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ブログカテゴリー » 国際交流

1/19中国環境NGO研修受入 2日目

1月19日(金)午前中は、大阪市環境局(ATC)を訪問し、大阪市における環境行政の推移、大気汚染常時監視システム、自動車排出ガス対策についてお話を伺いました。

 

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中国環境NGOメンバーからは、大気の測定方法や流入車規制に関する質問が出ました。その内の一人からは「大阪が昔、空気が汚れていたけれど、対策でここまできれいになったことを知って勇気が出た。中国でもやっていきたい」と話しました。

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午後は、「おおさかATCグリーンエコプラザ」の見学に伺いました。ガイドの方から、様々な企業のエコな取り組みを展示やパネルを使って分かりやすく説明いただきました。

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西淀川区内の会社・野村興産株式会社もパネル展示されていました。同社では使用済み蛍光灯のリサイクルを行っており、中国メンバーからは「以前見学に行ったことがある」という話も飛び出しました。

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様々な企業の特技を生かした環境の取組みに、中国メンバーも興味をもって話に聞き入っていました。

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隣の環境防災コーナーには、防災グッズも展示されていました。

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1日目(前半)の研修はこちら↓
https://aozora.or.jp/archives/30087

1日目(後半)の研修はこちら↓
https://aozora.or.jp/archives/30055

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2018年2月5日4:56 PM

1/18中国環境NGO研修受入 1日目(後半) タンデム自転車でフィールドワーク

※「大阪でタンデム自転車を楽しむ会」の記事の転載です。

1月18日(木)の午後からは、西淀川区内のフィールドワークに出かけました。6台のタンデム自転車(二人乗り自転車)に分乗し、あおぞら財団前をスタート。

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みんな初めてのタンデム自転車でしたが、大野川緑陰道路を走るうちに慣れてきました。

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「イー・アル・サン・Goー!」と前後で声を掛け合い、力を合わせて進みます。寒い日でしたが、漕いでいる間は身体が暖まります。

要所要所で自転車を止めて、環境改善の取組みや西淀川区の現在について説明します。大野川緑陰道路、国道43号、淀川河川敷、大気測定局、最後は、あおぞら苑前の石碑で記念写真をとりました。

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2時間ほどの短い時間でしたが、西淀川区の公害対策・環境改善の取組みや現在の暮らしを肌で感じてもらうことができました。

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番外編)

・今回、中国環境NGOメンバーは姫里ゲストハスいこねに宿泊し、大阪の古民家を満喫。懇親会では、水炊きや手巻き寿司などを楽しみ、「好吃 ハオチー(おいしい)」の声も出て、一日目の研修が無事に終わりました。

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1日目(前半)の研修はこちら↓
https://aozora.or.jp/archives/30087

2日目の研修はこちら↓
https://aozora.or.jp/archives/30068

※あおぞら財団は「大阪でタンデム自転車を楽しむ会」の事務局です。
タンデム自転車のレンタルをおこなっています。詳しくは下記連絡先まで。
大阪でタンデム自転車を楽しむ会
【HP】http://www.tandem-osaka.com/
【FB】http://www.facebook.com/osaka.tandem
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階(あおぞら財団内)
TEL:06-6475-8885 FAX:06-6478-5885
webmaster@aozora.or.jp

1/18中国環境NGO研修受入 1日目(前半)

あおぞら財団では、中国の環境NGOメンバーを日本に招き、研修プログラムを実施しています。
今年度は1月18日(木)~19日(金)の2日間に、中国から12名の方が西淀川区をおとずれました。
今回の「日中公害・環境問題に関する研修プログラム」では、西淀川地域をフィールドとして、日本での大気汚染公害の経験を中国の環境NGOメンバーに理解してもらい、環境問題の解決に役立ててもらうことを目的としています。

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訪問メンバー:

代表:李力 環友科学技術
団員: 1.李力(Li Li)氏 (北京市朝陽区環友科学技術研究センター)
2.阮清鸳(Ruan Qingyuan)氏(北京市朝阳区公众环境研究中心)
3.洪武(Hong Wu)氏(湖南省湘潭市绿叶环保志愿者协会)
4.张頔(Zhang Di)氏(北京市朝阳区环友科学技术研究中心)
5.李雪雁(Li Xueyan)氏(北京市朝阳区环友科学技术研究中心)
6.邓青(Deng Qing)氏(武汉行澈环保公益发展中心)
7.张雯娜(Zhang Wenna)氏(武汉行澈环保公益发展中心)
8.周峰(Zhou Feng)氏(云众世纪(北京)科技有限公司)
9.王丽(Wang Li)氏(广东省中山市小榄花城中学)
10.胡雅杰(Hu Yajie)氏(杭州向冉科技有限公司)
11.施朝(Shi Zhao)氏(北京市朝阳区环友科学技术研究中心)
12.周墨辰(ZHOU MOCHEN)氏(周峰氏親族(息子))

