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西淀川公害=資料の紹介(7)西淀川公害患者と家族の会が裁判提訴を決断

※機関誌りべらで連載をしている所蔵資料紹介コーナーの転載記事です(りべら164号より転載)。

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西淀川公害患者と家族の会が裁判提訴を決断

掲載の資料は西淀川公害患者と家族の会(以下西淀川患者会と略す)が編集・発行していた『青空』No25の第1面である。発行日は1977年12月9日。78年4月20日の提訴まであと5ヶ月すこしという時期のことであった。紙面は、西淀川患者会が正式に定期総会(第6回)で裁判提訴を決めたことを報じ、また、残る紙面のほとんどもその関係記事で埋めている。大気汚染公害をめぐっていよいよ真剣勝負、重大な決断を下したという昂揚感と緊張感を感じさせながら、妙に落ち着いた感もうかがわれる。

ちなみに、裁判提訴については1977年夏から秋頃にかけて弁護士たちもその決意を強固にし、裁判になった場合の論点の整理、賠償額、医師会や弁護士仲間に対する弁護団への支援要請、学者・専門家への協力依頼などにも力を注ぎ始めていた。

振り返れば、西淀川患者会は、1972年10月29日、大気汚染による健康被害に苦しむ区内の公害患者自らが公害による大気汚染の解消、被害者に対する充分な補償の実現を求めて結成されたものである。この会が裁判を提訴するについては、結成されたこの年7月に判決が言い渡された四日市公害裁判に励まされたことを知っておかねばならない。四日市裁判の判決内容を検討する中、その内容が西淀川でも問題解決の水準となると考えられた。そこから西淀川でも裁判ができないかという意見と模索が始まったのである。相談を受けた弁護士たちも、青年法律家協会のメンバーを中心に西淀川大気汚染問題研究会を組織し、その意義と可能性また、克服すべき課題など種々の課題を検討し、被害の事実を知っていくこととなる。

この過程でこうした検討を行なっている人びとの正面に現れ、患者さんたちやその支援者の怒りをもたらした問題が政府と財界による窒素酸化物の環境基準緩和への動きであり、地域指定解除の動きであった。裁判はそうした公害問題の後退をめざす動きとの対決という課題も自ら背負いながら始められていくのである。1978年4月20日の提訴に至る道は、まさに、厳しい道への突入を決断する過程であったことを思う。

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(資料はエコミューズ所蔵『青空』)

エコミューズ館長 小田康徳

淀協の新人研修に講師として招かれました(4/3)

4/3に淀川勤労者厚生協会の新入職員研修に講師として招かれました。
今年の参加者は32人。例年、「西淀川の公害の歴史と住み続けられるまちづくり」をテーマにしてお話してほしいとのことで、呼ばれています。
前半にはフォトランゲージやロールプレイのグループワークで公害について参加型で学んでもらった後、講義、公害患者さんのお話を聞いてもらいました。
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「フォトランゲージ西淀川公害」写真から様々なことを読み取ります

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「ロールプレイあなたの街で公害が起きたら」合意形成の難しさを学びます

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公害患者の岡崎久女さんにご自身のこと、環境に対する思いを語ってもらいました

 

参加者の皆さんからは「西淀川の公害の街であったというのを具体的に知ることができた」、「今は当たり前だと思っている環境は当たり前ではなく、誰かが声をあげ行動してくれたおかげだと学んだ」、「公害の被害にあわれた方の声に耳を傾け、架け橋をつくれる存在になりたい」といった感想をもらいました。
今回の研修が医療従事者のみなさんの心に残り、よりよい地域医療に活かされていくことを願います。
(谷内)
Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2024年4月8日2:10 PM

大阪狭山市企業人権協会 研修受入れ(2/29)

2024年2月29日、大阪狭山市企業人権協会から5名が研修にお越しくださりました。フィールドワークを行ったのち、西淀川大気汚染公害についての講義、そして公害患者さんのお話を聞く、といった研修内容です。

まずは阪神電車の出来島駅に集合し、徒歩で国道43号へ向かいました。かつては「公害道路」と呼ばれた国道43号ですが、現在は西淀川公害裁判の和解条項に基づき様々な公害対策が行われています。

公害の歴史と現在の対策について解説

公害の歴史と現在の対策について解説

公害患者さんたちをつなぐ役割を担った千北診療所、あおぞら苑の前にある公害の石碑、神崎川の防潮鉄扉、大阪マスジドの順にフィールドワークを行いました。その後大野川緑陰道路を歩いて、あおぞらビルへ向かいました。

患者会結成のために活躍されました

患者会結成のために活躍されました

「公害と闘い環境再生の夢を」宮本憲一先生の筆です

「公害と闘い環境再生の夢を」宮本憲一先生の筆です

典型七公害の一つ、地盤沈下も起こっています

典型七公害の一つ、地盤沈下も起こっています

雨の大野川緑陰道路も味があります

雨の大野川緑陰道路も味があります

あおぞらビルではまず初めに、講義「西淀川公害について」を行いました。西淀川公害の概要や裁判の論点、和解後の取り組みなどについての流れを確認しました。

公害地域再生という新たな取り組みです

公害地域再生という新たな取り組みを担っています

そして、西淀川公害患者と家族の会から、上田さんと岩本さんに登壇していただきました。岩本さんからは、大気汚染公害によるひどい症状や、健康被害だけでない仕事や家族に対する影響など、実体験をお話ししてくださりました。上田さんからは、裁判を最前線で闘われた体験や、現在の補償制度などについてお話ししてくださりました。

