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西淀川区役所でCOPD・肺年齢チェックを実施しました(9/15)

9月15日に西淀川区役所で行われた「がん検診」にてCOPD・肺年齢チェックを行いました

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、喫煙や大気汚染などが原因で進行性の呼吸器疾患です。治療に早期発見と適切な管理で、推定患者数は約530万人といわれていますが、治療を受けている方は約38人と少なく、未診断・未治療の状態にあります。

あおぞら財団は、ブース出展という形で、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の早期発見の取り組みとして肺年齢測定やパンフレットの配布を行いました。

今回は30名の方に肺年齢測定を実施させていただきました。実施させていただいた方の中で23名(77%)の方が初めての測定だったとのことでした。

ハイチェッカーで簡易検査

呼吸のしづらさが心配な方はスパイロメーターで測定

今回の結果では、30名中6名(20%)の方が「実年齢よりも肺年齢が10歳以上高い」という判定になりました。

測定後のアンケート調査では、この呼吸リハビリテーションについて知らないと答えた方が25名中21名(84%)でした。呼吸リハビリテーションは、運動療法・呼吸法・排痰法・栄養指導などを組み合わせ、患者の方の生活の質(QOL)を高める取り組みです。

また、COPDを知らない方も21名(70%)であったため、今回の肺年齢測定を行うことで多くの方にCOPDの理解を深めていただくことができました。

次回は10月25日(土)に、西淀川区役所で行われる2025西淀川区健康いきいき展にて、肺年齢測定を実施いたします。

喫煙中の方や過去に喫煙していた経験がある方、息切れや呼吸のしづらさが気になる方は、ぜひお立ち寄りください。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境保健 — aozorafoundation 公開日 2025年9月26日5:49 PM

エコミューズ館長日記No.35

今朝は、目が覚めた時に外の空気を吸ったら少しひやっとした。長かった猛暑が終るのかもしれない。日本人はみんな環境論者になった気もする。しかし、今日は彼岸の入り。何年か前なら先祖のお墓参りと心を配る時期だったんだが、昨日も北陸方面で豪雨とか、気候の変動がいよいよ常態化するような気がする。

ところで本題。資料集というものは十分よく調査して、ある程度自信を持っていくものだが、しばらくすると重要な問題で見落とした資料が色々と出てくるものである。あおぞら財団の発行する『りべら』最新号に「西淀川再生プラン」の解説を依頼されたのであるが、これについては、よく知られた資料であってわけのないことと高を括っていた。ところが最近発行された清水万由子先生の『「公害地域再生」とは何か』において、それがNo.1~No.6まであることが紹介されていた。そのことは清水先生の本で初めて知ったことで、驚いてしまった。急いで全容を知らないとと考えたのであるが、原本が見当たらない。色々と未調査の塊を調べたところ、どうも傘木宏夫氏の資料の中にあった。これはそうした街づくりの課題に取り組むことを訴えた第一号の資料と、その後状況の変化に合わせて課題の重心をどこに置くかについての目標の変更であることに気が付いた。気が付いてみると、一安心。今までの資料集でよいのかもとも思い、しかし何か抜けているのかもという不安も心を悩ます。今後さらに調べなくっちゃと感じた次第。

これから気温も下がるので調査時かもしれないと、自らを元気づけているところである。

スタッフからのお土産です。

2025.09.19 小田康徳

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

【ご寄附のお願い】「西淀川公害がわかる資料集」のための寄附を募集しています。どうぞみなさまの寄附でこの活動を支えていただきますようお願いいたします。
■寄附の方法はこちら https://www.aozora.or.jp/ecomuse/contibution_doner

※資料集のウェブ版作成には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しています。

#おもろいわ西淀川
#にしよど
#魅力発信サポーター
#エコミューズ
#西淀川公害がわかる資料集

立命館大学法学部石橋ゼミ フィールドワーク(9/10)

9月10日(水)に、立命館大学法学部石橋ゼミの皆さんが西淀川区でフィールドワークを行いました。

石橋ゼミは、毎年夏休みの時期に西淀川を訪れ、公害と法律のつながりについて学んでいます。研究テーマの一つである民法の「共同不法行為」は、西淀川公害裁判の重要な争点の一つでもあります。

