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大阪公立大学「都市基盤計画特論」第3回(12/26)

大阪公立大学大学院の講義「都市基盤計画特論」、西淀川での授業の3回目が12月26日に開催されました。
この授業では、受講生5名が西淀川をフィールドに学びます。授業では4回にわたって西淀川に来る予定です。

 

まずは「ダイヤモンドランキング」という手法による、市民参加に関するワークショップを行いました。

具体的には…
参加者それぞれが、大気汚染が発生しているまちの市長になったと仮定します。
まずは個人で、用意された8つの対策事業の中から、最も重要だと考えるものから順にダイヤモンド型のランキングに並べます。
その後、なぜその順位になったのかをグループで発表しあい、話し合いながら1つのランキングにまとめる、というワークです。

まずは8つの対策事業についての説明を受け、個人でランキングを作成します

まずは8つの対策事業についての説明を受け、個人でランキングを作成します

 

私も一緒にランキングを作成して、話し合いにも参加しました。このワークショップのポイントは、参加者全員の意見を可視化してすり合わせることができる点です。
例えば、私が最も重要だと考えた対策事業を、一方で最も重要ではないと位置付けている方もおられました。その理由を聞く中で、同じ対策事業でも僕と全く違う視点で捉えておられることがわかり、新たな発見が生まれました。多様な価値観を共有し、ある事象を別の角度からも考えることが、合意形成への近道であると実感しました。

全員の意見をすり合わせ、1つのランキングを完成させました

全員の意見をすり合わせ、1つのランキングを完成させました。アルファベットは用意された8つの対策事業です。

 

ワークショップの次に、西淀川区役所政策共創課の西尾さんにお越しいただきヒアリングが行われました。

まずは、区の目標や区の運営方針について、その中で柱となる「共創によるまちの魅力向上」、実際に行われてきたさまざまな共創事業について、などの講義をしていただきました。
その後の質疑応答では、共創事業を起こすうえでの工夫やその後の維持管理など、提案に向けたより具体的な議論が行われました。

議論の中で、「例えば川の堤防1つを取り上げても、防災面でありがたいという意見と、無機質で残念という意見の両方があがる」といったお話がありました。まちづくりを考えるうえで、まさに先ほどのダイヤモンドランキングに通ずる議論があがりました。

西淀川区の目標やさまざまな取り組みについてお話していただきました

西淀川区のさまざまな共創事業についてお話していただきました

 

最後に、前回出したアイデアと今日の講義内容を組み合わせて、提案のテーマを深める作業を行いました。興味関心、まちの課題、必要な提案、そのために必要な調査…といった順に、テーマを絞り込んでいきました。

興味関心、提案のテーマ、必要な調査の順に絞っていきました

提案のテーマがより具体化されていきました

それぞれの意見を共有した後、実際にまちづくりを行っている区役所の方のお話を聞いて、より提案のテーマが明確になってきたのではないでしょうか。

次回は西淀川の提案の中間報告をしてもらいます。どんな提案が出てくるのか楽しみです。

【前回までの授業の様子はこちら】

1回目 12月5日:公害ロールプレイと公害患者さんのお話

2回目 12月19日:西淀川フィールドワーク

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年12月27日5:20 PM

【動画】谷智恵子弁護士インタビュー「裁判を動かすのは実際の真実の姿」ロングバージョンもご覧になれます

西淀川公害訴訟弁護団の一員であった谷智恵子弁護士のインタビュー動画のロングバージョンです。

谷弁護士は「被害班」として、裁判所で西淀川公害の深刻で広範な被害の実態を明らかにしました。裁判を動かすためにどのような思いで被害を明らかにしていたのか、また公害裁判の意味について語ります。

〇リンク先、所要時間

youtubeでご覧いただけます。

ロングバージョン

【前半】https://youtu.be/_f6yQwHIDFI

約18分

ロングバージョン
【後半】https://youtu.be/X363UZpcqKE

約17分

ショートバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=y0sY4hL-h7k

約9分

※動画はインタビューの一部分です。全容は下記のサイトから読むことができます。http://aozora.or.jp/kougai_lecture/tool/oral_history/

 

【西淀川公害裁判とは】 1960年代から日本全国で大気汚染公害によって、多くの人が健康被害を受けました。大阪の中心部に近い西淀川区の被害は甚大で、累計7000人を超える人が公害病になりました。西淀川区には尼崎と此花・堺の大工場の煙が西淀川に集まり、道路を通過する大型ディーゼル車の排気ガスとの複合大気汚染となりました。その責任を問う西淀川公害裁判(1978~1998)は、企業10社、国、阪神高速道路公団を被告に、公害患者726人が原告となった大規模裁判でした。

