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環境省現地研修受入、一日目(2/19)

2月19日~20日にかけて環境省職員の現地研修受け入れが行われました。
参加者は環境省職員の方々13名で、西淀川のフィールドワークや公害患者さんとの話などが2日間に分けて研修が行われました。

2月19日(木)一日目
午後から研修の受け入れが始まりました。
職員の林さんからまず、あおぞら財団や西淀川の公害についての話がありました。
昔の西淀川の風景などのスライドや公害裁判についての話をしました。

西淀川という地域や西淀川公害について話をしている林さん。

西淀川という地域や西淀川公害について話をしている林さん。

 

その後、歌島橋交差点にて大阪国道事務所の方からどのような対策を行われてきたかという話をしていただきました。
交通の円滑化をどのようにしてきたか、道路の構造の対策など43号線などで行われてきた対策を中心に話してもらいました。
行われてきた対策だけではなく、国土交通省が行っている「えんどう(沿道)まめくん」と環境省が行っている「そらまめくん」の違いについて環境省の方から質問が出る場面もありました。
歌島橋交差点は五叉路なので対策をしても車の量は多く、車道へと視線を向けている方がとても多かったです。

歌島橋交差点で対策について説明を受けている。

歌島橋交差点で対策について説明を受けている。

大阪国道事務所大田隆英さんが説明をしてくださいました。

大阪国道事務所大田さんが説明をしてくださいました。

 

財団へと戻ると公害患者さんでもある永野さんと岡崎さんを迎え、全体で大きな輪になって病気の苦しみや公害反対運動、また昔の西淀川についても話をしていただきました。
普段輪になって直接話しを伺う機会が少ないらしく、お二人の話を食い入るように聞いていました。
仕事も発作などの症状が酷く、パートでしか働けなかったとのお話もありました。
途中で上田敏幸事務局長を迎え、上田さんは年金がもらえない人もいると言う現状も教えて下さいました。
仕事の対応や会議などで公害患者さんと話をする機会はありますが、お互いが普段の立場とは少し異なった形で話を出来たためか色々考えているような複雑そうな表情が見えました。
上田さんがおっしゃった「公害は地元を丸めて問題になっている。」と言う言葉がとても耳に残りました。

永野さんと岡崎さんの話を聞き入っている環境省の皆さん。

永野さんと岡崎さんの話を聞き入っている環境省の皆さん。

言葉を聞き逃さないように耳を傾けて聞き入っていました。

言葉を聞き逃さないように耳を傾けていました。

 

その後は患者会の会長である森脇君雄さんを迎えて、公害反対運動や環境省とどのように関わってきたのかと言う話をしていただきました。
環境省との関係や企業との和解についての話が多く、特に和解については普段聞けないような話も多かったようです。
感想や質問の場面でも積極的な姿勢で質問が行われていました。

>環境省職員の質問。
「工場で働いていて認定患者さんはいましたか?」

>森脇さんの回答。
「実際に患者さんはいましたが、皆地元の病院で認定されているので大きな工場の近くにある病院では認定患者さんの数は少なかったらしいです。全ての病院に公害病についての知識があるわけではないから。」

>環境省職員の質問。
「患者会が連帯するのはすごいことだと思いますが、割れそうになったことはありませんか?」

>森脇さんの回答。
「目の前にあることを一つ一つやってきました。全患者を連れていって運動を行ったりし続けていたために、割れるよりも団結していきました。けれど裁判をしている最中にやめていった人も多くいました。子どもの切り捨てで辞めていく人も多くいました。」

>環境省職員の感想。
「知らないということだけで通していてはいけないなと思いました。しっかり話を聞いて対応していますが、事務的な対応ばかりではいけないなと思いました。」

森脇さんが運動の中であった話を沢山してくださいました。

森脇さんが運動の中であった話を沢山してくださいました。

真剣にメモを取っている職員の方々が見受けられます。

真剣にメモを取っている職員の方々が見受けられます。

 

一日目は財団を中心で話を聞く形の研修が中心となって進みました。
二日目は西淀川を中心としたフィールドワークを行いました。
二日目のブログはコチラから見てみてください。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2015年4月1日10:10 AM

中国環境NGO・研修プログラム(12/4-7)

