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東アジア気候変動ワークショップおよび蛍光灯回収日中専門家交流会(中国:天津)に参加しました

2015年9月21~22日東アジア気候変動ワークショップ
2015年9月23~24日蛍光灯回収日中専門家交流会
2015年9月24日廃食油から石けんを造るプロジェクト推進会及び科学宣伝講座
以上の日程のプログラムに参加してきました。東アジア気候変動ワークショップは参加者としてですが、蛍光灯と廃食油は専門家として講義をいたしました。

東アジア気候変動ワークショップは日中韓の環境NGOが集まり、来年のパリのCOP21に向けて各国の対策を聞き、NPOの共通ステートメントを出すことで合意されました。
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日本の報告は気候ネットワークの桃井さん。理路整然とした報告でとってもわかりやすかったです。どうして石炭発電がよくないのか、わかりやすく説明がありました。
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夜の交流会では15周年のお祝いの会がありました。
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東アジア環境情報発伝所が中心となって行われてきた交流会ですが、直接顔を合わせてお互いの経験を交流し、共に声を上げることの大切さをかみしめた夜でした。

2日目は、天津郊外にある環境に配慮した村を訪問。民家レストランと植林への水やり、有機農法に使っている蟹を釣る体験をしました。ここで植林活動をしているのが天津緑の友という環境NPO。あおぞら財団に訪問してもらったこともあります。
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中国語ですが、イベントの記事が配信されています。

23日~24日の蛍光灯改修のプログラムは天津技術開発区に移動です。「泰達(TEDA)」です。そうです、爆発事故があったところです
日本の専門家として、鶴田和仁さん(医師、水俣病の医学について)、大石一裕さん(GEC、大阪市の蛍光灯回収について)、小原剛さん(野村興産、水銀処理)とあおぞら財団の林美帆(環境NGOの役割)がお話しするというものです。
参加者は中国全土の環境NPO。
主催は天津経済技術開発区環境保全協会
協力が北京環友科学技術研究センター
日本大使館が金銭支援をしています。
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私もきちんと発表しました。
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「私の地域も公害で苦しんでいる」という感想がいろいろと出てきました。汚染物質の測定をどうするかということが焦点になります。日本では市民運動でも測定し、行政も測定の義務があり、情報を公開していますが、中国はそうではありません。ようやくPM2.5のデータが公表されていますが、汚染が問題になったときに、分析会社にお願いすることになるとお金がかかります。こういうところで日本では研究機関や医者が協力を惜しまない様になっており、市民運動を支えるわけですが、中国ではなかなか専門家の協力が得られないことが難しいのではないかと感じました。

それから廃食油から石けんを作るの交流会は、急に決まった交流会で、私も中国に行ってからパワーポイントを用意しました。
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中国ではツイッターもグーグルはだめ。もちろんフェイスブックもダメ。なので、最近フェイスブックに更新していた菜の花の写真が取り出せないという事態に!!
中国というのは、突然物事が変わるし、臨機応変に対応しなければならないし、本当に逞しくならざるを得ないと思いました。
中国の環境NGOの石けん作りもなかなかうまく動いているようです。月餅の入れ物を使ったり、工夫して取り組んでいる様子の報告を聞きました。

会場は図書館と公文書館を兼ね備えた档案館で開催されました。
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皆さんが知りたいのは中国の大気汚染の状況だと思いますが、なかなか厳しかったです。
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写真にうまく汚染が写らないところが厳しいのですが、24日は汚染がひどくてPM2.5が187μg/m3との報告がありました。日本では70μg/m3を超えると外に出てはいけないといわれます。本当に胸が痛くて、せきが止まらなくて空気が重く大変でした。においがしないところが怖いです。
それでも、レンタル自転車が町中にあるなど、車に依存しない街づくりを目指してはいるみたいです。
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そうはいっても自動車が多かったです。