上田さん(右)と岩本さん(中央)

上田さん(右)と岩本さん(中央)

良い環境を未来に残すため、語り部として活動されています

「未来の子供たちには私たちのように公害で苦しんでほしくない」という思いを熱く語ってくださりました

お話の後は、あおぞらビル5階にある西淀川・公害と環境資料館「エコミューズ」を見学しました。この日は館長の小田先生が資料整理をしていたため、エコミューズの目的やどのような資料が保管されているかなどをお話ししました。

館長(右)が扱われていたのは、患者さんたちが裁判に向けて勉強会を行なっていた際の記録でした

小田館長(右)が扱われていたのは、患者さんたちが裁判に向けて行なっていた勉強会の記録でした

最後に振り返りを行って、この日の研修は終了となりました。振り返りでは「今日の研修で公害の現状を初めて知り、過去の歴史ではなく今も続いているのだと認識が改まった」「患者さんの体験や闘いを知った。今の環境があることをありがたく思う」といった感想が出ました。

寒い雨の中お越しいただきありがとうございました

寒い雨の中お越しいただきありがとうございました

研修後、今回ご参加いただいた大阪狭山市企業人権協会の皆様より、あおぞら財団への寄付をいただけるとのご連絡をいただきました。公害地域再生の活動にご賛同いただき寄付をいただけるとのこと、心よりお礼申し上げます。

今後も未来により良い環境を残せるよう、日々努力してまいります。

 

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2024年3月7日1:45 PM

名古屋市南区患者会資料の受入(11/30)

11/30に、名古屋市の南区公害病患者と家族の会から資料をいただきました。同会の事務所閉鎖にともない、資料を整理されるとお聞きし、あおぞら財団が所蔵していない同会の総会議案書や定期刊行物、各種周年記念誌などを寄贈いただきました。これまでの南区患者会が辿ってきた歴史を記録した貴重な資料です。今後、これらの資料を整理し、目録に登録することで、保存・活用していきたいと思います。ありがとうございました。(是澤)

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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2023年12月28日7:36 PM

大阪公立大学「都市基盤計画特論」第3回(12/26)

大阪公立大学大学院の講義「都市基盤計画特論」、西淀川での授業の3回目が12月26日に開催されました。
この授業では、受講生5名が西淀川をフィールドに学びます。授業では4回にわたって西淀川に来る予定です。

 

まずは「ダイヤモンドランキング」という手法による、市民参加に関するワークショップを行いました。

具体的には…
参加者それぞれが、大気汚染が発生しているまちの市長になったと仮定します。
まずは個人で、用意された8つの対策事業の中から、最も重要だと考えるものから順にダイヤモンド型のランキングに並べます。
その後、なぜその順位になったのかをグループで発表しあい、話し合いながら1つのランキングにまとめる、というワークです。

まずは8つの対策事業についての説明を受け、個人でランキングを作成します

まずは8つの対策事業についての説明を受け、個人でランキングを作成します

 

私も一緒にランキングを作成して、話し合いにも参加しました。このワークショップのポイントは、参加者全員の意見を可視化してすり合わせることができる点です。
例えば、私が最も重要だと考えた対策事業を、一方で最も重要ではないと位置付けている方もおられました。その理由を聞く中で、同じ対策事業でも僕と全く違う視点で捉えておられることがわかり、新たな発見が生まれました。多様な価値観を共有し、ある事象を別の角度からも考えることが、合意形成への近道であると実感しました。

全員の意見をすり合わせ、1つのランキングを完成させました

全員の意見をすり合わせ、1つのランキングを完成させました。アルファベットは用意された8つの対策事業です。

 

ワークショップの次に、西淀川区役所政策共創課の西尾さんにお越しいただきヒアリングが行われました。

まずは、区の目標や区の運営方針について、その中で柱となる「共創によるまちの魅力向上」、実際に行われてきたさまざまな共創事業について、などの講義をしていただきました。
その後の質疑応答では、共創事業を起こすうえでの工夫やその後の維持管理など、提案に向けたより具体的な議論が行われました。

議論の中で、「例えば川の堤防1つを取り上げても、防災面でありがたいという意見と、無機質で残念という意見の両方があがる」といったお話がありました。まちづくりを考えるうえで、まさに先ほどのダイヤモンドランキングに通ずる議論があがりました。

西淀川区の目標やさまざまな取り組みについてお話していただきました

西淀川区のさまざまな共創事業についてお話していただきました

 

最後に、前回出したアイデアと今日の講義内容を組み合わせて、提案のテーマを深める作業を行いました。興味関心、まちの課題、必要な提案、そのために必要な調査…といった順に、テーマを絞り込んでいきました。

興味関心、提案のテーマ、必要な調査の順に絞っていきました

提案のテーマがより具体化されていきました

それぞれの意見を共有した後、実際にまちづくりを行っている区役所の方のお話を聞いて、より提案のテーマが明確になってきたのではないでしょうか。

次回は西淀川の提案の中間報告をしてもらいます。どんな提案が出てくるのか楽しみです。

【前回までの授業の様子はこちら】

1回目 12月5日:公害ロールプレイと公害患者さんのお話

2回目 12月19日:西淀川フィールドワーク

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年12月27日5:20 PM
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