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» 2014 » 7月

7/18(金)楽らく呼吸会で遠足に出かけました!(姫島診療所)

2014年7月18日(金)、楽らく呼吸会の遠足企画として、姫島診療所から矢倉海岸まで出かけました。西淀病院から理学療法士の廣野さんと田中さんを講師に迎え、一緒に歩いたり、呼吸リハビリの体操などもおこないました。参加者は14人(内、患者さん7名(家族の方を含む)、理学療法士2名、看護師1名、スタッフ4名)でした。

今回は、「みんなで歩こう」がテーマ。楽らく呼吸会では、いつも室内で楽しく呼吸リハビリや運動に取り組んだり、呼吸器の病気に関するいろいろな勉強をしたりしていますが、外に出かけるプログラムは久しぶりです。→前回の遠足の様子についてはコチラ

呼吸器の患者さんにとって、呼吸リハビリや適度な運動を続けることは、体力維持や症状を悪化させないためにとても大切です。みんなで楽しく運動に取り組める遠足は、患者さんたちからの熱いリクエストもあり、実現しました。

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まずは、姫島診療所に集合!みなさん予定の時間よりも早めに到着して談笑中。日除け対策など、万全の態勢です。(この日を楽しみにされていた様子が伝わってきます。)

みなさんお揃いの後、車で矢倉緑地まで移動し、歩きました。

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矢倉緑地とは・・・

「淀川と神崎川河口にはさまれた矢倉緑地は、昭和9年の第1室戸台風で水没した田畑を埋め立てた土地で、平成 9年(1997年)から造成を行い、平成12年(2000年)9月1日にオープンした都市公園です。

市内では珍しくコンクリート護岸のない海水面と接する公園で、自然石を用いた荒磯自然護岸や水に触れ合うことができる潮だまりがあり、通水管を通ってきた小魚が泳いでおり、カニ・フジツボ・フナムシなども見られます。

周辺は、渡り鳥の滞留地になっているので、公園内に設けられた野鳥観察所から、カルガモやユリカモメなどが観察できます。(西淀川区のホームページより)」

歩き始めると、入り口付近に石碑を発見。囲んでしばらく見入る患者さんたち。

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“本緑地は、公害健康被害補償予防協会より助成金を受けています。”

矢倉緑地は、大気汚染対策として造られた公園なんです。「知らなかった!」と、持参のカメラで撮影する患者さんも。

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真夏のような太陽が照りつけるお天気でしたが、緑の木陰はなかなか涼しく、歩きやすかったです。

公園の東屋にて、まずは休憩。お茶を飲んで一息つきました。

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そして海を眺めたり、咲いている花を観察したり・・・思い思いに過ごしました。

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その後、理学療法士さんと一緒に、みんなで呼吸体操をしました。

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肩を上下に動かしたり

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腕を前後にまわしたり

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「シェー」のポーズで脇腹の筋肉を動かします

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最後は深呼吸をして呼吸を整えます。

体をほぐした後は、シャボン玉をしました。

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吹いてふくらますだけではなく、手で持って振ったり息を吹きかけたりして一気にいくつものシャボン玉を飛ばすグッズもあり、お気に入りのものを使ってそれぞれ楽しみました。患者さんも理学療法士さんたちも、いっしょに和気あいあい♪

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小走りしながらシャボン玉を飛ばす人もいて、ちょっと心配しながらも、本当に楽しかったんだなあ~と実感。普段の呼吸会とはまたちがった患者さんたちの表情が、とても印象的でした。

記念撮影でのこの笑顔!

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みなさんいいお顔をされていますね~!

帰りは、海を臨みながら歩きました。

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潮だまりをのぞきこむと、カニも見られました!

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(そそくさと隠れてしまいましたが・・・)
海を眺めて歩いていると、ずっと西淀川に住んでおられる患者さんが、70年前の矢倉の海の風景や、淀川の話をしてくださいました。「淀川は底が見えるくらい水が透き通っていたんやで~」。

何気ない会話の中から、戦時中の暮らしや日常についても聞かせてくださいました。昔のまちの風景、公害のこと、戦争のこと・・・今、この西淀川で生きてこられた先輩たちから受け継いでいきたいことはいっぱいあるなあとあらためて感じました。

遠足を通して、楽しく運動ができ、また、参加者同士の距離もさらに近くなったように感じました。とても暑い日でしたが、途中でしんどくなる人もおらず、最後まで元気に過ごすことができました。楽しくできる運動、みんなで続けていきたいですね。

開催後のアンケートでは、7人中5人が今回の講習は【分かりやすかった】と答えています。また、7人中3人が呼吸リハビリなどの運動を【毎日している】、3人が【2・3日に一度ぐらい】と答えています。その他に「大変楽しい一時を過させていただきました」といった感想や、矢倉海岸まで出かけた企画に対して「最低、年1度お願いします」という声も寄せられました。

少しでも興味があれば是非、各診療所に足を運んで楽らく呼吸会にご参加ください!