【谷智恵子弁護士 略歴】 1947(昭和22)年生まれ。大阪市出身。1978(昭和53)年4月に弁護士登録し、同年4月18日に提訴された西淀川公害裁判に関わる。その後、泉南アスベスト裁判、住友金属男女差別裁判等に関わる。

映像協力 岸本景子

制作・著作 公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)

※この動画は地球環境基金の助成を受けて作成しています。

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2023年12月26日4:36 PM

鳥取県立八頭高校 研修受入れ(12/7)

2023年12月7日、鳥取県立八頭高等学校から約40名の学生さんたちが、研修旅行で西淀川を訪れました。
午前中に大阪公立大学の除本理史教授から「環境と経済」の講義を受けた後に、午後からあおぞら財団で1時間ほどの研修を受講しました。

 

前半30分は、①西淀川大気汚染公害の概要とあおぞら財団の設立に関する講義、②西淀川・公害と環境資料館「エコミューズ」 の見学の2つのプログラムを実施しました。20人ずつ2つのグループに分かれて、15分毎に入れ替わりを行いました。

西淀川大気汚染公害についての講義

西淀川大気汚染公害についての講義

エコミューズを見学

エコミューズでは裁判資料などの所蔵品を見学

後半30分は、修学旅行用の大型バスにあおぞら財団スタッフも乗せてもらい、西淀川のまちや工業地帯を見て回りました。
国道43号を経由して尼崎と中島の工業地帯を見て回りながら、車内のマイクを使ってまちの歴史や現状の公害対策についての解説を行いました。

国道43号には「環境対策」の文字が多く見られます

公害道路とよばれた国道43号には、現在、様々な「環境対策」がなされています

中島新橋から工業地帯や大阪のまちを望む

中島新橋から工業地帯や大阪のまちを望む

中島川河口部に見える阪神高速5号湾岸線

中島川河口部に見える阪神高速5号湾岸線

あおぞら財団での研修は1時間弱の間でしたが、西淀川公害の概要や現在の様子について広く知っていただけたかと思います。実りの多い修学旅行となっていれば幸いです。

公害患者たちは、「手渡したいのは青い空」を合言葉に数十年間闘って来られました。そして今日お越しいただいた高校生たちは、清々しい晴れ空のもと修学旅行で学ぶことができました。今を生きる私たちに、青い空を手渡していただけたのかな…と、ふと思いました。

鳥取からはるばるありがとうございました

遠路はるばるありがとうございました

 

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

今回のような修学旅行生の受入れも大歓迎です!

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年12月25日4:11 PM

冊子「誰一人取り残さない教育のために」を発行

あおぞら財団では、公害の経験から学び、未来を創る市民を育てる教育を行っており、その一環として「誰ひとり取り残さない! 気候変動を構造的にとらえ未来につなげる教育プログラムづくり(地球環境基金事業)」の活動に取り組んでします。

この度、その成果として、冊子『誰一人取り残さない教育のために ―公害の経験を人権教育の視点から読み解く―』を作成しました。

人びとの健康や生活環境に被害を与える公害や気候変動。公害被害地域では、差別や排除と言った問題が引き起こされたにもかかわらず、いまだ十分な手だてが打たれているとは言えません。

この冊子では、公害の経験についてお話いただいたり、調査結果を聞いたりして、人権教育に長く取り組んでこられた方々を委員にお迎えして意見交換をした上で、「誰一人取り残さない」教育のためのポイントをコラムとして執筆していただいています。

本書の特色は、個別の事例から構造的差別を読み解き、そうした課題について人権の視点から問題をどうとらえ、どのようにアプローチすることができるかを委員の方々の豊富なご経験から解説いただいている点です。

公害の経験をお話いただく方としては、水俣病の未認定患者さんや、福島から関西に避難してきて差別を受けた方、そして今なお公害病に苦しむ若年層の大気汚染公害患者など、社会の中で注目されにくいグレーな立場の方々のお話を取り上げました。

その上で、重ねて理解するために、被差別部落出身だけれどずっとかくして生きてきた女性の経験や、相思社の患者相談の中で感じられたことなどのお話もうかがっています。

以下より、pdfデータをダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

https://aozorazaidan.stores.jp/items/658243456b5929002b328c4f(リンク先は別サイトです)

 

A5判 83ページ、PDFデータ。2023年12月

デザイン 表紙:須藤彩、本文:白神加奈子

公害人権表紙_ol

 

