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» 2010 » 10月

視覚障害者の山本美恵子さんへのヒアリング


 前回の西淀川交通まちづくりプロジェクトで、視覚障害者の模擬体験会の実施、放置駐輪の実態調査の実施の提案が出ました。

 視覚障害者の模擬体験会を実施するにあたり、西淀川区内で視覚障害者の模擬体験会がどのように行われているのか、また、どのような点に留意するべきかについて、西淀川在住で視覚障害者の山本美恵子さんにお話をうかがいました。
 山本さんは、西淀川交通まちづくりプロジェクト第2回で講師として来ていただいています。

 お話をうかがった日は10月2日(土)で、交通まちづくりプロジェクト参加者の3人とあおぞら財団の谷内がヒアリングに行きました。

 山本さんに聞いた内容は、以下のとおりです。

○小中学校での取り組みについて
・西淀川区内のほとんどの小学校や中学校では、視覚障害者の方を学校にお招きしてお話をしてもらったり、サウンドテーブルテニスを楽しんだりしている。
・視覚障害者の疑似体験やガイドヘルパーの体験はしていない。たくさんの小中学生に、アイマスクを付けて疑似体験を行うと、ふざけて怪我をする危険性がある。
・子ども相手に疑似体験を行う場合には、子どもを見守るたくさんの大人が必要だと思う。

○他団体の取り組みについて
・生協や社会福祉協議会でも、同様の取り組みをしている。
・生協は3回のコースで、点字なども教えている。
・ガイドヘルパーの養成講座では、平地での歩行、電車やバスの乗り降り、エレベーターやエスカレーター、階段、食事など、生活全般のそれぞれの場面での介助、体験を行う。時間は21時間。

○疑似体験を行う際の留意点について
・手引きの仕方を先に教えてから、疑似体験をした方が安心してできる。
・疑似体験を行う場合には、障害当事者が一緒に参加した方が良い。参加者の体験に対する真剣さが増すし、体験の必要性に対する認識も深まる。
・できることなら、視覚障害だけでなく、車いす利用者など、さまざまな障害を持った人にも参加してもらった方がよい。
・もし、あおぞら財団で、視覚障害者の疑似体験を行う場合は、山本さんに協力していただける。

 山本さんにお聞きした内容をふまえて、次回の西淀川交通まちづくりプロジェクト第4回では、体験会を実施に向けて具体的な話し合いをしていきたいと思います。

 西淀川交通まちづくりプロジェクト「西淀川の交通・移動について考えてみよう!」 参加者第2次募集はこちら

(谷内)




Filed under: 地域づくり | 西淀川交通まちづくり — aozorafoundation 公開日 2010/10/18(月) 06:06

もりもとまきのアーキビストの目 No.14

写真で知る倉敷大気汚染公害-『水島の公害』-
(資料館だより31号、2010/07)
紹介資料:倉敷医療生活協同組合編『水島の公害』(1991年)

エコミューズでは、西淀川だけでなく、四日市、千葉、川崎、倉敷、尼崎、名古屋南部など、全国各地の大気汚染公害の資料も所蔵しています。そのなかから今回は、倉敷医療生活協同組合編『水島の公害』(手帖舎、1991年)を紹介します。

写真が伝える、水島の願い 写真が伝える、水島の願い 

倉敷大気汚染公害は、1960年代に本格的に操業、急速に規模を拡大した水島コンビナートからの排煙によって引き起こされました。製鉄所、石油化学工場、発電所などから排出される煤煙は、自然豊かな美しい瀬戸内のまちを一変させ、多くの住民が慢性的な呼吸器疾患に苦しむようになりました。この本は、そんな公害地域に生きる、当時のひとびとの姿を捉えた写真集です。背中をかがめ、息苦しさに耐える女性。発作の苦しさに、ベッドの柵を握り締める老人。煙がただよう空の下で、サッカーボールを追う少年たち。少しでも体力をつけようと、乾布摩擦を練習するぜん息児童。老いた体にタスキをかけ、法廷に向かう原告患者たち―。

水島では今、「(財)水島地域環境再生財団(みずしま財団)」が公害地域の環境再生に取り組んでいます。きれいな空気と澄んだ空の下で、すこやかに生きたい―そんな願いの原点を知ることができる1冊です。

☆資料館だより31号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

もりもとまきのアーキビストの目 No.13

新潟水俣病・阿賀野川と共に-映画『阿賀に生きる』-
(資料館だより30号、2010/05)
紹介資料:映画『阿賀に生きる』(1992年)

