(ストアーズ)
オーラルヒストリー「企業の側からみた西淀川公害」山岸 公夫さん(元神戸製鋼)

環境省職員環境問題史現地研修(5/30-31)

あおぞら財団では、毎年、環境省職員の「環境問題史現地研修」の受け入れをしています。
昨年度と同じく、一週間前にオンラインによる事前説明会うを行った後、、5/30から5/31に西淀川に来ていただきました。

今年の参加者は33名(引率2名)と過去最多です。

あおぞら財団の設立経緯、活動内容を紹介

一日目の最初は、オリエンテーションとして、プログラム概要説明と自己紹介などを行いました。その後、昔の西淀川の大気汚染に関する写真に基づいて、フォトランゲージがされました。フォトランゲージとは写真を言語化するワークで、各自が昔の大気汚染の実情を想像しながらタイトルを付けます。

フォトランゲージの様子

その後、グループごとにロールプレイを行いました。公害が起きた町を設定し、その町の市役所職員、住んでいる一般住民(公害患者の親)、医者、企業、従業員といった役割を演じてもらいました。実際にその立場で考えてみたら、どの役割でも難しさがあること、特に公害患者が少数になりがちになり意見が言いにくくなり、公害患者に寄り添う難しさを感じてもらいました。

各自の役割の立場で考えて、やりとりをしている様子

アイスブレイクや背景知識の学習が終わりましたら、公害患者の語り部の岡崎久女さんと西淀川公害患者と家族の会の事務局長、上田敏幸さんの話を聞きました。実際に公害被害を経験した患者さんの生の声を聴いて、より確実に公害がもたらした不幸を実感できたのではないでしょうか。

公害患者会の岡崎さんと上田さんに話を伺っている様子

その後、あおぞら財団理事長であり、西淀川大気汚染訴訟弁護団の一員であった村松昭夫弁護士の話を聞きました。公害訴訟に工場や阪神高速道路公団など被告の選定、疾病と公害の因果関係の証明、共同不法行為の証明など色々苦労したことを伺いました。

村松先生が公害訴訟について話している様子

いくつかの講義を経た後、あおぞら財団理事である高田研先生が「紙芝居プレゼンテーション法(KP法)」を紹介しました。各自が紙に「今日の学び・印象に残ったこと」と「もう少し深めたいこと・考えたいこと」などキーワードを書いてもらって、グループ内に共有して、プレゼンテーションをしてもらいました。最後に、全体の共有を行い、一日目の研修は終了しました。

KP法を活用し、グループワークしている様子

研修終了後には、あおぞら財団スタッフや患者会が各グループに入って、交流会が開催されました。

 

二日目は、講義形式ではなく、「公害のデパート」とよばれていた西淀川で実際に歩いて、貸し切りバスで回って、この辺りの実態を知ってもらいます。大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、 悪臭が典型7公害と言われていますが、西淀川にはこの7つの公害により汚染されていました。

あおぞらビル屋上から交通量の多さを確認する

公害資料館「エコミューズ」で過去の公害に関する資料を見る

介護施設「あおぞら苑」の前で公害の碑と集合写真

幹線道路には大型車が多い

国土交通省大阪国道事務所から大気汚染・騒音対策を紹介

堤防から民家が川より低い様子を確認

小降りの中、大野川緑陰道路を歩く

その後、あおぞら財団理事、元神戸製鋼所訴訟担当の山岸公夫さんが、企業側の目線から、西淀川大気汚染公害訴訟をどう見ていたのかという話がされました。本件訴訟をふりかえって、企業側としては不法行為をしていないにも関わらず、公害患者という被害者がいる中で、うまい落としどころが見つかれば…という思いがあったそうです。山岸さんは 時代の屈折点における軋みと捉えていて、トラブル処理の基本となる法律の整備が時代の変化に対応していってほしいと語っていました。

山岸さんによる企業側からみた公害訴訟についてのお話

最後に、この二日間の学びをグループで共有し、プレゼンテーションを目指してワークショップを行いました。

積極的にワークショップをしている様子

その後、「KP法」でプレゼンテーションをしてもらいます。6つのグループがそれぞれの着目点がありますが、全員が「コミュニケーション」の大事さについて言及しました。
公害の和解は、ステークホルダーのコミュニケーションが欠かせません。現在または将来の環境問題に、より広範囲のコミュニケーションこそが解決の糸口ではないかと考えられます。

各自が好きな観点に「いいね」を押している様子

あおぞら財団メンバーがプレゼンテーションにコメントしている様子

【参加者の感想(抜粋)】

  • 今回、岡崎さんが私たちに向き合い、他人に決して知られたくない辛い決断を含めて勇気を振り絞って言葉にしてくださったことで、公害により耐え難い苦しみを味わった方が目の前の一人の人間であること、普通の生活をただ当たり前に送りたかった普通の人であったこと、そしてその苦しみが現在でも続いているということを痛感しました。
  • ロールプレイを通じて、公害が複雑になるのは様々な立場・思いがありそのどれも完全悪ではないこと、また、安易な折衷策は裏目に出る可能性が高いということをよく理解できた。
  • 行政の立場では、法律などの規則を制定し、その範囲内でできることを模索することになるが、当然、地域や個人ごとに事情は異なるため、その中で落としどころを見つける難しさがあると感じた。だからといって、静観するのは間違っており、こと国の行政官として何ができるのかについては真剣に考えなければならないと思った。

(記:あおぞら財団アルバイト王子常)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2024年7月12日4:40 PM
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