今回の取り組みは北京環友科学技術研究センターの李力さんがコーディネーターでした。李力さんはあおぞら財団の中国環境NGOとの交流でもお世話になっている方です。最後にうれしいプレゼントをいただきました。
中国の中学校の環境の教科書です。
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フードマイレージ買物ゲームも、大気汚染の歴史も、廃油せっけんも全部載せてくれています。これまで交流してきた成果がこうやってあらわれてくるのはうれしいですね。
これからも、交流を続けることで、両国の環境がよくなればと願っています。(林美帆)

第53回IATSSフォーラム2日目(6/19)

研修の2日目は、9時に南森町のホテルをバスで出発しました。

大阪府農林水産環境事務所 環境情報プラザ

大阪府のこの施設は環境情報の提供、環境学習の機会や場の提供等を通じて府民、事業者、環境NPO、行政など各主体の自主的な環境保全・環境活動をサポートする拠点施設として運営されています。
郊外における行政の役割を学習するために訪問しました。

まず、「大阪府域の大気汚染」に現状について担当者からの説明を受け、健康への影響が大きい二酸化窒素・浮遊粒子状物質(SPM)・二酸化硫黄の常時観測の説明を聞きました。その後、屋上の大気汚染測定機の場所へ移動し、観測機器の説明がありました。

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屋上の観測機器を紹介

 

次に、アスベストの環境調査グループの部署に行き、アスベストの使用状況と被害の説明を受けました。「アスベストとは以前は安価な保温・断熱材として建材に使われていました。その繊維が極めて細いため呼吸で吸い込むと、肺の機能障害が発生するため現在は使用が禁止されています」と説明を受けました。

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アスベストの測定検体で説明

 

続いて、ダイオキシン観測室前で説明を受けました。ダイオキシンはいっぺんに多量に摂取すると、サリンの2倍の毒性があると言われている種類もあります。肝臓や腎臓へガンを発生させるとも言われている物質でもあり、観測室は十分に管理されエアー・ロック室で観測されています。

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ダイオキシン等有害化学物質分析室の前で

 

その後、全体での質疑の時間では

Q:どこか他の場所との測定数値の交流はありますか。

A:全国の自治体との情報共有し、府の行政との提携があります。

Q:ここ30年間で大阪府の大気汚染対策の効果はどうですか。

A:明らかに大気の汚染度は減少しています。

Q「基準数値」の設定は「府」ですか「国」ですか。

A:国が基準値を設定していますが、府はそれに上乗せした基準値を持っています。

Q:事業所への指導はどのようなものですか。

A:必要な場合は事業所への立入り調査を行っており、指導の中で改善させています。

などの質疑・応答がありました。

この環境情報プラザでの研修では、大気汚染の歴史的変遷やアスベスト飛散についての説明を聞き、それを監視する測定の現場を見学することができ、担当者の話を直接聞くことができました。アスベスト検体の顕微鏡提示や、ダイオキシン観測の説明もあり、参加者の注目を集めました。ただ、説明がやや専門的な部分もあり、難しく感じた方もおられたかもしれません。かつては、高校生の授業で見学会がもたれたことがあったとの説明もありました。

 

大阪城へ移動し昼食、その後

 

此花区にある新日鐡住金株式会社製鋼所の見学をしました

住友金属は「西淀川大気汚染裁判」の被告企業の一つですが、現在は大気汚染を始め、環境対策をしっかりとって操業しています。

新日本製鉄と住友金属は2012年10月に統合されていますが、大阪市此花区島屋5丁目のこの工場では 鉄道車両品、自動車・建設機械品、産業機械品の製造・組立が行われており、従業員, 1300人. 敷地面積, 482,634m2 の大規模な工場です。

 

初めに安全環境室と総務室の担当者から、企業活動全体の紹介がありました。
工場の概要と製造している鉄道部車両品の車輪や台車などの説明をうけました。
9000㌧プレス機や世界的に珍しい鍛造技術などが注目されています。
英語の事業説明ビデオがあり、大変わかりやすかったです。