■次回予定  ~お問い合わせはあおぞら財団まで~

・のざと診療所…8月8日(金) 14:00~15:30(栄養について)

・千北診療所……9月18日(木) 14:00~15:30(栄養について)

・姫島診療所……9月19日(金) 14:30~16:00(栄養について)

吉田

Filed under: イベント報告・ホームページ更新 | 環境保健 — aozorafoundation 公開日 2014/07/29(火) 02:57

7/17(木)楽らく呼吸会で呼吸リハビリをおこないました!(千北診療所)

2014年7月17日(木)、千北診療所で楽らく呼吸会を開催しました。今回は西淀病院から理学療法士の田中さんと笹本さんを講師に迎え、呼吸リハビリと運動をおこないました。参加者は12人(内、患者さん7名(家族の方を含む)、理学療法士2名、スタッフ3名)でした。

最初に、口すぼめ呼吸をおこないました。長く息を吐こう、とがんばりすぎてしまうと逆に咳込んでしまうこともあるので、自分のできるペースでおこなうことが大切です。

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そして、おなじみの呼吸体操をしました。

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肩を上下に動かす

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首を左右にたおす

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首を左右にまわす

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腕を前後にまわす

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腕を左右に動かす
(座ったままでもOKです。)

体操の合間に、みなさんの楽しいおしゃべりがぽんぽんと飛び出し、気持ちもリラックス。

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「筋肉なんてもうないで~!」「(自分の腕を見て)しわくちゃや!」などなど・・・笑いが絶えない楽しい現場です♪

体操の最後は、“シェー”のポーズ。
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今回は、手足を動かすゲームに挑戦するため、念入りにストレッチもおこないました。

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手のストレッチ(左右)

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足のストレッチ(左右)

体をほぐした後は、ダーツゲームに挑戦しました!

マジックテープ式の的に向かって、ダーツ(矢)やボールを投げて、当たった場所の点数の合計をチーム対抗で競いました。
イスに座った体勢で、投げる時に「フーッ」と息を吐きながら投げるのがポイントです。

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みなさんなかなかの命中率!「息を吐きながら投げると当たりやすいわ!」という感想も出ていました。

少し水分補給をして休憩をとりながら、次はパターゴルフに挑戦です。座った状態でパターを握り、いつも体操でおこなっている脇腹の筋肉を使う動きで、パターを振ります。

田中さんがお手本を見せてくださいました。小さなゴール(穴)にボールが入るのかなぁ~とみんなで見守る中、2回連続ホールイン!私も入れるぞ~と、熱が入る患者さんたち。

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自分の番が終わった後も、他のメンバーのプレイをあたたかく、そして必死で見守るみなさんの姿が印象的でした。ゴールできるかどうかよりも、やっぱり、お互いに声をかけあって楽しみながら取り組める運動というのはいいですね!

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最後は、玄関に出て、シャボン玉をしました。シャボン玉は、口すぼめ呼吸を自然に実践できる遊びです。

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理学療法士のお二人が用意してきてくださったシャボン玉はいろいろな種類があり、ストロー状のもので「フー」と息を吐くものや、輪っかに直接息を吹きかけるものもあり、いろいろな大きさのシャボン玉を楽しみました。

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夢中になってもくもくとシャボン玉を吹き続け、ふわふわ飛ぶ様子を見送りながらうれしそうな表情のみなさん。呼吸リハビリをがんばらないと!と肩に力を入れなくても気軽に取り組むことができるシャボン玉はおすすめの方法ですね。お家などでもぜひチャレンジしてみてください!

開催後のアンケートでは、7人中6人が今回の講習は【分かりやすかった】と答えています。また、7人中2人が呼吸リハビリなどの運動を【毎日している】、4人が【2・3日に一度ぐらい】と答えています。その他に「童心にかえれて楽しかったです。」など、楽しかった!という感想が多く寄せられました。

少しでも興味があれば是非、各診療所に足を運んで楽らく呼吸会にご参加ください!

