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中国・北京で環境NGO訪問(3/5~7)

「平成26年度 大気汚染経験等情報発信業務」として、2015年3月5日から7日にかけて、中国の環境NGOを訪問しました。

【調査日程及び訪問先】
3月6日
<訪問先>
クリーンエアアジア北京支部
中国政法大学/公害被害者法律援助センター代表・王燦発教授

<訪問者>
櫻井 次郎(神戸市外国語大学准教授)
鎗山善理子(あおぞら財団スタッフ)

【クリーンエアアジア 北京支部】
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Clean Air Asia China Office http://www.cleanairasia.org
〔1〕組織の概要
・クリーンエアアジアは、2001年にアジア開発銀行、世界銀行、米国国際開発庁(USAID)の出資で設立された国際NGO。
・目的は、大気汚染対策や温室効果ガスの削減のための政策や行動に関する情報交換を促進すること。

〔2〕対応者
付璐氏(中国ディレクター)

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〔3〕聞き取り内容
1)最近の取り組み
・資金が確保できれば、今年の5月からキャンペーン型の活動をはじめようとしている。3カ年の計画。一つは、社区単位に設置されている医療センターにパンフレットを置いたり、映像を流したりして、大気汚染や健康被害に関する知識を啓発する活動。もう一つは、大気汚染の大きな原因の一つであるトラック運転手に対する知識の啓発。

2)これまでの取り組み
・中国の環境保護部の政策や情報を地方政府の役人にたいして発信したり、アメリカやヨーロッパの研究機関の調査報告などの分析をおこなったりしている。
・アジア、世界の90都市が集まって、毎年テーマを決めて討論会を開催している。例えば、汚染がひどい時の応急対応、広東省のデルタ地帯の汚染源の分析、大気汚染改善計画が地方でどう実施されているか、など。
・BAQ(Better Air Quality)会議は、2年に1回開催されるクリーンエアアジアの主要な会議の一つ。運送、エネルギー産業問題などを扱っており、特には、政府の政策に重点をおいている。2002年からスタートした。2014年はスリランカで開催された。2016年は韓国で開催予定。

P1080909

3)その他、意見、コメントなど
・大気汚染の状況をどれぐらい予測できるか、それを国民にどうやって伝えるかが課題。予防に関しては、工場にたいしてどう強制するか。
・大気汚染と健康被害の因果関係を説明する資料で、英語や中国語に訳されているものがあれば、役立てたい。

◎参考サイト
[Clean Air Initiavive]http://www.cleanairinitiative.org/
[Better Air Quality Conference]http://www.baq2014est.org/
[Clean Air Asia China Office]http://cleanairinitiative.org/portal/countrynetworks/china

【中国政法大学/公害被害者法律援助センター代表・王燦発教授】
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http://www.clapv.org
〔1〕組織の概要
・1998年に環境NGOの公害被害者法律援助センター(CLAPV)を設立。環境訴訟の支援や司法関係者への研修などをおこなっている。

〔2〕対応者
王燦発教授(公害被害者法律援助センター代表/中国政法大学教授)

〔3〕聞き取り内容
以下、王教授コメントの概要

1 公害被害者法律援助センターの果たした役割について
・センターを設立した当時、「汚染被害者」という用語がそもそも一般的に使われていなかったが、今では多くのメディアや書籍等で使用されるようになって来た。このような用語の普及は我々の貢献と言える。
・昨年、最高人民法院に環境保護法廷が設置されたが、これもセンターを通じて多くの環境訴訟を支援したこと、また毎年実施している裁判官、弁護士、NGO等に対する環境法研修も環境保護法廷の設置に影響している。
・刑法に環境汚染犯罪が入れられ、悪質な公害発生源が刑事責任を問われることとなったことも成果の一つと言える。2014年に公害犯罪で起訴されたケースは1000件を超える。
・しかしながら、特に「健康」の問題に関して言うならば、環境訴訟による公害健康被害者の救済には限界がある。それは、不特定多数の大衆の健康問題に関わる問題は、当地の法院によって「敏感」な問題と捉えられ、社会動乱や社会の不安定要素となり得るからだ。センターの弁護士も訴訟過程において圧力を受けて来た。昨年、環境保護部から司法部へ提出した環境訴訟の鑑定基準に関する提案の中でも、健康問題に関する基準の提案は採用されなかった。理由の一つは、健康と汚染との因果関係の鑑定を「出来るか出来ないか」と言う問題、もう一点は、もし出来るとしても、この鑑定が社会に与える大きな影響、特にそれが不安定要素になった場合、司法部は責任を負いたくないと思っている。

