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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

出来島小学校で西淀川公害の授業

2月5日、大阪市立出来島小学校5年生を対象に、天野憲一郎さんによる西淀川公害の授業がありました。天野さんは、元は小学校の教員で、西淀川区の小学校でも長年にわたり教鞭をとっていました。現在は、あおぞら財団で環境教育の活動に関するボランティアや、公害資料の整理のお仕事でもご協力頂いています。

子ども向けの西淀川公害学習用のDVD『手渡したいのは青い空~未来からのメッセージ 』を用いて授業を行いました。

教科書には、四大公害は掲載されていますが、西淀川公害はでていません。西淀川公害と教科書に掲載された公害との関連が理解しやすいよう教科書を拡大し黒板に貼ったり、DVDを放映する前に、西淀川で撮影された事等にふれ子どもの興味をひくなど、様々な工夫をしながら授業をすすめていました。

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西淀川に大気汚染公害の被害が拡がっていた頃の写真や、スモッグのかかった現在の中国の写真を用いて、今なお続く大気汚染公害を皆で考えなくてはいけないことを子どもたちに示していました。

(小平記)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,西淀川公害授業 — aozorafoundation 公開日 2014年2月6日4:12 PM

1/23 中国環境NPO研修3日目@大阪府立環境科学センター

中国環境NPO研修3日目の1月23日は、森ノ宮にある大阪府立環境農林水産総合研究所環境科学センターを見学しました。

まず、大阪府の大気測定の取り組みとその測定データについて説明を受けました。

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大阪府では、府内105ヶ所に測定局を設け、NO2やSO2、PM2.5をはじめ7種類の大気汚染物質と、風量・風向・日射量などを常時測定しています。

昨今話題にあがるPM2.5の測定は2年ほど前から本格的始まりましたが、2012年度、環境基準を達成したのは対象33局中2局だったそうです。また、光化学スモッグとPM2.5については、基準値を超えた場合府民への注意喚起を行っています。

その後、施設屋上にあがり環境省の国設大気測定局を見学しました。ガラス管を通して常時測定(粒子が小さいPM2.5は別の方法で測定)される大気中の各汚染物質量は、サーバーに収集され、1時間ごとのデータが公開されています。

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続いて、アスベストの測定・分析について説明を受けました。

研究所では、大気中のアスベストと建材中のアスベストの2つを分析しています。中国の方々からは、現在もアスベストは建材として使われているのかという質問が出ました。日本では、2006年から石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する全ての物の製造、輸入、譲渡、提供、使用が原則禁止されています。

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最後に、水質中の重金属の質量分析の設備を見学しました。

ICP質量分析装置と呼ばれるもので、採取した水に電流を流しプラズマを発生させ、そこに含まれる各重金属の質量を測定します。測定結果は2時間ほどでわかるそうです。中国で水質汚濁の問題に関わっておられる方は、中国で同様の検査をしたら1週間以上かかると驚いておられました。

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この見学を通じて、中国の皆さんが最も関心を持たれたのが、公害・環境問題に対する行政の機能・取り組みに関することでした。

民間NPOの人間が行政機関を訪れ職員と容易に対話ができること、法制度に基づいて環境測定データが刊行物やウェブ上で公開されていることに大変驚かれていました。中国では、裁判資料として測定データなどが必要な場合、該当機関に有償で証明書を発行してもらう必要があり、そもそもそうした情報・データにアクセスすること自体が難しいそうです。

情報公開を積極的に行い、企業への抜き打ち検査や改善指導を行っている行政職員の皆さんに大変感心されていました。

日本の中にいると、行政が市民サービスを行ったり、情報公開を行うことは国民の当然の権利であり、日頃はあまりそのことについて深く考えることがないかもしれません。しかし、中国の方々が自国で直面されている現状を聞くにつれ、情報公開が国民・市民の生活を良くする根本にあることを改めて考えさせられました。

国民・市民の声がすくい上げ、皆が幸せに暮らしてゆける社会を作っていくことは、歴史や文化、宗教、政治体制の違いに関係なく万国共通の課題だと思います。

日本においても、こうした国民・市民の権利がただ漫然と存在しているのではありません。国や自治体に対して国民・市民の声を絶えず伝え、企業とも協力しながら問題を解決していくことが求められています。