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外国へ広がった企業活動の全体が紹介されました

説明後、見学用ヘルメット、上着、手袋を借りて工場内の見学です。
新幹線を初めとした鉄道車輪・台車の製造工程の一部を見学しました。曲線通過時の車両・レールの摩耗や騒音を防止するため、レールの曲線に従うように車輪の位置を調整する機構を備えた操舵台車の実物模型も見学しました。

 

その後、全体での質疑の時間では

Q:マンションや観光施設に隣接しているが、住民からの苦情はありませんか。

A:フォークリフトの構内移動時の警戒音は使用を止めて高輝度ライトに切り替えています。

A:この周囲一帯は工業地区であったが、周辺土地の用途変更により、この工場は住宅や観光施設が隣接した現在の配置になっています。

 

この工場見学では、独自で開発した世界唯一の車輪用回転鍛造プレス機など、日本の高度な技術の一部に直接触れることができ、緻密な作業の様子に参加者の注目が集まっていました。さらに、この工場で努力されている環境への配慮も説明され、きれいな水と空気を守るために、排水処理設備、排ガス処理設備など最新の諸設備が環境の保全に効果を発揮しているとの説明がありました。

工場内は全てカメラ撮影は禁止でしたが、見学の最後に全員で記念写真を撮りました。

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見学参加者全員そろって

 

西淀川高校に移動しました

大阪府立西淀川高校は地元の方々の強い期待と要請を受けて112番目の府立学校として西淀川区出来島に開校され、今年で創立38年目を迎えています。「知・徳・体」のバランスのとれた生徒の育成を目標にし、環境の問題や地域へ開かれた学校になるよう努力を続けている特徴ある学校です。西淀川ESDの一環として「菜の花プロジェクト」の推進校でもあります。

この学校での「環境の授業」や文化祭での展示を始め、あおぞら財団との協力関係にあります。

 

きれいに改修された食堂で、担当の先生とECOクラブの生徒が活動の紹介を行いました。

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西淀川高校の紹介とECO部生徒の活動発表

 

菜の花プロジェクトの「紙芝居」で環境問題と廃油回収活動の説明の後、生徒への質疑がありました。

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「なな子ちゃん」の紙芝居で、廃油回収活動の説明

 

Q:廃油の回収はいつでも大丈夫ですか。

A:西淀川区内にある回収ステーションを通じて行っています。あおぞら財団も回収ステーションの1つです。

Q:回収した油はどう活用していますか。

A:尼崎の工場で石鹸を作るリサイクルをしています。

A:阪急バスでは一部ですが、エネルギーとして活用されています

Q:このクラブに入るきっかけは何でしたか。

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友達に誘われてこのクラブにはいりました

 

A:クラブの友達に誘われて入りました。活動をはじめて楽しくなりました。

Q:将来どんな仕事につきたいですか。

A:地域の公務員として環境の仕事をしてみたいです。

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経験したことを活かす仕事がしたいです

 

A:私は介護の仕事について、人の役にたちたいです。

A:私は接客の仕事をすると思います。

A:私は保育士になって働きたいです。

Q:このクラブで学んだことを教えてください。

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公務員として環境の問題に取り組みたいです

 

A:地域の方とのコミュニケーションの大切さを学びました。

A:畑の仕事をして、農業への関心が大きくなりました。

A:朝の掃除をしてきたので、身近な場所での日常の「緑」に気をつけるようになりました。

Q:集めた廃油でバスの走行が紹介されましたが、大阪ではどのくらい走っていますか。

A:大阪ではまだ少ないです。京都市では市バスで完全に使われています。

Q:クラブの活動で嫌いなことは何ですか。

A:掃除のときは虫が出てくるので嫌です。

A:モップ作業は埃が舞い上がってつらいです。

Q:環境や公害の歴史を授業で経験してどのような感想を持っていますか。

A:西淀川は大洪水や空気の汚れの経験があるので、西淀川以外の地域でも授業でこのような問題をとりあげれば、生徒の学習への興味が高まると思います。

A:公害だけでなく、地域の歴史を知ることは大事なことなので、他の学校でも授業でやるべきだと思います。

 