2 裁判の法律効果、社会効果、政治効果について
・センターの活動は理論を実践に移す活動であり、センターが現在のように社会的影響力を持つようになったのも、実践を重視して来たからだと考えている。理論研究も重要だが、自ら何らかの行動をすることが重要だと考えている。センターが公害被害者を支援し、法官や弁護士、NGOに対する研修が昨年で15期を迎えたのも、このような考えに基づいている。

3 環境公益訴訟の展望
・環境公益訴訟の法的手続きは整って来たが、それによって環境公益訴訟の件数がすぐに爆発的に増加するとは考えていない。なぜそのように考えるかと言うと、原告資格を認められたNGOが法律で限定されていること、また原告となり得るNGOの能力上の限界、彼らが取得している資格の問題、技術的能力の問題、彼らの設備上の不足、などが挙げられる。

4.情報発信について
・最近、中国のチャットやブログで非常に注目されている映像がある。中央テレビ局の元記者・柴静氏が自ら100万元(約2000万円)を投資して作成した「窗顶之下-雾霾调查」というタイトルで、中国の大気汚染による健康被害問題に焦点を当てた内容となっている。中国内外での反響が大きく、特に中国の石油業界からは集中的な反発がある。アメリカからも、医学系の博士が「中国の大気汚染が健康被害を発生させることなどありえない」とブログで書いた。あおぞら財団で、中国語や英語にしてある映像があれば、それをチャットやブログで公表すれば、このような議論に対して貢献できるのではないだろうか。日本の経験を中国に伝える上で、そのような映像や画像は大きなインパクトを与えるであろう。
・もう一点、「窗顶之下-雾霾调查」への反発の中で、河北省の鉄鋼産業は数十万人の雇用を生んでおり、このような産業を制約することになれば重大な失業問題が発生し、大きな社会不安の原因になるため、大きな雇用の受け皿になっている企業に対して厳しすぎる要求をすべきでないという主張もなされている。この点、日本では企業を訴えることが失業問題につながらなかったのか?日本は公害の克服過程で、雇用問題、失業問題をどのように解決したのか、その経験についても日本からの発信があれば非常に役立つと思う。

【調査についてのまとめ】
P1080910
・今回の中国訪問の期間(3/5~3/7)には、全国人民代表大会が開催されていた。全人代では、2月末に就任した環境保護相が、環境保護への投資を増やす考えや、工場の設備改修や古い自動車の廃棄などを進めた結果、PM2.5の測定値を前年より1.1%減らしたと説明するなど、環境問題が国の主要な課題となっていることがあらためて実感された。

P1080918
・また、クリーンエアアジアや王燦発教授へのヒアリングにおいても、中国国内で環境問題、大気汚染問題に対する意識が以前に比べて、高まっていることが見受けられた。
・日本からの公害経験や情報発信としては、大気汚染と健康被害の因果関係を証明する資料へのニーズがあった。大気汚染の問題は認識されているものの、それが人々の健康にどう影響を及ぼしているのかを明示することが、人々の意識を高めたり、対策を進めていくために求められている。
・おりしも、中国の大気汚染の問題を告発する映像がインターネット上で、大きな反響となっていた。このように、日本の公害経験についても、動画や写真などを活用して、広く発信していくことが有効であろう。

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記・鎗山(あおぞら財団スタッフ)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2015年4月1日6:50 PM

中国の環境NGO、あおぞら財団訪問(2/11)

中国湖南省の環境NGO「曙光環保」のメンバー2人が、2月11日(水)あおぞら財団を訪問しました。

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「曙光環保」は、鉱山による土壌汚染や水質汚染の改善のために、環境調査をおこなったり、住民の健康被害調査をおこなっているグループです。