中国をはじめ諸外国の人たちに日本の公害の経験を伝えることは、日本自らの経験を省み、それを継承・発展させることにつながっていると、今回の研修を通じて考えさせられました。

(藤井)

本事業は環境省委託平成25年度大気汚染経験等情報発信事業の一環です。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,国際交流,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年1月23日4:18 PM

1/21 中国環境NPO研修1日目@あおぞら財団

2014年1月21日、中国の環境NPOの方々の研修を受け入れました。

初日の今日は、あおぞら財団で公害患者さんのお話と西淀川公害訴訟と公害反対運動のお話を聞きました。参加者は6名と通訳2名でした。

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和田美頭子さんは、香川県高松市にお生まれになり、その後大阪へ出て来られました。第二次世界大戦のときに一度故郷へ帰られましたが、1948年に結婚のため再び大阪へ出て来られました。

戦後間もない大阪・西淀川は、空も川の水もきれいだったそうです。それが、復興が進み、産業発展を始めた60年代からは、空は黒く、外を歩けば顔がススで汚れ、干していた洗濯物も真っ黒になり、「公害病」「公害患者」という言葉が広まったそうです。

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和田さんご自身は、75年頃からせきが出始め、公害病の検査を勧められましたが、「公害病」と呼ばれることへの抵抗から当初は拒否されていました。その後、77年2月に公害病3級に認定され、患者会へ入会、78年からの訴訟に加わられました。

訴訟に加わるとき、真っ先に金銭面での不安がよぎったそうです。しかし、役員さんたちの「裁判に負けた時は命を投げ出したらいい」という鬼気迫る熱意に心を打たれ、参加を決心されたそうです。

住民の力で環境を良くする運動が大事だという点を和田さんは繰り返し強調されました。

また、和田さんは最近、来日した方応君さんの活動を撮影した中国の水質汚濁に関するドキュメンタリーをご覧になったそうで、「どこの国の人にも、特に子どもたちに苦しみを味わってほしくない!」「なぜ中国政府は日本の公害の経験に学んで対策をとってくれなかったのか!」と涙ながらに感想をおっしゃっている姿が強く印象に残りました。

続いて、患者会の森脇君雄会長と上田敏幸事務局長から、西淀川公害訴訟と公害反対運動の展開についてお話していだきました。

上田さんからは、公害は健康・生活・社会的関係などあらゆるものを破壊するということ、裁判を闘う上で汚染源を特定し、国や企業の責任を証明することが一番苦労したというお話がありました。

この点について、森脇さんから西淀川公害訴訟での疫学調査に関する苦労をお話しいただきました。

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この公害の実態調査という点は、中国の方々が大変興味を持たれました。中国でも工場周辺の住民らの手で公害の実態調査が行われる事例があるそうですが、それがメディアで報道されず、地方行政機関が情報を隠したりすることが多いとのことです。

公害の防止、公害反対運動を行う上で、情報公開が持つ大切さを改めて感じました。森脇さん、上田さんからは、情報が公開されなかったり、隠されたりするのは日本でも同様に起こり得ることであり、市民の健康・命を大切にするルールづくりを行政に求めていくことがとても大切だとのお話がありました。

また、国や地方自治体とNPOとの関係、NPOにできることに関しても質問が出ました。ここでは、国や地方自治体と良好な関係が築けるまで粘り強く話し合いを続け、住民の声をすくい上げるルール作りを求めていくことが大切であること、NPOとしての自主的活動の中で課題を見つけ、それを国や地方自治体に提言していくことが大切であることとの意見が出ました。

国や地方自治体と「緊張感ある良好な関係」を保ちつつ、環境保全・公害防止のために共同で取り組んでいくことが大切であり、そのための日中間での草の根レベルでの経験交流が今まさに求められていると改めて考えさせられました。

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その後、緑陰道路や歌島橋交差点に出て、西淀川の環境再生への取り組み、現在の自動車排ガスの問題について説明をしました。参加者の皆さんは、大型トラックが行き交う様子を興味深く写真におさめておられました。

