あおぞら財団 財団ブログ
公害の歴史Q&A あおぞらイコバ
公害を伝えるための資料整理寄附募集
屋上広告募集
りべら広告募集
Don't go back to the 石炭

    キーワード検索

    アーカイブ

    カテゴリー

    最近の投稿

    最近のコメント

ブログカテゴリー » イベント報告・ホームページ更新

楽らく呼吸会(のざと診療所)で禁煙について勉強しました(12/9)

2016年12月9日(金)、のざと診療所で第40回楽らく呼吸会を開催しました。今回は西淀病院から薬剤師の箱崎さん、あおぞら薬局から薬剤師の各務さんを講師に迎え、禁煙について勉強しました。呼吸会の主な参加者である呼吸器疾患の患者さんの多くは喫煙されていない方が多いのですが、煙草がCOPDの大きな原因になっているということ、地域に禁煙の輪を広げていきたいということから禁煙をテーマとして取り上げています。

参加者は6人(内、患者さん3名(家族の方を含む)、薬剤師2名、スタッフ1名)でした。今回は師走ということで他の用事が重なったり体調を崩している人があり、いつもより少人数でした。

薬剤師さんからお話をきく参加者

禁煙についてお話をききました

最初に、それぞれ事前アンケートに記入。喫煙しているかどうか(以前喫煙していたかも含む)、周囲に喫煙者はいるか、周りの喫煙者に禁煙のアプローチをしているか、といった内容に答えました。

前半は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)についてお話を聞きました。COPDは、大気汚染だけでなく、喫煙が大きな原因になっています。たばこの販売本数とCOPDによる男性の死亡率には強い相関関係があります。COPDは1990年には全世界の死亡理由ランキング(WHO)で6位でしたが2020年には3位になると予想されており、COPDを減らすために禁煙の輪を広げることは重要なことです。

後半は、具体的な禁煙の取り組みについてのお話でした。大阪市は、全国の大都市の中でもトップ5の喫煙率だそうです。

喫煙は、COPDなどの肺に悪影響を与えるだけでなく、血流が悪くなることから様々な部分に影響が出てしまいます。白内障や脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、胃潰瘍、骨粗しょう症、不妊など様々な病気のリスクが高まるそうです。

喫煙者の肺

喫煙者の肺は真っ黒になります

 

煙草は、吸っている本人だけでなく、家族など周囲の人に与える影響も大きくあります。煙草の有害物質は、主流煙(喫煙者が吸う煙)よりも副流煙(受動喫煙で吸う煙)の方に何倍も含まれています。たとえば発がん物質のニトロソアミンは、副流煙に主流煙の52倍の量が含まれています。換気扇の下やベランダで吸っていても、有害物質は部屋に漂ってしまいますし、空気清浄機では煙草の有害物質を除去することができません。

禁煙のための薬についての紹介もありました。禁煙補助剤には、錠剤やパッチ、ガムなど様々なものがあります。ニコチンを含む薬は、禁煙時の離脱症状に対して、ニコチンを補給して、その症状を緩和しながら、煙草を吸うという習慣から抜け出して禁煙していくというものです。参加者の中にはこのパッチを使って禁煙に成功された方がおり、体験談を話してくださいました。

煙草をやめやすくする薬(禁煙補助剤)

煙草をやめやすくする薬(禁煙補助剤)

このように様々な害がある煙草ですが、喫煙者に禁煙を勧めるのはとても難しいことです。薬剤師の各務さんは「相手を否定すると反発されてしまう。禁煙した人の体験談とかメリットを紹介して、相手の意思を少しずつ禁煙に向けさせましょう」というアドバイスをいただきました。

のざと診療所では、毎月第一土曜日(1月除く)の13時~14時に禁煙教室を開催しているということです。ご家族や周囲に禁煙してみたいけどなかなかやめられないという人がいたら、ぜひ声をかけてみてください。