前日の2月10日(火)には、「日弁連公害対策・環境保全委員会東アジアPT」の勉強会の場で、中国の土壌汚染の現状と「曙光環保」の活動について、報告をおこないました。
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あおぞら財団では、西淀川大気汚染公害の歴史や被害について説明し、住民が中心になって、いかにして医師や弁護士、科学者、支援者、マスコミ等が協力して、解決のために活動してきたかを紹介し、ディスカッションしました。

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「曙光環保」は、2013年に設立されたNGOで、もともとは大学の環境サークルでいっしょだったメンバーが卒業し、就職した後、環境問題に取り組もうと、メンバーたちが仕事を辞めて、設立したそうです。今後も互いに協力していけたらと思います。

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鎗山(あおぞら財団スタッフ)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2015年3月3日3:55 PM

中国環境NGO・研修プログラム(12/4-7)

あおぞら財団では、日本の公害経験を発信し、情報交換することによって、中国やアジアの環境問題の解決をめざして、中国の環境NGOとの交流活動を続けています。今年度は12/4~8の期間に李力さんはじめ、3名のメンバーが来日しました。
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1222.jpg”><img title=”KIMG1222″ src=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1222-300×224.jpg” alt=”KIMG1222″ width=”300″ height=”224″ /></a>
日時=2014年12月8日(月)10:00~12:30
場所=あおぞら財団/<a href=”http://www.yodokyo.or.jp/nishiyodo/index.html” target=”_blank”>西淀病院</a>
中国メンバー=
李 力:Li Li  研究員(<a href=”http://www.envirofriends.ngo.cn/index.html” target=”_blank”>北京市朝阳区环友科学技术研究中心</a>)
路 敏:Lu Min 秘書長(天津経済技術開発区環境保護協会)
程 旺:Cheng Wang 職員(北京都市の声文化芸術センター)
12/8(月)の研修では、午前中はあおぞら財団で、西淀川公害や公害反対運動の経過、
あおぞら財団の活動について、研修を受けました。
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1198.jpg”><img title=”KIMG1198″ src=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1198-300×224.jpg” alt=”KIMG1198″ width=”300″ height=”224″ /></a>
すでに数年この交流活動を続けている中で、西淀川公害の歴史やあおぞら財団が取り組んでいる
フードマイレージプログラムや廃油回収の活動を、李力さんたちメンバーが中国国内で情報発信
している様子も伝えられました。
公害健康補償法の仕組みや医療制度の違いなどが意見交換の中であがっていました。
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1214.jpg”><img title=”KIMG1214″ src=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1214-225×300.jpg” alt=”KIMG1214″ width=”225″ height=”300″ /></a>
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1214.jpg”> </a>
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1214.jpg”></a><a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1205.jpg”><img title=”KIMG1205″ src=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1205-225×300.jpg” alt=”KIMG1205″ width=”225″ height=”300″ /></a>
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1205.jpg”> </a>
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1205.jpg”></a>
次に、大気汚染による公害患者さんの治療や公害反対運動の支援に地域で長くたずさわってきた
西淀病院を訪問しました。
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1234.jpg”><img title=”KIMG1234″ src=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1234-225×300.jpg” alt=”KIMG1234″ width=”225″ height=”300″ /></a>
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1234.jpg”> </a>
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1234.jpg”></a><a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1238.jpg”><img title=”KIMG1238″ src=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1238-300×224.jpg” alt=”KIMG1238″ width=”300″ height=”224″ /></a>
李力さんたちは、大気汚染がますます深刻化する中国で、公害患者の治療ができる病院づくりを
計画しており、西淀病院の建設経過や取り組みを参考にしたいとのことで、西淀病院を訪問する
ことになりました。
病院建設の資金集めをどのようにおこなったか、医師をどうやって集めてきたか、住民が西淀川公害裁判を提訴したあとは、医療機関としてどのような取り組みをおこなったか、などが病院副院長や副理事からお話がありました。
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1240.jpg”><img title=”KIMG1240″ src=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1240-300×224.jpg” alt=”KIMG1240″ width=”300″ height=”224″ /></a>
中国と日本では、社会体制の違いがあり、中国側では難しい状況の中での病院建設ですが、
李力さんたちは、支援してくれる人を見つけて、公害病の治療や予防ができる病院をつくりたいと
希望を述べました。
今後は日本から中国に医師を派遣したり、中国の医師が日本で研修を受けたりできるのか、などが
話し合われました。
<a href=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1243.jpg”><img title=”KIMG1243″ src=”https://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1243-300×224.jpg” alt=”KIMG1243″ width=”300″ height=”224″ /></a>
記・鎗山(あおぞら財団スタッフ)
※本事業は環境省委託 平成26年度大気汚染経験等情報発信業務の一環です。