あおぞら財団では、日本の公害経験を発信し、情報交換することによって、中国やアジアの環境問題の解決をめざして、中国の環境NGOとの交流活動を続けています。今年度は12/4~8の期間に李力さんはじめ、3名のメンバーが来日しました。
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日時=2014年12月8日(月)10:00~12:30
場所=あおぞら財団/<a href=”http://www.yodokyo.or.jp/nishiyodo/index.html” target=”_blank”>西淀病院</a>
中国メンバー=
李 力:Li Li  研究員(<a href=”http://www.envirofriends.ngo.cn/index.html” target=”_blank”>北京市朝阳区环友科学技术研究中心</a>)
路 敏:Lu Min 秘書長(天津経済技術開発区環境保護協会)
程 旺:Cheng Wang 職員(北京都市の声文化芸術センター)
12/8(月)の研修では、午前中はあおぞら財団で、西淀川公害や公害反対運動の経過、
あおぞら財団の活動について、研修を受けました。
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1198.jpg”><img title=”KIMG1198″ src=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1198-300×224.jpg” alt=”KIMG1198″ width=”300″ height=”224″ /></a>
すでに数年この交流活動を続けている中で、西淀川公害の歴史やあおぞら財団が取り組んでいる
フードマイレージプログラムや廃油回収の活動を、李力さんたちメンバーが中国国内で情報発信
している様子も伝えられました。
公害健康補償法の仕組みや医療制度の違いなどが意見交換の中であがっていました。
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1214.jpg”><img title=”KIMG1214″ src=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1214-225×300.jpg” alt=”KIMG1214″ width=”225″ height=”300″ /></a>
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1214.jpg”> </a>
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1214.jpg”></a><a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1205.jpg”><img title=”KIMG1205″ src=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1205-225×300.jpg” alt=”KIMG1205″ width=”225″ height=”300″ /></a>
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1205.jpg”> </a>
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1205.jpg”></a>
次に、大気汚染による公害患者さんの治療や公害反対運動の支援に地域で長くたずさわってきた
西淀病院を訪問しました。
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1234.jpg”><img title=”KIMG1234″ src=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1234-225×300.jpg” alt=”KIMG1234″ width=”225″ height=”300″ /></a>
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1234.jpg”> </a>
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1234.jpg”></a><a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1238.jpg”><img title=”KIMG1238″ src=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1238-300×224.jpg” alt=”KIMG1238″ width=”300″ height=”224″ /></a>
李力さんたちは、大気汚染がますます深刻化する中国で、公害患者の治療ができる病院づくりを
計画しており、西淀病院の建設経過や取り組みを参考にしたいとのことで、西淀病院を訪問する
ことになりました。
病院建設の資金集めをどのようにおこなったか、医師をどうやって集めてきたか、住民が西淀川公害裁判を提訴したあとは、医療機関としてどのような取り組みをおこなったか、などが病院副院長や副理事からお話がありました。
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1240.jpg”><img title=”KIMG1240″ src=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1240-300×224.jpg” alt=”KIMG1240″ width=”300″ height=”224″ /></a>
中国と日本では、社会体制の違いがあり、中国側では難しい状況の中での病院建設ですが、
李力さんたちは、支援してくれる人を見つけて、公害病の治療や予防ができる病院をつくりたいと
希望を述べました。
今後は日本から中国に医師を派遣したり、中国の医師が日本で研修を受けたりできるのか、などが
話し合われました。
<a href=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1243.jpg”><img title=”KIMG1243″ src=”http://aozora.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/KIMG1243-300×224.jpg” alt=”KIMG1243″ width=”300″ height=”224″ /></a>
記・鎗山(あおぞら財団スタッフ)
※本事業は環境省委託 平成26年度大気汚染経験等情報発信業務の一環です。

あおぞら財団では、日本の公害経験を発信し、情報交換することによって、中国やアジアの環境問題の解決をめざして、中国の環境NGOとの交流活動を続けています。今年度は12/4~8の期間に李力さんはじめ、3名のメンバーが来日しました。

今回は、富山県で開催された「第二回 公害資料館連携フォーラムin富山」に参加いただき、イタイイタイ病の歴史や対策を知っていただくとともに、日本各地の公害問題の現状について知っていただく機会となりました。

中国メンバー=

李 力:Li Li  研究員(北京市朝阳区环友科学技术研究中心)

路 敏:Lu Min 秘書長(天津経済技術開発区環境保護協会)

程 旺:Cheng Wang 職員(北京都市の声文化芸術センター)