スケジュール:
1月18日(木)
①講義「西淀川公害の概要について」、資料館見学
②公害患者の語り部さんからのお話 (山下明さん)
③公害反対運動のリーダーからのお話
④サイクリングでフィールドワーク(歌島交差点周辺、淀川通り・・・43号線)

1月19日(金)
①大阪市環境局(ATC)見学
②ATCエコプラザ見学
③日中環境問題サロン



1日目の午前中は、西淀川公害とあおぞら財団の活動紹介、西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)の見学(解説:あおぞら財団職員鎗山)をおこない、その後、公害患者の方のお話がありました。

今回は公害患者さんの山下明さん、奥様の山下晴美さんが来てお話をしました。

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山下さんは1961年に就職の為、九州から大阪に来られました。西淀川に来たときは空が灰色だったことに驚いたそうです。西淀から阿倍野に移り、また西淀に帰ってきた時は、常時風邪をひいたような状態で、医者にかかっていたそうです、医者に公害によるぜん息ではないかと公害認定を受けることを勧められ、認定を受けました。
山下さんは、ぜん息によるつらい発作や、仕事中に意識を失い一時心肺停止状態にまでなったこと、大変な状況をご家族で協力して乗り越えられてきたことをお話してくださいました。

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薬が良くなって大きな発作が起こらなくなったこと、今でもお仕事を続けておられるということもおっしゃっていました。

山下さんのお話の後、皆さんから質問が相次ぎました。
Q:公害によるぜん息と認定されたとき、他の患者さんたちとどのようにつながりを持ったのか?
A:公害認定を受けた後、自分と同じように公害で苦しんでいる人達が患者会(西淀川公害患者と家族の会)として活動をしているということを紹介されたため、自分も患者会に入った。

 

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山下さんから、中国の皆さんに聞きたいことは?ということで質問がありました。
Q:中国では会社が工場から出る煤煙等の問題を国民に対してどのように説明しているのか?それに対してどのように住民は受け止めているか?
A:中国でも環境NGOは増えており、NGOは民衆からこの工場が汚染をしているとの訴えを受けて、政府に報告して対応を要求したり、企業と交渉をする。近年ではインターネットやアプリで、煙害等の汚染の地域について知ることができる。

中国では今、環境問題が重視され、国策のトップにもなっている。政府から国民まで環境問題への意識が高まっているとのことでした。政府上層部でも法律面・政策面でも環境問題に力を入れる傾向にあるそうです。
山下さんは、これから世界でリーダーシップをとっていくのは中国だと思う、公害対策においてもリーダーシップを取れるよう頑張ってほしいと語りかけられました。

 

続いては、公害被害者総行動デーで40年間代表委員をつとめ、西淀川の公害患者会の原告団団長、西淀川公害患者と家族の会の初代理事長でもある森脇君雄さん、患者会の現事務局長・上田敏幸さんからのお話がありました。

 

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中国の方からの疑問や知りたいことに対して、お二人がお話をされるという形ではじまりました。

Q:工場からの煙等の汚染物質と患者の被害との因果関係の証明のため、日本ではどのような取り組みを行ったか?
A:高度経済成長期、広範囲で多数の人が空気の汚染により被害を受けた。また60年代に住民が、空気・水の汚れに関して国と企業の責任を追及する裁判が起り、勝利した。(四大公害裁判)この勝利が公害による被害を救済しようという大きな契機になった。そして公害健康被害補償法が制定された。大気汚染に関してはより多くの人を救済するための措置がとられることになった。大気汚染被害の場合医療と生活保障にかかるお金は大気汚染物質を出す企業により賄われている。1988年以降は公害指定地域の解除により、認定患者は減少傾向にある。

 

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Q:公害患者さんは公害健康被害補償制度によって、どのような補償を受けられるのか。
A:補償金の他に転地療養・療養相談が受けられる。公害健康福祉事業として、生活がスムーズに送れる様に呼吸訓練等日常の予防事業がある。また空気清浄機の貸し出し等の機器の貸し出し等も行われる。公害健康被害保障制度の対象となるのは、公害によって引き起こされた病気の薬による胃潰瘍、ステロイド剤による腎臓障害等も対象である。この制度の特徴は汚染物質を出した企業が補償の8割を負担している。自動車重量税から残り2割が負担される。環境の汚染者が負担をするという仕組みである。