■次回予定  ~お問い合わせはあおぞら財団まで~
・のざと診療所…8月8日(金) 14:00~15:30(栄養について)
・千北診療所……9月18日(木) 14:00~15:30(栄養について)
・姫島診療所……9月19日(金) 14:30~16:00(栄養について)

吉田

Filed under: イベント報告・ホームページ更新 | 環境保健 — aozorafoundation 公開日 2014/07/29(火) 02:54

あおぞら野菜市、初のフリーマーケット!(7/23)

毎月第4水曜日に「あおぞらイコバ」開催している「あおぞら野菜市」。
7月23日(水)は、暑い中、あたらしいお店が2つ登場し、フリーマーケットやカキ氷で大いににぎわいました。

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左はフリーマーケット、右は「ねこめ」さん

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手前は「谷口さんの野菜」


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「みやこ菜園」さんのお野菜

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カキ氷つくってます。「カフェスロー大阪」見島さん

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できた!八朔シロップ


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「sunaneco.」さん

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イコバの中でお食事~

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「カフェスロー大阪」さんのオーガニックランチ

■出店
カフェスロー大阪(オーガニックランチ、カキ氷)
みやこ菜園(綾部の野菜)
谷口さんの野菜(兵庫の野菜)
ねこめ(てづくり雑貨)
sunaneco.(てづくり雑貨)
楽成体(健康マッサージ)

次回は、8月27日(水)11:00~13:30です。
場所:あおぞらイコバ(あおぞらビル1F)
http://aozora.or.jp/accesscontact

おたのしみに~

鎗山(あおぞら財団スタッフ)

Filed under: あおぞらイコバ | イベント報告・ホームページ更新 — aozorafoundation 公開日 2014/07/24(木) 10:35

外務省 中国の環境団体関係者等訪日事業

日 時=2014年7月18日(金)13:30~17:30

参加者=中国の環境団体関係者・記者 計30人、引率者3名
      中国の記者が書いた記事はこちら
中国の環境団体関係者と記者を西淀川フィールドワークの受け入れを行いました。
東京から大阪、北海道へ移動する日本縦断のプログラムです。東京での記事はこちらです。
まず、財団で西淀川公害と地域再生についてビデオも使って解説しました。

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続いて公害患者の永野千代子さんのお話です。病気との闘いや子育ての苦労、裁判の経験を話していただき、質問に答えていただきました。

Q.「お子さんの場合の公害病はどの様な手続で認定されたのですか?」

・公害医療センターや医師会が認定に支援をしました。

Q.「申請しても認定されない場合はありましたか?」

・1988年に「公害指定地域」の指定がなくなり、新しく認定は見られなくなりましたが、患者は増えているのが現状です。

Q.「21年間の裁判の間に空気はきれいになりましたか?」

・工場からの大気汚染は少なくなりましたが、自動車によるそれは無くなっていません。

Q.「裁判の勝利で得た賠償金はどんな基準で原告に分配されましたか?」

・弁護団と患者会で、公平になるよう配分の基準を作りました。

質問には永野さん、林さんが丁寧に答え、感謝の色紙と手作りの記念品が二人に贈られました。

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その後、バスに乗車して西淀川を回りました。ディサービスセンターの「あおぞら苑」では施設長の辰巳致さんから、開設に至る経過や現在の活動の様子を聞き、内部の見学をしました。

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大和田西交差点では、国道43号線の公害対策の説明を聞き、43号線の車の多さを体感してもらいました。

その後バスで中島工業団地や尼崎工場群、西淀川公害医療センターを見学し、大野川緑陰道路を歩いてあおぞら財団まで帰ってきました。

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あおぞら財団に戻ってきて今日の「ふり返り」を行い、参加者との質疑応答がありました。その一部を紹介します。

Q.消費者との連携はありましたか?

・消費者団体の存在が日本では大きいのですが、そこが裁判の協力してくれ

たことが大きかったです。

Q.今、公害裁判が少なくなっているようだが、訴訟が受け付けられなくなって

いるのですか。

・日本では公害対策が進み、訴えられることが少なくなっています。

Q.街の再生計画はどのくらい達成できていますか?

