報告が遅くなりましたが、4月4日、淀川勤労者厚生協会の新人研修にあおぞら財団の谷内が講師として参加しました。
淀川勤労厚生協会とは、西淀病院や診療所の他、介護施設を運営する法人で、今回の研修は今年度から各施設で働く方々を対象としたものです。今年は32名の方が参加されました。
前半はグループに分かれてワークショップを行いました
最初に、西淀川公害の写真をみて、写された状況や撮影者の視点、考えを読みとる〈フォトランゲージ〉を行いました。その後、様々な立場から公害の解決を考える<ロールプレイ「あなたの町で公害が起きたら」>を実施し、自分の街に公害が起こった場合を体験し、立場が違う人同士で問題の解決を目指す難しさを感じてもらいました。
ワークショップの後は、『西淀川の公害の歴史と住み続けられるまちづくり』をテーマに、谷内から講義を行いました。過去にどのような甚大な大気汚染が起こったのか、そして公害患者がどのような公害反対運動を行い、公害で疲弊した地域を再生したいとの思いからあおぞら財団が設立されたというお話をしました。
最後には、公害患者の須恵佐與子さん、西淀川公害患者と家族の会事務局長の上田敏幸さんに公害の被害についてお話していただきました。須恵さんは、一晩で子どもが育てていたアサガオが一晩にして枯れたり(1969年永大石油事件)当時の大気汚染が甚大な被害をもたらしていたこと、大気汚染の被害を受けた後も旦那さんの仕事のために引っ越しができなかったこと、公害病がご自身の仕事にもたらした影響などをお話しました。聞いていた方々からは公害病の症状や当時の様子などに対して質問がありました。
今回の研修に参加された方からは下記のような感想をもらいました。
・ロールプレイをすることで、あまり考えたことのない立場の人がどう考えるのか考える機会になってよかった。
・ロールプレイを通して、いろんな立場から合意をとることの難しさを知ることができた。
・大気汚染公害とたたかってきた人々の苦労、苦しみを学べる機会は少ないので、オリエンテーションの中で聞けるのはとても良いと思った。
・実際に被害者の話を聞いて、当時の怖さ、苦しさ、後遺症などを知ることができたので、一人一人に寄り添い思いをくみとっていくことが大事だと思った。
淀協は、西淀川を含めたこの地域の医療や介護を担う大切な機関です。西淀川公害について学んでいただいたことが、今後の医療や介護の現場で活かされ、公害患者を始めたとした地域の方々に寄り添う医療・介護につながることを期待しています。
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あおぞら財団ではESD(持続可能な開発のための教育)の視点から、未来を考えるために対話的な学びの場をコーディネートします。 研修に関しては下記のページをご覧ください。
https://aozora.or.jp/kougai_lecture/edu/
(記録:谷内)