Q:公害と被害の因果関係、補償制度における認定についてどう証明したか?
A:大気汚染の公害病の場合は認められている病名が気管支喘息・慢性気管支炎・喘息性気管支炎・肺気腫の4つである。それぞれの症状を判断する基準があり、それを患者の主治医が、基準に沿って症状を判断する。医学的データによる検査をする仕組みもある。公害の指定地域を決めて、そこに指定以上の年数居住している、勤めていて公害病と認められる病気の症状のある人が認定患者となる。

 

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この後、神戸製鋼所の火力発電所増設と、環境影響評価(アセスメント)について、お話がありました。
上田:かつて西淀川公害裁判の被告企業であった神戸製鋼所が、火力発電所を増設しようとしている。大量の大気汚染物質と温室効果ガスが出るため、企業とやり取りをして止めてもらおうとしている。日本の場合、一定の規模以上の発電所や道路をつくるときは環境影響評価(アセスメント)をすることが義務づけられている。今日本のアセスメントは、市民も参加して合意形成ができる仕組みにはなっているが、もともと事業者が自分で評価をする仕組みになっていて第三者機関が評価する仕組みにはなっていないという弱点はある。それでも環境にどういう影響を与えるか、環境に影響を与えない措置をどういうふうにやるかということを示す義務が法律に記されている。火力発電所増設に関して、大気汚染物質の総排出量を最近まで明らかにしなかった等神戸製鋼の姿勢に対して残念な気持ちもある。

 

最後に皆さんで写真撮影をしました。

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1日目(後半)の研修はこちら↓
https://aozora.or.jp/archives/30055

2日目の研修はこちら↓
https://aozora.or.jp/archives/30068

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入 — aozorafoundation 公開日 4:54 PM

1/19(金)日中環境問題サロン2017「中国の公害・環境問題と環境NGOの取り組み」を開催します。

日中環境問題サロン2017
第四回「中国の公害・環境問題と環境NGOの取り組み」

中国で活動する環境NGOメンバーを招き、中国での公害・環境問題に対するNGO活動についてお話を伺い、今後の日中における公害・環境問題の解決に向けて、お互いに理解し、協働していくための意見交換を行ないます。

■日時:2018年1月19日(金)18:00~20:30 (受付17:30~)
■場所:グランフロント大阪 ナレッジキャピタル アクティブスタジオ
大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪 ナレッジキャピタル 北館2F
(アクセス:https://kc-i.jp/access/、https://kc-i.jp/facilities/the-lab/active-studio/)
■参加費:500円

PDFでのチラシのダウンロードはコチラ

中国から報告(逐次通訳)
李力氏
①李力氏(北京市朝陽区環友科学技術研究センター)
中国の60以上のNGOの顧問を務める。東アジア環境情報発伝所ネットワークの中国代表。環境教育には20年以上従事した。汚染企業に副社長として就任し、企業の内部から業務改善を監督し、排出基準を遵守させるという明らかな効果を得た。SOHUに公益リーダーとして表彰され、2014-15年度のグリーン中国人にも選出されている。

阮淸鴛氏
②阮淸鴛氏(公衆環境研究センター・技術総監)
公衆環境研究センターで10年以上活動を続け、蔚藍地図データベースの設計、運営を担当し、環境保護公衆参加のための情報プラットホームを提供している。また、情報公開を促進し、グリーンサプライチェーン、青空路線地図などのプロジェクトを創設・運営している。

洪武氏
③洪武氏(湖南省湘潭市緑葉環境保護ボランティア協会)
企業の幹部から脱サラし、公益保護を仕事とするようになった環境保護の活動家。専ら生態環境問題に関わり、5年間で200余りの案件の解決を促した。環境保護活動家を指導して11の環境保護組織を成立させ、現在は「全国環境保護活動家おもいやりセンター」の創立をめざしている。

張頔氏
④張頔氏(江蘇緑色の友・自然教育顧問)
北京環友科技秘書長。「中国二酸化炭素ダイエット宣言」、「環境科学普及劇場農村を農村へ」などのプロジェクトを組織し、プラスチック抑制、過剰包装抑制政策研究、生態休暇などのプロジェクトを立ち上げた。グリーン選択連盟にも参加し、環境監督と研修も数多く行っている。

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(写真は2016年12月に開催された日中環境問題サロンの様子)