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また、エコミューズで資料の収集・整理・保存・公開に関する説明をしました。裁判資料をはじめ、公害や公害反対運動に関する資料を保全し、後世に伝えるという点も、日本から学ぶ点が多いという意見が寄せられました。

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深刻な公害とそれを克服するための取り組みを経験した日本には、今まさに公害問題が深刻化している中国をはじめとする国や地域にその経験を伝えるという役割があります。

ただし、日本も決して公害を完全に克服したわけではなく、まだまだ克服すべき課題は多くあります。最も大切なのは、公害や環境に関する現状認識をしっかりと持ち、環境悪化を食い止める取り組みや運動を続けていくことだろうと思います。

中国の方々との交流を通じてそのことを強く感じました。

(藤井)

本事業は環境省委託平成25年度大気汚染経験等情報発信事業の一環です。

2/2 あおぞらイコバ大和田でみせを開催します

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おかげさまで定員になりました。
ありがとうございます!
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2/2日曜日に、西淀川区でイスラム文化を目と耳と口で体験できるイベントを開催します。

イスラム教、イスラム文化は普段なかなか馴染みがないのですが、2010年に大和田に大阪マスジド(モスク)が出来て以来、界隈はイスラム教の方々が集う場所になっています。

マスジドの方やレストランの方のお話を聞きながら、ハラールレストランのランチバイキングを楽しみながら異文化交流してみませんか。

食事のあとにはマスジド(モスク)の見学も予定しています。

お子様連れでの参加も歓迎いたします。
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日 時:2014年2月2日(日) 12:00~14:00

場 所:sitara halal restaurant(シタラハラールレストラン)

大阪市西淀川区大和田4-12-31

定 員:20名 要予約

参加費:1,500円(食事代込・当日徴収)

申 込:あおぞら財団までご連絡下さい

〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階

TEL:06-6475-8885  FAX:06-6478-5885

webmaster@aozora.or.jp

Filed under: イベント案内,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2014年1月9日5:24 PM

12/27 香港の大学生研修 西淀川公害フィールドワーク

本日は香港中文大学の学生、総勢20名が
西淀川公害フィールドワークにお越しになりました。

賑やかでとても活気のある若者たちです。

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まずは西淀川公害裁判についてのビデオ鑑賞。
英語と中国語の字幕つき。
資料を交えながら解説を。
うなずきながら熱心に聞き入る学生さんたち。

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そして、公害患者さん、平田さんと上田さんのお話。
実際持ち歩いてる吸入器や、気管支の模型も見てもらいました。

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その後、実際に西淀川のまちを歩いていろいろ体感してもらおう、
とのことでしたが
とても寒く今にも雪が降り出しそうな曇天・・・。

なので急遽予定を変更して
歌島橋交差点近辺と大野川緑陰道路で写真やクイズを交え、解説を。

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そしてあおぞら財団にもどり、西淀川・公害と環境資料館エコミューズを見学。
資料館が満員になりました。
日本語の資料ばかりなので、当時の西淀川の写真を見てもらいました。

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最後は
グループに分かれ、
「今日西淀川の公害について学んだことを香港に帰ってからどのように活かせるか」のディスカッションをしてまとめてもらいました。

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発表してもらった意見をご紹介します。

・なぜ香港では署名などの市民活動が実を結ばないのか考えたとき、中国政府の影響や、日々の生活が大変なのでそこまで手が回らない現状がある。

・大学生などが政府と積極的に交渉していくべきだ。

・香港では“環境保全”という授業が大学であるが、多くはない。小学生などもっと早い時期からの教育が必要ではないか。

・香港には工場が少ないので煤煙の問題はないが、隣の広州にはたくさん工場がある。

・自動車の排気ガス問題は深刻なので、個人の自動車を電気自動車に変えていけたらいい。キャンペーンやアピールをして、電気自動車のコスプレをしてパレードをしたい。

・香港でも自然がとても少なくなってきたので、自然を守る努力をする。

質疑応答もとても活発で
みなさん積極的に参加してくれたのが印象的でした。
日本語、英語、中国語が飛び交うフィールドワークでした。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2013年12月27日6:25 PM
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