■次回予定  ~お問い合わせはあおぞら財団まで~

・千北診療所……1月19日(木) 14:00~15:30(禁煙について)
・姫島診療所……1月20日(金)1月12日(木)に変更になりました 14:30~16:00(禁煙について)
・のざと診療所…2月10日(金) 14:00~15:30(薬について)

本事業は独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進事業(NPO法人等との協働事業)」の一環として実施しています。

谷内

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境保健 — aozorafoundation 公開日 2016年12月12日10:45 AM

りべら142号(特集:あおぞら財団20thアニバーサリー)(2016年11月発行)サイトで見られます

『りべら』はあおぞら財団の機関紙(会報)です。
A4版、16ページ、季刊1日発行、1部400円送料込、2,000部発行

ご購読希望者はwebmaster[at]aozora.or.jp([at]を@に変えてください)まで

※あおぞら財団賛助会員の方には、毎号郵送でお送りしています。

『りべら』2016年11月号No.142 特集:あおぞら財団20thアニバーサリー

ƒvƒŠƒ“ƒgこちらからご覧になれます。

特集:あおぞら財団20thアニバーサリー

20年の道のり山あり谷あり…1
森脇君雄さんからメッセージ…4
西淀川公害患者と家族の会からメッセージ…4
西淀川公害再生に大切な視点 宮本憲一…5
これまでと今後の財団活動-20年を節目として-村松昭夫…8
忙中一筆 傘木宏夫…7
ぶらりとゆるりと西淀川めぐり…9
世界の大気汚染と交通政策Ⅱ.インド編…9
西淀川モノづくり会社…10
リレー連載 あおぞら財団にじゅうまる!
道路・交通環境に関わる、あおぞら財団の20年の取り組み…11

 

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,事務局 — aozorafoundation 公開日 2016年12月6日11:37 AM

台湾/台北 訪問記(2016.10)  台湾環境NPO・弁護士に聴く―台湾公害訴訟の現場とは

10月22日、「平成28年度 大気汚染経験情報発信事業」の一環として、北京訪問後、次の目的地・台北に降り立ちました。
北京はダウンが必要な日もあったのに関わらず、それと打って変わって台北はまだまだ残暑が厳しく、日中は30度を越す日も。
そんな中、訪問団は環境NPOの交流会や、アスベスト訴訟を扱う団体が参加する「台日公害訴訟及び疫学因果関係のワークショップ」に出席しました。

<訪問者>
村松昭夫(弁護士、前全国公害弁護団連絡会議幹事長、あおぞら財団理事長)
藤原猛爾(弁護士、前日本環境法律家連盟理事長)
藤江徹(あおぞら財団事務局長)
當間美波(神戸市外国語大学三回生)

dscn5750
交流会のようす

交流会には大気汚染や原発問題に取り組む、台湾健康空気行動連盟や緑色公民行動連盟が参加し、台湾側から日本側に対して公害裁判について質問をする形で交流会が進みました。

「日本での大気汚染訴訟は成功したが、台湾では起訴の際、因果関係の証拠が少ないと裁判所側に跳ね返され、裁判を進めていくのが難しい。」という台湾側の課題に対して、村松弁護士は、日本の公害裁判の場合、原告の数の多さや専門家による因果関係の調査協力が裁判を進めることが出来た大きな要因だと返答しました。

dscn5758
西淀川公害訴訟のDVDを手渡す村松弁護士

交流会を通して、大気汚染問題についてはアジア各国で協力して行く必要があるという共通認識を確認することが出来ました。

交流会に続いて行われたワークショップでは、アスベスト訴訟に取り組む団体からの報告、日台双方からの質疑応答や意見交換が行われました。

img_2026
ワークショップのポスター

ワークショップの第一部では、日台のアスベスト訴訟に携わった弁護士から、両国のアスベスト問題について報告を受けました。

台湾ではアジア諸国の中では、アスベスト使用量が少なく、1990年にアスベストの使用が全面禁止されたのにも関わらず、現在でも国内にアスベスト建築物が残っているという現状があります。また、アスベスト労災認定が進んでいないのも、課題として残っているそうです。

