3月23日、『交通政策基本法成立はスタートライン~これからどう動くか~』をドーンセンターのセミナー室で開催。参加者25名が集まりました。
道路環境市民塾運営委員会の主催です。
道路環境市民塾では交通政策基本法の前身である『交通基本法』の勉強会を、2010年12月に辻元清美議員を招いて実施しています。
同法は2011年3月8日には民主党政権下で法案が国会に提出されるも、3日後に東日本大震災が発生、翌年の衆議院の解散より廃案になった経緯があります。
昨年11月27日、大震災への対応等も加えられ参議院本会議で可決・成立したことを受け、今回勉強会を企画しました。
まずは、国土交通省近畿運輸局企画観光部長の中村広樹氏より、『交通政策基本法の概要』をお話を頂きました。
*法案等はこちら
*中村氏の発表資料 140323交通政策基本法勉強会(国交省)
続いて、加藤博和氏(名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻・准教授) のお話です。(HP)
『交通基本法』として法案が国会に提出されていた当時、『移動権』が記されており(2002、2006年提出時)、人の移動を保証する法律として注目されていました。
特に民主党・社民党は衆議院選挙でマニュフェストに交通基本法の一丁目一番地として『移動権』を盛り込んでいましたが、しかし時期尚早ということで2011年の法案提出時では、見送られているということです。
今回、東日本大震災を受けて大規模震災への対応等も入れられ、移動権の保証を目指したものではなく国の体制づくりを整理した法律ということで、可決にいたったとのことでした。
なお、第16条(日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保等)が『移動権』かわる規定だそうです。
また同法では、
第9条に、地方公共団体(計画策定は義務付けは無し。ただし施策を策定し実施する責務があり、実施は自治体で国はそのサポート)
第11条に、国民等(主体的に取り組むよう努める・・・つまり自ら動く必要がある)
第10条に、交通関連事業者(交通施策への協力や情報提供が努力義務)
と三者の役割がそれぞれ書かれています。
三位一体で協力し、地域主導ですすめていくことがますます必要ということです。
その上で、地域主導で三者が協力してつくられてきたコミュニティバスの事例を紹介して下さいました。
水尾自治会バスや、加藤先生もかかわっている生活バスよっかいち等の事例です。
また、政府の役割として『交通政策基本計画』の閣議決定・実行が第15条で定められており、その議論が4月以降に始まるのでぜひ皆さんも声を届けようということでした。
「会議室での議論より、現場が大事」と話をまとめた加藤先生。歯切れのよい言葉でわかりやすくお話をして頂きました。
法律や制度で変わるというよりも、現場で悩んでいる人間が悩みに応じて制度を使ったり創っていく必要を感じたお話でした。
*加藤先生の講演資料はコチラ
参加者の感想(一部)
・今後の視点を得る事ができた=計画をつくることより環境を作ることが重要。
・移動権を期待していたが、削除された。もし移動権があればどのように状況がかわるのか。
・「一所懸命の場」での民主的な討議ができるコミュニケーション能力の育成を小中高の学校教育でなんとかできないか、考えていきたいです。
・地域バス運行事業者選定にかかわったが、今日の話をきいて行政の認識不足、事業スキームの不十分さ、1社しか応募してこない施策そのものの問題点がわかった。担当者にも勉強しましょうと呼びかけたのだが、そのスタートラインのための整理ができました。
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なお、道路環境市民塾では『人にやさしい公共交通』として5月より講座を企画しています。詳しくはコチラ
また、こういった講座の企画・運営をする道路環境市民塾運営委員も募集しています。興味のある方は、ぜひご参加下さい。
(次回の会議は4月21日(月)午後6時30分~、場所はあおぞら財団です)
(小平)