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エコミューズ館長日記 No.9

10月7日月曜日。
2、3日前から家で取り組んでいた第1章「公害地域化する西淀川区」の内、「1.写真でふりかえる」を上下2段をやめて、1段で組み替えたものを職員の皆さんに見せて意見を聞いた。ちょっと注釈を入れると、最初のページにこの項編纂の考え方を1ページ内で書きおさめ、1934年及び、1950年発行の地形図を左右に並べ、御幣島・佃・野里・姫島地区の工場地帯化が一目瞭然となる地図を掲載した。他は一緒だが写真が大きくなり、見やすくなった。それから、もう1点、戦後初期区画整理後の上空写真を追加した。これをもって、西淀川工業地域の第2の特徴である、中堅工場の急速な立地状況及び、それを取り巻く住宅などの空間構造が一目瞭然になってきた。初めて見る写真資料で、驚いている。これで写真のページは当初の6ページから14ページへと大幅に増加した。どこかで数字上の埋め合わせをしなければならないので、頭が痛くなってきた。幸い職員の方の評判もよかったので、それでページ数が少なるわけではないが、ほっとしている。

本日の作業は、第3章の2の「1970年前後個別公害企業との対決」の編集である。これは筋書きもよくわかり、基本的には問題なく終了したが、手書きの文字が出てくると翻刻を担当してくれているミナコさんの手に負えない部分が所々出現して、その都度「こう読むのだよ」と言って文字を教えてあげた。一方、小さな文字でガリ版印刷されたところでは、文字を読み間違えるのは小生の方が多かったように思う。老眼で、文字の解読力が低下しているためだと自らを慰めた。

という訳でまずは順調な作業ぶりであった、と言っておこう。
2024.10.7 小田康徳

館長のインタビューが「広報 いけだ」2024年10月に掲載されました!館長が編纂に関わっていた『新修 池田市史』についてお話しています。是非ご覧ください(o^―^o) スタッフ:ミナコ

 

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

【ご寄附のお願い】「西淀川公害がわかる資料集」のための寄附を募集しています。どうぞみなさまの寄附でこの活動を支えていただきますようお願いいたします。
■寄附の方法はこちら https://www.aozora.or.jp/ecomuse/contibution_doner

※資料集のウェブ版作成には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しています。

#おもろいわ西淀川
#にしよど
#魅力発信サポーター
#エコミューズ
#西淀川公害がわかる資料集

エコミューズ館長日記 No.8

今日は9月の最後にあたる、30日。
明日からは10月というのに、本当に暑い日が続く。
皆さんお元気のことと思います。
9月24日には立憲民主党党首に野田さん、29日には自由民主党総裁に石破さんがそれぞれ激戦を制して選ばれました。
日本はしばらく総選挙モードに突入したようです。
西淀川公害資料集編纂事業が順調に進んでいくことを願っています。

今日の編集委員会は、先月26日から都合で開催できなかったため、一か月遅れに開いたものです。
編集委員は大阪公立大学文学部長・文学研究科長の佐賀朝教授、岡山大学文学部准教授の松岡弘之准教授のお2人です。
小生が、前回6月17日以来の作業進捗状況を報告し、資料が、他の章や他の節にも関わっていることを見出したことを紹介する。例えば緑化推進委員会の運動が、第2章「学校の公害問題」に配列した別の資料の中にも書かれています。つまり、広い視野を持って資料を見ていかねばならないことです。
この問題提起をきっかけに、資料の解説を資料ごとにつける方が読者に親切だという主張も出るなど、会議はにわかに活発化した。
私としては、身を切る思いで掲載を諦める資料が沢山あり、その中でさらにページ数を削減しかねない「解説」は可能な限り減らしたいという思いがあり、色々とやりとりを行った。その後資料集全体のねらいについて思いつくままに語った。10分前後の時間を掛けたようである。いい発言だったように思うが、長いので内容は本が出来た時に解説の中で紹介したいと思う。

午後からは、前回までに事務方と私との間で進んでいた作業の進路の違いによって生じた若干のデータの不整備について、相互に確認し合った。
「あれ、今朝までちゃんと入っていたデータだったのだが、どこへいったのだろう」といったため、ミナコさんが探してくれたが、なかなか見つからない。
「どれどれ」と私がパソコンを操作してみた。やっぱり見つからない。
「おかしいなぁ、今朝はちゃんと入れていたんだけど」
と言っているうちに、ひょっこり問題の資料データが見つかる。
こうして見つかった時には、なんだかうれしくなった。
まだまだ先は長いなぁと思った。

 

2024.9.30 小田康徳

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

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市川国際奨学財団 研修受入(9/12)

9月12日午後13時から、市川国際奨学財団の留学生8名、引率者1名の研修を受け入れました。留学生である筆者も列席させてもらいました。

今回の研修に参加する留学生の7名が中国籍、1名がマレーシア籍であり、たまたま全員中国語が喋れるのだと引率者の大窪さんから紹介されました(大窪さんも中国語が喋れる)。参加者は近畿圏の大学に在籍、または進学準備をしている学部4年生から博士課程の学生です。研究分野は、戦後日本文学、言語・教育学、心理学、環境経済学など多岐にわたった分野です。