・「大気」はだいぶきれいになりました。「緑」は半分ぐらい、「車」はまだまだです。ただ地域を良くしたいという声は高まり、当初の計画とは形は違うところもありますが、再生は進んでいます。工場は減って住宅が増えている現状もあります。

見学の皆さんは、たくさん質問をしてくれました。日本と中国では制度の違いがあり、理解が難しい部分もあったようです。
日本と中国の空はつながっているので、一緒に環境を良くしていきたいです。(天野)

大阪大学未来共生イノベーター博士課程の皆さんから感想が届きました

5/30、6/13と、大阪大学未来共生イノベーター博士課程プログラムの授業をあおぞら財団がお手伝いしました。その折の詳細な感想が届きましたので、授業の内容とあわせてご紹介します。

「西淀川をよくするためには?」政策提言を考えるダイヤモンドランキングにも取り組みました

「西淀川をよくするためには?」政策提言を考えるダイヤモンドランキングにも取り組みました

この授業を履修しているのは、人間科学研究科や言語文化研究科、医学系や法学系など、さまざまな研究をしている学生さん15人。中には、韓国や上海からの留学生の方たちもいて、育ってきた環境もまちまちです。

2日間のプログラムは、まず5/30、阪大豊中キャンパスにて。石塚裕子特任助教から都市計画・まちづくりにおける事前調査・現地踏査、合意形成の概要についてのレクチャーがあり、続いて財団の林から西淀川公害について講義を行いました。
語り部のお話を聞いてもらう前に林から「ここまでは客観的な話。いまから公害患者の語り部さんが話してくださいますが、当事者として非常にしんどかったお話をわざわざ思い出してしていただくということをよく考えて聞いてほしい」と注意喚起がなされました。

用意されてきた原稿を元に話す山下さん(右)

用意されてきた原稿を元に話す山下さん(右)

今回、お話いただいたのは、山下明さんです。

山下さんは1945年生まれ。1968年頃から建設工事現場で基礎杭をを打ち込む大型クレーン機の操作に従事されていました。責任感の強い山下さんは、自分が休むと工事が遅れてしまうと、発作で睡眠不足の日にも無理をして仕事に行かれていました。
この日の会場となった豊中市周辺のニュータウン建設は70年代に盛んでしたが、山下さんも当時、このあたりの工事に来ておられたそうです。
山下さんは2級の認定患者。一般の半分しか働けないといわれる状態ですが、定年退職後も去年まで働き続けておられました。これからは、語り部の活動にも積極的に取り組もうと考えておられるとのことです。

お話を受け、たくさんの質問が出ました。山下さんから、当時、洗濯物は干していたら茶色に、窓を開けていれば畳がざらざらになって足の裏が真っ黒になったというお話を紹介されましたが、上海からの留学生は「今の上海は窓を開けていたら蒲団が黒くなる」と紹介してくれました。
何人かの学生から、小さい頃喘息の症状があったことが話されましたが、この日同席されていた志水宏吉教授も西宮で小児喘息だったとのこと。「公害」という認識はなかったけれど、影響があったのだろうとお話されていました。

休憩時間に山下さんに質問される志水教授(右)

休憩時間に山下さんに質問される志水教授(右)

学生さんも続々と山下さんのところに質問に来ていました

学生さんも続々と山下さんのところに質問に来ていました

休憩後はワークショップです。

今回の2日間のプログラムの目的は、西淀川地域を取り上げ、多様なステークホルダーから学び、将来に向けたまちづくりについて自ら考えることです。実際にまちづくりを行う際、集まった多様なステークホルダーで合意形成をしていくのは非常に難しい作業ですが、学生たちにはその疑似体験としてワークに取り組んでもらいました。
大気汚染物質(NOx)排出を削減するための政策提言(解決策)についての9つの案について、まず一人で優先順位を考えた後、6人のグループ内で合意形成をし、ダイヤモンドランキングに並べました。

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西淀川区の土地利用の状況を確認しながら話し合い

合意形成に向け、自分がつけた順位の根拠を主張します

合意形成に向け、自分がつけた順位の根拠を主張します

グループでランキングを決める際に話し合われた内容を発表

グループでランキングを決める際に話し合われた内容を発表

実際に西淀川に住んでいるわけではない学生同士の話し合いながら、合意形成に至るまで、各グループとても活発に話し合いが行われていました。
3つのグループの発表を聞いて、最後に山下さんからコメントをもらい、この日の授業は終わりました。

