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ブログカテゴリー » イベント報告・ホームページ更新

王燦発先生、西淀川・公害と環境資料館を訪問(8/6)

日中公害問題サロンでの講演を終えた翌日の8月6日(土)、王燦発先生(中国政法大学教授)が、西淀川・公害と環境資料館を見学に来られました。

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王先生は、1999年には「公害被害者法律支援センター(CLAP)」(http://www.clapv.org/)を立ち上げ、中国の公害被害者に対する訴訟支援を行うなど、長年、中国の公害・環境問題の解決に取り組まれてきた方です 。

あおぞら財団も、2001年以来、日中の環境問題に関しての助言をいただいたり、環境訴訟についての意見交換、環境NGOの紹介など、様々な機会を通じて、お世話になっている方です。

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西淀川の大気汚染公害訴訟の経緯や保存している資料の説明をしました。

中国でも、こうした公害・環境問題に関する資料を保存・閲覧できる資料館を設立できないか、と考えておられます。

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資料館の蔵書には、王先生からいただいた資料も登録されています。

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中国の環境訴訟をまとめた著書(2015.4)もいただきました。

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おまけ)見学の後、屋上から、大阪の夏の名物・花火(なにわ淀川花火大会)を楽しんでいただきました。

記:藤江

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2016年8月23日7:39 PM

日中環境問題サロン2016「中国における環境訴訟の現状と今後の展望」開催しました(8/5)

日中環境問題サロン2016(第二回)

「中国における環境訴訟の現状と今後の展望」

中国の公害・環境問題に関する研究者、中国で活躍する専門家・環境NGOメンバー等を講師に迎え、中国の公害・環境問題についての報告や参加者との意見交換をおこなう「日中環境問題サロン」の今年度第二回目を8月5日に開催しました。

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日時=2016年8月5日(金)17:30~20:00
場所=大阪弁護士会館920号室
主催=あおぞら財団、日本環境法律連盟、神戸市外国語大学
講演者=王燦発氏(中国政法大学教授/公害被害者法律支援センター(CLAP)
参加者数=43人
内容=
①「環境訴訟の現状と今後の展望」
②「改正環境保護法の評価」
③質疑応答・意見交換

①「環境訴訟の現状と今後の展望」
ⅰ)現状
王氏は中国環境訴訟が抱える問題として環境紛争の増加に対して環境訴訟の案件数が少ない点、訴訟の形式に偏りがある点の2点を挙げた。前者については、それでも2012年からは環境訴訟案件数が大幅に増加しており、この背景として、党が第十八回全国代表大会において「生態文明建設・科学的発展観」を強調したという政治的要因や環境法廷の増加に伴い環境司法の専門性がより高められたという司法的要因等があると王氏は分析した。
ⅱ)今後の展望
王氏は、2014年の「〈民事訴訟法〉の適用に関する最高人民法院解釈」で立案審査制が廃止され立案登記制が導入されたこと等により環境民事訴訟は今後ますます増加するであろうと述べた。その他、環境公害病の訴訟及び環境公益訴訟も徐々に発展するであろうとの見方を示した。

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②新「環境保護法」実施1年の成果と課題
王燦発教授を主任として新「環境保護法」実施状況評価グループが設立された。評価の結論は以下のとおりである。
ⅰ)成果
・多くの階層、多くのプロセスを通じた広範な宣伝によって新「環境保護法」は社会と大衆に良く浸透している。
・大量の関係規定と基準の制定、及び地方独自の政策の整理が新「環境保護法」の実施を促した。
・厳格な法執行と政府指導者の問責が汚染防止と経済発展スタイルの転換を促した。
・新「環境保護法」が規定した幾つかの重要な管理措置は効果的に実施されている。
(例)指定地域における環境影響評価の許可制限措置、環境違法犯罪案件の移送措置等
・企業の環境意識、及び法遵守の自覚が高まり、自主的に環境保護に関する研修を実施する企業もみられる。
ⅱ)課題
・保護優先と成長維持の矛盾が突出しており、環境法執行上の最大の阻害要因は今なお地方政府に由来する。
・幾つかの関係法規の制定の遅れが、関係する法律制度の実施に影響を与えている。
・環境法執行のキャパシティービルディングの遅れが、新「環境保護法」の実施効果に影響している。
・政府部門間の協調と情報共有の欠如が法執行の効果に影響している。
・環境情報公開の不徹底が法執行効果に影響している。