あおぞら財団では、日本の公害経験を発信し、情報交換することによって、中国やアジアの環境問題の解決をめざして、中国の環境NGOとの交流活動を続けています。今年度は12/4~8の期間に李力さんはじめ、3名のメンバーが来日しました。

今回は、富山県で開催された「第二回 公害資料館連携フォーラムin富山」に参加いただき、イタイイタイ病の歴史や対策を知っていただくとともに、日本各地の公害問題の現状について知っていただく機会となりました。

中国メンバー=

李 力:Li Li  研究員(北京市朝阳区环友科学技术研究中心)

路 敏:Lu Min 秘書長(天津経済技術開発区環境保護協会)

程 旺:Cheng Wang 職員(北京都市の声文化芸術センター)

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12/5(金)は、午前中に、富山県立イタイイタイ病資料館を見学し、午後からフォーラムに合わせて開催された現地フィールドワークに参加しました。

同資料館は、『子どもたちをはじめ国内外の幅広い年代の人々が「イタイイタイ病の恐ろしさ」を知り、「克服の歴史」を学ぶとともに、 県民一人ひとりが「環境と健康を大切にするライフスタイルの確立や地域づくり」に取り組むことをめざす未来指向型の資料館』として、平成24年に開館しました。

中国語の音声ガイドも設置され、模型やビデオ、イラストなどによる解説も充実しており、中国の方にも「公害の原因、流域に被害が集中していること、対策のことなど、よく理解できた」と好評でした。

現地フィールドワークでは、中国でも水質汚染・土壌汚染による被害が起きている場所が各地にあるそうで、どのような対策を行っているのか?興味を持って見ておられました。

資料館入口ホールにて、航空写真上で被害地域についての解説を聴く

資料館入口ホールにて、航空写真上で被害地域についての解説を聴く

汚染農地の土壌復元工事完了の記念碑前にて。

土壌復元の現場を見学後、記念碑前にて。

清流会館に掲げられた裁判判決文(1971.6.30)を見る

フィールドワーク参加者同士の感想共有を行いました。

フィールドワーク参加者同士の感想共有(通訳付)。日本の大学生に対して「なぜ?イタイイタイ病を勉強するの」

12/6(土)は、午前中は、青島医師からイタイイタイ病に関する医師の取り組みについてお話を伺い、午後からフォーラム・分科会3アウトリーチ(地域の資源を活かした学びの場の展開)に参加しました。

李力氏は、「中国でも公害による健康被害が発生しており、公害患者さんを診てきた経験のある日本の医師にも改善に向けて協力してほしい」と仰っていました。

青島医師と歴代の院長先生の写真とともに。

萩野病院にて青島医師とともに。

12/7(日)は、これからの公害資料館連携について議論するワークショップに参加し、「中国からもHPなどにアクセスできるようにしてほしい」、「将来、中国にも公害資料館をつくりたい」といった意見が出されました。日中間で互いの事情は異なりますが、日本全国から公害・環境問題に関わる方々と、公害に関する現状と課題についての意見交換の場となりました。

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雪景色のイタイイタイ病資料館
雪景色のイタイイタイ病資料館

この後、富山の雪景色も楽しみつつ、盛り沢山の研修プログラムを終えて、一行は、大阪へと向かいました。

研修プログラムの続きは、こちら↓

中国環境NGO・研修プログラム(12/8)

記・藤江(あおぞら財団スタッフ)

※本事業は環境省委託 平成26年度大気汚染経験等情報発信業務の一環です。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2014年12月19日2:35 PM

中国環境NGO・研修プログラム(12/8)