≪フィールドワーク≫
出来島駅に集合し、まち歩きがスタート。

国道43号沿いの交通環境や、大和田川公園、初代公害医療センターであった千北診療所、「公害の石碑」があるあおぞら苑など、西淀川が公害とどのように向き合ってきたかを肌で感じながら巡りました。

国道43号線沿いの交通環境について説明しています

大和田川公園にて西淀川の公害の歴史を学んでいます

千北診療所での公害医療センターとしての働きについて説明

道中では、解説を交えながら西淀川のまちを歩くことで公害のまちと呼ばれた西淀川が現在どのように変化しているのかを目で見て感じ、学ぶことができました。

≪公害の歴史と公害語り部のお話、公害訴訟弁護団の方のお話≫
あおぞら財団に到着後は、西淀川公害の経緯についての講義を行い、西淀川区の公害がどのようなものであったかを学びました。

次に、公害患者である岡崎久女さんから、当時の体験を語っていただきました。
岡崎さんは、昭和48(1973)年に西淀川に移住し、その後昭和50(1975)年12月ごろからぜん息を発症し、長年にわたり苦しんでこられました。次男もぜん息を発症し、その当時の状況や、環境、心境について語っていただきました。

質疑応答では、学生から「当時、政府や自治体に対する憤りを感じたか」といった質問がありました。
岡崎さんは、「政府や自治体のことを考える余裕がないほど辛かった。そこまでの余裕がなかった。でもそれでは変わらない。私たちと同じような思いをする方を増やしたくないという思いから今もこの語り部の活動を続けている。」との回答をいただきました。

西淀川公害訴訟での署名活動についてもお話していただきました

また、次に西淀川公害訴訟の弁護団の一員として活躍された村松弁護士の講義が行われました。
訴訟を行う上で何を争点とするか、その争点で争う際の対応、当時の状況や、訴訟を行う上で必要なことなどを詳しく教えていたただくことができました。また、西淀川公害訴訟がその後の訴訟に与えた影響や、西淀川公害訴訟が自身に与えた影響なども語っていただきました。

質疑応答では、「長い期間での裁判で大変だと感じたこと」について、共同不法行為の責任が生じるかどうかについての確たる証拠を集めることが難しかった。この公害が確実に環境破壊や健康被害を起こしているということを推類するものを見つけることが難しかったと回答されていました。

講義の最後に、公害患者の思いが詰まった言葉として、「自分のことなら諦められる。他人(ひと)のことなら頑張れる」という言葉を紹介して締めくくりました。

講義では様々な体験について聞くことができました

≪公害資料館でさらに学びを深める≫

その後、公害資料館(エコミューズ)を見学し、公害の歴史について資料を見て西淀川の公害について学びました。
学生の皆さんは各々資料を見て、公害がどのようなものであるかの理解が深まったようです。

資料を見て真剣に学んでいます

≪振り返り:学生の感想とこれから≫

最後に振り返りを行い、感想・印象に残ったことと今後学びたい・深めたいことの2つの意見を書いてもらいました。
感想・印象に残ったことでは「身近な地域で起こった公害問題について知る事ができて良かった」「一人一人の想いと行動があって今の青空があることを知った」という声が出ました。
今後学びたい・深めたいことでは「自分たちが学んだことを自分たちの代で途絶えさせないように伝えたい」といった意見が出ました。

研修後の振り返りアンケートでは、「共同不法行為の理解が深まった」、「将来法律家を志す上で被害者の声をどう法に生かすかという視点を得られた」、「今後は公害や環境問題を、法と社会の両面から考えていきたい」といった、法学部のゼミならではの感想が寄せられました。

公害というものは終わったものではなく、今現在も続いており苦しんでおられる方がいるものです。昨今の世界の環境などを考えると西淀川公害の歴史から学べることは非常に多いのではないかと思います。今回の学びが良い形で未来に影響を与えることを願っています。

(記・あおぞら財団アルバイト K)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2025年9月22日4:09 PM

