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環境省職員 現地研修受入 2日目(10/7)

2016年度の環境省職員現地研修二日目は、朝から西淀川のフィールドワークを中心に行いました。
(一日目のブログはコチラから見れます)

2日目の研修は、バスで西淀川の工業地帯の見学から始まりました。

国道43号につくと、国土交通省近畿地方整備局大阪国道事務所の方から大気汚染対策について説明を受けました。
国道43号には遮音壁やガードレール等に光触媒を塗布しています。この光触媒に触れた窒素酸化物(NOx)は酸素と反応して硝酸イオンなどに分解され、雨によって洗い流されます。また、高活性炭素繊維(ACF)による大気浄化についても説明を受けました。ACFは空気中の窒素酸化物を酸化し、硝酸として繊維内部に吸着させ蓄積します。

参加者からは「これらの技術の費用対効果は?」という質問が出ました。大阪国道事務所の方は少し困った顔をされて「いずれも新技術の活用ということで社会実験として国道43号に整備されています。費用対効果はあまりよくなく、光触媒は15000平方メートル塗って1日当たり60台分の大型車の排気ガス分の効果しかありません。もっと広く活用されるようになれば値段も安くなるが、今はまだまだ高い」と回答されていました。

国交省から説明

国道43号で国交省の職員から説明を受けました

 

光触媒の塗布

国道43号の遮音壁には大気汚染対策として光触媒が塗られています

 

再度バスに乗りこみ、尼崎や西淀川中島の工業地帯を見学しました。
尼崎は西淀川に比べて大規模な工場が多く、むき出しの配管や水蒸気など工場が稼働している様子がバスの中からもうかがえます。
中島は、住宅地内にあった騒音が大きい工場が移転して形成された工業団地で、その形成過程を林さんから説明がありました。
外島や外島保養院跡の碑、淀川堤防などの見学を行いました。

昼食は大阪ハラールレストランで食べました。ハラールとははイスラム法上で食べることが許されている食材のことです。ビリヤニやカレーなど本格的なパキスタン料理に舌鼓を打ったあと、レストランの向かいにある大阪マスジドの1Fにあるハラールショップに行きました。マスジドとはイスラム教徒の礼拝所のことで、この大阪マスジドは国内最大級のマスジドで、多くのイスラム教徒の方々が集う場所になっています。

ハラールレストラン

本格的なハラール料理を食べました

 

昼食後にはあおぞら苑の見学を行いました。代表の辰巳到さんから、あおぞら苑の設立理由や特色について語っていただきました。辰巳さんは、公害患者さんをはじめ西淀川区の人たちが地域で住み続けるサポートをしていきたいとの思いからあおぞら苑を運営されています。あおぞら苑では他の介護事業所では受け入れられないような介護度の重い方も受け入れており、あおぞら苑でしかできない介護を目指しているとのことでした。

あおぞら苑の見学

辰巳さんからあおぞら苑の運営に対する熱い思いをお聞きしました

 

次に、あおぞら苑とあおぞら苑Ⅱに分かれて、昔と今の西淀川についてあおぞら苑の利用者の方々にヒアリングしてもらいました。参加者はヒアリングに戸惑っていましたが、徐々に利用者さんたちと打ち解け、話が盛り上がり楽しそうでした。

あおぞら苑インタビュー

あおぞら苑でのインタビュー調査。お話が盛り上がって楽しそうでした

あおぞら苑まではバスで移動していましたが、この後は徒歩であおぞら財団まで移動しました。この移動はただの移動ではなく、途中で西淀川区民にヒアリング調査を行うという課題が課されました。参加者のみなさんは、ショッピングセンターのメラードや大野川緑陰道路で、話しかけやすい人を探してお話を伺っていました。西淀川区は気さく方が多く、ほとんどの人が快くお話を聞かせてくださったようです。

nishiyodogawa_interview

区民のみなさんは快く調査に答えてくれました

 

あおぞら財団に戻ると、西淀川区副区長の橋本広志さんから西淀川区の取り組みについてお話を聞きました。お話のあと、交通やコミュニティに対する取り組み、隣接する他都市との違いについて質問が出ました。

副区長からのお話

西淀川区副区長から西淀川区の取組について聞きました。

 

最後は、5班に分かれてワークショップを行いました。

ワークショップでは、1日目に各班で決めたテーマに基づいて提案を行うことを目標としています。まず、2日間の研修の中で把握した情報や患者さんや区民からうかがったお話を踏まえて話し合いました。そこで足りなかった情報やさらに聞きたい情報については、患者会の森脇さんや上田さん、財団職員から話をきき、提案に繋げていきます。どの班もそれぞれのメンバーの意見をすり合わせて提案につなげていくことに苦心していましたが、最終的には形にまとめ、西淀川の未来に向けた提案や環境省の職員として何ができるかについて発表しました。

ワークショップの様子

熱心に話し合っています

研修の最後は財団の事務局長と患者会から研修の講評がありました。藤江さんからは「地域再生に終わりはない。環境省が中心的な役割を担ってほしい」、上田さんからは「想像力をもってほしい。ある施策が実施されると住民にどんな影響があるのかよく考えてくれたら」との意見が出ました。患者会会長の森脇さんからは「最初にこの研修で1つでもつかんで帰ってほしいと話をしたが、最後の発表をきいてたくさんのものをつかんでくれたというのが実感できた。環境省でなければ被害者の立場に立った政策はできない」という講評をもらいました。

(感想)

今回、研修に同行させていただき、私自身も大変勉強になりました。西淀川の今と昔の状況を現地で確認することで、より深く知ることができたと思います。今回の研修で今の環境が患者会をはじめとした区民や行政の努力により改善していることを実感することができました。また、あおぞら苑や街中のヒアリング調査を通して、西淀川区に住み続けている人たちは環境の改善を実感していること、子ども達にさらによりよい環境にしていきたいという思いも伝わってきました。

環境省の職員の方々の研修に対する真摯さも印象に残りました。どの方も熱心に見学やヒアリング調査、ワークショップに取り組んでおられました。今回の研修で得たものを仕事に持ち帰り、地域再生や環境改善に向けた仕事に役立てていただけるのではないかと思っています。

(谷内)

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