あおぞら財団では、日本の公害経験を発信し、情報交換することによって、中国やアジアの環境問題の解決をめざして、中国の環境NGOとの交流活動を続けています。今年度は12/4~8の期間に李力さんはじめ、3名のメンバーが来日しました。

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日時=2014年12月8日(月)10:00~12:30
場所=あおぞら財団/西淀病院
中国メンバー=
李 力:Li Li 研究員(北京市朝阳区环友科学技术研究中心)
路 敏:Lu Min 秘書長(天津経済技術開発区環境保護協会)
程 旺:Cheng Wang 職員(北京都市の声文化芸術センター)

12/8(月)の研修では、午前中はあおぞら財団で、西淀川公害や公害反対運動の経過、
あおぞら財団の活動について、研修を受けました。

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すでに数年この交流活動を続けている中で、西淀川公害の歴史やあおぞら財団が取り組んでいる
フードマイレージプログラムや廃油回収の活動を、李力さんたちメンバーが中国国内で情報発信
している様子も伝えられました。

公害健康補償法の仕組みや医療制度の違いなどが意見交換の中であがっていました。

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次に、大気汚染による公害患者さんの治療や公害反対運動の支援に地域で長くたずさわってきた
西淀病院を訪問しました。

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李力さんたちは、大気汚染がますます深刻化する中国で、公害患者の治療ができる病院づくりを
計画しており、西淀病院の建設経過や取り組みを参考にしたいとのことで、西淀病院を訪問する
ことになりました。
病院建設の資金集めをどのようにおこなったか、医師をどうやって集めてきたか、住民が西淀川公害裁判を提訴したあとは、医療機関としてどのような取り組みをおこなったか、などが病院副院長や副理事からお話がありました。

KIMG1240

中国と日本では、社会体制の違いがあり、中国側では難しい状況の中での病院建設ですが、
李力さんたちは、支援してくれる人を見つけて、公害病の治療や予防ができる病院をつくりたいと
希望を述べました。
今後は日本から中国に医師を派遣したり、中国の医師が日本で研修を受けたりできるのか、などが
話し合われました。

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記・鎗山(あおぞら財団スタッフ)

※本事業は環境省委託 平成26年度大気汚染経験等情報発信業務の一環です。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2014年12月18日3:03 PM

対話の重要性を学ぶ IATSSフォーラム受入(6/16~18)後編

引き続き、IATSSフォーラム受入の後半をご報告します。
前編の記事はこちら

2日目の昼食は「大阪ハラールレストラン」でリラックス!

2日目の昼食は「大阪ハラールレストラン」でリラックス!

2日目は座学を離れ、終日、西淀川のフィールドワークです。
午前中は、企業訪問。今回は、中島工業団地の中にある(株)山崎シャーリングを訪問しました。
あおぞら財団の理事も務めていただいている会長の山崎光信さんに、創業当初から現在にいたるまでのお話を伺いました。

奥の中央が山崎光信さん

奥の中央が山崎光信さん

1965年の創業時のシャーリング・マシーンは鉄板を大きなハサミで切るようなもので、ガシャーンガシャーンと大きな音がしました。その頃、工場は住宅街である歌島にあったため苦情が出たため、工業団地として整備されつつあった中島に移転しました。
しかし中島でも別の問題が発生。当時、大きなトラックが三角州である中島地域に入ってくる道は堤防沿いの一本しかなく、たくさんのトラックが走ることで堤防の壊れることを懸念した住民から反対の声があがりました。住民と話し合いを重ね、府市へ働きかけ、10年かけて堤防を頑丈にすることと、新たに橋を架けることを実現しました。
住民との対話を続けてきた山崎さんは、研修生のみなさんにご自身の経験を次のように語ってくださいました。
「企業側は利潤を追求する。安くしないと競争できない。50年前は『そこで働いて食べているんだから仕方がない』と思っていた。けれどがまんしていると下手をするとみんな死んでしまう。空気や水をきれいにする装置をつけるとコストは高くなるけれど、みんな同じ条件。他のことでコストを下げる努力をすればいい」

