2023年11月17日、関西大学社会学部大門ゼミの3年生等が15名が西淀川を訪れました。
まずはじめに、タンデム自転車に乗って西淀川のまちでフィールドワークを行いました。現在のまちを見て周り地域そのものを体験することは、地域の歴史や文化を学ぶ上で非常に重要です。語り部さんのお話を聞く際にも、当時と現在の対比が想像しやすくなりますね。
あおぞらビルのすぐ前から大野川緑陰道路に入り、タンデム自転車の乗り方を少し練習してからの出発しました。
初めにタンデム自転車の乗り方について説明を受けます
しっかりとメモをとる学生さんたち
大野川緑陰道路の紅葉はちょうど見頃です
大野川緑陰道路を西に進み、終点までいくと目の前が淀川の堤防です。工業地帯、西淀川の住宅地、大阪市中心部のビル群、河口の埋立地などを四方に見渡すことができます。
そこから西島の工業地帯を超えて、国道43号沿いにある大気常時観測局「大和田西交差点局」に向かいました。ここで、かつての国道43号、大気汚染公害裁判、和解後の対策事業についての説明を行いました。
堤防から工業地帯を望む
大気常時観測局の前で、現在の対策を解説
あおぞらビルに戻ったあと、まずは西淀川の公害とあおぞら財団の設立について講義が行われました。その後、西淀川公害患者と家族の会の矢根さんと上田さんにお話を聞かせていただきました。
西淀川公害の概要について講義
矢根さんと上田さん
矢根さんは生野区の出身で、30代の頃に気管支ぜん息を発症されました。当時は大阪市全域で空が曇っており、多くの人々が大気汚染の被害を受けました。その中でも西淀川区は、認定患者さんが最も多い地域です。
発症当時は(世間一般で)大気汚染公害という認識がなく、「風邪の延長かな?」という程度に感じていたそうです。しかし次第に症状が悪化し、発作で倒れての緊急搬送を3度も経験し、その後は後遺症で手足の痺れが残りまともに働くことができない状況に陥ってしまいました。
通院を繰り返す中で患者さんどうしのつながりが生まれ、「手渡したいのは青い空」の思いに共感し裁判を闘ってこられ、今では語り部をしてくださっています。
上田さんからは汚染者負担の原則や共同不法行為、また大気汚染物質の環境基準についてのお話などをしていただきました。
質疑応答も盛り上がりました
お話の後、あおぞら財団付属西淀川・公害と環境資料館「エコミューズ」を見学しました。実際に裁判で使われた資料、公害患者さんの手記、当時の小学生の文集などを閲覧しました。
裁判で使われた資料や公害患者さんの手記などを閲覧しました
最後に振り返りをおこなって、研修は終了となりました。
学生さんたちからは、「公害は健康被害だけでなく人生そのものに被害を与えるという深刻さが、語り部さんのお話からよくわかった」「上田さんたちが被告企業側と信頼関係を築いたことで和解に至ったというお話を聞いて、相手に寄り添うこと、多角的に見る視点の大切さを知った」といった感想が出ました。
小グループで感想を共有し合いました
タンデム自転車に乗って現在の地域を体感し、語り部さんのお話や資料館では歴史を知り、2通りの視点で多くのことを学ぶことができました。とても充実した研修となりました。
タンデム自転車を使ったフィールドワークは、必然的にパートナーとの信頼関係が生まれます。アイスブレークにも最適ですので、研修にお越しの際はぜひご利用ください。
タンデム自転車を使った西淀川フィールドワーク(「あおぞら財団の研修・教育」のページ)
(あおぞら財団アルバイト・小松)
あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?
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