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中国/北京 訪問記(2016.10) その2 環境NGOと環境弁護士に聴く―環境公益訴訟の現場から

10月20日、日中環境NGOと環境弁護士の交流会に出席し、両国の環境訴訟について報告した後、意見交換を行いました。
中国では2014の環境保護法改正に伴い、環境公益訴訟制度が導入され、以降、NPOなどの民間団体からの環境公益訴訟の提訴が相次いでいます。そして今回は、各団体がこれまで扱った代表的な案件と、成果や課題について発表しました。

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まずはじめに、「中国生物多様性保護及び緑発展基金会」の張娜弁護士からの報告によると、同団体の取り扱う案件は大気汚染から森林伐採などと多岐にわたり、その多くはメディアやSNSを通して摘発されたものだそうです。

次に、「自然の友」の馬栄弁護士からは、現在審議中である現代自動車による排気汚染裁判について報告を受けました。環境公益訴訟は主に、NPOなど社会団体が原告となるケースが多いそうです。大気は自然条件によって改善される場合があるため、損害規模を証明するのが困難であるという課題を挙げていました。

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報告者の発表を聴く参加者
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現代自動車の案件を紹介したスライド

日本側からは、村松弁護士より「日本の公害訴訟の歴史について」、藤原弁護士より「公害訴訟の因果関係」の報告を行い、中国側から日本の公害訴訟について様々な質問が出ました。

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出席者の集合写真

交流会の後の親睦会にて。美味しい北京名物をいただきました。

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北京名物ジャージャー麺

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一本のキュウリをつなげて切ったもの。醤油をつけていただく。

中国/北京 訪問記(2016.10) その1 女子大生は見た!北京の大気汚染の現状と取り組み

(記・當間美波)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2016年11月30日3:05 PM

中国/北京 訪問記(2016.10) その1 女子大生は見た!北京の大気汚染の現状と取り組み

「平成28年度 大気汚染経験情報発信事業」の一環として、2016年10月19日から22日で、中国の環境公益訴訟の現場調査を目的に、北京を訪問しました。
これまでにあおぞら財団と交流がある方及び中国環境公益訴訟関係者を訪ね、その後の話を伺いました。

<訪問者>
村松昭夫(弁護士、前全国公害弁護団連絡会議幹事長、あおぞら財団理事長)
藤原猛爾(弁護士、前日本環境法律家連盟理事長)
藤江徹(あおぞら財団事務局長)
櫻井次郎(神戸市外国語大学准教授)
當間美波(神戸市外国語大学三回生)

10月19日、大阪から北京の首都国際空港に降り立ちました。

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100m先がかすむ北京の空。

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Pm2.5の数値は345!重度汚染レベル!

しかし現地の方によると、pm2.5の値がここまで上がるのは、1年のうち5~10%と少ないそうです。というのも、ここ数年北京市は環境対策に力を入れており、2013年からpm2.5を前年の排出量の10%削減するという目標を掲げています。この目標設定もあってか、年々汚染状況は改善されているとのことです。

また渋滞及びpm2.5の主な排出源である自動車制限対策として、北京市ではナンバープレートの申請を制限しているのだとか。仮に毎月1000人の申請があったら、たった7人しか手にできない程、制限は厳しいそうです。

現地の方の言うとおり19日の数値は異常でしたが、それ以外の日は視界がスモッグによって霞むことはなく、特別「北京は空気が悪い」という印象は受けませんでした。
大気汚染の影響もあり、日本では中国=環境が悪いというイメージを持たれている方が多いかもしれません。しかし今回首都北京を訪問して、街中の歩道や地下鉄は綺麗で、観光地も整備されていることに驚きました。

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地下鉄車内の様子

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20日に訪れた世界遺産天壇公園

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天壇公園前の自転車置場。北京は車も多いけど、自転車も多い!

最近は環境意識や健康志向の高まりもあってか、市内で自由に乗り降りできるレンタサイクルが流行っており、街中のレンタサイクルを探せるスマートフォンアプリまで登場していました。
レンタサイクルの普及も北京の大気汚染問題解決に一役買うかもしれませんね。

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北京・上海市内で使えるレンタサイクルアプリ

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現在地を入力するだけで、付近にある自転車を探すことができる。利用料金は
30分1元(日本円にして約16円)とリーズナブル、お財布アプリで簡単に支払える。

(記・當間美波)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2:58 PM

12/21(水)日中環境問題サロン2016「中国の公害・環境問題と環境NGOの取り組み」を開催します。

日中環境問題サロン2016
第四回「中国の公害・環境問題と環境NGOの取り組み」

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(写真は2016年3月に開催された日中環境問題サロンの様子)

■日時:2016年12月21日(水)18:00~20:30 (受付17:30~)
■場所:グランフロント大阪 ナレッジキャピタル アクティブスタジオ
大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪 ナレッジキャピタル 北館2F
(アクセス:https://kc-i.jp/facilities/the-lab/active-studio/

