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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

関西大学社会安全学部越山ゼミ 西淀川フィールドワーク(07/06)

2023年7月6日(木)に、関西大学社会安全学部越山ゼミの3年生のみなさんが西淀川を訪れました。今回の主な内容は、タンデム自転車で移動しながら西淀川の町を感じることと、水防団の防災士多田さんと西淀川区役所防災担当の小林さんの講義です。

午後1時に、ゼミ生9人があおぞらビル3階会議室に集合し、簡単なスケジュール説明を聞いてから、タンデム自転車5台で西淀川をまわり始めました。ルートはいつもの通り、あおぞらビルから大野川緑陰道路経由淀川堤防まで走り、そして西島工業地域に入り、多文化コミュニティを体験できる大和田のマスジドでいったん休憩してから、大野川緑陰道路に戻り、あおぞらビルに帰還しました。猛暑であったとしても、ゼミ生男子9人の元気さが溢れています。

大野川緑陰道路にある水防碑の前で説明を聞きます

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淀川の堤防で周辺の建物を確認

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出来島水門を見学

あおぞら財団に戻った後、防災士の多田さんからのお話しです。大阪府の地下には数多くの活断層があるので、地震が多発、津波被害地域であります。また、閉鎖的な大阪湾の一番奥部分の西淀川区は、余計に高潮の被害に受けやすくなります。さらに工業で地下水のくみ上げにより深刻な地盤沈下が発生し、西淀の災害史は、水害との戦いと多田さんが話しました。

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防災士の多田さんの講義

次に、西淀川区の防災担当の小林さんから西淀川区の防災の取組みについてお話をいただきました。小林さんから西淀川区がどんな仕事を担っているのかというお話を投げかけ、防災意識啓発や避難訓練、避難所の指定、備蓄品の管理、行政無線、防災無線、防災システムの構築、耐震診断の助成など、学生からは多様多種な仕事内容が出てきました。これらの業務を区役所職員4人でになっているという回答に驚きの声が上がりました。

また、大阪市の内水氾濫を防ぐ下水道についてもお話がありました。大阪市では家庭などからの排水と雨水をいっしょに一本の管で集める「合流式」の下水道が整備されており、以前は強い雨の時に雨水と汚水が混じったまま放流されてしまい、水質の汚濁が問題になっていました。現在は、太閤下水や雨水滞水池の整備等の合流改善対策が行われ、水質が改善されてきました。

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西淀川区防災担当の小林さんのお話

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西尾淀川の防災のとりくみ(グラレコby多田さん)

お話の後は防災かるたをしました。「にしよどぼうさいかるた」は西淀川区民の協力のもと作成された西淀川オリジナルのかるたです。かるた取りを楽しんでもらった後、防災かるたで小学校等の防災授業等や防災かるた大会で普及しているというお話をしました。

その後、災害エピソードを元に防災を考えるアクティビティ「気候変動と災害の影響は・・・・」を行いました。このアクティビティは現在地球環境基金の助成を受けて検討中の教材です。過去の台風で被害を受けた方のエピソードを元に、印象に残ったこと、自分が同じ境遇になったら、災害によって社会的に弱い立場の人々がどのような被害を受けるのか、自分ができること、社会ができることを考えました。災害弱者の避難の支援の困難さに思いを寄せ、社会的な支援の仕組みが必要であること、過去の災害経験を伝える等の啓発が重要といった意見が出ました。

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アクティビティ「災害のエピソードから防災を考える」の感想

最後に、今日の研修の振り返りと今後ゼミで取り組みたいことをまとめました。多様な視点から防災を考え、様々な防災対策が必要であるということを感じ取ってもらえたフィールドワークになりました。

最後に研修を振り返りました

(王・谷内)

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あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年7月21日11:26 AM

大阪公立大学 地盤沈下フィールドワーク(6/23)

