2024年9月5日(木)、立命館大学法学部の石橋秀起先生とゼミ生11名がフィールドワークに訪れました。
まずは出来島駅に集合し、西淀川のまちを徒歩で見学しました。国道43号の歴史や現状の公害対策を学び、千北診療所やあおぞら苑などを経て、大野川緑陰道路からあおぞら財団へ向かいました。
解説を聞きながらまちを歩くことで、大気汚染に限らず騒音や地盤沈下といった複数の公害と闘ってきた西淀川の歴史を知ることができました。
あおぞら財団に戻ってから1つ目のプログラムは、「西淀川公害患者と家族の会」の池永さんによるお話です。同会事務局長の上田さんも同席してくださり、さまざまな補足説明をしていただきました。
池永さんの娘さんが3歳の時にぜん息を患い、池永さんはずっと看病をしてきました。娘さんは公害認定を受けられましたが、その後、池永さんご本人もぜん息を患ってしまいます。しかし池永さんは公害認定を受けることができませんでした。認定を受けられなかった池永さんにとって、近年開発された性能の高い治療薬はあまりにも高価で手が出せず、年を重ねるごとに辛くなる症状と闘い続けておられます。
質疑応答では、公害患者に対する周囲の目について、大気汚染が深刻だった頃と昨今のコロナ禍とそれぞれの時代の苦労や対策について議論がなされました。
次に西淀川公害についての講義が行われ、その後あおぞら財団付属西淀川・公害と環境資料館「エコミューズ」の見学が行われました。
裁判で使われた資料や、当時の大気汚染の状況が記された資料などを閲覧しました。
その後、西淀川公害訴訟の弁護団の一員として活躍された村松弁護士の講義が行われました。
法的な視点と人情的な視点の折衷など、公害裁判の前線で闘ってこられた数々の経験をお話していただきました。また村松弁護士はお話の中で、西淀川の公害裁判は判決が出て終わりではなく、その後の政策形成に大きく影響を与えたと言える、と評されていました。
最後に振り返りを行い、今回のフィールドワークは終了となりました。
参加した学生さんたちからは、「判決の先に、救済制度や再生のための取り組みへとつながっていく過程について詳しく知ることができた」「諸外国で今も続く大気汚染や、新しい化学物質による健康被害などに目を向け続ける必要がある」といった制度や他国に対する意見等、法学的な視点からの意見が挙がりました。
公害は過去のものではなく、現在も続いており、新たな公害が起こる可能性もあります。今回の西淀川公害に関する学びが、これからの公害がない社会づくりに繋がるのを願っています。
(あおぞら財団アルバイト・小松)
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