ひと通り自己紹介が終わり、あおぞら財団事務局長・藤江が西淀川区の公害の歴史、公害訴訟およびあおぞら財団の誕生について紹介しました。

公害裁判の結果-和解

そして、西淀川公害患者である須恵さんと西淀川公害患者と家族の会事務局長の上田さんの話を聞きました。須恵さんから公害患者の生の話を聞いて、公害問題にどれくらい影響されたのかを沁みるほど感じました。

須恵さんが自分が経験した公害を語っている

公害や公害地域をより深く理解できるように、次はタンデム自転車をこぎ出し、大野川緑陰道路や西島工業地域を走ります。

タンデム自転車を練習する

水防碑-水災害に弱い西淀川区

淀川堤防で眺める

工業地域で走る

その後、あおぞらビルに戻り、振り返りをしました。初めて公害について真剣に考える人も、環境問題をテーマとして研究してきた人も、公害や環境問題に対する理解が一層深まったようです。

感想がまとまった

引率者の大窪さんは、「研究というのは一人で研究室に引きこもってするだけではなく、色んな人と話して、考えないといけない」とおっしゃいました。ごもっともだと思います。紙で習得した知識は、実際にフィールドワークを通してから、さらに深くなると思います。今回の研修は、皆様の研究やこれからの日本での生活に活かしていただければ幸いと思います。

【参加者の感想(抜粋)】

  • 一人で勉強ばかりして頭でっかちになっていくのではなく、今生きている世界にもっと目を向けて、 色んな人の話に耳を傾けるべきだという反省を含めて、非常に有意義な時間を過ごせました。
  • 澄んだ青空に感謝し、環境保護がますます世界の共通認識となり、多くの人がそのために努力していることを感じました。
  • 他の参加者と意見を交わし、異なる背景を持つ人々がそれぞれの視点から環境問題に取り組んでいることを知り、 自分自身も研究生活の枠を超えて、広い視野を持ち、周囲の世界にもっと関心を持つべきだと感じました。
  •  今後は環境の維持にさらに注意を払っていきたいと思います。淀川の自然と環境の大切さを再認識する貴重な体験でした。
  •  歴史から学ぶことは大事であり、私たち若い世代も公害や環境問題に真剣に向き合うべきだと感じています。
  • 緑豊かな街並みを進む中で、 かつての公害の影響を感じさせないほど美しく再生された姿を目の当たりにしましたが、その美しい風景の裏には、 長い歴史の中で多くの人々が努力し、苦しみを乗り越えてきた歴史があることを忘れてはならないと思います。
  •  公害患者さんとの対話を通じて、大気汚染が人々の日常生活と健康状態にどれほど恐ろしい影響を与えますか実感しました。 そのため、環境保護の重要性をさらに意識しました。

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市川国際奨学財団HPで今回の研修の紹介がされています。
https://iisf.jp/activities/2024/september.html

(記 あおぞら財団バイト・王子常)

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あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?
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研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに移動します)

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2024年9月30日9:55 AM

龍谷大学清水ゼミ 研修 ワークショップ&語り部(9/6)

2024年9月6日 龍谷大学政策学部清水ゼミの2年生が研修に訪れました。

西淀川に来るのが2回目のこの日は

  • フォトランゲージ 西淀川公害
  • ロールプレイ あなたのまちで公害が起きたら
  • 公害患者さんへのインタビュー準備
  • 公害患者さんによる語り部とインタビュー
  • 成果発表

という内容でした。

フォトランゲージ西淀川公害では、西淀川公害に関する写真から読み取れる状況や時代などをグループで話し合い、その写真に独自のタイトルをつけます。その後、実際に撮影された年代や時代背景、当時の状況についての解説を受けながら、西淀川公害への想像を巡らせていきます。

 

写真から公害当時へのイメージが生まれて来たところで、ロールプレイに移ります。

参加者は、203X年、自分の住むまちで原因不明の大気汚染物質らしきものによる健康被害が起きているという状況設定のもと、行政の環境担当係長や工場の経営者などの役/立場になりきり、討論していきます。なんとかして時間内に何らかの合意形成を目指しますが、それぞれの役/立場にも様々な事情があり、議論は難航します。

ゼミ生の感想シートの中では、「立場が弱い人は意見が言いづらそう」「立場をフラットにして話し合えるようにするべき」という声が多く見受けられました。原因不明の病に成す術がないお医者さんや、市の職員の人は意見が言いづらそうという印象があったようです。一方「お互いに寄り添いあえる点と難しい点を、整理して話し合いを進める心がけが大切」という気づきも見受けられました。

公害時に起きる、人の立場や関係性の難しさを体験しながら、話し合う時に大切なことについて想像を巡らす時間となったようです。

 