中国で活動する環境NGOメンバーを招き、中国での公害・環境問題に対するNGO活動についてお話を伺い、今後の日中における公害・環境問題の解決に向けて、お互いに理解し、協働していくための意見交換を行ないます。

■参加費:500円

■主催:あおぞら財団(公益財団法人公害地域再生センター)
協力:一般社団法人ナレッジキャピタル

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(写真は2016年3月に開催された日中環境問題サロンの様子)

■プログラム
18:00~18:05【あいさつ、趣旨説明】
18:05~20:05【中国から報告】(逐次通訳)

① 李力氏(北京市朝陽区環友科学技術研究センター)
■環境教育、気候変動問題、企業と連携した問題解決等の活動

② 趙亮氏(好空気保衛侠)
■大気汚染改善を目的に2014年に設立。SNSなどを駆使して企業活動を監視し行政の監督を促がしている

③ 徐華氏(昆山市鹿城環保ボランティアサービス社)
■上海市北部の昆山市で排油再利用やごみ分別などの啓蒙活動を行っている

④ 宋克明氏(長垣県緑色未来環境保護協会)
■野雁の保護、生息地の保全。河南省の東部にある長垣県で2002年から活動

20:05~20:30【質疑応答・意見交換】
「日中における公害・環境問題の解決に向けて」

■日中環境問題サロン
あおぞら財団の国際交流事業の一環として、中国の公害・環境問題に関する研究者、中国で活躍する専門家・環境NGOメンバー等を講師に迎え、中国の公害・環境問題についての報告や参加者との意見交換を行う日中環境問題サロンを2009年から開催しています。
本年度(2016年度)は、様々なテーマで4回程度の開催を予定しており、興味を持って頂ける方々に、ご参加いただければと思います。
•よびかけ人代表:櫻井次郎(公立大学法人神戸市外国語大学中国学科准教授)
•担当スタッフ:知足章宏(京都大学学際融合教育研究推進センター・アジア研究教育ユニット研究員、あおぞら財団特別研究員)

2016.6.10日中環境問題サロン2016(第一回)
「どうなる?中国の大気汚染」https://aozora.or.jp/archives/25666

2016.8.5日中環境問題サロン2016(第二回)
「中国における環境訴訟の現状と今後の展望」https://aozora.or.jp/archives/26745

2016.10.7日中環境問題サロン2016(第三回)
「重金属汚染とその被害―現地視察報告を中心に」https://aozora.or.jp/archives/27133

■申込
氏名、電話番号、所属をあおぞら財団までお知らせください。
当日参加も可です。(定員30名)
※いただいた個人情報は本事業の目的以外には使用しません。

■問い合わせ・申込先
公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)
〒555-0033 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階
TEL 06-6475-8885 FAX 06-6478-5885
webmaster@aozora.or.jp
http://www.aozora.or.jp/

平成28年度大気汚染経験等情報発信事業の一環です。

Filed under: イベント案内,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2016年10月31日12:01 PM

日中環境問題サロン2016(第三回)「重金属汚染とその被害―現地視察報告を中心に」を開催しました(10/7)

日中環境問題サロン2016
第三回「重金属汚染とその被害―現地視察報告を中心に」

今年度第三回目となる、日中環境問題サロンでは、中国環境問題の専門に研究されている知足氏と櫻井氏からそれぞれ、中国湖南省と広東省及び湖北省の視察調査報告をしていただきました。

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■日 時:2016年10月7日(金)18:30~20:30

■場 所::公益財団法人 公害地域再生センター(通称:あおぞら財団)3F
■主 催:あおぞら財団(公益財団法人公害地域再生センター)
■講演者:知足章宏(京都大学学際融合教育研究推進センター・アジア研究教育ユニット  研究員、あおぞら財団特別研究員)
櫻井次郎(公立大学法人神戸市外国語大学中国学科准教授)
■参加者数:9人

■プログラム
①湖南省の視察調査報告
担当:知足章宏
②広東省及び湖北省の視察調査報告
担当:櫻井次郎
③質疑応答・意見交換

 

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①湖南省の視察調査報告

知足氏は湖南省の長沙市で重金属汚染を扱うNGOを訪問し、NGOのメンバーと共に、重金属汚染が深刻である地域を視察されました。

(汚染地域の背景・現状)
汚染地域ではかつてヒ素を含む鉱物が採掘され、採掘のために工場や業者が集まったという背景があります。その結果、鉱山や工場から垂れ流しされた汚染物が川や土壌に蓄積され、健康被害を生むようになりました。現在では、鉱山は閉鎖されていますが、住民が記録によると、ヒ素中毒者や死亡者がたくさんおられます。今回鑑賞したNGO制作のビデオの中では、苦しみながらも救済を受けられない被害者の痛々しい様子が映し出され、会場は衝撃を隠せませんでした。
報告によると、土壌回復事業も行われていますが、いずれも初期段階であり、汚染土壌の回復には時間がかかるだろう、と話されました。