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目次

はじめに
1.公害被害・差別に向き合う視点
◆認定・未認定のはざまで ――「胎児性水俣病疑い」という立場から  尾下葉子
コラム ホンモノとニセモノの線引き ――原因ではなくニーズを中心に  土肥いつき
コラム 差別をなくすために「原因」を学ぶ?  北川知子
2.人権を守るためにエンパワメントを
◆ 被災者として声を挙げるまで ――福島出身者に向けられるまなざしの中で  鈴木詩穂
コラム 「分かりたい」の落とし穴 ――どういう「問い」をもって語りに向き合うか  栗本敦子
コラム 自他の人権を守るような実践的行動力を育成する人権教育を  神村早織
3.被害構造の広がりを知る
◆「見えにくい」汚染による大気汚染公害患者の困難さ  谷内久美子
「病気という困難に強い社会」とは? ――大気汚染公害患者調査報告を受けて  尾下葉子
コラム 制度が勝ち取られてきた経緯を学ぶこと  北川知子
4.長期的かつ構造的な抑圧は当事者になにをもたらすのか
◆ なにが沈黙を生み出すのか  川﨑那恵
コラム 今の社会に適応しようとすれば、語れない  栗本敦子
コラム 「語り」が生み出される「場」  土肥いつき
◆ 患者の沈黙、語りの変化 ―水俣病患者相談の現場から  永野三智
コラム 聴く側の役割  北川知子
コラム 語ること・語らないこと、そして本当の願い  神村早織
座談会 被害と差別の痛みから社会構造を問う
おわりに

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印刷した冊子がご入用の方はあおぞら財団までお問合せください。
問合せ先
あおぞら財団(担当:谷内)
(Tel) 06-6475-8885
電子メール:webmaster[at]aozora.or.jp([at]を@に変えてください)

この冊子は地球環境基金の助成で作成しました。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,事務局,環境学習 — aozorafoundation 公開日 2023年12月21日5:41 PM

大阪公立大学「都市基盤計画特論」第2回(12/19)

大阪公立大学大学院の講義「都市基盤計画特論」(吉田長裕先生)の一環で、受講生5名が西淀川をフィールドに学びます。授業では4回にわたって西淀川に来る予定ですが、12月19日にその第2回が開催されました。

 

まずは前回に続いて、フィールドである西淀川のことを知るために、タンデム自転車に乗って大野川緑陰道路を走りました。途中、大野川緑陰道路沿いにあるインフラについて諸所で解説が行われました。
朝はやはり寒かったですが、自転車を漕いでいると次第に体が温まってきました。

(参考:タンデム自転車を使った西淀川フィールドワーク|あおぞら財団の研修・教育のページ

タンデム自転車の乗り方と大野川緑陰道路の歴史についてレクチャー

タンデム自転車の乗り方と大野川緑陰道路の歴史についてレクチャー

大野川緑陰道路の下には洪水を防ぐための排水トンネルがあります(写真右が縦穴)

大野川緑陰道路の下には洪水を防ぐための排水トンネルがあります(写真右が縦穴)

ごみ焼却施設と、その熱を利用した温水プール

ごみ焼却施設と、その熱を利用した温水プール

 

この自転車でのフィールドワークには、中国の環境NGOで活動されている4名も一緒に参加しました。この方々は、「日中環境問題サロン2023(12月17日開催、あおぞら財団主催)」での講演を含め、日本の環境や防災に関する視察・研修をするために日本に来ています。

水防碑の前で水害の歴史について解説した後、淀川河口部へ行って工業地帯や西淀川のまちなみを概観しました。

水防碑の前で合流し、交流しました

留学生の大学院生が通訳をしてくれました

水防碑の裏面には西淀川の水害に関する説明があります

水防碑の裏面には西淀川の水害に関する説明があります

この淀川堤防も都市開発の一部ですね

付け替えられた淀川やこの堤防も治水対策の一環です

 

あおぞらビルに戻ったあと、今後の提案に向けたワークショップが行われました。まずは西淀川区の概要についての講義が行われました。

人口、産業、土地利用などの視点から西淀川を見てみます

人口、産業、土地利用などの視点から西淀川を見てみます

 

その後、これまで得てきた西淀川区の情報をもとに、都市基盤に関する提案を行うためのアイデア出しが行われました。
まずは各自で付箋にアイデアを書いて、全体に発表しました。出てきたアイデアに近いものを書いた人は、同時に発表してもらいました。いくつかのアイデアが出ましたが、特に「人と人が交流できる場や空間」「安全・防災」といったテーマにみなさんの関心が高くなっていました。

意見をすり合わせ、現状の課題や対策案をまとめていきます

意見をすり合わせ、現状の課題や対策案をまとめていきます

 

次回の講義では、市民参加に関するワークショップと、西淀川区役所へのヒアリング調査が予定されています。
様々な視点から地域の課題を捉え、よりよいまちを作るための提案を行う、みなさんの挑戦はまだまだ続きます。

 

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

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