研修参加者から「高校生が地域社会のこのような活動に参加することが、とても重要だと思いました。私たちの国でも、皆さんの事例を広げて行きたいです。これからも、活動を続けてください。」との挨拶がありました。

 

担当の先生からは

「子ども達は、活動の内容を外国の皆さんに聞いてもらうことができて、とても良かったと思います。全体としてとても貴重な体験ができました。ありがとうございました。」とお礼の言葉がありました。

西淀川高校では、ECOクラブ生徒の活動紹介や生徒たちの活躍する様子が紹介されました。ここの高校生が、様々な困難を抱えながらもしっかり環境の問題に向き合い、学びを通じて自分の進路の問題へも引き付けて考えていることが、とても重要なことであったことを再確認しました。西淀川地域へ拓かれた学校になるよう努力している生徒と教師集団の姿は、研修参加者の母国での教育の示唆になると思いました。

 

西淀川公害訴訟の地域再生の一つとして活動している「ディサービスセンター・あおぞら苑」に移動して施設の説明を受けました。

施設の紹介を聞きました

施設長の 辰巳致さんから説明を受けた後、研修生から日本での福祉や医療の現状についての質問が多数出ました。
公害の問題は、福祉と背中合わせであることが理解できたようでした。

今日もスケジュールいっぱいの日程でしたが、真剣な研修生の活動が印象的でした。

(天野)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2015年8月4日3:34 PM

第53回IATSSフォーラム1日目(6/18)

6月18日~21日の3日間、IATSSフォーラムのプログラムの一環でASEANの9カ国18人の研究生の受け入れをしました。
このIATSSフォーラム公益財団法人国際交通安全学会がASEANの優秀な若いリーダーが約2カ月にわたって日本で行う研修です。3日間西淀川にも訪れ、あおぞら財団で研修をしました。

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職員による説明中。

まず、西淀川公害が一体どのようなものか、地域再生とはどのようなものか、またあおぞら財団についての話がありました。昔の西淀川の写真をスライドで流すと、研修生の方たちは驚いた表情を見せていました。日本にも空が見えないような時があったと想像が付かないのかもしれません。
Q:あおぞら財団の取り組みでもあるとは、CO2排出量削減のために行っているのか?燃料を減らすために行っているのか?
A:エコドライブはCO2排出量削減も、燃料削減も両方の意味を持っている。急発進・急ブレーキを控えることで、一台のトラックからのCO2削減も燃料削減も行える。また、CO2全体を削減するために古い車の規制なども行える。
Q:あおぞら財団が地域社会とともに地域を作ってきたが、どのぐらい成果が出ているのか?また成果をはかる指標はあるのか?
A:どれぐらい成果が出たか、それをはかるような指標はない。ただ、近年西淀川は人口が増加している。人口が増えているということは、西淀川が住みやすい地域だということではないか。西淀川に住んでいる人たち全員で地域を作ってきたということになるのではないだろうか。

 

西淀川公害裁判の弁護士であった村松昭夫弁護士から裁判の話を聞きました。
村松弁護士からはなぜ大気汚染の裁判が難しいのか、また西淀川公害の裁判の難しさについてなどの話をしてもらいました。実際に西淀川からは離れた工場や企業から排出されたNOxなどが中心となっていたため、因果関係の証明がとても難しかったそうです。実際に研修生の国でも公害が起こっているので、とても真剣な様子で話を聞き入っていました。