工場内を見学。現在はレーザーで切断するため騒音は減りました。

工場内を見学。現在はレーザーで切断するため騒音は減りました。

昼食の後は国道43号線で国土交通省大阪国道事務所のみなさんから道路対策のお話を伺い、その後、デイサービスセンター「あおぞら苑」を見学しました。

トラックの行きかう国道43号線の横で対策を聞きます

トラックの行きかう国道43号線の横で対策を聞きます

「40年前、西淀川でがんばったみなさんに恩返ししたい」と語る施設長の辰巳さんにたくさんの質問が出ました

「40年前、西淀川でがんばったみなさんに恩返ししたい」と語る施設長の辰巳さんにたくさんの質問が出ました

盛りだくさんな2日目の最後は西淀川高校訪問です。
西淀川高校のエコ・コミュニケーション部(愛称:エコ部)のみなさんから、日々の清掃活動や菜の花プロジェクトの活動報告がありました。
研修生からは「私がみなさんの年頃には、環境問題を知らなかった。すばらしい活動だと思う。自分の国でも伝えたい」といった感想が出されました。

報告してくれた4人のエコ部のみなさんと集合写真

報告してくれた4人のエコ部のみなさんと集合写真

3日目はまず、これまで2日間の学びをふりかえり、3つのグループにわかれてまとめ、発表してもらいました。
ちょうどこの日はあおぞら財団に歌島中学校の生徒さんたちが職場体験実習に訪れていたので、研修生のみなさんの発表を聞いてもらいました。(そのときの様子はこちら

それぞれの撮ってきた写真データを使ってパワーポイントでプレゼンをまとめます

それぞれの撮ってきた写真データを使ってパワーポイントでプレゼンをまとめます

どのグループでも注目されたのは、多様な世代、セクターの人々の対話と行動についてです。
高齢の公害患者さんが経験を若い世代に伝えていること、西淀川高校やあおぞら苑などで公害の知識が共有されていること、企業が住民と話し合い環境問題に取り組んでいること、国も技術力をもって公害対策に取り組んでいることなど、地域に関わる人々の気づきと努力によってまちづくりが行われていることが、発表の中で挙げられていました。

午後からは、各グループをひとつの国と想定して、持続可能な地域づくりについて考えました。

今度は模造紙にまとめていきます

今度は模造紙にまとめていきます

各グループの発表ごとに、質疑応答で話し合いが深められます

各グループの発表ごとに、質疑応答で話し合いが深められます

IATSSフォーラムではこの後、まだ約1ヶ月、学びを重ね、持続可能な地域づくりについての研究を深めるとのことでした(研修生のみなさんがフェイスブックでその様子を発信されています。ご関心のある方はコチラをご覧ください。ただし英語です)。
この日まとめられた3つのグループの成果と、西淀川での3日間を終えた研修生のみなさんの感想を最後にご紹介します。
研修生のみなさんがそれぞれの持ち場で活躍されることを願っています!

○研修を通じて印象に残っているのが、将来の子ども達へよりよいまちを手渡そうという、西淀川の人々の「情熱」だ。自分達の為だけでなく、将来の子供たちが安全で健康的な環境で過ごせるように、地域の清掃活動や、環境への意識を高める取り組みをしたり、公害患者だけでなくお年寄り皆がつながりを持って暮らせるように考えたりと、個人個人が地域への思いを行動に移し、地道な努力を続けていることが素晴らしかった。
○持続可能なまちづくりを実現するには、あらゆる立場の人の視点を入れることが必要。その為には「あおぞら財団」のような中間組織が、各関係者をつなぎ、話し合いの場を設けたり、意思決定や実施の過程でリーダーシップを取っていくことが大切だと感じた。
○西淀川での研修は、公害が環境や人々の生活に与える負の影響について学ぶことができ、私たち皆にとって非常に重要な研修になったと思う。公害は、短期的で視野の狭い考えに基づいた行動がきっかけで起きたことだと思う。ヤングリーダーとして、最初に間違った決断をすると、後で大きな負債を背負うことになるということ、それ故に長期的な視点に立ってバランスの取れた決断をすべきだということを学んだ。
○ASEAN諸国のような発展途上国にとって、環境問題は二の次にされてしまうが、西淀川研修を通して、日本に続くのではなく、日本の失敗から学び、同じ失敗を繰り返さないようにすべきだと感じた。

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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年7月14日7:11 PM
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