立命館大学産業社会学部 平井ゼミ フィールドワーク(8/25)

8月25日(月)に、立命館大学産業社会学部の平井秀幸先生とゼミ生9人が西淀川区でフィールドワークを行いました。

平井ゼミは社会学・犯罪学を専門で、今年度、平井ゼミでは「社会問題の被害・被害からの立ち直りに対する支援の試み」をテーマに、西淀川公害を取り上げているそうです。あおぞら財団のwebページのレビューや、『西淀川公害の40年』を輪読・通読して理解を深め、「実際に現地を訪れて学びたい」という声が上がり、今回のフィールドワークにつながりました。

まちを歩き、公害の歴史をたどるフィールドワーク

出来島駅に集合し、まち歩きを行いました。
国道43号線沿線、出来島小学校、千北診療所、あおぞら苑、大阪マスジド(イスラム教徒の礼拝所)、大野川緑陰道路などに巡って、歩きながら、公害問題・公害対策を肌で感じてもらいました。

国道43号線は、かつて”公害道路”と呼ばれていました。。公害と抗するため、道路高架化、ロードプライシング(大型車を湾岸線に誘導)、車線減少、遮音壁や大気浄化装置の整備などの対策が行われました。

国道43号線沿線で、公害対策を解説しました

西淀川区が「公害のデパート」と呼ばれたのは、環境基本法で定められた典型7公害のすべてがこの地域で発生したからです。

出来島小学校のとなりの公園で、西淀川区で発生した公害をおさらいしました

あおぞら苑の前には、公害研究の第一人者・宮本憲一先生と訴訟原告団団長・森脇氏が思いを刻んだ石碑があります。学生たちはこの石碑を通して、公害の深刻さと環境再生への願いに触れました。

あおぞら苑の前で、石碑を解説しました

また西淀川区は、高度経済成長期に各地からの集団就職者が移り住み、近年は東南アジアからの移住者も増え、多文化が共生する地域へと変化してきました。大阪マスジドはその象徴の一つであり、周辺にはハラールレストランも数多くあります。

礼拝所であるマスジドの周りに、ハラールのレストランもたくさんあります

大野川緑陰道路は、幾多の曲折を経ました。魚釣りや水遊びができるきれいな川から、生活排水や産業排水によって汚染され、一時は“ドブ川”のようになってしまいました。大阪市が高速道路の建設を進めようとした際には、公害に苦しんできた住民が強く反発し、その結果として現在の緑豊かな道路が生まれました。

大野川緑陰道路の歴史を解説しました

ワークショップ・フォトランゲージ

大気汚染がひどかった当時の西淀川の写真を使ったワーク「フォトランゲージ」を実施しました。

写真から読み取れる情報をもとに、グループで意見交換を行い、写真にタイトルを付けて発表。視覚的な資料を通じて、当時の暮らしや社会の状況に想像を広げることができました。

各グループが、自分が付けた写真の名前を発表しました

当事者・経験者に耳を傾ける

公害患者である山下明さんが、当時の体験を語ってくれました。

九州から集団就職で大阪に来る山下さんが、大阪駅から出てはじめて見たのは、真っ暗な空でした。現在なら誰もが「害」と思う大気汚染は、当初の文脈では「町の繁栄の証」と見られたようです。また、徹夜で点滴治療した後であっても休めずに仕事に向かわざるを得ない経験、職場の工事現場で発症して意識を失い病院に運ばれた経験を、山下さんが語ってくれました。

今のぜん息の吸入薬を見せてくた山下さん(中)

その後、公害訴訟弁護団の一員である早川先生が、西淀川公害裁判の経緯、裁判の争点、和解までの歩みや裁判の役割と限界について語ってくれました。また、濃度の単位ppmや汚染者負担の原則といった公害の基本的なところから疫学が裁判にいかに役立ったのかといったこともお話してくださりました。「西淀川公害裁判は患者会は一流、弁護団は五流と言われた。若い弁護士が多く、くり返し喧々諤々の議論をし、現場から多くのことを学んだ」と早川先生の人生に与えた影響についてもお話されました。