裁判について話していただいた村松弁護士。

裁判について話していただいた村松弁護士。

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メモを取りながら真剣な様子で聞き入っています。

Q:フィリピンでも現在大気汚染が問題になっており、予防措置はとっている。今後自国でもなくしていきたいが、日本の国や自治体では大気汚染防止に対しての法律はあるのか?
A:現在日本には国にも自治体にも大気汚染などの公害防止のための法律は多くある。汚染物質の総量をはっきりと明確化することによって、どのような対策をするか決めることが出来る。その対策を利用して、全体の汚染物質の総量を減らすことが出来る。また公害健康被害補償法のように、公害認定された患者への補償費や治療費を加害者側である企業が負担をする。そうした制度と作ることで企業側も負担を減らそうと対策を練るために、汚染物質を減らすことが出来る。そういった制度や法律を作ることは、汚染物質を減らすのに有効な手段となっている。
Q:勝てないと思われていた西淀川の裁判が勝てた一番の要因は一体何か?
A:裁判に勝てた要因は立場によって異なってくるため、一つだけではない。一つあげるとすると、裁判官をどのように説得をさせるかという点が挙げられると思う。裁判官を説得させるにも
1)裁判官の人間的な思いや気持ちといった心の部分を揺らす必要がある。
2)公害患者の受けた被害の理不尽さを訴えることで、裁判官の持つ正義の心をしっかりと持たせることが重要である。
3)国や大企業を相手取る裁判では、裁判官が被告を相手に勇気のある決断を出せるような世論の流れを社会全体に持たせる必要がある。
以上の点で裁判官を説得させることが大切だったのではないか。

 

公害患者さんからは永野千代子さん、山下晴美さんを迎えて当時の話や経験についての話をしてもらいました。永野さんはご自身や家族の被害の、山下さんは旦那さんの被害の辛さや苦しさについて話をしてもらいました。研修生の方は話を聴き逃さないように聞き入っていました。

話をしてくれた山下さん(写真左)と永野さん(写真真中)

話をしてくれた山下さん(写真左)と永野さん(写真真中)

研修生からは質問が続きました。

研修生からは質問が続きました。

Q:西淀川公害の裁判を行うために、どのように患者を集めたのか。患者会を作るのにNPOのような団体が入って患者を集めたのか。また、公害患者が裁判を行うと決めて進んだいきさつにはどのようなものがあったのか。
A:患者会を作るのにはNPOのような団体は入っておらず、患者会自体がNPOのような働きを持っている。西淀川の病院の医師も働きかけてもらい、患者を集めた。裁判を行ってきたいきさつには、何が理由で空気が汚れ、なぜ私たちが病気になったのかを知りたかったから裁判を起こした。
Q:裁判に原告側が勝訴した理由には何があったのか。
A:それは自分たちの子どもや孫、ひ孫の世代には青い空を手渡したいという強い思い、勝たなければいけないという強い思いがあったのだと思う。

 

午後からは歌島橋交差点にて国土交通省のの方に来てもらい、道路対策について話を伺いました。裁判後に行われた騒音対策や交通流対策などの説明をしてもらいました。

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歌島橋交差点での説明の様子。

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あおぞらイコバにて質疑応答中。

Q:騒音対策などの道路対策技術は、日本の他の件でも利用をされているのか?
A:遮音壁などの騒音対策はほぼ同じものが日本全国でも活用されている。だが、光触媒による大気浄化などの技術は大気汚染がひどい地域でのみ使われている。今後は西淀川で使われているような対策を他の地域でも採用する可能性はある。
Q:地元住民と行政側が話し合っていると言っていたが、行政側から声をかけたのか。それとも住民側から声をかけたのか。
A:西淀川地域では行政側で汚染状況や現状についてのデータをそろえてから、住民側に声をかけるという形をとっている。だが、住民側から話し合いの場を設けられても拒否することはない。

 