(今後の課題)
最後に、知足氏は以下の2点を今後の課題として挙げています。

1. 湖南省の「開発と環境の歴史と現在」について研究が必要
2. 汚染地域の被害者への救済はどうなるのか
未だ課題が残る湖南省の重金属汚染地域ですが、政府と被害者の間に立ち、被害者への救済に取り組むNGOの活動は非常に評価できるという意見が会場で上がりました。

 

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②広東省及び湖北省の視察調査報告

櫻井氏は今回の報告で、広東省にある癌の村を紹介されていました。

(汚染地域の現状)
中国には閉鎖されたものも含め、大規模鉱山が各地にあります。その周辺地域には、町なかにまで泥水が流れ、人が川を渡れるほどの重金属が蓄積している地域があります。

(鉱害現場が共通して抱える問題)
櫻井氏は鉱害現場の共通の特徴として以下の三点を指摘しました。
1. 被害・被害者の潜在化
2. 社会的認識の遅れ
3. 政策効果があがらない
メディアに取り上げられるのは、被害者及び被害全体のほんの一部に限られ、救済が進んでいない一方、多くの被害者は見舞金の支給程度で諦めています。
その結果、社会的にこの問題が広まらず、政策効果も上がらないという悪循環に陥っているそうです。

(今後の課題)
1. 裁判による解決の可能性、妥当性(裁判が、被害者を救うことができるのだろうか)
2. 環境改善の見込み、考え得るプロセス
3. 日本のNGOの関わり方は?

櫻井氏は、中国の重金属汚染問題は解決の糸口が見えないほど深刻であると懸念されていました。

その背景には環境改善対策が不十分である上に、被害者が救済を求めて声を挙げにくい、という点、そして裁判が実際に被害者救済につながるのか?という疑問が残るという点です。こうした現状を共有しながら、今後も議論を継続していく必要がありそうです。

 

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③質疑応答・意見交換

「どの程度国内で汚染地域のことが共有されているのか」という参加者からの質問に対し、「メディア規制の影響もあり、問題が広く社会に認識されていない状況ではないか」との認識が示されました。

また意見交換の中では、「日本の経験を海外へと発信していくために、国内の環境問題を若い世代に継承していくことが大事である」と、日中が環境問題解決に向けて協力していく上で、日本が抱える課題についても言及されました。

記・當間美波(神戸市外国語大学中国学科3年)

 

<日中環境問題サロン>
あおぞら財団の国際交流事業の一環として、中国の公害・環境問題に関する研究者、中国で活躍する専門家・環境NGOメンバー等を講師に迎え、中国の公害・環境問題についての報告や参加者との意見交換を行う日中環境問題サロンを2009年から開催しています。本年度(2016年度)は、様々なテーマで4回程度の開催を予定しています。
【第一回】どうなる?中国の大気汚染(6月10日(水)) 終了
【第二回】「中国における環境訴訟の現状と今後の展望」(8月5日(金))終了
【第三回】「重金属汚染とその被害―現地視察報告を中心に」(10月7日(金)) 終了

■今後の予定
【第四回】(仮)中国の公害・環境問題と環境NGOの取り組み(12月21日(水))
・中国で活躍する専門家、または、環境NGOメンバーを講師に迎え、中国の公害・環境問題の現状について
会場:グランフロント大阪北館2F ナレッジキャピタル アクティブスタジオ

https://aozora.or.jp/archives/27174
■申込:氏名、電話番号、所属をあおぞら財団までお知らせください。当日参加も可です。(定員30名)
※いただいた個人情報は本事業の目的以外には使用しません。
■問い合わせ・申込先
公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)
〒555-0033 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階 TEL 06-6475-8885 FAX 06-6478-5885
webmaster@aozora.or.jp http://www.aozora.or.jp/
よびかけ人代表:櫻井次郎(公立大学法人神戸市外国語大学中国学科准教授)
担当スタッフ:知足章宏(京都大学学際融合教育研究推進センター・アジア研究教育ユニット研究員、あおぞら財団特別研究員)
あおぞら財団の国際交流活動についてはコチラ
https://aozora.or.jp/katsudou/tsunagaru

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 11:56 AM

中国青空新聞vol.2発行しました

先日の第一号に引き続き、中国の環境問題やこの分野で活躍されている方をご紹介する「中国青空新聞vol.2」を発行しました。

今回は8月5日に開催しました、日中環境問題サロン2016(第二回)「中国における環境訴訟の現状と今後の展望」の内容についてまとめています。

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興味のある方、ご一読いただけると幸いです。

次号もご期待ください。

感想や執筆希望者もお待ちしております。

↓PDF版

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↓あおぞら財団の国際交流のページ

https://aozora.or.jp/katsudou/tsunagaru

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流 — aozorafoundation 公開日 2016年10月13日3:14 PM
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