その後、公害患者の家族の方へのインタビューの準備へ。

インタビューがより深いものになるように清水先生が取り入れたという、KP法を活用したワークを行っていきます。公害患者の家族の方へのインタビューを通じて、その人の物語をつくり紙芝居にするというワークです。準備時には、物語づくりを想定して質問を決めていきます。

 

いよいよ公害患者の家族の方にお話を聞いていきます。

この日は、西淀川公害患者と家族の会の山下晴美さんと上田敏幸さんにお越しいただきました。

山下さんは、旦那さんが公害患者となったことをきっかけに、公害反対運動に参加されていました。

ほぼ初めてインタビューを行うゼミ生たちは、苦戦しながらも山下さんに懸命に話しかけていました。お話の中で見えてくる公害当時の状況に驚きを見せながら、必死にメモを取る学生さんも。

「普通が一番幸せなのに、一番難しい」

「息が吐けないから、吸うこともできない。」

様々な言葉によって、公害の痛みに触れていくゼミ生の表情が印象的でした。

 

最後には「山下晴美さん物語」を紙芝居に仕上げ、発表。

様々な気づきが、ゼミ生が紡ぐ言葉や絵に表現されていました。

 

 

 

 

 

 

 

(文責:アルバイト・松岡)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習 — aozorafoundation 公開日 2024年9月28日2:32 PM

龍谷大学政策学部清水ゼミ 西淀川フィールドワーク(9/4)

9月4日(水)に、龍谷大学政策学部清水ゼミ学生14名の研修を受け入れました。公害にかかわるゼミ活動の始めとして、西淀川フィールドワークが展開されました。

最初はあおぞらビル3階グリーンルームにて、あおぞら財団事務局長・藤江から、フィールドワークの概要の説明を聞きました。

地図を見せながら藤江がフィールドワークの説明を行っている

地図でフィールドワークの概要を確認

ヘルメットをつけて、ペアを組んで、タンデム自転車の練習をした後、大野川緑陰道路に向けて走り出しました。

タンデム自転車で走り出す前

一列に並んで、次々と走り出す様子

一カ所目の説明場所は、西淀公園近くです。淀の大放水路、昔の大野川およびみてアートの展示などが説明されました。

昔の大野川の写真を見せながら説明

また、大阪に何か所に建てられている水防碑について紹介されました。西淀川区は、過去の経済活動のために地下水が過剰にくみ上げられ地盤が沈下したこともあり、災害に弱いという特徴があります。西淀川のような所では「防災」を常に気をつけるべきではないでしょうか。

水防碑に関することが紹介されました

引き続き、南に向いて、淀川堤防まで走りました。眺めのいいところであり、東の梅田から西の湾岸線まで一覧できます。ただ、この高い堤防は、景色を眺めるためにではなく、淀川より低い居住地を守るために作られています。

堤防で西淀川区周辺の場所が説明されました

続いて工場地域を渡って、国道43号の沿線で、大気汚染や騒音などの問題を軽減するための仕組みが説明されました。

国道43号近くで測定された大気汚染の数値が説明されました

帰り道に、あおぞら財団が運営している古民家カフェ「くじらカフェ」に寄って、古民家の雰囲気を味わいながら昼ご飯を食べました。

「くじらカフェ」の歴史、あおぞら財団とのつながりが紹介されました

食後、タンデム自転車であおぞらビルに戻りました。

あおぞら財団・谷内が公害およびあおぞら財団ができた経緯を紹介しました。そして清水先生が本日の研修の振り返りとして、感心したところ、疑問のあるところ、大気汚染をなくすためのものをグループワークしてデスカッションしてもらいました。

大気汚染は現在進行形です

本日の研修の振り返りをデスカッションします

「公害」に実際に体験したことがない大学生が、本日のフィールドワークについて活発に意見を交わしました。

グループごとに議論結果を発表している様子

教科書でしか見たことがなかった「公害」を、学生たちは西淀川区で体験しました。見えない汚染として「PM2.5がまだ存在する!」とか、「住工混在地域になっている!」とかの嘆きが相次ぎ出てきました。
また、今日見た西淀川区の様子は、学生たちが想像していた「公害」とは異なっていたようです。「本当に公害あった?」とか、「住民は公害をどう思っているのか?」といった疑問もありました。

グループワークの「!」と「?」をまとめました

「公害」に関して、教科書から離れ、実際の公害地域で肌で環境を感じると、より深い理解ができるのではないかと思います。
公害はまだ終わっていません。社会の教科書で勉強した昔の公害に比べると、騒音、振動や地盤沈下といった今でも存在している公害は、気付かれにくいと思います。
公害の記憶を伝承するには、昔の公害は言うまでもなく、現在の公害にも目を向けるべきだと思います。現在の公害を直視することは、まさにその第一歩だと思います。

今回の西淀川区フィールドワークを皮切りとして、今後、清水ゼミの学生さんと一緒に、公害の記憶を伝承する取り組みをしていきます!

(記 あおぞら財団バイト・王子常)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

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研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2:31 PM
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