公害 みんなで力をあわせて ――大阪・西淀川地域の記録と証言――英語ver
が追加されました。
西淀川区に暮らしてきた多くの人びとがどのように西淀川公害に立ち向かってきたのか、どのような人びとと、どのように協力関係を育ててきたのかを時期を追いながらまとめたものです。
もちろん日本語もありますので是非ご覧ください。
公害 みんなで力をあわせて ――大阪・西淀川地域の記録と証言――英語ver
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西淀川区に暮らしてきた多くの人びとがどのように西淀川公害に立ち向かってきたのか、どのような人びとと、どのように協力関係を育ててきたのかを時期を追いながらまとめたものです。
もちろん日本語もありますので是非ご覧ください。
あおぞら財団では、環境省職員を対象とする西淀川・尼崎地域における環境問題史にかかる現地研修の受け入れを行っています。今年度は10月11日から12日にかけて実施し、環境省職員の方15名、環境再生保全機構の方2名、中間貯蔵・環境安全事業株式会社の方3名が参加されました。
研修2日目は、バスで西淀川および尼崎工業地域のフィールドワークを行いました。
歌島橋交差点を出発すると、交通量の多さが実感されます。
西淀川公害裁判和解に伴い、歌島橋交差点をはじめとする4か所に
国土交通省が常時大気測定局を設置していることなどが説明されました。
フィールドワークの途中で、国土交通省大阪事務所の方から、
ロードプライシングをはじめとする環境対策(大気汚染対策・騒音対策)の取り組みについてお話を伺いました。
質疑応答では、交通の転換を促している阪神高速5号湾岸線周辺への環境影響や、エコカーに対する割引は行わないのかといった質問が出ました。
その後、尼崎の工業地帯、中島工業団地を巡りました。
尼崎へ向かう高速道路では、大阪事務所の方から聞いた騒音対策としての防音壁が施されていること、設置された年代や西淀川地区と尼崎地区で装置に違いがあることなどを実際に確認することができました。
西淀川地区、尼崎地区、そして中島工業団地を通って西淀川地区へ戻ってくると、工業地域と住宅地域が近接していること、複雑に入り組んでいることがよく分かります。
昼食後はデイサービスセンターあおぞら苑を訪問しました。
ここからは、3人1組となって『西淀川公害を考える 西淀川公害から考える 西淀川フィールドワークマップ』を手に、あおぞら財団をめざします。
実際に西淀川のまちを歩いて、町並みや公害対策としての緑陰道路を歩いて体感してもらいます。
また、西淀川の好きな所・おすすめの場所、困ったところ・改善したいところについて地域の方にインタビューを行うことも目的の1つです。
あおぞら財団に到着後、各グループのインタビュー結果を共有しました。
地域の方からは、好きなところとして大野川緑陰道路と桜、団地(地域)での行事の多さが挙げられたほか、改善してほしい点として防水対策、バスの本数の少なさが挙がったようです。
こうしたインタビュー報告をまじえながら、藤江事務局長が「西淀川の現状と地域再生のまちづくりについて」講義を行いました。
藤江事務局長の講義に対しては、まちづくりの担い手をどう繋げるか、新しい住民が活躍するにはどうしたらよいかという質問が出されました。
あおぞら財団理事である山岸公夫さんからもお話を伺いました。
「西淀川大気汚染公害訴訟を会社サイドからみる」として、西淀川公害訴訟に携わったご経験、訴訟担当者としての思い、現在の思いをお聞きすることができました。
最後に、2日間の学びをふりかえるワークショップを行いました。
各グループで学びを整理・共有し、プレゼンを作成、「西淀川で得た学び」として発表します。
参加者からは、学びとして、
立場の異なる人びとが、意見交換の積み重ねによって信頼関係を築いていったこと、
「青空を手渡したい」という共通の目標が見つかったことが和解に繋がったこと、
また、今後の課題として、
地元住民の公害に対する意識に温度差があること、問題の風化、
今後起こりえる環境問題に教訓をどう生かすか、
また行政や地域団体それぞれの立場で何を行っていくべきか、
などが挙げられました。
参加者の発表に対し、
藤江事務局長からは「これから仕事で生じた問題に向き合う際にこの研修が生かされてほしい」、
山岸公夫さんからは「ルールがない中で問題が起こり、対立する。参加者はそういう時に活躍すると思うが、対立が激化する前に解決のための手順やルールをつくってほしい」、
上田事務局長からは「大切にしてきたのは対話。対話には相手への尊厳と自分への疑念が必要という。相手をリスペクトする気持ちを持ち、相手と話をすることで“自分が変わらないといけない”と思わないと対話にならない。ぜひ対話を」
といった趣旨のコメントがありました。
環境問題だけでなく、まちづくりを考えていく上で、それぞれの思いを持った立場の異なる人間が対話を重ね、信頼関係を築いていくことの重要性が再認識された研修でした。(北嶋)
10月27日に西淀川区役所にて、2018西淀川区健康いきいき展が開催されました。あおぞら財団では西淀川区薬剤師会と一緒にハイ・チェッカーを用いて肺年齢測定を実施しました。健康いきいき展は、開始前に長蛇の列ができるくらい人気のイベントで、様々なコーナーで自分の健康状態を確認し、薬剤師や医師等から正しい情報を得ることができます。
肺年齢測定はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の認知度を広め早期発見、早期治療が目的で行っています。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の大きな原因は有害物質の吸入や大気汚染によって起こりますが、中でもたばこの煙が最も大きな原因です。