dscn5774
アジア各国のアスベスト消費量を表したPPT

第二部では、「台湾三大公害訴訟と日本の疫学原則」をテーマに、台湾側から代表的な公害訴訟について、日本側からは日本四大公害訴訟の経験の報告を聴きました。

dscn5768
ワークショップのようす。多くの傍聴者も訪れた。

台湾側からは三団体がそれぞれ有機溶剤汚染、ダイオキシン汚染、複合汚染の案件について、事件の背景から訴訟の過程まで詳細に言及しました。

dscn5789
台湾三大公害訴訟について報告する黄弁護士

続いて藤原弁護士は、日本における疫学的因果関係を含む因果関係の全般的な考え方を、日本四大公害訴訟の経験を付け加えながら説明しました。

ワークショップの最後は、各弁護士からのコメントで締めくくられました。

~番外編:台北街歩き~
dscn5729
台湾の街中にて、信号待ちをするバイク

dsc_0266
台北市内にある日本統治時代の家屋

dsc_0116
観光客が絶えない九份地区

(記・當間美波)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2016年11月30日3:20 PM

中国/北京 訪問記(2016.10) その3 環境法担当機関に聴く―環境公益訴訟制度と大気汚染防止法の成果と課題

3日目は、中国の国会議事堂にあたる人民大会堂にて、立法や法改正を担当する全人代常務委員会法制工作委員会行政法室との意見交換に臨みました。意見交換の中では主に、環境公益訴訟制度が導入された背景やこれまでの成果について、また近年政府が力を入れる大気汚染防止政策について話し合われました。

dsc_0073
人民大会堂の会議室にて

環境公益訴訟制度とは?
中国は改革開放政策後の高度経済成長によって環境破壊が深刻化したのを背景に、経済発展と環境保護をバランス良く促進し、また環境破壊の被害者である公衆・国民を救済するために2014年の環境保護法の改正を受け、環境公益訴訟制度が導入されました。環境公益訴訟の制度化にあっては、訴訟の原告資格をめぐって議論があり、現在ではNPO/NGOの中でも設立されてから5年以上の実績がある等、継続的な環境保護活動が可能である団体に提訴の資格が与えられています。
原告になる資格は民間団体以外にも、一部の地域では検察官にも資格が認められていることが、中国の環境公益訴訟制度の大きな特徴とも言えます。
環境保護法の環境公益訴訟後の状況をみると、検察官の参加は効果があると見ているそうです。

今後は課題として、損害賠償金の管理や被害者への割当等の問題を話し合って行くそうです。

制度執行後2015年1月以降では、民間団体の提訴が90件、検察官の提訴が42件(民事.行政事件を含む)と、今後も起訴件数は増えると見ています。

大気汚染防止策について
また同委員会は、近年力を入れている大気汚染防止策について肯定的な見方を示していました。中国においてスモッグ・大気汚染が深刻化した原因として、第二次世界大戦中から、石炭を主要エネルギーとして利用している点、近年の自動車の普及した点があげられます。政府は大気汚染防止のために2015年に大気汚染防止法を改正しました。長期的な効果を考慮し、同法律は工場、自動車、建築等の汚染源対策を盛り込み、政府と企業の責任を明確しました。その他、ここ2~3年の大気汚染の改善や、交通違反の罰則の強化、新エネルギーの導入等の取り組みを鑑みると、中国は大気汚染防止策の達成には、そこまで時間を要さないと考えているそうです。

dsc_0076
人民大会堂のロビーにて

続いて、午後は環境訴訟を取り扱う北京環助弁護士事務所にてヒアリングを行いました。

同事務所は、6年前に開業し、環境公益訴訟や民事訴訟を専門とする弁護士が所属しています。
ヒアリングでは、公益訴訟の現状や同事務所の取り組みを中心に話をお聞きしました。

img_0264
ヒアリングのようす

公益訴訟の状況
中国の環境公益訴訟の種類は民事と行政にわけることができ、2015年以降の環境公益訴訟の案件数は合計すると100件にも上り、その8割を民事訴訟が占めるそうです。
環境公益訴訟の特徴として、①訴訟で取り扱われる案件の範囲が拡大した点、②環境汚染だけではなく、幅広い「環境問題」が対象になる点が上げられました。