6月23日(金)に大阪公立大学の遠藤崇浩教授が大学院生とともに、授業の一環として「地盤沈下」をテーマとして、西淀川にフィールドワークに来られました。

最初に、西淀川の地盤沈下や災害について30分ほどお話させていただきました。

西淀川区は「新田開発」と「埋め立て工事」により、現在の地形となりました。西淀川区全域が工業地として発展し、地下水を工業用水として利用することにより、大規模な地盤沈下が起こりました。百島の計測値を見ますと、累積沈下量が240cmに達しています。そのため、ひとたび水害が起こると、浸水被害が甚大になります。昭和35年頃(1960年頃)には、地盤沈下により海中に工場が放棄されているということもあったそうです。

お話の後、西淀川区全域をタクシーでまわり現地踏査を行いました。

 

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佃防災船着場(大阪市佃ふれあい公園) 水上輸送ルートを利用して、災害時に必要物資の運 搬や救急・救命活動を行う。

 

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防潮鉄扉。台風や津波などの「いざというとき」に閉鎖することで「堤防の一部」となり、水害を防ぐ。

 

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外島保養院記念碑。1934年、室戸台風の直撃により、193人の尊い命が奪われました。毎年9月に犠牲者追悼行事が行われています。

 

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神崎川の水面よりも住宅地が低い様子が見て取れます。

 

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地盤沈下により、住宅地の一階は道路よりも下にあります。

 

3時間にわたるフィールドワークにより、地盤沈下の状況や災害の痕跡、災害対策などの状況やを現地で体感してもらうことができました。遠藤教授は、「標高図などで西淀川区の概況は見ていたのですが、堤防の高さ、地面の傾斜、道の狭さなどはやはり実際に現地を訪問しないと腑に落ちません」との感想を寄せてくださいました。

あおぞら財団では、大気汚染を中心とするフィールドワークの受入をしており、今回のように「地盤沈下」に特化したフィールドワークは初めてです。西淀川では水質汚染、地盤沈下、道路公害、騒音・振動など典型7公害のすべての被害が発生しました。今回の西淀川の「地盤沈下フィールドワーク」を通して、改めて西淀川の地盤沈下の状況について学ぶことができる貴重な機会となりました。


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023年7月3日4:15 PM

【動画】谷智恵子弁護士インタビュー「裁判を動かすのは実際の真実の姿」

西淀川大気汚染公害について学びたい方、深く知りたい方向けに、西淀川公害に関わった方々のインタビュー動画を作成しています。

第1弾は西淀川公害訴訟弁護団の一員であった谷智恵子弁護士。

谷弁護士は「被害班」として、裁判所で西淀川公害の深刻で広範な被害の実態を明らかにしました。裁判を動かすためにどのような思いで被害を明らかにしていたのか、また公害裁判の意味について語ります。

〇リンク先、所要時間

youtubeでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=y0sY4hL-h7k

約9分

※動画はインタビューの一部分です。全容は下記のサイトから読むことができます。http://aozora.or.jp/kougai_lecture/tool/oral_history/

 

【西淀川公害裁判とは】 1960年代から日本全国で大気汚染公害によって、多くの人が健康被害を受けました。大阪の中心部に近い西淀川区の被害は甚大で、累計7000人を超える人が公害病になりました。西淀川区には尼崎と此花・堺の大工場の煙が西淀川に集まり、道路を通過する大型ディーゼル車の排気ガスとの複合大気汚染となりました。その責任を問う西淀川公害裁判(1978~1998)は、企業10社、国、阪神高速道路公団を被告に、公害患者726人が原告となった大規模裁判でした。

【谷智恵子弁護士 略歴】 1947(昭和22)年生まれ。大阪市出身。1978(昭和53)年4月に弁護士登録し、同年4月18日に提訴された西淀川公害裁判に関わる。その後、泉南アスベスト裁判、住友金属男女差別裁判等に関わる。

映像協力 岸本景子

制作・著作 公益財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)

※この動画は地球環境基金の助成を受けて作成しています。

 

Filed under: イベント案内,環境学習,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 1:57 PM

淀協の新人研修に講師として参加しました(4/4)