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③質疑応答
Q1.生態文明の建設とあるが、生態文明とは何か。
A1.とても複雑な概念であり、学者の中では制度文明、物質文明、文化文明等様々な文明が含まれていると解釈されている。しかし我々のような環境法学者は生態の自然の規律にのっとって開発、建設をすることであると理解している。

Q2.環境訴訟が増えているというのは、具体的にどのような訴訟か。
A2.2012年以降環境訴訟の件数が増えていることについて、生態破壊、自然破壊、汚染など各種訴訟の増加がみられる。中でも最も顕著であるのは汚染訴訟である。

Q3.日本の環境保護法と比較して中国の環境保護法の特徴。
A3.70年代末から90年代末にかけての中国環境保護法制は日本の立法を模倣している段階であったが、90年代後半になると中国は米国から学ぶ方向に切り替えた。日本の環境保護法の発展には公害訴訟を通して環境保護法規を整備してきたという特徴がある。対して中国の場合は民事訴訟や公衆の力ではなく、政府・行政機関が環境保護を主導するという特徴がみられる。つまり中国の環境保護法は日本とは違う特徴をもっている。中国の場合は汚染の防治と生態破壊の減少を目標としている所があるが、日本はどうすればこの環境がより良くなるかという問題に対処しようとしている。もちろん中国も日本に学んで循環経済促進法などを制定してきたが効果は芳しくない。

Q4.環境NGOによる環境公益行政訴訟はどうなっていますか?
A4.現在の法律ではNGOが環境行政訴訟を提起することはできない。ただし2015年全国人大常務委員会によって、人民検察院による環境行政訴訟が認められ、現在に至るまで10数件の訴訟が検察院により提起された。

Q5.環境NGOと政府との関係性について。
A5.中国のNGOは大きく3つに分けられる。政府が組織するNGOと政府とは関係ない草の根NGO、及び政府等の機関のもとに組織されたNGOである。草の根NGOは政府のコントロールは受けないが、活動を行うために政府機関での登記が必要であるため、多少の注意は必要となる。またほとんどの環境公益訴訟を提起しているのはこの草の根NGOである。政府等の機関の下に組織されたNGOは政府のコントロールこそ受けないが、属する組織に迷惑をかけることはできないので行動範囲は狭まる。

Q6.中国では公益訴訟には環境問題と消費者問題があると民訴法55条に規定されているが、消費者問題については原告が消費者協会という政府系組織に限定されているのに対し、環境問題については原告範囲を広げることに成功した。この成功は王氏などの働きで実現されたとの理解でよいか。また広げることができた理由は。
A6.民訴法にこのような規定を設けることができた点について、我々学者たちや支援者の共同の努力の結果だと考えている。

Q7.被害者の勝訴率、及び救済は改善されているか。
A7.公害被害者法律援助センターでの勝訴率は約30%、最近では勝訴率のさらなる伸びがみられる。また福建省のごみ焼却場案件のような、比較的困難な案件においても勝訴を勝ち取る例もみられる。

Q8.中国の正式な法律用語「公害病」という表記があるか。
A8.正式な法律用語にはない。一般的に我々や民間の組織などで使う言葉である。法律用語としては「環境健康訴訟」等の言葉が使われる。

Q9.汚染と病気の関係は誰がどのように判断するのか。また公開されている統計データはどのようにとられているのか。
A9.大気汚染と肺がんの関係において、医学者の間で多少の研究は行われており、北京のPM2.5の値が200を超えると病院を訪れる患者数が増える等の研究が報告されている。