IMG_2285

12/5(金)は、午前中に、富山県立イタイイタイ病資料館を見学し、午後からフォーラムに合わせて開催された現地フィールドワークに参加しました。

同資料館は、『子どもたちをはじめ国内外の幅広い年代の人々が「イタイイタイ病の恐ろしさ」を知り、「克服の歴史」を学ぶとともに、 県民一人ひとりが「環境と健康を大切にするライフスタイルの確立や地域づくり」に取り組むことをめざす未来指向型の資料館』として、平成24年に開館しました。

中国語の音声ガイドも設置され、模型やビデオ、イラストなどによる解説も充実しており、中国の方にも「公害の原因、流域に被害が集中していること、対策のことなど、よく理解できた」と好評でした。

現地フィールドワークでは、中国でも水質汚染・土壌汚染による被害が起きている場所が各地にあるそうで、どのような対策を行っているのか?興味を持って見ておられました。

資料館入口ホールにて、航空写真上で被害地域についての解説を聴く

資料館入口ホールにて、航空写真上で被害地域についての解説を聴く

汚染農地の土壌復元工事完了の記念碑前にて。

土壌復元の現場を見学後、記念碑前にて。

清流会館に掲げられた裁判判決文(1971.6.30)を見る

フィールドワーク参加者同士の感想共有を行いました。

フィールドワーク参加者同士の感想共有(通訳付)。日本の大学生に対して「なぜ?イタイイタイ病を勉強するの」

12/6(土)は、午前中は、青島医師からイタイイタイ病に関する医師の取り組みについてお話を伺い、午後からフォーラム・分科会3アウトリーチ(地域の資源を活かした学びの場の展開)に参加しました。

李力氏は、「中国でも公害による健康被害が発生しており、公害患者さんを診てきた経験のある日本の医師にも改善に向けて協力してほしい」と仰っていました。

青島医師と歴代の院長先生の写真とともに。

萩野病院にて青島医師とともに。

12/7(日)は、これからの公害資料館連携について議論するワークショップに参加し、「中国からもHPなどにアクセスできるようにしてほしい」、「将来、中国にも公害資料館をつくりたい」といった意見が出されました。日中間で互いの事情は異なりますが、日本全国から公害・環境問題に関わる方々と、公害に関する現状と課題についての意見交換の場となりました。

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雪景色のイタイイタイ病資料館
雪景色のイタイイタイ病資料館

この後、富山の雪景色も楽しみつつ、盛り沢山の研修プログラムを終えて、一行は、大阪へと向かいました。

研修プログラムの続きは、こちら↓

中国環境NGO・研修プログラム(12/8)

記・藤江(あおぞら財団スタッフ)

※本事業は環境省委託 平成26年度大気汚染経験等情報発信業務の一環です。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2014年12月19日2:35 PM

龍谷大学清水ゼミ 西淀川公害を学ぶ

2014年11月7日、11月14日
昨年度から引き続き、龍谷大学清水万由子ゼミの研修を受け入れました。
7日は歌島橋交差点のフィールドワークと公害患者さんのお話。あおぞら財団から姫島駅まで歩いて西淀川住民に直撃インタビュー(西淀川のいいところと悪いところを教えてください)
14日は資料館を利用して、西淀川公害の調べてみたいことを出してもらって、資料館の資料を使って調べ学習でした。
ここでは、公害患者さんとのお話についてレポートします。
1
公害患者の山下明さんは、大分県の臼杵から大阪に転居してから喘息を発病したことや、病気や裁判闘争の体験を話していただきました。現在公害患者3級の認定を受けており、いつ喘息の発作が起こるか分からないので、いつも薬を持ち歩いていることや、以前に発作が出て意識不明になり救急車で病院に運ばれた経験を話していただきました。
2その後、以下の質問に答えていただきました。
Q.「大阪で働いている時、大分に戻ろうとは思わなかったのですか?」
・大阪に出てくるとき、大分に残ってくれと言われていたが親の仕事を継ぐのがイヤだったので出てきたので、戻ろうとは思わなかった。都会にいないと現在のオペレーターの仕事は出来ないのです。
Q.「大阪で働き始めて、公害病とは思わなかったのですか?」
・初めは単なる風邪と思っていました。薬を飲んでもなかなか直らないので、病院の先生に聞いて、初めて公害病と言われました。
Q.「裁判の原告になるきっかけはどんなことでしたか?」
・こんな苦しみは、これからの人には味わってほしくないと思っていました。
患者の中で、比較的若かったので私が原告の一人になりました。
Q.「以前と比べて、西淀川の空はどうなっていますか?」
・以前と比べると、ずいぶん空気は良くなっていますが、まだまだの感じがしています。自動車は多いし、夜になっても星が見えません。
Q.「原告として、どのような活動をされましたか?」
・まず、弁護士さんの聞き取りがあり、病気になった経過を詳しく述べました。被告側の弁護士から「タバコは吸ってないか」など、ひつこく聞かれました。公判の時は自分が裁判所にいく為、仕事に穴をあけることが出来ないので、代わりの人に変わってもらうことが大変でした。簡単には代わりの人を見つけることができないのです。
Q.「大きな裁判の後、地域の人としていることはありますか?」
・いろいろな取り組みをしていますが、歳をとって出にくくなりました。患者会として他の公害闘争に参加し、東京の環境庁へ交渉に行ったこともあります。環境庁では若い人は出てきますが、トップの人はなかなか出てきませんね。
Q.「大分から移り住んで良かったことはありましたか?」
・連れ合いを出会うことができて、良い家族をつくることが出来ました。
Q.「原告として裁判で勝てるきっかけはありましたか?」
・最初は裁判で勝てる気がしませんでした。被告側はベテランの弁護士でしたが、私たち原告側の弁護士は殆んど若い経験が豊富ではない方が殆んどでした。何度も勉強会を繰り返し、相手はどんなことを言ってくるかを想定して答え方も勉強しました。
Q.「裁判が“勝った“とはどういうことですか?」
・裁判を通じて、企業も国も自分の責任を認めたことです。