Filed under: イベント案内,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2018年1月5日1:22 PM

日中環境問題サロン2017:「中国で活動する環境NGOの現状」(2017/10/27)を開催しました

先日、日中環境問題サロン2017(第三回):「中国で活動する環境NGOの現状」(2017/10/27)を開催しました。

今回は中国から環境NGOの方を3名お招きし、それぞれの団体の活動や、活動を始めるに至った経緯についてお話をお聞きしました。

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■日 時:2017年10月27日(金)18:30~21:00
■場 所:公益財団法人 公害地域再生センター(通称:あおぞら財団)3F
■主 催:あおぞら財団(公益財団法人公害地域再生センター)
■プログラム
① はじめに「中国の特色のある環境NGO」(相川泰氏:公立鳥取環境大学准教授)
②「環友科技の活動紹介」(李力氏:北京市朝陽区環友科学技術研究センター)
③「武漢における水汚染と環境NGOの活動」(鄧青氏:武漢行澈環保公益発展中心)
④「西安における大気汚染と環境NGOの活動」(韋涛氏:西安市同大環境汚染防治研究所)
⑤質疑応答

【講演者・内容】
① はじめに「中国の特色のある環境NGO」(相川泰氏)
まず初めに、中国のNGOの種類と相川氏から「草の根」環境NGO発展史について解説いただきました。
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写真:講演をする相川氏

中国のNGOは主に、政府系と、「草の根」、外国のNGO系の3つに分かれ、「草の根」環境NGOの発展史は4段階に分かれています。

第1段階1993年~2002年の前半は、北京の高学歴・知識層を中心に環境問題全般を扱うNGOが多かったのですが、その後、各地で専門性の高いNGOが登場しました。
第4段階にあたる近年は、政府の制約により活動を制限されるケースも少なくありませんが、情報公開政策を提言しながら公開情報を活用して、汚染企業を直接・間接に追及などの活動を行っているのが特徴です。

最後にまとめられた目下の研究課題中でも、日中環境NGOの関係性の変化が印象的でした。

かつては日本のNGOが進んでいて、中国のNGOにアドバイスをする関係性でしたが、SNSやメディアの活用など、今では中国のNGOが日本のNGOより進んでいる部分があり、互いに学ぶ対等な関係しています。

今後、日中の環境NGOの関係がより一層発展していくことを期待したいです。

 

②「環友科技の活動紹介」(李力氏)
昨年12月、第四回日中環境サロン2016でも講演していただいた李力氏。前回同様、今回も李力氏がこれまで尽力してきた活動について紹介していただきました。

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写真:報告される李力氏

まず、李力氏はこれまで従事してきた主なプロジェクトを紹介されました。
2014年から気候変化教育プログラムと題して、環境教育用の教科書を作成し、今では中国の9省で教科書が採用されています。今後も日本と韓国と協力して教材の普及に努めていくそうです。

続いて、現在取り組まれている「楚源モデル」という染料工場の汚染改善プロジェクトを紹介されました。
工場から汚染源を出さないよう、NGOの環境活動家のモニタリングや、地域住民の委員会づくり、メディアの協力を仰ぐなど、情報公開を徹底した結果、プロジェクトを始めて1年余り汚染基準を超えたことがないと、その成果を報告されました。

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写真:楚源モデルの成果を表すPPT

また、あおぞら財団や神戸市外国語大学との関わりを紹介された上で、最後に、「今後日本の経験を更に中国に普及して、中国の環境を良くしていきたい」と笑顔で締めくくられました。

 

③「武漢における水汚染と環境NGOの活動」(鄧青氏)
鄧青氏は2014年度に武漢行澈環保公益発展中心という、湖北省を中心に水汚染問題の改善に取り組むNGOを設立し、現在は代表として活動されています。
今回は、組織を立ち上げるまでの経緯やこれまでの活動について報告いただきました。

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写真:自己紹介をする鄧青氏

鄧青氏は湖北省武漢市の工業地帯出身で、幼い頃、工場からの排煙で呼吸器の病気を患いました。大学時代には環境保護サークルを立ち上げ、卒業後は地元の鉄鉱企業に就職した後活動から離れましたが、工場で働く中で汚染が身近にあることを実感したことをきっかけに、2014年に湖北省で環境保護活動に再び従事し始めました。

武漢行澈環保公益発展中心の具体的な活動としては、湖北省の工業生産が環境に与える影響を調べ、企業や行政への改善提案を行っています。昨年は、同組織の取り組みだけで、3800万件の企業に対する行政の環境改善指導、7200万件の環境改善を達成したそうです。