以上

記・中條雄貴(神戸市外国語大学中国学科4年)

<日中環境問題サロン>
あおぞら財団の国際交流事業の一環として、中国の公害・環境問題に関する研究者、中国で活躍する専門家・環境NGOメンバー等を講師に迎え、中国の公害・環境問題についての報告や参加者との意見交換を行う日中環境問題サロンを2009年から開催しています。本年度(2016年度)は、様々なテーマで4回程度の開催を予定しています。

【第一回】どうなる?中国の大気汚染(6月10日(金)) 終了

■今後の予定
【第三回】湖南省における重金属汚染(10月7日(金)18:30~)
・中国・湖南省における鉱山開発による重金属汚染の実態と現地の環境NGOの実態について

【第四回】中国の公害・環境問題と環境NGOの取り組み(日程未定)
・中国で活躍する専門家、または、環境NGOメンバーを講師に迎え、中国の公害・環境問題の現状について

会場はいずれも、あおぞらビル内会議室

■申込:氏名、電話番号、所属をあおぞら財団までお知らせください。当日参加も可です。(定員30名)
※いただいた個人情報は本事業の目的以外には使用しません。

■問い合わせ・申込先
公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)
〒555-0033 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階 TEL 06-6475-8885 FAX 06-6478-5885
webmaster@aozora.or.jp http://www.aozora.or.jp/

よびかけ人代表:櫻井次郎(公立大学法人神戸市外国語大学中国学科准教授)
担当スタッフ:知足章宏(京都大学学際融合教育研究推進センター・アジア研究教育ユニット研究員、あおぞら財団特別研究員)

あおぞら財団の国際交流活動についてはコチラ
https://aozora.or.jp/katsudou/tsunagaru

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 6:03 PM

8/5(金)楽らく呼吸会(のざと診療所)で栄養について勉強しました。

2016年8月5日(金)、のざと診療所で楽らく呼吸会を開催しました。今回は西淀病院から管理栄養士の大島千佳さんを講師に迎え、①良好な栄養状態、②COPDと栄養、について勉強しました。参加者は9人(内、患者さん7名、管理栄養士1名、スタッフ1名)でした。

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栄養状態を評価するには、体を動かしているかどうか、定期的に健診や受診をしているかどうか、毎日、口の中を観察しているかどうか、がめやすとなります。
体重で栄養状態をチェックすることもできます。

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近年増加中のサルコペニアについても教えてもらいました。見た目の体型は普通でも、筋肉量が少なくなっている病気です。

COPDの患者さんは呼吸筋を最大限に使って呼吸をしているので、体に必要な栄養素が不足しがちな状態にあります。そこで、栄養が大切になってきます。油脂類を上手に使った料理などを教えてもらいました。

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とはいえ、中にはやせ形でない人もいます。自分の体を知り、バランス良く栄養を取ることが大切ですね。
少しでも興味があれば是非、各診療所に足を運んで楽らく呼吸会にご参加ください!

■次回予定  ~お問い合わせはあおぞら財団まで~
・のざと診療所…10月14日(金) 14:00~15:30(運動、体力測定)
・千北診療所……9月15日(木) 14:00~15:30(栄養について)
・姫島診療所……9月16日(金) 14:30~16:00(栄養について)

鎗山

本事業は独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進事業(NPO法人等との協働事業)」の一環です。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境保健 — aozorafoundation 公開日 2016年8月22日8:13 PM

7/21(木)楽らく呼吸会(千北診療所)で体力測定と呼吸体操をおこないました!

