2017年12月8日(金)、「呼吸ケア・リハビリテーション指導者連絡会」を開催し、23名の方が参加しました。
この連絡会は、(独法)環境再生保全機構が実施している「呼吸ケア・リハビリテーション指導者養成研修」の修了生および、地方公共団体の公害健康被害予防事業担当者が集い、最新情報や先進事例を共有し、参加者たちのニーズや課題を把握する場として実施しました。
【概要】
日時:12月8日(金)13:00~17:35
場所:ホテルマイステイズ新大阪コンファレンスセンター会議室
対象・参加人数: 環境再生保全機構「呼吸ケア・リハビリテーション指導者養成研修」の修了生 20名、地方公共団体公害健康被害予防事業担当者 3名、計23名
主催:あおぞら財団
【内容】
- 開会挨拶、趣旨説明
- グループ内で自己紹介
- 事例報告と課題【関東】今井宏太氏(平成立石病院リハビリテーション科)
- 事例報告と課題【関西】本田憲胤氏(北野病院リハビリテーションセンター)
- 特別講演「地域で支える在宅呼吸ケア・リハビリテーション」福井基成氏・北野病院副院長・呼吸器センター長
- グループディスカッション「呼吸ケア・リハビリテーションの未来を語ろう」
最初に、関東地区・関西地区の事例報告をしてもらいました。
関東地区では、呼吸ケア・リハビリテーション指導者養成研修の修了生が多数おり、COPD予防等に関する講習会、肺年齢測定体験によるCOPD認知度向上事業等において活発に活動されています。より一層の活発な活動を行うために、「呼吸リハの普及(人を集められるか、実際的な普及)」、「COPD啓発、禁煙啓蒙(各自治体との交渉、実現可能な企画の提案、運営、スタッフ)」、「関東地区修了生の連携、広報」を課題として挙げていました。
一方、関西地区では、あおぞら財団が実施している肺年齢測定、楽らく呼吸会、医療従事者向け講習会の紹介がありました。また、 北野病院で行っている呼吸ケア・リハビリテーションネットワーク(呼吸リハの実技と多職種で意見を出し合う症例検討を中心とした勉強会)の紹介がありました。
次に、北野病院副院長の福井基成氏から特別講演「地域で支える在宅呼吸ケア・リハビリテーション」がありました。
REM睡眠時低換気など呼吸不全に関する詳細な解説、患者さんのQOLを向上させるためには多様なアプローチが必要であること、呼吸不全患者を地域で支えるために必要な方策として「地域医療コーディネーター」を提案といった、呼吸ケア・リハビリテーションを取りまく様々な視点からお話していただきました。専門的な内容でありながらも、とてもわかりやすく、福井先生の呼吸ケア・リハビリテーションに対する情熱が伝わってくる講演でした。
最後にグループディスカッション「呼吸ケア・リハビリテーションの未来を語ろう」を、4つのグループに分かれて行いました。グループディスカッションでは、「1 課題を共有しよう」として、日頃の課題を話し合った後、「2 今後に向けて話し合おう」として、出てきた課題の中から重要な課題を選択し、それに対する解決策を話し合いました。さらに、「3 明日からの私のアクション」として、現場に帰って明日からやろうと思うことを各自で付箋に記入してもらいました。
1時間の活発なグループディスカッションの後、各班から「各自が持っている技術や知識を活かすためには行政や地域につながることが大事」、「多職種による呼吸ケアチームによる勉強会の実施」、「退院後の在宅の呼吸リハビリ継続を行うための勉強会や担当者会議」といった話し合った内容の発表がありました。また、「明日からの私のアクション」としては、勉強会の実施、肺年齢測定事業への参加、呼吸ケア・リハ指導者養成研修修了生のFacebookを運営するといった具体的な行動をどの方も考えていました。
グループごとの発表に対して、福井基成先生からは「いずれの班でも地域連携について言ってもらえて嬉しかった。自宅の生活を思い浮かべながら、どういうふうにしたら笑顔のある生活になるのかを考えてほしい」、千住秀明氏(複十字病院呼吸ケアリハビリセンター部長)からは「患者自身が呼吸リハをしたいという思いがないと全国で広がらない。この連絡会で呼吸リハを広げたいという気持ちを持ち帰ってもらいたい。PT一人からでも病院を変えられることがある。」といったコメントがありました。
参加者のアンケートをみると、87%の人が「かなり有意義だった」9%の人が「やや有意義だった」と、合わせて96%の人が有意義だったと回答していました。福井先生への特別講演に対しては「REM低換気、肺兪など大変貴重な話が聞けた」「大変熱い思いが勉強になりました」といった感想がありました。また、事例報告やグループディスカッションに対しては、「今後、自分で行うことのモデルケースを知ることができ嬉しかった」「なかなか活動でできず、悩んでいたことなどをみんなで話すことができてよかった」といった修了生同士で話し合ったことで情報や課題を共有できたことを評価する感想が多数ありました。
「呼吸ケア・リハビリテーション指導者養成研修」修了生同士の情報交換など、ネットワークのあり方については、「このような連絡会を定期的に実施してほしい」、「フェイスブックなどSNSで情報交換や連絡を取り合いたい」といったネットワークの継続に向けた前向きな感想がありました。
この連絡会で得られた知見をもとに、今後の人材育成プログラムや情報発信手法の検討をおこなっていく予定です。
本事業は独立行政法人環境再生保全機構「地域におけるCOPD対策推進のための人材育成・情報発信事業(NPO法人等との協働事業)」の一環です。