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写真:鄧青氏の報告の最後のスライド

発表の最後に鄧青氏は以下の言葉で締めくくられました。「做环保不为指责,只为唤起希望!(責任をただすためではなく、希望を呼びかけるために環境を保護しよう!」
鄧青氏の人柄を表すとともに、中国の環境問題の未来に希望を持たれていることが伝わってきました。

 

④「西安における大気汚染と環境NGOの活動」(韋涛氏)

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写真:報告する韋涛氏

韋涛氏は陝西省西安市にて、大気汚染を専門とする中国初のNGO「西安市同大環境汚染防治研究所」の代表を務められています。韋涛氏元職業軍人でしたが、退役後大学に進学し、子どもが呼吸器官の病気を発症したことをきっかけに現在の団体をつくりました。

今回は、これまで行われた主な活動について紹介していただきました。

活動1:写真展
韋涛氏は写真家でもあり、これまで、汚染地域で汚染が酷い日と青空の日を比較した写真を撮り、全国で写真展を開催してきました。
これまでハルビン、長沙、成都、フフホト、杭州などで展覧会を開催してきましたが、今後も中国各地、機会があれば日本でも行いたいとおっしゃっていました。
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写真:汚染が酷い日と青空の日を比較した写真

 

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写真:代表作「中国紅中国白」(紅は共産党のカラー、白は大気汚染を表す)

活動2:マスクキャンペーン
汚染地域の低所得者層(ホームレス、出稼ぎ労働者、重度汚染の地域の住民)に無料にマスクを配り、汚染から自分を守ることができない人を助ける活動を行っています。汚染地域や農村部では、北京など大都市の方が、汚染がひどいと誤解している人も多く、汚染から身を守る方法を知りません。そのため、同団体ではマスクを配り、マスクの選び方や効果、使い方を教える活動を行っています。

 

⑤質疑応答
今回は講演内容が長くなってしまったため、質疑応答を簡略化させていただきます。
ご了承ください。

Q1. 中国は安いものを買うことで環境問題が深刻化してきたのではないか?
A1.
(韋涛氏)人の意識が変われば、安いものを買わないようになる。
以前はコスパを意識して買い物をしてきたが、環境に対応した企業の商品を買うようになってきた。
(鄧青氏)中国はやっと貧困線から脱することができたが、依然として物価の高騰、不動産の価格の高騰によって、生活費にお金を回すことができず、社会責任を追及することを後回しにしてしまうのが現状だ。

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写真:質問に答える鄧青氏

Q.2環境改善を進めることで、環境コストが上がり、他の農村などに汚染源が移ることで汚染が拡大していくのではないか?
(韋涛氏、鄧青氏)大気汚染は移転しやすい分野であり、実際、小規模の汚染企業が移転していくことで汚染源が移転するが、現在政府が規制を強めており、今後も強化されるだろう。

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写真:サロンの様子

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今回のサロンを通して感じたのは、日本も公害を改善したように、中国の汚染地域でも青い空や澄んだ水を見ることができる日くるのだという「希望」でした。今回お話をお聞きした3名は「中国政府は環境対策を強化しておりここ数年で大きく改善されている。今後の政策にも期待したい」と口をそろえておっしゃっていました。中国の環境NGOはそんな「希望」を原動力に活動されています。この言葉を聞いて、日本も希望を持って互いに協力していかなければならないと気付かされました。

記・當間美波(神戸市外国語大学 中国学科4年)

 

■日中環境問題サロン
あおぞら財団の国際交流事業の一環として、中国の公害・環境問題に関する研究者、中国で活躍する専門家・環境NGOメンバー等を講師に迎え、中国の公害・環境問題についての報告や参加者との意見交換を行う日中環境問題サロンを2009年から開催しています。
本年度(2017年度)は、様々なテーマで4回程度の開催を予定しており、興味を持って頂ける方々に、ご参加いただければと思います。
•よびかけ人:櫻井次郎(公立大学法人神戸市外国語大学中国学科准教授)、知足章宏(フェリス女学院大学国際交流学部准教授)

【第一回】「中国の環境問題を考える~日中環境交流の現場から~」(2017/06/26)終了https://aozora.or.jp/archives/28827
【第二回】「アジアの経済発展と公害・環境問題~参加・訴訟の現在から~」(2017/08/29)終了

次回は1月19日(金)の開催を予定おります。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,未分類 — aozorafoundation 公開日 2017年11月24日11:07 AM
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