その後、9人ずつの班に分かれました。A班はタンデム自転車を利用して大野川緑陰道路を通って矢倉海岸までいく間、B班はグループワークを行いました。A班があおぞら財団まで戻ってくると、次はB班がタンデム自転車に乗り、A班がグループワークを行いました。
どちらの班もタンデム自転車にのって淀川までのサイクリングをとても楽しんでいたようです。

A班の皆さん楽しそうです。

A班の皆さん楽しそうです。

A班矢倉海岸にて。

A班矢倉海岸にて。

B班は淀川と一緒に。

B班は淀川と一緒に。

グループワークについても、感想や自分の国の公害・環境問題について真剣に意見の共有を行っていました。最後に全員での共有を行いました。真剣に話し合った内容の共有をし、1日目の研修は終了しました。

真剣に話し合っています。

真剣に話し合っています。

たくさん書き込んでいる姿が分かります。

たくさん書き込んでいる姿が分かります。

全員で最後に共有をしています。

全員で最後に共有をしています。

たまに笑いを交えての発表でした。

たまに笑いを交えての発表でした。

 

天気も蒸し暑く、慌ただしい日程の中でしたが研修生の方々は真剣な様子で話に耳を傾けていました。
1日目の最後にはあおぞら財団が定期的に行っている「あおぞら野菜市」で出店しているさんと、ハラール料理を取り扱っている大阪ハラールレストランさんから料理を用意してもらい、あおぞら財団の職員と懇親会を行いました。食事を囲ってわきあいあいと話も出来ました。
こうして交流をすることも出来るのも、いい体験になりました。

フォーラム2日目のブログはこちらから。
(松ヶ平)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2015年6月29日10:16 AM

4/17(金)日中環境問題サロン~中国の「今」を知る~ 開催します。どうぞご参加ください

日中環境問題サロン~中国の「今」を知る~

日時:2015年4月17日(金)18:00-20:00
場所:公益財団法人 公害地域再生センター(通称:あおぞら財団)3F
(アクセス:https://aozora.or.jp/accesscontact

基調報告「中国の環境問題と裁判 ―事例紹介・今後の展望― 」
講師:弁護士 王振宇
司会:櫻井次郎(神戸市外国語大学)

(講師紹介)
北京で義派法律事務所(Impact Law Firm)の代表を務める。「義派」がこれまでに手掛けた案件で有名なものは、「B型肝炎患者就業差別訴訟」、「甘粛省徽县鉛汚染訴訟」、「崔英傑訴訟(城管と呼ばれる都市管理員を殺害した貧しい農村出身の男性をめぐる裁判)」、「北京市暫住証保持者の大学入試受験資格に関する訴訟」など。
弁護士を対象とする研修事業、環境問題等に関する政府情報公開請求や政治改革を巡る提言等も積極的に行っている。

(基調報告の概要)
王氏はこれまで、社会的弱者の立場に立った弁護活動を続けており、今回はその中でも環境問題に関するケースをご紹介頂きます。中国では近年、ゴミ焼却施設をめぐる紛争が相次いでいますが、今回のケースは、湖北省の鍋頂山における医療ゴミ不法投棄によって生じた広範な健康被害が生じたことに起因する争いです。王氏は被害者と政府、企業の間に立って、活動を続けておられます。
後半では、このようなケースで裁判がどのような役割を果たし得るのか、またその過程でどのような困難があるのか、今後の展望も含めて語っていただく予定です。
また、基調報告の後には、1時間ほど質疑応答の時間を取り、参加者からの質問にお応えいただきます。

参加費:500円(どなたでもご参加いただけます)

主催・連絡先: あおぞら財団
大阪市西淀川区千舟1-1-1 あおぞらビル3階(〒555-0013)
TEL:06-6475-8885 FAX:06-6478-5885
E-mail:webmaster@aozora.or.jp

Filed under: イベント案内,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2015年4月14日10:10 PM

中国・北京で環境NGO訪問(3/5~7)