西淀川公害裁判を語ってくれた早川先生

エコミューズ(西淀川公害と環境資料館)見学

最後に、西淀川公害や公害訴訟に関する資料を収蔵する「エコミューズ(西淀川公害と環境資料館)」を見学しました。学生スタッフの関谷さんが当時の資料を紹介し、学生たちは公害の歴史をより身近に感じることができました。

学生スタッフ関谷が昔の資料を紹介してくれました

 

  • 参加者の所感

今回の研修により、学生の皆さんに対して、公害問題を遥か遠くの存在から、身近なものとして感じられるようになったのようでした。

「生の声を聞いて、自分もそれを伝えたくなった」、「団結が大事だ」、「地域の紛争は、地域への財産」などの感想がありました。

立命館大学の産業社会学の平井ゼミの皆さんは、環境問題を含む社会問題にかなり興味があり、積極的にそれを解決したいという意欲が見られました。今回の西淀川での公害に関する研修が、今後のゼミ活動に大きくいかされることを願っています。

(記・あおぞら財団アルバイト 王子常)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2:37 PM

公害地域再生をめぐる対話――清水万由子著『「公害地域再生」とは何か』書評会を開催(9/6)

9月6日(土)、あおぞら財団で清水万由子著『「公害地域再生」とは何か~大阪・西淀川「あおぞら財団」の軌跡と未来』をテーマに書評会を開催しました。著者の清水先生を囲み、研究者や実践者など多様な立場の方々が語り合う貴重な時間となりました。会場はあおぞらビル3Fグリーンルーム。参加者は現地17名(スタッフ・コメンテーター含む)、オンライン15名の計32名でした。

書評会は、対面とオンラインの併用で開催!

前半は3人のコメンテーターが登壇。除本理史氏(大阪公立大学)は川崎市や倉敷市水島地区の事例と比較しつつ、「公害経験の継承とまちづくりをどう結びつけるか」という論点を提示しました。茅野恒秀氏(法政大学)は「あおぞら財団の実践と人びとの経験を描き出した好著」と評価し、吉田忠彦氏(近畿大学)は「多様な人が乗り降りする“乗りもの”としてのあおぞら財団」という視点を示しました。これらに対して清水先生がリプライし、議論は深まっていきました。

除本先生から本の概要と論点の提示

茅野先生から自然保護団体等の経験をふまえてのコメント

吉田先生からNPO支援センター アリスセンターの著作をふまえたコメント

清水先生から各先生のコメントへのリプライ

後半のミニシンポには清水万由子先生、尼崎南部再生研究室(あまけん)の若狭健作氏、あおぞら財団の藤江徹氏も加わり、現場からの視点が議論に厚みを加えました。

ミニシンポ「公害地域再生の現場から」

参加者からは、
「各コメンテーターの組織・現場経験が反映され、議論に厚みがあった」
「都市の記憶を忘却せず掘り起こし続ける取り組みの熱量に感銘を受けた」
「財団を“舟”に見立て、誰が次世代の担い手になるのかをめぐる議論が印象的だった」
「公益財団という組織形態の意義と難しさについて考えさせられた」
といった声が聞かれました。

過去の経験を未来へどうつなぐか、地域再生の主体は誰か――笑いも交えながら、多面的で熱のこもった対話が続きました。最後は西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)の見学で締めくくられました。

エコミューズの見学

今回の書評会を通して、あおぞら財団が果たす役割があらためて浮き彫りになったと感じました。公害地域再生をめぐる対話は、これからも続いていきます。

参考

清水万由子著『「公害地域再生」とは何か――大阪・西淀川「あおぞら財団」の軌跡と未来』、藤原書店(2025)
除本 理史・立見 淳哉 編著『「地域の価値」とは何か―理論・事例・政策』、中央経済社(2024)
茅野 恒秀・青木 聡子/編 『地域社会はエネルギーとどう向き合ってきたのか』、新泉社(2023)
吉田 忠彦 著『NPO支援組織の生成と発展 — アリスセンターによる市民活動支援の軌跡』、有斐閣(2024)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,事務局,全体 — aozorafoundation 公開日 2025年9月17日4:13 PM
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