2016年7月21日(木)、千北診療所で楽らく呼吸会を開催しました。今回は西淀病院から作業療法士の石本愛さんを講師に迎え、呼吸リハビリと体力測定を行いました。参加者は7人(内、患者さん5名(家族の方を含む)、作業療法士1名、スタッフ1名)でした。

退院して間もないAさんは、肺気腫と診断されたそうです。

講師の石本さんからは、悪くならないように気をつけること、そのためには薬をきちんと飲む、適度な運動をすること、栄養、風邪をひかないようにする、などのお話がありました。

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そして、体力測定。

ますは、CATという「COPDアセスメント」を実施しました。

そして、
①MRC息切れスケールを使って、今現在の息切れの段階をチェック。
②握力測定
③30秒椅子立ち上がりテスト

をおこないました。

最後は家でできる体操など含めて体を動かしました。
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少しでも興味があれば是非、各診療所に足を運んで楽らく呼吸会にご参加ください!

次回は、「栄養について」学びます。

■次回予定  ~お問い合わせはあおぞら財団まで~
・のざと診療所…10月14日(金) 14:00~15:30(運動、体力測定)
・千北診療所……9月15日(木) 14:00~15:30(栄養について)
・姫島診療所……9月16日(金) 14:30~16:00(栄養について)

本事業は独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進事業(NPO法人等との協働事業)」の一環として実施しています。

鎗山

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境保健 — aozorafoundation 公開日 7:45 PM

毎日新聞に掲載されました「公害、語り部から教材 あおぞら財団、住民運動を追体験」

2016年8月21日付 毎日新聞朝刊大阪版に「大阪・西淀川の大気汚染公害、語り部から教材 あおぞら財団、住民運動を追体験 /大阪」と題して、
現在作成中の教材について記事が掲載されました。
教材に関心がある方は、ご一報くださいね。

http://mainichi.jp/articles/20160821/ddl/k27/040/226000c

大阪市西淀川区で起きた大気汚染公害を次世代に受け継ごうと、公害訴訟の和解金で設立された公益財団法人「公害地域再生センター」(あおぞら財団)が、高校や大学の授業で使える教材づくりに取り組んでいる。いまも被害患者たちが教育現場で語り部活動を続けているが、高齢化が進み、限界もある。教材を普及させることで、より多くの人たちに公害の経験を届けたいと考えている。【大久保昂】

 「企業に謝ってほしくて裁判をすることにしたんです」

 「裁判をすることで西淀川の評判が下がるんじゃないですか?」

 京都市北区の佛教大紫野キャンパスで7月にあった「日本現代史特講」の授業。学生約30人が、西淀川で公害が深刻化したころの住民になったつもりで発言していた。配られた教材に従い、国などを相手に裁判を起こし、和解に至るまでの住民運動を追体験した。

 教材のストーリーは、あおぞら財団研究員の林美帆さんと栗本知子さんが中心になって、語り部から聞いた話を踏まえ考案した。林さんは佛教大の非常勤講師も務めており、追体験型の教材を初めて授業で使った。

 住民運動の先頭に立つ知識人。ぜんそくで子どもを亡くし、裁判を起こした住民。排煙の削減を求められた工場経営者。学生たちに割り当てられた役には、それぞれ実在のモデルがいる。住民間で利害の対立がありながら、最後は「良い地域をつくりたい」という思いでまとまった西淀川公害の住民運動は、大気汚染公害を巡る運動の成功例とされる。3年生の佐伯拓夢さん(20)は「相手の立場に立って考えたり、人間が持っている根本的な良心を信頼したりすることが大切だと思った」と感想を述べた。

 財団は小中学校へ出前授業に赴いたり、現地を案内するツアーを企画したりして公害の経験を伝えてきたが、多くの部分を被害患者の語り部活動に頼ってきた。今後は教材を用いた環境学習も普及させることで、公害の経験を広く受け継いでいきたい考えだ。

 教材は改良を加えて来年中に完成させ、高校や大学での活用を呼びかけるつもりだという。林さんは「西淀川の住民運動は、立場の違う人たちが共に行動できることを示した。一つの見方に導くのではなく、多角的に考えられるような教材にしたい」と話している。

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