特徴①:範囲の拡大
かつては環境に実際に損害を及ぼしているケースのみ受理されていたが、環境公益訴訟制度が出来てから、環境に対するリスクがある案件でも提訴することができるようになったそうです。同事務所では、以前四川省のダム建設による生態系破壊の案件を取り扱い、生態系が破壊されていない段階でも提訴することが出来ました。

特徴②:領域の拡大
環境公益訴訟は生態環境や文化財の破壊も含んでおり、実際に同事務所では文化財取り壊しを撤回する訴訟にて勝訴したこともあります。

img_1970
これまでの取り組みについて語る馬勇氏

北京環助弁護士事務所の取り組み
同事務所は民事訴訟と公益訴訟の両方を扱っており、2015年以降民事訴訟は年間50~60件、公益訴訟は年間20件と、やはり全体として公益訴訟の割合が少ないものの、近年取扱件数が増えているそうです。公益訴訟を提訴する際は、原告である環境NPO/NGOから委託を受け、同事務所から弁護士を派遣しています。大気や水汚染をはじめ、生態系保護、文化財保護など様々な問題を扱っています。数多くの案件を扱っていますが、いずれも審議中のものが多く、判決の執行が滞っていることを課題として挙げていました。

中国/北京 訪問記(2016.10) その1 女子大生は見た!北京の大気汚染の現状と取り組み

中国/北京 訪問記(2016.10) その2 環境NGOと環境弁護士に聴く―環境公益訴訟の現場から

(記・當間美波)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 3:13 PM

中国/北京 訪問記(2016.10) その2 環境NGOと環境弁護士に聴く―環境公益訴訟の現場から

10月20日、日中環境NGOと環境弁護士の交流会に出席し、両国の環境訴訟について報告した後、意見交換を行いました。
中国では2014の環境保護法改正に伴い、環境公益訴訟制度が導入され、以降、NPOなどの民間団体からの環境公益訴訟の提訴が相次いでいます。そして今回は、各団体がこれまで扱った代表的な案件と、成果や課題について発表しました。

img_1917

まずはじめに、「中国生物多様性保護及び緑発展基金会」の張娜弁護士からの報告によると、同団体の取り扱う案件は大気汚染から森林伐採などと多岐にわたり、その多くはメディアやSNSを通して摘発されたものだそうです。

次に、「自然の友」の馬栄弁護士からは、現在審議中である現代自動車による排気汚染裁判について報告を受けました。環境公益訴訟は主に、NPOなど社会団体が原告となるケースが多いそうです。大気は自然条件によって改善される場合があるため、損害規模を証明するのが困難であるという課題を挙げていました。

img_1925
報告者の発表を聴く参加者
img_1934
現代自動車の案件を紹介したスライド

日本側からは、村松弁護士より「日本の公害訴訟の歴史について」、藤原弁護士より「公害訴訟の因果関係」の報告を行い、中国側から日本の公害訴訟について様々な質問が出ました。

dsc_0068
出席者の集合写真

交流会の後の親睦会にて。美味しい北京名物をいただきました。

dscn5668
img_1942
北京名物ジャージャー麺

dscn5663
一本のキュウリをつなげて切ったもの。醤油をつけていただく。

中国/北京 訪問記(2016.10) その1 女子大生は見た!北京の大気汚染の現状と取り組み

(記・當間美波)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 3:05 PM
« 次のページ前のページ »