2023年10月18日、龍谷大学政策学部清水ゼミの2年生が、西淀川公害の実情を詳しく学ぶ映像作りのため、「西淀川公害患者と家族の会」所属の須恵さんにインタビューを行いました。昨年度のゼミ生(現3年生)の作成した映像を参考に、今年度も映像作成に取り組みます。
インタビューは昨年度も映像作成でお世話になった、西淀川在住の映画監督・岸本景子さんチーム(監督:岸本さん、撮影:坂さん、音声:畑さん)の協力のもと執り行われ、学生さんたちも映像撮影を体験させていただきました。
朝から岸本さんチームに機材を設営していただき、続いて学生さんたちが集合。学生さんたちはインタビュアー・監督・助監督・撮影・音声役に分かれて、撮影の仕切り方や機材の使い方についての指導を受けました。
音声機器の使い方を確認
監督役の立ち回りなども説明していただきました
一通り説明をいただいたのち、学生さんたちは一人ずつ今日のインタビューに向けての意気込みをカメラに向かって話しました。この様子を撮影することで本番に向けての予行演習となりましたが…学生さんたちはカメラを前にして、ものすごく緊張した様子でした。
助監督役によるカチンコも重要な役割
昼休憩の後、インタビューの進め方や質問項目などの確認を行いました。そしていよいよ須恵さんがお越しになられ、インタビューの撮影が始まります。西淀川公害患者と家族の会事務局長の上田さんも応援に駆けつけてくださりました。
須恵さんは事前質問に対するたくさんのメモを用意して来てくださりました。「本格的な機材に囲まれてとても緊張する」とおっしゃられつつも、丁寧に、しっかりとお話していただきました。
須恵さんは結婚を機に西淀川に引っ越して来られ、その後ぜんそくの症状が現れました。夜中に発作が起きて眠れない、仕事中に息が苦しくなって出て裏へ駆け込む、といった被害があったそうです。「職場で『よう(よく)休むねぇ』と言われ、とても辛い思いをしました」とも話されていました。それでも、同時期に中途失明となり盲学校へ通い始めた夫を支えるため、ぜんそくと闘いながら仕事や家事を必死でこなしてきました。煤煙で空が真っ黒な状況が続きつつも、夫が盲学校を経てやっとの思いで職に就くことができたこともあり、簡単に引っ越すことができなかったとも語られていました。
様々な話題の中で、被害の実態について話されるとき、須恵さんの表情が引き締まる様を目の当たりにしました。当時の被害が須恵さんにとってどのようなものであったのか、言葉だけでなく表情からも伝わってきました。
休憩をはさみつつ、ゆっくりしっかりお話できました
明るい話題として、須恵さんは現在まで40年以上も三味線と民謡を続けてこられ、コンクール等でも活躍されてきました。(大きく息を吸って歌うことが、リハビリにもつながるそうです。)
なんとこの日、インタビューの最後には民謡「越中おわら節」を披露していただきました!90歳に近い年齢を感じさせない声量と迫力に圧倒され、僕たちの心は大きく揺さぶられました。
(須恵さんは11月3日(金・祝)に開催予定のにしよど音楽祭2023第2弾「野外音楽フェスティバルin矢倉緑地」に出演予定です。ぜひ須恵さんに会いにお越しください。)
須恵さんの歌唱力に心を揺さぶられました
インタビュー終了後、岸本さんチームと一緒に振り返りを行い、今後のスケジュールの確認などが行われました。
学生さんたちは公害の辛い経験を深く聞くことにやや躊躇してしまったようで、「もっと上手に話したかった」と少し心残りだったようです。しかし公害患者さんと直接会話することで、公害被害の深刻さや当時の状況をより深く学ぶことができました。
また、普段様々な映像を見る機会が多い中、映像作品の元となる企画や撮影の大変さを身をもって感じることができたようです。
これからどのような作品に仕上がっていくのか、とても楽しみです!
岸本さんチーム、今後もよろしくお願いします。
(あおぞら財団アルバイト・小松)
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