「平成26年度 大気汚染経験等情報発信業務」として、2015年3月5日から7日にかけて、中国の環境NGOを訪問しました。

【調査日程及び訪問先】
3月6日
<訪問先>
クリーンエアアジア北京支部
中国政法大学/公害被害者法律援助センター代表・王燦発教授

<訪問者>
櫻井 次郎(神戸市外国語大学准教授)
鎗山善理子(あおぞら財団スタッフ)

【クリーンエアアジア 北京支部】
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Clean Air Asia China Office http://www.cleanairasia.org
〔1〕組織の概要
・クリーンエアアジアは、2001年にアジア開発銀行、世界銀行、米国国際開発庁(USAID)の出資で設立された国際NGO。
・目的は、大気汚染対策や温室効果ガスの削減のための政策や行動に関する情報交換を促進すること。

〔2〕対応者
付璐氏(中国ディレクター)

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〔3〕聞き取り内容
1)最近の取り組み
・資金が確保できれば、今年の5月からキャンペーン型の活動をはじめようとしている。3カ年の計画。一つは、社区単位に設置されている医療センターにパンフレットを置いたり、映像を流したりして、大気汚染や健康被害に関する知識を啓発する活動。もう一つは、大気汚染の大きな原因の一つであるトラック運転手に対する知識の啓発。

2)これまでの取り組み
・中国の環境保護部の政策や情報を地方政府の役人にたいして発信したり、アメリカやヨーロッパの研究機関の調査報告などの分析をおこなったりしている。
・アジア、世界の90都市が集まって、毎年テーマを決めて討論会を開催している。例えば、汚染がひどい時の応急対応、広東省のデルタ地帯の汚染源の分析、大気汚染改善計画が地方でどう実施されているか、など。
・BAQ(Better Air Quality)会議は、2年に1回開催されるクリーンエアアジアの主要な会議の一つ。運送、エネルギー産業問題などを扱っており、特には、政府の政策に重点をおいている。2002年からスタートした。2014年はスリランカで開催された。2016年は韓国で開催予定。

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3)その他、意見、コメントなど
・大気汚染の状況をどれぐらい予測できるか、それを国民にどうやって伝えるかが課題。予防に関しては、工場にたいしてどう強制するか。
・大気汚染と健康被害の因果関係を説明する資料で、英語や中国語に訳されているものがあれば、役立てたい。

◎参考サイト
[Clean Air Initiavive]http://www.cleanairinitiative.org/
[Better Air Quality Conference]http://www.baq2014est.org/
[Clean Air Asia China Office]http://cleanairinitiative.org/portal/countrynetworks/china

【中国政法大学/公害被害者法律援助センター代表・王燦発教授】
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http://www.clapv.org
〔1〕組織の概要
・1998年に環境NGOの公害被害者法律援助センター(CLAPV)を設立。環境訴訟の支援や司法関係者への研修などをおこなっている。

〔2〕対応者
王燦発教授(公害被害者法律援助センター代表/中国政法大学教授)

〔3〕聞き取り内容
以下、王教授コメントの概要

1 公害被害者法律援助センターの果たした役割について
・センターを設立した当時、「汚染被害者」という用語がそもそも一般的に使われていなかったが、今では多くのメディアや書籍等で使用されるようになって来た。このような用語の普及は我々の貢献と言える。
・昨年、最高人民法院に環境保護法廷が設置されたが、これもセンターを通じて多くの環境訴訟を支援したこと、また毎年実施している裁判官、弁護士、NGO等に対する環境法研修も環境保護法廷の設置に影響している。
・刑法に環境汚染犯罪が入れられ、悪質な公害発生源が刑事責任を問われることとなったことも成果の一つと言える。2014年に公害犯罪で起訴されたケースは1000件を超える。
・しかしながら、特に「健康」の問題に関して言うならば、環境訴訟による公害健康被害者の救済には限界がある。それは、不特定多数の大衆の健康問題に関わる問題は、当地の法院によって「敏感」な問題と捉えられ、社会動乱や社会の不安定要素となり得るからだ。センターの弁護士も訴訟過程において圧力を受けて来た。昨年、環境保護部から司法部へ提出した環境訴訟の鑑定基準に関する提案の中でも、健康問題に関する基準の提案は採用されなかった。理由の一つは、健康と汚染との因果関係の鑑定を「出来るか出来ないか」と言う問題、もう一点は、もし出来るとしても、この鑑定が社会に与える大きな影響、特にそれが不安定要素になった場合、司法部は責任を負いたくないと思っている。