報告が遅くなりましたが、4月4日、淀川勤労者厚生協会の新人研修にあおぞら財団の谷内が講師として参加しました。
淀川勤労厚生協会とは、西淀病院や診療所の他、介護施設を運営する法人で、今回の研修は今年度から各施設で働く方々を対象としたものです。今年は32名の方が参加されました。

前半はグループに分かれてワークショップを行いました
最初に、西淀川公害の写真をみて、写された状況や撮影者の視点、考えを読みとる〈フォトランゲージ〉を行いました。その後、様々な立場から公害の解決を考える<ロールプレイ「あなたの町で公害が起きたら」>を実施し、自分の街に公害が起こった場合を体験し、立場が違う人同士で問題の解決を目指す難しさを感じてもらいました。

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写真から読み取ったものを言語化するフォトランゲージ

 

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お芝居で公害を体験する「あなたの町で公害が起きたら」

ワークショップの後は、『西淀川の公害の歴史と住み続けられるまちづくり』をテーマに、谷内から講義を行いました。過去にどのような甚大な大気汚染が起こったのか、そして公害患者がどのような公害反対運動を行い、公害で疲弊した地域を再生したいとの思いからあおぞら財団が設立されたというお話をしました。

最後には、公害患者の須惠佐與子さん、西淀川公害患者と家族の会事務局長の上田敏幸さんに公害の被害についてお話していただきました。須恵さんは、一晩で子どもが育てていたアサガオが一晩にして枯れたり(1969年永大石油事件)当時の大気汚染が甚大な被害をもたらしていたこと、大気汚染の被害を受けた後も旦那さんの仕事のために引っ越しができなかったこと、公害病がご自身の仕事にもたらした影響などをお話しました。聞いていた方々からは公害病の症状や当時の様子などに対して質問がありました。

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公害患者の須恵さんのお話

 

今回の研修に参加された方からは下記のような感想をもらいました。
・ロールプレイをすることで、あまり考えたことのない立場の人がどう考えるのか考える機会になってよかった。
・ロールプレイを通して、いろんな立場から合意をとることの難しさを知ることができた。
・大気汚染公害とたたかってきた人々の苦労、苦しみを学べる機会は少ないので、オリエンテーションの中で聞けるのはとても良いと思った。
・実際に被害者の話を聞いて、当時の怖さ、苦しさ、後遺症などを知ることができたので、一人一人に寄り添い思いをくみとっていくことが大事だと思った。

淀協は、西淀川を含めたこの地域の医療や介護を担う大切な機関です。西淀川公害について学んでいただいたことが、今後の医療や介護の現場で活かされ、公害患者を始めたとした地域の方々に寄り添う医療・介護につながることを期待しています。

 

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あおぞら財団ではESD(持続可能な開発のための教育)の視点から、未来を考えるために対話的な学びの場をコーディネートします。 研修に関しては下記のページをご覧ください。

http://aozora.or.jp/kougai_lecture/edu/

(記録:谷内)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2023年6月16日2:01 PM

【動画】公害資料館バザール:あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)

あおぞら財団では「公害資料館ネットワーク」という、各地で実践されている「公害を伝える」取り組みを共有したり、情報発信したりする活動に参加しています。

そのネットワークの事業として、2022年度に「公害資料館バザール」という企画で当財団付属の西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)の紹介動画が制作されました。

同企画は全国にある公害資料館の魅力を伝えることを目的としてます。

制作にあたっては、同ネットワーク幹事の清水万由子氏、事務局の白神加奈子氏が取材や撮影・編集を行いました。おかげさまで、館の設立経緯、所蔵資料の紹介、研修の受入、現在取り組んでいる資料集づくりのことなど、盛りだくさんの内容に仕上げていただきました。
どうぞご覧いただければ幸いです。
動画は短いバージョンと長いバージョンがあります。

ショートバージョン(約14分)

ロングバージョン(約32分)

公害資料館ネットワークでの投稿
https://kougai.info/news/1178

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