学生の感想として
「山下さんは真剣に公害と向き合っているなと感じました。」
「ぼくたちが思っていた以上に喘息の病気は大変なことだと思いました。」などの感想がでました。(天野)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年11月20日9:23 PM

大阪府環境部局職員研修を受け入れました

日 時=2014年9月2日(火)14:00~17:00
参加者=大阪府環境部局職員7名

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ビデオ「西淀川公害を闘う」(リバティ大阪)の鑑賞後、「西淀川公害」と「地域再生」の説明を行いました。

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続いて公害患者の岡崎久女さんから、病気との闘いや子育ての苦労の体験を話していただき、質問に答えていただきました。
Q.「喘息の発作とはどのようなものですか?」
・最初はよく風邪引くな~、セキが止まらないな~と思っていました。やがて夜に発作が出ると息ができなくなってしまうようになりました。もちろん声も出ません。同居の家族に伝えることができないのです。救急車で運ばれて気が付いたら西淀病院のベッドだったことが何度かありました。
Q.「一番困ったことはどんなことでしたか?」
・”生きるか死ぬか”の経験を何度もすると、家事が何もできません。子どもの朝食や弁当も作ってやることができず、親子で一緒に喘息発作で苦しんだことが一番辛かったです。
Q.「原告になるきっかけはどんなことでしたか?」
・私が好きでなった病気ではなく、子どもも一緒に病気にさせられて、一生直らないと言われたことが、許せなかった。
今でも治療に病院に通っています。天気の変わり目などに、ひどい発作が出ます。

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つづいて、西淀川公害患者と家族の会会長の森脇君雄さんから裁判の経験を話していただき、質問に答えていただきました。
Q.「喘息について話してください。」
・国会で衆議院議員の前で喘息の苦しみについて話したことがあります。「水
中で頭を押しつけられ、顔を上げられないのが喘息の発作です。息ができ
ないのです」と。発作の時は声が出せないので、自分の足と女房の足を紐で結んで、伝えるようにしていました。息ができないということは身体中の酸素が無くなるということです。今でこそ薬が良くなって、死にはしないことがはっきりしていますが、当時は死んでいった人がたくさんいます。
Q.「裁判を始めるときはどんな心境でしたか?」
・大気汚染裁判は大企業と国・道路公団が相手なので、勝てるとは思わなか裁判でした。国と経団連が一体となって立ち向かってきましたので。「西淀川公害を語る」(本の泉社)に詳しく書いておきました。大阪府と大阪市には、中立的な態度をとお手欲しいと思い被告にはしませんでした。
Q.「西淀川裁判の経過はどのようなものでしたか?」
・当時の患者会の委員長は、学校の先生でした。「学習なくして裁判の勝利は無い」と言われ、徹底的に学習会を組織して繰り返し学びました。まず勉強、それから行動、そしてニュースを度々発行し裁判の内容を共有をしていきました。21年間もかかった裁判でしたが、勝利和解を手にする事ができました。だから、和解金の一部を地域再生に生かすという提案に誰からも異論が出ませんでした。裁判の解決金を地域再生にも使うという取り組みは日本で初めてでした。
Q.「“地域再生”が要求として出てきたのは何故ですか?」
・「手渡したいのは青い空」をスローガンに運動を広げてきました。自分たちが「金」をもらったらそれで良いとはならなかった。「子や孫のために青い空を」ということは、裁判の後にどのような活動が必要かを求められていた。「あおぞら財団」も「あおぞら苑」(ディサービスセンター)も、そして「街づくり」も続いていく活動の拠り所になっています。
直近では8月17日の朝日新聞で「公害を伝える 日中は青い空でつながるか」という記事が編集委員の吉岡桂子さんの名前で掲載されています。海外へもこの活動は広がりを持っています。