6/13の西淀川フィールドワークはあいにくの雨で、バスの中からの見学になりました。
あおぞら財団に戻った後、西淀川区役所工業・商業活性化チームの篠原さんから、西淀川区の工業、商業の現状と課題について行政の立場からご報告がありました。

その後の「西淀川の将来像を考える」ワークショップでは、これまで得た情報をもとに、学生たち自身が「どんな社会にしたいか、私に何ができるのか」をテーマに話し合いました。

グループで「西淀川の将来像」を考える際に気になった意見をまとめます

グループで「西淀川の将来像」を考える際に気になった意見をまとめます

フィールドワーク中に撮った写真を使って西淀川の現状を確認しながら話し合い

フィールドワーク中に撮った写真を使って西淀川の現状を確認しながら話し合い

工場に支えられてきた西淀川ですが、最近マンションが増えています。住工の共生は課題です

工場に支えられてきた西淀川ですが、最近マンションが増えています。住工の共生は課題です

――

最後に、2日間の授業についての学生さんの感想を抜粋してご紹介します。

●社会科の授業で四台公害を知識としては知っていたが、そのときの裁判で解決したものだと思っていたために、公害が現在も続いている問題だということさえ知らなかった。
●教科書には原因と症状と死亡者の数が書いてあっただけで、公害病にあった人たちの生活や公害病をなくすための努力などは無論載っていなかったし、先生もそこまでは教えてくれなかった。だから今回実際の被害者の話を聞いて、衝撃は大きかった。
今回の授業で聞いて、感じたことを広げようと思う。被害者の話を聞く前の私みたいに何も感じずにいる人たちに伝えたい。私も私なりの方法で青い空を守りたい!
●公害による病気が苦しみの連鎖を引き起こすという視点は、恥ずかしながらこれまで持ち合わせていなかった。病気になれば仕事ができない、収入が減る。しかし病院には行かなければならない、医療費がかかる、と同時に公害病への無理解や家族との関係悪化も引き起こしかねない。・・・
●山下さんが、確か、美しい空を子供たちのために取り戻すため、力を貸してください、と最後に言われました。山下さんのことばは、ふしぎな重さを持ってわたしのみぞおちのあたりに吸い込まれてゆきました。ほんのわずかな時間、お話を聞かせていただいただけですが、次のことだけはお答えできると思います。自分を部外者にしないこと。無関係な話だとみなさないこと。ごまかすための言葉遣いを身に着けないこと。経緯をよく知ること。そして、第二の「西淀川」が自分の隣で起きているのではないか、耳を澄ませておくこと。答えになっているかどうかわかりませんが、これらのことが、いま私が応答できることです。
●「工場やってる人も働き手が足らなくて仕方なく朝とか夜まで工場を動かしてるんだよ」。授業が終わって、僕の質問に対して山下さんが言った。私は今まですっかり忘れていた事実に思い当たった。それは工場で煙を排出している人も被害者であるという事実である。例えば工場を沿岸部に移せばいいという意見は、工場で働く人の視点抜きでは語れないはずだし、そのことに気付かないと新たな悲劇を生むだけだろう。僕らは気付かなくても山下さんはしっかり知っている。山下さんは裁判の原告の一人になったにもかかわらず「加害者」となってしまった人たちのことも冷静に斟酌している。そこに僕は山下さんのただならぬ覚悟を感じた。

●ワークショップでは、合意形成の難しさを実感した。私たちはどうしても第三者の視点から考えがちであったこと、また全員同じ未来共生イノベーター博士課程のメンバーで考え方が似ているのに、それぞれの考えの擦り合わせが大変だった。公害の被害を受けている地域住民、企業、国や府や市の行政主体といったまったく異なる利益を持つステークホルダーの間での合意形成はいかに難しいのか、ということを実感させられた。
●授業後半での多数決はNGの合意形成では、私たちのグループは極端に意見が分かれることはなかったものの、普段私たちがいかに『多数決』つまりマジョリティ中心の社会構成にさらされているかに気づかされ、ハッとした。

●私はこれまで自分の分野で「現場」に足を運ぶことを大事にしてきた。現場に行くと、見えてこなかった部分や考えもしなかった発見に出会えるからだ。そして今、「政策」を専門に勉強している。いわば「現場」から遠い部分だ。しかし、私は「現場」と「政策」がよりよくつながるように努力をしていきたい。今回の西淀川の事例はそれをよく考えさせてくれるものであったと感じている。充実した有意義な時間をすごせてよかった。

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