あおぞら財団では、2時間の間に50人あまりの人の肺年齢を測定することができました。ほとんどの方が問題ないという結果になりましたが、中には肺疾患の疑いという結果が出て不安を感じられる方もいました。そういう方には、今回はハイチェッカーという簡易な機械であるので測定に限界があること、不安がある場合は病院でスパイロメーターで詳細に検査したほうがよいということをお伝えしました。
あおぞら財団は、西淀川区薬剤師会の一部にブースをお借りして実施しました。薬剤師コーナーでは肺年齢チェックだけでなく体温や血圧、物忘れ度、肌年齢を測定するブースがありました。物忘れ度、肌年齢測定はとても人気で開始から30分で受付が終了するほどでした。西淀川区薬剤師会のfacebookページであおぞら財団についても紹介していただいています。
今回の肺年齢チェックでは、昨年度も測定したという方や呼吸が気になるからと一番に肺年齢測定を受けにきた方もおられ、西淀川区で肺年齢測定の認知度が高まって行っているのを実感しました。
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本事業は、独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進事業(NPO法人等との協働事業)」の一環として行われています。
2018年10月15日(月)14:00~16:00、西淀川区役所にて、ケア・マネージャーさんの勉強会「得るエル広場」にて「在宅でできる呼吸ケア・リハビリテーション」の講習会を開催しました。西淀川区南西部地域包括支援センターとの共催です。講師は北野病院リハビリテーションセンター技師長/理学療法士の本田憲胤先生です。
この講座では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など呼吸器疾患の患者の治療に有効とされている呼吸ケア・リハビリテーションの技能を学びます。患者の在宅生活をささえるケアマネージャーさんに、呼吸リハビリの重要性、有用性を学んでもらい、ケアプランへの活用をしてもらいたいとの考えから開催しました。
最初に、北野病院リハビリテーション技師長の本田先生から呼吸リハビリテーションの有用性や在宅でできるリハビリについてお話を聞きました。
COPDは完全には治らない病気で、いかに病気と上手に付き合い、自己管理を行っていくかが大事です。COPDを罹患している人では、活動的な方と不活動的な方では生存率が大きく違います。呼吸リハビリを上手に取り入れることにより、大きな効果を得ることができます。運動には、座ってできるもの、寝ながらするもの、立ち座り動作が伴うものなど様々な方法があり、患者さんや家族が納得できるようなやり方をやっていかなければなりません。本田先生はヒポクラテスの「使えば強くなり、使わなければ弱くなる」という言葉を紹介しながら、筋力を使う重要さを強調されました。
講義の後、実技も行ないました。胸郭を緩め、呼吸介助するコンディショニングを実施することで、身体の柔軟性を増し、息苦しさを和らげることができます。実技の前後で前屈を行ってもらったのですが、明らかに体が柔らかくなっており、みなさん驚嘆の声をあげていました。
最後に、質問タイムです。
「コンディショニングはどれぐらいの時間がかかりますか?」という質問に対しては、「コンディショニングの時間は呼吸リハ全体のの半分から 4割ぐらいの時間を使います。コンディショニングをしっかりやらないと、呼吸リハビリの効果が出ません。運動を続けるためにはコンディショニングが重要です。コンディショニングの後、いすから立ち座り、足上げなどの下半身の体操を行います。」という回答でした。
「呼吸リハビリができる事業所がわからない」という質問に対しては、「訪問リハビリを実施しているところであればできます。もしできないと言われたら、勉強してきてと依頼するといいと思います。」と、ケアプランに呼吸ケアを組み込むための質疑応答もありました。
他に、それぞれのケアマネージャーさんが担当されている方を念頭においた質問も多数出ました。
Q.先生から酸素療法をすすめられている人がいるが、カッコ悪いから嫌だと断っている。激しい咳で意識を失うこともある。導入するとしたらどのくらいか?
A.酸素療法は、いろんな会社販売しているが、どこも同じである。身体障害者手帳1級を取得すると安くなる。酸素療法を使わないでいると、心不全など心臓が弱ってしまう。
Q.煙草を吸っている方に、酸素療法をすすめるのが難しいのですが……。
A.酸素療法で一番怖いのは火事である。酸素療法を利用していて、1年に1~2人ぐらい火事を起こす人がいる。禁煙外来もあるので、禁煙に取り組んでほしい。また、オール電化にすることも大事。
Q.酸素療法しながら運動するのか?
A.運動の時もつけたまま行います。
今回参加されたケアマネージャーのみなさんは、呼吸ケアの重要性、効果の大きさを強く実感されたようです。ケアプランの作成の際に呼吸ケアを考慮に入れていただき、西淀川区内から在宅の患者さんに対しての呼吸ケアが広がっていくことを期待しています。
(記:谷内)
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これまでの医療従事者向け呼吸ケアリハビリ講習会の様子はコチラをご覧ください
→これまでの取組 医療従事者向け呼吸ケアリハビリ講習会
→ブログ カテゴリー「環境保健」https://aozora.or.jp/archives/category/kankyohoken
協力:西淀川区役所
本事業は独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進のための人材育成・情報発信事業(NPO法人等との協働事業)」の一環です。