その後、徒歩で大野川緑陰道路を通り、大和田の大阪マスジドが紹介されました。ハラールの売店も興味を持って見学されていました。その後「あおぞら苑」(ディサービスセンター)に到着し、施設長の辰巳致さんからこの施設の開設に至る経過や現在の活動の様子を聞き、内部の見学をしました。

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大和田西交差点では、国道43号線の公害対策の説明を聞き、43号線の車の多さを体感してもらい、最後は阪神出来島駅で解散になりました。

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見学の皆さんからは、公害被害の現地を自分の目と耳と皮膚で感じることの大切さが語られました。
今後の大阪府の行政施策の中に、今日の経験が活かされることを願っています。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年9月25日2:31 PM

外務省 中国の環境団体関係者等訪日事業

日 時=2014年7月18日(金)13:30~17:30

参加者=中国の環境団体関係者・記者 計30人、引率者3名
      中国の記者が書いた記事はこちら
中国の環境団体関係者と記者を西淀川フィールドワークの受け入れを行いました。
東京から大阪、北海道へ移動する日本縦断のプログラムです。東京での記事はこちらです。
まず、財団で西淀川公害と地域再生についてビデオも使って解説しました。

1

続いて公害患者の永野千代子さんのお話です。病気との闘いや子育ての苦労、裁判の経験を話していただき、質問に答えていただきました。

Q.「お子さんの場合の公害病はどの様な手続で認定されたのですか?」

・公害医療センターや医師会が認定に支援をしました。

Q.「申請しても認定されない場合はありましたか?」

・1988年に「公害指定地域」の指定がなくなり、新しく認定は見られなくなりましたが、患者は増えているのが現状です。

Q.「21年間の裁判の間に空気はきれいになりましたか?」

・工場からの大気汚染は少なくなりましたが、自動車によるそれは無くなっていません。

Q.「裁判の勝利で得た賠償金はどんな基準で原告に分配されましたか?」

・弁護団と患者会で、公平になるよう配分の基準を作りました。

質問には永野さん、林さんが丁寧に答え、感謝の色紙と手作りの記念品が二人に贈られました。

2 3

その後、バスに乗車して西淀川を回りました。ディサービスセンターの「あおぞら苑」では施設長の辰巳致さんから、開設に至る経過や現在の活動の様子を聞き、内部の見学をしました。

5

大和田西交差点では、国道43号線の公害対策の説明を聞き、43号線の車の多さを体感してもらいました。

その後バスで中島工業団地や尼崎工場群、西淀川公害医療センターを見学し、大野川緑陰道路を歩いてあおぞら財団まで帰ってきました。

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あおぞら財団に戻ってきて今日の「ふり返り」を行い、参加者との質疑応答がありました。その一部を紹介します。

Q.消費者との連携はありましたか?

・消費者団体の存在が日本では大きいのですが、そこが裁判の協力してくれ

たことが大きかったです。

Q.今、公害裁判が少なくなっているようだが、訴訟が受け付けられなくなって

いるのですか。

・日本では公害対策が進み、訴えられることが少なくなっています。

Q.街の再生計画はどのくらい達成できていますか?

・「大気」はだいぶきれいになりました。「緑」は半分ぐらい、「車」はまだまだです。ただ地域を良くしたいという声は高まり、当初の計画とは形は違うところもありますが、再生は進んでいます。工場は減って住宅が増えている現状もあります。

見学の皆さんは、たくさん質問をしてくれました。日本と中国では制度の違いがあり、理解が難しい部分もあったようです。
日本と中国の空はつながっているので、一緒に環境を良くしていきたいです。(天野)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年7月24日1:33 PM
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