エコミューズでは、今年8月5~8日、新潟水俣病の現場を訪ねるスタディツアーを開催します。そこで今回はエコミューズ所蔵の映像資料のなかから、新潟水俣病の被害地域である阿賀野川流域に暮らす人々の生活を追ったドキュメンタリー映画、『阿賀に生きる』(佐藤真監督、カラー115分、VHS、1992年)を紹介します。

川と共に生き、公害と闘う 川と共に生き、公害と闘う 

新潟水俣病は、昭和電工鹿瀬工場から阿賀野川に流された、メチル水銀化合物を含む排水によって引き起こされた公害病です。患者は手足のしびれや運動障害など、さまざまな症状に苦しみました。水質汚染による漁業への影響も深刻でした。

映画は、阿賀野川と共に生きる人々―米作りを続ける老夫婦、川風を知り尽くした川船頭、川舟を作り続ける老大工、餅つき職人の老夫婦に3年間密着して撮影されました。川筋に暮らす人々の、なにげない日常。そしてそのなかで、患者会活動や未認定患者問題など、新潟水俣病と向き合う姿が映し出されます。それは決して外側から眺めるだけでは伝えることの出来ない、公害地域の「今」を捉えた映像です。

現地を歩き、生の声を聞き、新潟水俣病の「今」を知って、伝えたい―スタディツアーを前に、そんな思いを新たにする映画です。

☆資料館だより30号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

もりもとまきのアーキビストの目 No.12

みんなで決めて、みんなで闘う-「西淀川公害患者と家族の会」班長役員会議-
(資料館だより29号、2010/03)
紹介資料:昭和63年度班長役員合同会議(1988年)

「西淀川公害患者と家族の会」は、毎月欠かさず「班長役員会議」を開いていました。エコミューズでは、その会議で毎回配布された議事進行レジュメを多数所蔵しています。今回はそのなかから、’88(昭和63)年10月14日の会議のようすを見てみましょう(「昭和63年10月度班長役員合同会議」岡崎久女氏資料No.372)。

毎回欠かさず作られ、配られたレジュメ 毎回欠かさず作られ、配られたレジュメ 

会議には役員と各支部の班長43名が出席し、まず事務局から、レジュメに掲載された「活動日誌」をもとに、前月の会議以降の出来事が、ひとつずつ報告されます。そして討議に移り、翌月26日に開かれる西淀川公害裁判第89回公判について、「一人でも多くの原告の傍聴参加をお願いし、支部別の参加割当をやりきることを確認」しました(同会機関紙『青空』No.90)。原告や患者に、裁判の傍聴を積極的に呼びかけることは、班長の大切な役目でした。このレジュメにある「福10、姫島14、大和田5…」は、各支部の目標参加人数です。

会議は、出席者が過半数に達しなければ中止されました。そして互いに声をかけ合い、必ず過半数以上が出席して開催し直したそうです。「みんなで決めて、みんなで闘う」という姿勢が貫かれた運動のようすを伝える資料です。

☆資料館だより29号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

もりもとまきのアーキビストの目 No.11

「公害指定地域」を守れ ―「西淀川公害患者と家族の会」の学習会―
(資料館だより28号、2010/01)
紹介資料:西淀川公害患者と家族の会昭和59年度春季学習会資料(1984年)

今回は「西淀川公害患者と家族の会 昭和59年度春季学習会資料」を紹介します(エコミューズ所蔵岡崎久女氏資料No.106)。

補償法を守り抜くために、学び、考え、動く 補償法を守り抜くために、学び、考え、動く 

1974(昭和49)年9月、公害健康被害補償法が実施され、指定地域の公害病認定患者に対し、汚染原因物質の排出者から補償費が給付されることになりました。しかし企業にとってその負担は重く、財界は政府に対し、その廃止を求める動きを強めていきました。そして’83(昭和58)年11月、環境庁は、解除を含めた指定地域の見直しを中央公害対策審議会に諮問するに至ります。

指定地域が解除されれば、補償費が給付されず、公害病に苦しむ被害者の生活が脅かされることになります。その危機感のなかで、患者会は「昭和59年度春季学習会」を開きました。その際に配布されたこの資料には、「公害指定地域の解除を許さず補償法を守り抜く課題は、公害患者の生きる道を守るにとどまらず、全国総ての公害運動つぶしを許さず、総ての公害対策を放棄させない、正に全国民的でしかも緊急の課題」とあり、政財界の動向や制度上の問題点を学び、これからの運動の進め方が話し合われました。後退する公害対策に立ち向かう、患者会の懸命な姿を伝える貴重な資料です。

☆資料館だより28号はこちら

(エコミューズ資料整理スタッフ 森本)

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