2 裁判の法律効果、社会効果、政治効果について
・センターの活動は理論を実践に移す活動であり、センターが現在のように社会的影響力を持つようになったのも、実践を重視して来たからだと考えている。理論研究も重要だが、自ら何らかの行動をすることが重要だと考えている。センターが公害被害者を支援し、法官や弁護士、NGOに対する研修が昨年で15期を迎えたのも、このような考えに基づいている。

3 環境公益訴訟の展望
・環境公益訴訟の法的手続きは整って来たが、それによって環境公益訴訟の件数がすぐに爆発的に増加するとは考えていない。なぜそのように考えるかと言うと、原告資格を認められたNGOが法律で限定されていること、また原告となり得るNGOの能力上の限界、彼らが取得している資格の問題、技術的能力の問題、彼らの設備上の不足、などが挙げられる。

4.情報発信について
・最近、中国のチャットやブログで非常に注目されている映像がある。中央テレビ局の元記者・柴静氏が自ら100万元(約2000万円)を投資して作成した「窗顶之下-雾霾调查」というタイトルで、中国の大気汚染による健康被害問題に焦点を当てた内容となっている。中国内外での反響が大きく、特に中国の石油業界からは集中的な反発がある。アメリカからも、医学系の博士が「中国の大気汚染が健康被害を発生させることなどありえない」とブログで書いた。あおぞら財団で、中国語や英語にしてある映像があれば、それをチャットやブログで公表すれば、このような議論に対して貢献できるのではないだろうか。日本の経験を中国に伝える上で、そのような映像や画像は大きなインパクトを与えるであろう。
・もう一点、「窗顶之下-雾霾调查」への反発の中で、河北省の鉄鋼産業は数十万人の雇用を生んでおり、このような産業を制約することになれば重大な失業問題が発生し、大きな社会不安の原因になるため、大きな雇用の受け皿になっている企業に対して厳しすぎる要求をすべきでないという主張もなされている。この点、日本では企業を訴えることが失業問題につながらなかったのか?日本は公害の克服過程で、雇用問題、失業問題をどのように解決したのか、その経験についても日本からの発信があれば非常に役立つと思う。

【調査についてのまとめ】
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・今回の中国訪問の期間(3/5~3/7)には、全国人民代表大会が開催されていた。全人代では、2月末に就任した環境保護相が、環境保護への投資を増やす考えや、工場の設備改修や古い自動車の廃棄などを進めた結果、PM2.5の測定値を前年より1.1%減らしたと説明するなど、環境問題が国の主要な課題となっていることがあらためて実感された。

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・また、クリーンエアアジアや王燦発教授へのヒアリングにおいても、中国国内で環境問題、大気汚染問題に対する意識が以前に比べて、高まっていることが見受けられた。
・日本からの公害経験や情報発信としては、大気汚染と健康被害の因果関係を証明する資料へのニーズがあった。大気汚染の問題は認識されているものの、それが人々の健康にどう影響を及ぼしているのかを明示することが、人々の意識を高めたり、対策を進めていくために求められている。
・おりしも、中国の大気汚染の問題を告発する映像がインターネット上で、大きな反響となっていた。このように、日本の公害経験についても、動画や写真などを活用して、広く発信していくことが有効であろう。

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記・鎗山(あおぞら財団スタッフ)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2015年4月1日6:50 PM
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